2014-06-12

シリーズ 人類と病気 アレルギー(5) 乳酸菌が効くって本当?

乳酸菌って本当に効くの?
「乳酸菌」と聞くとヨーグルトなどの乳製品を連想させる。しかし、縄文時代から日本人は乳酸菌と共生してきたが、それは乳製品ではない。味噌や醤油、みりん、酢などの発酵食品を通じて体内に取り込み、腸内細菌として共生してきたのである。
乳酸菌(顕微鏡)
昨今、アレルギーに効果があるといわれている乳酸菌はヨーグルトなどの動物由来の乳酸菌ではなく、日本人が昔から馴染んできた植物由来のものである。
 
 

2001年KalliomakiらはLactobacillus rhamnosus GG(LGG)をアトピー素因を持つ159名の妊婦およびその生後6ヶ月までの乳児に二重盲験法で投与し、乳酸菌がアレルギー疾患の発症を抑制する効果を有するかどうかを検討した。その結果、2才時の児のアトピー性皮膚炎の発症率は、乳酸菌投与群ではプラセボ(偽薬)群に比較して有意に低かったことが明らかとなり、乳酸菌の投与がアトピー性皮膚炎の発症を抑制する可能性が示唆された。その後、被験者は追跡調査され、生後4才の時点でも乳酸菌投与群ではアトピー性皮膚炎の発症頻度が低いことが報告されている。
http://www.nyusankin.or.jp/scientific/matsumoto.html

60年代後半からのアレルギー疾患の増加は、大気や水そして植物の人口物質による汚染の拡大と軌を一にしている。
と同時に、食生活の変化とも軌を一にしているのである。「塩分ひかえめ」が食生活指針となり、味噌汁や漬物といった日本食を塩分過多として敵視してきた栄養学の普及とアレルギー疾患の増加はパラレルである。

日本人や日本の風土にあった乳酸菌を排除したことが、腸内細菌の構成を変え、アレルギー体質を作り出してしまったことは想像に難くない。
そして、親の腸内細菌を受け継ぐ乳幼児にアレルギー疾患が増加していることは、親世代の食生活の変化(西洋化)に対応していることを如実に示している。

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  投稿者 seibutusi | 2014-06-12 | Posted in ⑩微生物の世界No Comments » 

君もシャーマンになれるシリーズ31(最終回) ~人類は「幻覚」をみて、やがて「精霊」を。そして「観念」を生み出した~

  精霊的・・・

古代部族民

 前回の「古代人は「幻覚」をみていた」に続いて、今回は、われわれ人類が生み出した「観念」について考えていきます。

 今までみてきた人類の脳の進化と構造(機能)から、過去の経験にとらわれずに創造的でありながら自律的かつ自発的に脳が活動する「観念」は、脳回路が暴走的して生じる「幻覚」が起点となって、進化上適応的な脳回路として生み出されたと考えられます。自然に対してあまりにも弱い存在であった始原人類における適応とは、自然への適応に他ならず、人類の人類たる脳回路が自然に適応した進化を遂げたことは間違いありません。

自然に対して適応的な脳回路とは、本能を超えて、自然の「摂理」、「秩序」、「法則」に適応することに他ならず、人類が自然そのものを対象化し、自らが自然の一部であることを認識して自然と一体化することに他なりません。

今までの流れを整理しながら、暴走して「幻覚」をみる脳回路が(幻覚をみながらも)秩序性のある脳回路を形成した時のことを考えてみましょう。

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  投稿者 seibutusi | 2014-06-10 | Posted in 4)サルから人類へ…, ④脳と適応, ⑬宇宙人・スピリチャルNo Comments » 

シリーズ 人類と病気 アレルギー(4) なぜ人工物質がアレルギーを引き起こすのか?

みなさん、こんにちは。
シリーズ「人類と病気 アレルギー」、第4回目は「なぜ人工物質がアレルギーを引き起こすのか?」です。

鼻をかむ

* * *

前回記事では、アレルギーが、直接的には体内(=腸壁および鼻粘膜の内側)に侵入したタンパク質を異物と認識することによって起こる、と解説しました。
では、本来入ってくるはずのないタンパク質が体内に入るのはなぜなのか?というと、
タンパク質と結合した人工物質が(直接or起因して)、細胞膜を破壊するからなのです。
今回は、代表的な人工物質を例に挙げ、タンパク質がどのように体内に侵入するのか、その原因構造を解明します。

①花粉症と排ガス

自動車の排ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)や黒煙微粒子は活性酸素を持ち、細胞膜を酸化させることがわかっています(http://www.nies.go.jp/kanko/news/13/13-5/13-5-05.html)。

当然細胞は、それを修復するのですが、排ガスが大量に入ってくるために修復が間に合わないと考えられます。
そして、排ガスと花粉が複合分子としてやってきて粘膜にくっつき、大量の活性酸素によって生じた細胞膜の穴から花粉のタンパク質が侵入するのです。穴といっても細胞一つ分より小さい、目に見えないほどの小さなものです。
アジュバントのついた花粉スギ花粉の電子顕微鏡写真。表面に小さな物質が付着しているのがわかります。排気ガスはこのように花粉の表面にくっついて私たちの体内に侵入します。

 

 

 

②食物アレルギー(主に卵)と抗生物質

中国抗生物質抗生物質は家畜が病気にかからない様にえさに混ぜて与えられています。国の検査でも、数日間はその肉に抗生物質が残留することが示され、出荷前の投与を制限するなどしています。その場合も飽くまで残留濃度以下にしようとしているだけで、決してゼロになるわけではありません。更に、鶏の卵となると、毎日産み落とされるもので、抗生物質を断つ運用は困難です。

また、抗生物質が細胞に作用する過程で、活性酸素を産生してしまうこともわかっています。
抗生物質の場合も、結果的には活性酸素の働きを促進し、細胞膜を破壊してしまうのです。
私たちの細胞は、日常的に活性酸素にさらされていますが、酵素による修復機能によってバランスを保っています。
ところが抗生物質の中には、この酵素の働きを抑止してしまうものがあり、結果的に活性酸素による細胞膜破壊が進行して、タンパク質の侵入を許してしまうのです。

③食物アレルギーと農薬

中国農薬農薬の中でも一般的な有機リン系殺虫剤(ex.ジクロトホス)は、それ自体が活性酸素を生じ細胞を破壊します。更に、細胞が細胞膜を修復するための酵素の働きを阻害します。
また、カビキラーなどの家庭用洗剤にも含まれる塩素系の薬剤は、触るとヌルヌルとしますよね。これは、塩素系の物質が手表面のたんぱく質を溶かしているのです。これが体内に入ることで、細胞膜を破壊してしまうのです。

 

 * * *
いかがでしたか?
人工物質が、なぜアレルギーを引き起こしてしまうのか、おわかりいただけましたか?

では、アレルギーの元凶が人工物質であるなら、これからの私たちは、どのように健康を守っていけばよいのでしょうか?
次回は、アレルギーから身を守るには?を、追求していきます!

今回画像は
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20101221/1033996/?SS=expand-life&FD=-638114566
http://eco.goo.ne.jp/news/ecotrend/ecotrend_20100125_164_ep.html
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=46088
http://dontena.doorblog.jp/archives/38008970.html
からお借りしました。

  投稿者 seibutusi | 2014-06-05 | Posted in ⑤免疫機能の不思議, ⑥病気の起源、正体No Comments » 

「かたちから自然の摂理を学ぶ」シリーズ3~樹木を流れる水から樹木のデザインを捉える

 河川のかたちは水の流れを、道路のかたちは車や人の流れを、ラジエターであれば熱の流れを、生物であれば地球上の物質の流れを、より効率的に流すためのデザイン(かたち)に収斂している。

P9060758

エイドリアン・ベジャンが唱える「コンストラクタル法則」によれば、樹木は地中の水分を大気に運び、不均衡を均一化するストローのようなものであり、水を運ぶために最も理に適った形状に進化するという。

参考:「かたちから自然の摂理を学ぶ」シリーズ2~樹木が発生するのは水を好むからではない

 

さて、今回は最適な水の流れをつくりだすための樹木デザインについて見ていきます。

まず、樹木の形を考察する前に樹木を流れる2つの流れを把握します。1つは、前述したように、地中から大気中への水の流れ。そして、もう1つは風によって引き起こされる応力の流れ。これは樹木の存続に関する課題といえます

つまり、樹木は内部を通過する水の流れを良くし、吹きつける風に対する強度を備えた構造となる必要があります。

■樹木の根のデザイン                                                                                      

水の流れを追うために、まず根から始めて、根がこの流れをどう処理すべきかを考えます。

ベジャンは根のあるべき姿をこう説明します。

 『流れとかたち』(P.202)より引用開始

私たちが描き出す木の根は多孔性で、様々な深さで水が系に入れるような(あらゆる側からの)横方向の流れと、地中から水を持ち上げられるような縦方向の流れの、二種類の水の流れを可能にするものでなくてはならない。縦方向の流れ(貫通水路)は横方向の流れよりも抵抗性が低い。

地面に近づくにつれて根の図の幅を拡げ、下方のさまざまなアクセスポイントから入ってきて増える一方の水を処理できるようにしなければならない。

多くの地下水を根に取り込んで幹に引き上げる形は、円形、円錐、先が尖った形、丸い形など様々な形が考えられますが、最も抵抗が少ない根全体の形は円錐形(ニンジン形)であると、ベジャンは予測します。さらに水を吸い上げる1本1本の導管は断面が円形で直径が均一なときに最も抵抗が少なく水が流れやすくなります。円形の断面は、あらゆる方向への曲げに対して大きな抵抗力になるというメリットもあるため、風力に対しても適応的です。

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この形はちょうど河川流域の形と似ています。河川流域も縦方向の本流に支流が川岸から横方向に合流するれ根系になっており、水という流動系を一領域から一点に効率的に運ぶには、背後に類似する法則があるということを示唆しています。

■幹と枝のデザイン                                                                                         

次に地上の上部構造をみていきます。

水は上に働き、風に起因する応力は地面へ流れます。幹の中を進む2つの流れのためにふさわし形とはどんな形なのでしょうか。

『流れとかたち』(P.209)

驚くにはあたらないが、私たちが理論に基づいて描き出した幹のデザインは、根のときに得られたものと同じ形になる。今回は下端で太く、高くなるにつれて狭まる。水は途中で低い枝へ分散するので、上に行くほど量が少ないからだ。このデザインは枝にも当てはまる。根や幹と同じで、枝も円錐に近くなるはずだ。

(系は水を吸い上げ、より大きな流路へと吸い込むで)地下に深く潜るほど小さな根が多く見つかるのと同じで、木の上へ行くほど小さな枝が多く見つかる。水を大気中に戻すのには、これが効率的なデザインだからだ。

ベジャンの予測によれば、幹も枝も全て円錐形であることが、水の流れからみても、風力に対応する応力を処理する形としても合理的であると結論づけます。

img-529203952のコピー

また、幹の断面積と枝の断面積も明快なルールが存在し、先端に向かって細くなるのに伴う幹の断面積の減少分は、それぞれの幹の区分から生えている横方向の枝の断面積に等しくなると説きます。

イメージ的には、樹木の幹を100本のストローと見立てるとわかりやすいです。最初の枝で10本のストローが分かれ、残りの幹は90本。二番目の枝は9本のストローに別れ、残りの幹は81本となる。これを繰り返しながら、幹と枝のスケールを構成していく、という感じです。

蛇足ですが、レオナルド・ダ・ヴィンチは緻密な観察から上記の法則を既に発見していたといわれていますが、その法則の背後にある構造(水と応力の流れ)までは鮮明にすることができなかったようです。

ちなみに、幹周りの枝や葉や花びらの配列は、螺旋状に配列され、フィボナッチ数列に則って現れるといわれています。

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写真は松ぼっくりの模様

この数列もルールを暗記(?)するよりも、木や草が大地から大気中へ水を効率的に移動させるのに適している形であるから、と捉えるのがよいと思います。どの枝(にくっつく葉)も大気中へ水を放出しており、水を蒸散する他の枝から一番遠い所に最も乾いた空気があります。つまり、枝同士の干渉を減らすことが水の蒸散に最も適した形となるのです(注)

(注)一般的な説明では、枝や葉の配列は、光合成がしやすいように上下の葉の重なりを極力なくす配列であると説明されます。しかし、太陽の光は、毎時真上から来るわけではないので、(光合成がしやすい形態に収斂したという点は間違いではないですが)説明としてはやや疑問が残ります。

もちろん、ベジャンが予想する樹木デザインやフィボナッチ数列は外的要因を限定した時に成立する法則です。現実の樹木は、日射量や気温、風特性、周辺の樹木との相互作用などの複数の物理的要因によって、多様な形態が現れる、というのは外で観察してみて理解するのがよいと思います。

コンストラクタル法則は、多様性が全面に打ち出される生物の背後に潜む主構造を理解するのに役立つ認識である、と捉えるのが良いと思います。

 

 

 

  投稿者 seibutusi | 2014-06-03 | Posted in ①進化・適応の原理No Comments »