2014-06-03

「かたちから自然の摂理を学ぶ」シリーズ3~樹木を流れる水から樹木のデザインを捉える

 河川のかたちは水の流れを、道路のかたちは車や人の流れを、ラジエターであれば熱の流れを、生物であれば地球上の物質の流れを、より効率的に流すためのデザイン(かたち)に収斂している。

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エイドリアン・ベジャンが唱える「コンストラクタル法則」によれば、樹木は地中の水分を大気に運び、不均衡を均一化するストローのようなものであり、水を運ぶために最も理に適った形状に進化するという。

参考:「かたちから自然の摂理を学ぶ」シリーズ2~樹木が発生するのは水を好むからではない

 

さて、今回は最適な水の流れをつくりだすための樹木デザインについて見ていきます。

まず、樹木の形を考察する前に樹木を流れる2つの流れを把握します。1つは、前述したように、地中から大気中への水の流れ。そして、もう1つは風によって引き起こされる応力の流れ。これは樹木の存続に関する課題といえます

つまり、樹木は内部を通過する水の流れを良くし、吹きつける風に対する強度を備えた構造となる必要があります。

■樹木の根のデザイン                                                                                      

水の流れを追うために、まず根から始めて、根がこの流れをどう処理すべきかを考えます。

ベジャンは根のあるべき姿をこう説明します。

 『流れとかたち』(P.202)より引用開始

私たちが描き出す木の根は多孔性で、様々な深さで水が系に入れるような(あらゆる側からの)横方向の流れと、地中から水を持ち上げられるような縦方向の流れの、二種類の水の流れを可能にするものでなくてはならない。縦方向の流れ(貫通水路)は横方向の流れよりも抵抗性が低い。

地面に近づくにつれて根の図の幅を拡げ、下方のさまざまなアクセスポイントから入ってきて増える一方の水を処理できるようにしなければならない。

多くの地下水を根に取り込んで幹に引き上げる形は、円形、円錐、先が尖った形、丸い形など様々な形が考えられますが、最も抵抗が少ない根全体の形は円錐形(ニンジン形)であると、ベジャンは予測します。さらに水を吸い上げる1本1本の導管は断面が円形で直径が均一なときに最も抵抗が少なく水が流れやすくなります。円形の断面は、あらゆる方向への曲げに対して大きな抵抗力になるというメリットもあるため、風力に対しても適応的です。

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この形はちょうど河川流域の形と似ています。河川流域も縦方向の本流に支流が川岸から横方向に合流するれ根系になっており、水という流動系を一領域から一点に効率的に運ぶには、背後に類似する法則があるということを示唆しています。

■幹と枝のデザイン                                                                                         

次に地上の上部構造をみていきます。

水は上に働き、風に起因する応力は地面へ流れます。幹の中を進む2つの流れのためにふさわし形とはどんな形なのでしょうか。

『流れとかたち』(P.209)

驚くにはあたらないが、私たちが理論に基づいて描き出した幹のデザインは、根のときに得られたものと同じ形になる。今回は下端で太く、高くなるにつれて狭まる。水は途中で低い枝へ分散するので、上に行くほど量が少ないからだ。このデザインは枝にも当てはまる。根や幹と同じで、枝も円錐に近くなるはずだ。

(系は水を吸い上げ、より大きな流路へと吸い込むで)地下に深く潜るほど小さな根が多く見つかるのと同じで、木の上へ行くほど小さな枝が多く見つかる。水を大気中に戻すのには、これが効率的なデザインだからだ。

ベジャンの予測によれば、幹も枝も全て円錐形であることが、水の流れからみても、風力に対応する応力を処理する形としても合理的であると結論づけます。

img-529203952のコピー

また、幹の断面積と枝の断面積も明快なルールが存在し、先端に向かって細くなるのに伴う幹の断面積の減少分は、それぞれの幹の区分から生えている横方向の枝の断面積に等しくなると説きます。

イメージ的には、樹木の幹を100本のストローと見立てるとわかりやすいです。最初の枝で10本のストローが分かれ、残りの幹は90本。二番目の枝は9本のストローに別れ、残りの幹は81本となる。これを繰り返しながら、幹と枝のスケールを構成していく、という感じです。

蛇足ですが、レオナルド・ダ・ヴィンチは緻密な観察から上記の法則を既に発見していたといわれていますが、その法則の背後にある構造(水と応力の流れ)までは鮮明にすることができなかったようです。

ちなみに、幹周りの枝や葉や花びらの配列は、螺旋状に配列され、フィボナッチ数列に則って現れるといわれています。

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写真は松ぼっくりの模様

この数列もルールを暗記(?)するよりも、木や草が大地から大気中へ水を効率的に移動させるのに適している形であるから、と捉えるのがよいと思います。どの枝(にくっつく葉)も大気中へ水を放出しており、水を蒸散する他の枝から一番遠い所に最も乾いた空気があります。つまり、枝同士の干渉を減らすことが水の蒸散に最も適した形となるのです(注)

(注)一般的な説明では、枝や葉の配列は、光合成がしやすいように上下の葉の重なりを極力なくす配列であると説明されます。しかし、太陽の光は、毎時真上から来るわけではないので、(光合成がしやすい形態に収斂したという点は間違いではないですが)説明としてはやや疑問が残ります。

もちろん、ベジャンが予想する樹木デザインやフィボナッチ数列は外的要因を限定した時に成立する法則です。現実の樹木は、日射量や気温、風特性、周辺の樹木との相互作用などの複数の物理的要因によって、多様な形態が現れる、というのは外で観察してみて理解するのがよいと思います。

コンストラクタル法則は、多様性が全面に打ち出される生物の背後に潜む主構造を理解するのに役立つ認識である、と捉えるのが良いと思います。

 

 

 

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List    投稿者 seibutusi | 2014-06-03 | Posted in ①進化・適応の原理No Comments » 
2014-05-21

米国人がホラー映画に支出するお金は1年間に5億ドル~人が生み出した恐怖という感覚~

みなさんこんにちは。
ここでは、人がつくり出した恐怖という感覚について、シリーズで調べていこうと思います。
第一回目は恐怖の起源と変化について記載させていただきます。

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Prologue

00|ホラー映画=恐怖を体験したいという欲求。。。

米国人がホラー映画に支出するお金は1年間に5億ドルとされています。日本においてもホラー映画は、毎年新作が制作され、ホラーというジャンルが欠かせないものとして定着しています。
映画に限らず、ホラーゲームやお化け屋敷などのアトラクションにおいても同じことがいえるでしょう。
これらは、人が意図的に恐怖を感じたい思い、自発的に恐怖体験を促している事になります。
なぜ、人は恐怖を自ら感じたいと思うのでしょう??

 

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01恐怖の起源。。。。。

恐怖の誕生は、扁桃体の誕生とも言えるでしょう。扁桃体とは、脳の中にある渦巻き状の神経細胞の集まりで、一般的にこの扁桃体が機能しなくなると、人間は恐怖を感じることができなくなるとされています。
生物はこの扁桃体と呼ばれる部分を進化させ、高い危険逃避(恐怖から逃れる)能力を身につけることで繁栄してきました。この扁桃体の歴史は古く、魚類の段階から近いものが形成されており、人類に限らず多くの生物が有するものでもあります。
しかし、上記のような自発的に恐怖体験を促す行動をとるのは、人類特有の物ではないかと思います。

02恐怖という感覚の変化。。。。。。      

ホラー映画の始まりは、エジソンが発明した覗きからくり式の「キネトスコープ」を用いて、1895年 アルフレッド・クラークによる『スコットランドの女王メアリーの処刑』で、女王メアリーの首がはね落ちるシーンが最初の残酷映像と言われています。
しかし、ホラー映画のように、人が自発的に恐怖体験を促す行為を行うようになったのは、さらに昔からだと考えられます。
それは、通過儀礼(イニシエーション)と呼ばれるものです。主に成人、結婚、死などの人間が成長していく過程で、次なる段階の期間に新しい意味を付与する儀式のようなものです。

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この儀礼は、文化が発達していない、原始的な時代から行われていた行為であり、現在でも一部の国や未開部族の中で行われています。その儀礼には、『抜歯・ピアッシング・バンジージャンプ・猛獣との格闘』といった耐え難い苦痛など、恐怖を伴うものが多くあり、これも自ら恐怖体験を促すものであると考えられます。このイニシエーションについての考えをフランスの民俗学者ファン・ヘネップの著書『通過儀礼』から一部を引用します。

イニシエーションは、『死と再生』の象徴的儀礼として展開する。つまり、今まで親から保護され社会から子どもとしてある程度の甘えが許されていた『子どもの社会的立場にある自分』をいったん殺して、『勇気と忍耐のある自立した一人前の成人』として生まれ変わり再生するのである。

何故、その様な苦痛や恐怖を感じる行為を通過儀礼として行うのかの説明は幾つかあるが、総じて言えば、『所属共同体を運営・防衛していく重い責任の自覚を強めること。共同体の生産労働・戦闘活動・家庭の家父長といった中核的役割を担う成人男子相互の連帯感を強めること。それらの結果として共同体の存続・発展・拡大を実現すること。』と言えるだろう。(引用終了)

上記の内容から、原始的な恐怖体験は、所属する共同体を防衛していく責任を自覚すること。また、仲間として認められることを目的に恐怖と自ら対峙していたことがわかります。

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03|
今後...

このように、恐怖という感覚は古くは危険逃避からはじまり、共同体の形成などへと進展していきました。いずれも生物が繁栄していくうえで重要な内容であり、恐怖という感覚が人類史の中ではかかせない位置づけがなされていることがわかります。

では、なぜこのような儀礼なしに共同体を形成している現代においても、ホラー映画のような擬似的な恐怖体験が存在するのでしょうか?

今後は、この擬似的な恐怖体験も含め、起源や変遷についてもう少し詳しく調べていきたいと思います!!

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List    投稿者 seibutusi | 2014-05-21 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2014-05-11

シリーズ 人類と病気 アレルギー(3) アレルギーを引き起こす原因構造

 前回の記事(リンク)でアレルギーは先進国病であり、原因は人工物質ということが状況証拠から分かりました。今回は、アレルギーの原因が人工物質であるという原因構造を解明していきたいと思います。

 

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List    投稿者 honda-y | 2014-05-11 | Posted in ⑤免疫機能の不思議, ⑥病気の起源、正体1 Comment » 
2014-05-06

「右脳・左脳」 機能分化の真実を探る その2

みなさんこんにちは。
前回記事(2013年12月)から随分間があいてしまいましたが、『「右脳・左脳」機能分化の真実を探る』シリーズ第二回です。

前回記事では、生物史上の右脳・左脳分化に注目し、「危機逃避=外圧適応戦略」として右脳・左脳分化が発生したこと、そして右脳が天敵からの回避と仲間認識左脳がパターン化した日常的な行動を担っていること、右脳は全体視を行い、左脳は部分視・中心視を行うことを明らかにしました、

このように生物史上、右脳・左脳は意味があって分化したと言えますが、前回記事でも書いたように、現在の教育論・ビジネス能力開発などでよく言われるような「左脳=観念的・論理的、右脳=直感的・創造的」と言ったとらえ方=認知的機能分化論には私は極めて懐疑的です。
やはり前回記事で書きましたが、「右脳・左脳」はあくまで一体的かつ全体的に機能していると言うのが事実であり、教育論等で言うような「右脳開発」のような考えは意味を無しません。
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画像はこちらから頂きました→虚構の中の真実の在る処

今回記事では、このような右脳・左脳の認知的機能分化の事実について見てみたいと思います。

脳の両半球の機能差に焦点をあてた研究は以前からたくさんあって、代表的なものにガザニガとルドゥー、スプリンガーとドイッチュ、ブライデンそしてヤングらの研究がある。これらの研究からわかったことは、一部の例外を除いて、左右半球の機能差は予想に反して小さいものである。という事実である。もちろん脳の機能という観点からは、理論的な関心は非常に大きいものなのだが、いわれたほどの違いはないということだ。

巷の右脳・左脳相違説が立てている機能の厳密な分類(たとえば芸術性は右脳にあって、左脳には芸術的才能が潜んでいないといった分類)すらも成立していないのである。正確には特定の知的作業に関して、一方の半球の方が他方よりもすぐれてはいるが、いずれもおこなうことはできる、といった連続的な機能差があるくらいなのだ。

両半球の差異に関する研究から、一般的に目で単語を読む場合や耳で話を聞く場合などの、言語情報による刺激がからんだ仕事に関しては、左脳の方が右脳よりもすぐれていることが判明している。この事実は脳に損傷を受けた被験者を調べることによってわかった。言語野と呼ばれる左脳の特定部分に障害を受けると、失語症という機能障害にかかるからだ。この失語症とは、話すことができなかったり、言葉を聞いても理解できなかったり、あるいは両方できない症状を持つ。右脳に損傷を受けて失語症になることは、非常に希ではあるがないわけではない。普通の人間を被験者にして研究しても、やはり左脳のほうが言語刺激の処理をするには右脳より適していることがわかる。つまり被験者の左脳に言語情報を流したほうが(右側の視野に単語をみせたり、右耳だけに音を流す)、右脳に流す(左側の視野に単語をみせたり、左耳だけに音を流す)よりも判断するまでの反応時間は短くなるのである。短いといってもその差は微々たるもので、ほとんどの研究で100ミリ秒単位の違いしかでていない。つまり右脳にも言語情報を処理する能力はあるわけで、ただ刺激を処理する手際の点で左脳のほうがすぐれている、というだけの話なのである。

ほとんどの人間において、右脳だけではできそうにない作業が一つある。それは話すことだ。もっと正確にいうと、右脳は音声を伝達する筋肉を制御することができない。それゆえ右脳だけでは唖になってしまうわけだ。研究者レベルの文献で左右半球の機能がはっきりとわかれるのは、この発生能力についてだけである。だからといって、機能相違説の疑似科学に根拠を与えることにはならない。この機能分化は筋肉制御にかかわるあくまでも運動機能の分化であり、一般にいわれるような認知的な機能の分化ではないからだ。同じような発声筋肉の運動制御という点における左右脳半球の機能の差異は、さえずる鳥の多くの種類に認められている。

脳腫瘍や脳卒中などの神経病理上の疾患のため、脳に障害を生じた患者に創造力や芸術性の面でどのような変化があったかを調べることは可能である。このような患者を調査した結果、絵や音楽の才能や創造性が右脳に宿っているという俗説はまったくのでたらめであることが判明した。ガードナーがこうした研究を手際よくまとめている。音楽的才能や創造性は、右脳と左脳のどちらに損傷を生じても悪い影響を受ける。美術の才能についても同様のことがいえる。ところが作文能力や創作の才能は、右脳よりも左脳に障害を生じた時に悪影響が現れる。もちろん作文の基本は言語能力にかかわることだからである。
井山弘幸訳 : 『ハインズ博士「超科学」をきる』 より引用

 

右脳型・左脳型という迷信は1800年代からあります。片側の脳にダメージを受けた人が特定の能力を失ったことに注目したドクターが言い始めた説です。しかし、脳をスキャンしてみると、右脳と左脳は当初考えられていたよりももっと複雑にリンクしていることがわかりました。つまり、情報を整理して問題解決しようとしているときも、クリエイティブな思考が必要なタスクを行っているときにも、脳の片側だけではなくて両方を使っていることがわかったのです。ただ、左脳が右半身、右脳が左半身をコントロールするというのは正しい説明なので、右脳を損傷すると左半身に麻痺が出るというのは本当です。

私たちの経験は複雑に編み込まれたタペストリーのようになっているのですが、これは記憶に基づいて保存されているのではなさそうです。むしろ、スペースの関係で圧縮され、大事なポイントのみ、要約された形(「ディナーは期待はずれだった」)になっていたり、キーポイントの集約(ステーキ固い、ワインにコルク、横柄なウェイター)だったりします。
後日、その記憶をもっと詳しく思い出したくなったとき、脳は経験の集まったタペストリーを編み直すのですが、そのときに少しだけ記憶を偽造するようにできています。この偽造は実にスムーズに、自然に行われるので、私たちはあたかもそれが実際に経験したことで、細かいところまですべて頭に入っていたと思い込んでしまうのです。

1998年に、アメリカのサテライト放送の広告が全米規模の雑誌に載ったのですが、そこに脳の絵が描かれていました。絵の下のキャプションには、「あなたは自分の可能性のうち11%しか使っていない」とあります。また、同じ年に放送されたABCテレビの秋の新番組「The Secret Lives of Men」の番宣では、画面いっぱいに「男は脳のたった10%しか使っていない」と表示されたのです。
PETスキャンとMRIで脳の働きを観察してみると、頭を使う複合的な活動には脳の広い範囲が使われていて、一日を通して脳は全体的に使われていることがわかりました。脳の全てが重要であることは、ほんの一部がダメージ受けただけでも障害が起こることからも証明されています。しかし、脳は補完機能を持っているのです。
頭を使う活動、たとえば新聞を読む、演劇を見に行く、チェスをするといったことを生前好んでいたお年寄りの脳を解剖した結果、典型的な認知症による脳のダメージがあったとしても、アルツハイマーを発症しにくいということがわかりました。つまり、脳の機能は使わなければ衰えるのです。脳に刺激を与え続けている人は補完機能も向上するので、認知症やアルツハイマーが見られても、見かけ上は普段と同じように脳が機能します。
以上、LIFE HACKERより引用

 

COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2012年 03月号 [雑誌]/著者不明より左脳・右脳は存在しない、という科学的な研究によって真理が覆ったことを多くの人たちは知らずにいる、というセンセーショナルな記事です。

左脳・右脳モデルの応用例、左脳をオフにして、右脳で自由な発想をしようという手法「ブレーンストーミング」があります。これは、まったく効果的でも効率的でもない、というのが最近明らかになってきてます。別途、最近出版された、マッキンゼーでえらかった人たちが書いた「ブレーンステアリング」でも、同様のことが記載されています。

新しい脳モデルは、98年に提唱された、「知的記憶」というものでした。

どのような思考においても、「分析」と「直感」が脳内で協力して働いている、あらゆる思考には「学習」と「想起」があるだけで、左脳も右脳もない、というものです。

新しい情報は、古い棚にあるもののどれと合致するか、検索され、組み合わされ、収納されます。この検索が「直観(想起)」であり、分類→収納が「分析(学習)」です。

また、もっともアイデアが生まれるのが、シャワーを浴びているときや、眠りにつくときだったりするのはなぜか?脳がリラックスしている状態、という、いわゆる「セルフ1」=雑念=欲、、、などの思考の害虫に侵されていない、まっさらな状態で、それが最も起こりやすいということです。

多くのインプットをしておいて、脳環境をよく(要は集中したりリラックスしたりする)することで脳の生産性が高まるということだと理解しています。
以上、U1STYLEより引用

 

以上からまとめると、右脳・左脳の認知的機能分化は以下のようにまとめられます。

①右脳・左脳は左半身、右半身とそれぞれ機能的に接続されているが、認知機能分化は行っていない。(言語情報への刺激への対応は左脳が若干「優れる」が右脳も行っている)

②認知機能上、右脳・左脳は複雑にリンクしており、全体で機能している
 全体を使って「分析」と「直感」が行われている。

いかに「右脳開発」などの教育論やビジネス能力開発が、事実に基づいていないか解って頂けたでしょうか。

繰り返しになりますが、生物史上、右脳・左脳の分化は、「危機逃避=外圧適応戦略」として発生しました。そういう意味では右脳・左脳が分かれていることには大きな意味があります。

次回記事では、この外圧適応と右脳・左脳分化について、より深めて追求します。お楽しみに!

 

 

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List    投稿者 seibutusi | 2014-05-06 | Posted in ④脳と適応No Comments » 
2014-05-04

【電磁波と時空の関係・・・②-2:電磁波の発生メカニズム】

前回、「電磁波と時空の関係・・・②」を提起させて頂きましたが、数人から内容がイマイチピンとこないとのご指摘を頂きました。これまでの定説との相違点を明らかにしていく中で、今回、提起させていただいている仮説の全容を明らかにしたいと思い再投稿することにしました。

パックンが考えた「電磁波の発生メカニズム」の説明に取り掛かかってもらいますが、本文を読む前に、下記の三つの投稿を読んでもらうとよりわかり易いと思います。

シリーズ 超極小『素粒子』の世界18 ~【物質は、エネルギーの塊】

【「作用・反作用の法則」+「重力レンズ効果」=「空間は未知のエネルギーで成り立っている」】

【電磁波と時空の関係・・・①】

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List    投稿者 seibutusi | 2014-05-04 | Posted in ⑫宇宙を探求するNo Comments » 
2014-04-27

歳をとるにつれて時間経過が早くなる?~動的平衡から見る時間の流れ~

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 大人になり、1日・1ヶ月・1年が早く感じるようになったとよく聞きます。

なぜ大人になると時間が短く感じられるのでしょう?

科学的には、人間の時間の感じ方の差異について、いまだ解明されていませんが、 生物学的理由から一つの仮説が立てられます。

生命とは動的平衡にある流れである1 動的平衡とは何か?」より、生命の流れである動的平衡は、以下のように定義づけられています。

生物が生きているかぎり、栄養学的要求とは無関係に、生体高分子も低分子代謝物質もともに変化して止まない。生命とは代謝の持続的変化であり、この変化こそが生命の真の姿である。

このように生物は日々代謝を繰り返し、その機能を維持しています。

この代謝のスピードは各生物で異なることに注目すると、代謝のスピードによって時間感覚も変化すると考えられるのではないでしょうか?

そこで、人間の時間感覚について、動的平衡という視点から調べてみました。

 

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List    投稿者 seibutusi | 2014-04-27 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2014-04-24

 シリーズ 人類と病気 アレルギー(2) アレルギーの原因は人工物質

食べ物や花粉が原因ではない

日本において、アレルギー関連の症状は1960年代後半から急増しています。

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(NPO日本健康増進支援機構より)

食べ物(タンパク質)や花粉自体が犯人で原因であるなら、もっと昔からあるはずだし、花粉症などは花粉の多い山間部で多くなるはずです。しかし、実際は都市部で多くなっています。つまり、食べ物や花粉自体が原因(犯人)ではなく、媒体に過ぎないということです。

では真犯人は?

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List    投稿者 kumana | 2014-04-24 | Posted in ⑤免疫機能の不思議, ⑥病気の起源、正体No Comments » 
2014-04-22

「かたちから自然の摂理を学ぶ」シリーズ2~樹木が発生するのは水を好むからではない

自然や動植物、人間世界に現れる「かたち」を、流動系として捉え直すシリーズ。第2回目は、誰もが目にする「樹木」についてです。
「樹木はなぜ存在するのか」について、コンストラクタル法則の視点から見ていきます。

樹木

■樹木はなぜ存在するのか
原生林を残す屋久島などに行けば、誰もが自然界がつくる大きな生態系に心を動かされる。古い木の上に新しい木が重なり合い、大きな時間の中で、一つの生態系をつくっている。私達は、樹木から自然の営み、流れを直感的に感じ取り、その背後にある自然の摂理の存在を理解しているのでしょう。

一方、科学的にみれば、森は多様性とランダム性の実験室と見なす。確かに、単一の種を眺めたとしても、樹木には一つとして同じ枝も同じ葉はない。
ダーウィンの説に従えば、「樹木とは、増える一方のさまざまな競合する要求に駆り立てられ、非常に複雑な進化の過程の間に出現する生命ある構造」と見なします。
つまり、樹木は、日光を浴び、二酸化炭素を吸収し、水を大気へと放出するために、周囲の樹木と競争し、強風や枝に積もる雪など様々な自然外圧に適応し、開けた空間に向かって伸び続けなければならないのです。

しかし、改めて、なぜ樹木は存在するのでしょうか。そして、なぜ全ての樹木が(同じかたちはないにしても)樹状構造なのでしょうか。

■流動系としての樹木
樹木は一見すると、流動系とは思えない。太い幹があり、地面の中ではしっかり根を下ろしているため、ほとんど動くことはない。
しかし、樹皮の内側ではまったく異なる流れがあり、日々盛んに活動している。

樹木の中では何が流れているか?
―答えは簡単で、「水」が流れている。樹木や森林は大地から大気中へと水を運ぶために年中無休働いている揚水所と見なすことができる。
つまり、樹木は水という流動系を運ぶためのデザインとなっている。

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では、なぜ樹木は大気中に水を運ぶのか?
それは熱力学第二法則によっている。つまり、エネルギーは「高」から「低」へ流れる自然法則に従い、自然界は局地的にも全体的にも湿気の多い所から少ない所へ水を動かす傾向にある。
例えるならば、木も草も、湿気の少ない空気が大地から水分を吸い取るためのストローのようなもの、ということになる。

つまり、始めに水があった。そして熱力学第二法則により、水は環境内の全ての水分を平行状態にする自然の傾向に支配されている。そして、その動きを促進するために、広範囲な変形と接続の流動デザインが現れた

植物が水の流れのためのデザインであることは、樹木の存在(大きさ、密度)と降水量との間の地理的相関関係が物語っている。

 

樹木が「発生する」のは、そこに水があり、(上方へ)流れなければならないからであって、「木は水を好む」からではない。(p.198)

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樹木は地球規模の水循環をつくりだすために存在し、大きな秩序の中で流動系として協働しているのです。
次回は、最適な水の流れをつくりだすための樹木デザインについて見ていきます。

お楽しみに!

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List    投稿者 andy | 2014-04-22 | Posted in ①進化・適応の原理No Comments » 
2014-04-06

花粉症も動的平衡の流れのひとつ~身体に備わる、異物を排除する力と許容する力~

スギ花粉のピークは過ぎましたが、花粉症の症状に悩まされる方が多い時期ですね。
花粉症対策として、マスクやメガネ、花粉症対策薬・・・と色々なグッズが生み出されるくらい、花粉症に悩まされる人が増えてきました。私も、その1人ですicon_cry.gif
花粉症は、何が原因でここまで広まっているのでしょう?
そして、花粉症の薬って効くのでしょうか?
今回、花粉症について調べてみましたm146.gif

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List    投稿者 seibutusi | 2014-04-06 | Posted in ⑤免疫機能の不思議1 Comment » 
2014-04-01

君もシャーマンになれるシリーズ30 ~古代人は「幻覚」をみていた~

ラスコーの壁画

前回(こちら)の「人類の観念(創造性)は「ドーパミン」によって造られた」に続いて、今回は始原人類の脳について考えていきます。

生きていく上で過酷な環境にあった始原人類は、身体や生命の危機に際して現代人が体験する幻覚と同様な幻覚をみていた可能性が高いと考えられます。果物が豊富な樹上生活を失い、ビタミンC不足に陥った始原人類の脳は、ドーパミンからノルアドレナリンを生成できずに、幻覚を誘因しやすいドーパミン過多の状態に陥っていた可能性が高いのです。また、ドーパミン優位の大脳を発達させてきた人類の脳は、初期段階ではドーパミン系の新しい大脳と古い脳との連係も未発達で不安定だった可能性があります。

なお、ドーパミン優位の脳は、集中力を高めて脳を覚醒させ、ストレスの解消や楽しさ・心地よさといった感情を生み出す働きがありますので、そのことも生存には欠かせない適応的な要素の一つだったことでしょう。生存をかけた適応とドーパミン優位の人類の大脳の発達の必然性はここにあるのかも知れません。人類は「解脱」(苦からの脱却)なしには生きられないものなのですが、その理由もドーパミン優位の大脳とその形成過程に見いだせます。

さて、最近あった研究に、「古代壁画の絵は麻薬で体験する幻覚とよく似ており、古代人は儀式等で麻薬を使っていた可能性がある。」というものがありました。ただし、古代人は麻薬でラリッていたのではなく、「幻覚をみやすい脳を持っていた」というのが正しいと考えます。そして、古代壁画の絵が現代人のみる幻覚とよく似ているということは、古代人は現代人と同じような幻覚を見ていたということを示唆します。

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List    投稿者 cosmos | 2014-04-01 | Posted in 未分類 | 1 Comment »