2022-12-28
睡眠と進化(2) 睡眠が脳の循環を生み出している
『哺乳類は、睡眠を高度化し脳を休息させることで、種としての成長を促進してきた』では、脳を進化させることを勝ち筋としてきた人類が、脳の休息のために睡眠を高度化してきたことを明らかにしました。
そもそも、「睡眠で脳が休まる・疲れが取れる」とは、どういうことなのでしょうか?
人間の体は、約60%が水分です。細胞内外・血液等、この水分が体内を循環することでバランスが保てています。これは、脳内も同じです。
首より下は、筋肉によるポンプ機能が働いています(この低下が“むくみ”状態)。では筋肉のない脳は、どのように循環しているのでしょうか?
その秘密が、睡眠にあります。
脳を休息させる役割のノンレム睡眠時、脳内では、脳内を埋め尽くすグリア細胞が縮みます。これにより、脳細胞間に隙間が生まれ、日中、脳細胞から排出され細胞間を満たしていた水分が、流れていくのです。
大脳新皮質が大きくなればなるほど、脳内の細胞間に多くの水分が存在します。また、ポンプによって押し流す身体と違い、隙間が広がることで流れていく脳内の水分の流れは時間がかかると思われます。
これも、人類が長い睡眠を必要とする理由の1つと言えます。
乳酸菌は本当に生きて腸に届いているの?
乳酸菌は本当に胃を通過できるの?
皆さん「生きて届く乳酸菌」という言葉をきいたことがありませんか。
ある乳酸菌飲料を飲むと、乳酸菌が腸にまで届き、腸内環境をととのえてくれるというものです。
しかし、体の構造を考えてみてください。
腸の前には胃がありますよね?胃には胃酸がありますが、乳酸菌は胃酸に耐え本当に生きて腸にまで届くのでしょうか?
私たちの体液濃度はpH7程度の弱アルカリ性、胃酸はpH2~pH4程度の強酸性と言われています。
その中で生きて腸に届く乳酸菌の数はおよそ1/2万程度と言われています。
ヤクルト1本(100ml)あたりには1000億個の乳酸菌を含んでいますので、生きて届く乳酸菌は約500万個程度になります。
また腸内の細菌は乳酸菌だけではありません。乳酸菌の他に約60兆個あります。
そのうちのたった500万個(1000万分の一)ほどの乳酸菌で本当に腸内環境は変化するのでしょうか。
ちなみに乳酸菌には2種類あります。
・植物性乳酸菌・・・ぬか漬けや味噌など植物質に棲息する乳酸菌
・動物性乳酸菌・・・ヨーグルトやチーズなどの動物質に棲息する乳酸菌
どちらもご家庭でよく目にする発酵食品に乳酸菌は含まれています。
動物性乳酸器の代表例はヨーグルトです。その製造過程をイメージしてみてください。
60度程度の温度を維持して、発酵させていきますよね。このような管理された環境で育った菌は弱です。
一方、植物乳酸菌のぬか漬けは、作製過程で大量の塩を使います。菌(=生物)にとって大量の塩はかなりの悪環境です。しかし、ぬか漬けに乳酸菌が含まれているということは、この悪環境を耐え抜いた強い乳酸菌がいるということです。
つまり胃酸という悪環境でも耐え抜く力があるのは植物性乳酸菌なのです。
我々日本人日本人には味噌汁や漬物等が体にとって一番いいのではないでしょうか。
驚きの地球気候史を読み解く(1) 現代の温暖化は例外的な時代!地球規模で見ると寒冷期に突入中!??
地球温暖化による気候変動によるニュースが年々増えてきている。
確かに、ここ100年のデータで切り取ってみると、北半球の気温はおよそ1℃上昇している。
平均気温が1℃上昇するとは、大した事の無いように感じるが、東京と宮崎の平均気温差が約1℃なので、東京が宮崎になったと思えば、肌感としてもその大きさが分かる。
スーパーコンピューターの予測では、今後100年で数℃から最大5℃の気温上昇が読まれている。
5℃差といえば、東京が奄美大島になるという事でもある。
農業だったら、1℃も変わったら取れる作物や時期も変わってくるので、5℃も変わったら大問題だ。
ただ、地球46億年の歴史の時間軸で切り取ってみると、どうなるのか?
過去の地球には、地球上の氷河が全て消滅してしまった温暖な時代もあれば、反対に、地表が全て氷河で覆われてしまった極寒の時代もあった。
人類が登場した後でも、海面の高さが100m以上も変動するような事が繰り返し発生していたのだ!
それくらい祖先たちは過酷な状況を生き抜いてきていた。
これからの気候変動を予測し、私たちも備えていくためには、過去から現在までの地球でどの様な変化が起こってきたのか、みていく必要がある。
地球にとって何にが「正常」なのか?
そこで、今回は、地質学的な観点からそれを読み解いていきたい。
●「年稿」から過去の気候変動を読み解く
過去の気候変動を明らかにしてくれるのが、福井県にある三方五湖の一つ水月湖の湖底から採掘された「年縞」だ。
年縞とは、湖底などの堆積物によってできた縞模様のこと。
縞模様は季節ごとに異なるものが堆積することにより形成される。
春から秋にかけては土やプランクトンの死がいなどの有機物による暗い層が、晩秋から冬にかけては、湖水からでる鉄分や大陸からの黄砂などの粘土鉱物等によりできた明るい層が1年をかけ平均0.7mmの厚さで形成される。
この「年縞」採取したのが、立命館大学古気候学研究センター長を務める中川毅氏だ。
これまでの調査で、95m、約20万年分に相当する堆積物を湖底から採集している。
2012年には、この完璧な年縞が、国際的な研究グループによって地質的・歴史的な遺物の年代を決める世界標準「IntCal(イントカル)」に採用されている。
詳しくはこちら→(https://satoyama.pref.fukui.lg.jp/feature/varve)
そんな「年縞」によって読み解かれた、気候変動の歴史を見てみよう!
過去5億年の気候変動を観てみると、温暖時期と寒冷の時期を繰り返してきている。
変動幅はおよそ10℃。このタイムスケールでみると地球の気候は変化し続けいることが分かる。
「正常」と表現される定常状態が背景にあって、そこから時々逸脱するといったパターンは見えない。
とにかく、たえず変化し続ける。
そして、このタイムスケールでみると、現代が大きな傾向の中では、むしろ寒冷な時代であることも見て取れる。今から1億年前、地球は今よりもはるかに暖かく、北極・南極にも氷床は存在しなかった。
●今は寒冷期!?
では、直近500万年のタイムスケールで見てみると、どうなるのか?
現在の第一の傾向は、およそ300万年前頃から地球上では徐々に寒冷化が進行していることが分かる。
第二の傾向は、気候の振幅が増大してきているという点だ。
つまり、寒冷化と連動して、不安定性も同時に増してきている。
●現代は例外的な時代
では、さらに直近80万年で見てみると、どうなるのか?
このタイムスケールで見てみると、増大する不安定性の中では、もっとも温暖な時代に当たっている。
しかも、現代は例外的な温暖な時代であることが分かる。現代と同等あるいはそれより暖かい時代は、全体の中の1割ほどしかない、残りのすべては、「氷期」である。
数十万年のスケールで見た場合でも、正常な状態とは氷期のことであり、現代のような温暖な時代は、氷期と氷期の間に挟まっている例外的な時代に過ぎないという事である。
上記の様に、気候はほとんど常にに変動していることが分かった。
では、その変動にパターンや法則性はあるのだろうか?
次回はそれを紐解いていきたい。
参考文献:人類と気候の10万年史
中川毅著 講談社 ブルーバックス
2017年発行
哺乳類は、睡眠を高度化し脳を休息させることで、種としての成長を促進してきた
前回ブログでは、「睡眠とは種の成長を促進させるための1つの戦略」と定義しました。そこで今回は、睡眠の起源を遡る上で欠かせない脳との関係について追求していきます。
生物の進化とともに、脳も進化してきました。その際、脳は基本構造を変化させるのではなく、新しい機能を付け加える形で進化してきました。特に大脳を著しく発達させた鳥類・哺乳類は大脳新皮質を大幅に拡大し、視覚野や聴覚野といった感覚を司る『感覚野』や、運動機能を司る『運動野』を誕生させました。また霊長類になると、新皮質のさらなる発達で『連合野』が出現し、より高度な認知や行動も可能にしました。これらの情報処理機能を土台として、後にヒトの脳は誕生するのです。
このように、哺乳類は大脳を発達させてきましたが、その背景には、発達しないと適応できない外圧状況があったはずです。
①「恒温化」:鳥類・哺乳類は恒温動物です。外気温が低くなると活動できなくなる変温動物に比べ、自らの体温を一定に保つことができる恒温動物は、環境に対する適応力を大幅に上昇させました。しかし体温を維持するには調節機能が不可欠で、そのために脳は大量のエネルギーを消費します。
②「性闘争の激化で身体を自在に動かす必要性」:哺乳類は胎内保育により成体への淘汰圧力が掛からなくなるので、生まれてから同類同士を争わせる性闘争を激化させました。そこでは内外からの情報をキャッチし、身体をより上手く働かせることが求められました。また性闘争のために、後天的な能力形成も必要だったので、子育て期間を長期化しました。その結果、断続的な栄養供給が可能となり、それが大脳を爆発的に発達させる要因にもなりました。
こうした外圧に対して、哺乳類は大脳を著しく進化させ、様々な機能を獲得して乗り越えてきました。
脳を進化の武器とした哺乳類ですが、長時間身体を動かすには膨大なエネルギーを必要としました。そこで必要になったのが、休息=睡眠なのです。特にエネルギー消費量の大きい恒温動物(鳥類・哺乳類)は休息=睡眠を高度化して、レムとノンレムに分化した睡眠をつくり出しました。鳥類・哺乳類は、脳幹にある睡眠中枢が、能動的にレム睡眠・ノンレム睡眠をつくり出しています。
レム睡眠で筋肉を動観させることで、体を休養させながら脳を活動させ、生活で得た情報を整理する働きがあります。
ノンレム睡眠では、脳そのものが疲弊しないように休息させます。同時に成長ホルモンを分泌し、生体機能を整える効果もあります(ex寝る子は育つ)。睡眠を取り脳を休息しているから、普段膨大なエネルギーを消費しても、覚醒時には疲弊せず最大限に活動できるのです。
つまり哺乳類は脳を進化させることで、種としての成長を実現してきました。その際、脳を休息させる必要があったので、睡眠を高度化してきたのです。それが、睡眠が種の成長を促進させる戦略の1つといえる所以なのです。
「気象の原因構造」「人体と微生物の関係」から、激動の時代を生き抜く切り口を解明する
コロナ禍も終息しつつある今、日本人は未だにマスクで顔を隠す生活を善としていますが、それで本当の健康(肉体的にも、精神的にも)を取り戻せるのでしょうか?
さらに世界では、とっくにコロナに対する認識が改まり、それ以上に問題・課題となっているのが、異常気象の実態。アメリカの長期干ばつ等により小麦の史上最悪の不作。加えてヨーロッパ、中国、インド、東アフリカは長期の干ばつが現在も進行中で来年食糧不足の可能性も忍び寄ってきています。
このような、激動の時代に【”本当の意味で”生き残っていくにはどうする?】ということを、潜在的に感じている人も多いのではないでしょうか?
そこで、今後以下のテーマをシリーズで追求し、定期的に発信していこうと考えています。
テーマ1:異常気象が目に付く現代。「気象の原因構造」を解明することで、どう生き抜いていけば良いのか?
テーマ2:「人体と微生物の関係」から、本当に生き抜いていく為の健康・身体づくり・食とは何か?