2020-04-30

新型コロナウイルスの起源と「イベント201」

現在、新型コロナウィルスは人工物であるとの研究発表が続いており、中国とアメリカの間に起源論争が展開されている。

一か月前に、大阪日々新聞のコラムに「新型コロナウィルスの起源」の記事があったが、どうも出来合いレースの様に感じる。

その理由は、記事の中で

>武漢でコロナウイルスが大発生する以前の2019年10月に、「次に起きるパンデミックはコロナウイルスによる」ことを想定した『イベント201』がニューヨークで行われていた事だ

とあったので、イベント201の動画(https://note.com/genito0922/n/n113620761734)を見た。内容的にはパンデミックの発生後の各国(欧米諸国)の動きをシュミレーションしているのだが、マスコミを始め指導者も筋書き(シュミレーション)通りに行動している事に驚いた。計画の中で、誤算であったのは、新型コロナウィルスの毒性が弱すぎた事であると思う。

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[温故知新] 新型コロナウイルスの起源

2020年3月26日

賀茂川 耕助

中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスは世界に広まり、WHOはパンデミック宣言を行った。

人工的に作られた

武漢で発生後、世界的感染には至っていなかった1月半ば、米紙ワシントンタイムズはイスラエルの専門家を情報源として、ウイルスは武漢にある研究施設から流出した可能性があると報じた。またウイルスは人工的に作られたという推論をインド人研究者がインターネットに投稿して話題になった(論文は後に取り下げた)。

3月になり、武漢に作られた仮設病院も閉鎖され中国の感染が落ち着いてきた中で、新型コロナウイルスの起源が米国である可能性を示唆する記事が出てきた。中国のニュース機関CGTNは、中国科学院の学術論文ChinaXivに投稿された93件のウイルスのゲノム情報に関する研究結果から、人から人への感染は2019年11月末か12月初めに始まり、ウイルスが武漢の生鮮市場にもたらされたのはその後だったと報じたのだ。さらに新型コロナウイルスは変異によりグループAからEの5種類に分類され、例えば武漢のウイルスはそのうちのグループC、日本はグループAとC、台湾はグループBとDであり、5種類全てが発病しているのは米国だけだとした。

どうやって中国へ

米国がウイルス発生地だとすればどうやって中国へ来たのか。インターネットで検索すると、中国で新型コロナウイルスが発生する数週間前の10月18日から10日間、武漢で「軍事運動会」が行われていたことが分かる。世界109カ国から9308人の軍人が参加し、米国からは200人が参加した。意図的か偶然かは分からないが、この中の感染者によってウイルスが中国に持ち込まれたのではないか。

米国ではこの冬インフルエンザが猛威を振るい、2万人を超す死者が出ている。米国疾病管理センターによると、インフルエンザとされた患者から集めた検体を調べたところ、実際にはインフルエンザではなかったものが多くあったという。新型コロナウイルスによる死者が含まれている可能性もある。つまり新型コロナウイルスは、中国発生というよりも、検知し新型ウイルスだと断定したのが中国だったのではないか。

もう一つ興味深いのは、武漢でコロナウイルスが大発生する以前の2019年10月に、「次に起きるパンデミックはコロナウイルスによる」ことを想定した『イベント201』がニューヨークで行われていたことだ。ビル&メリンダ・ゲイツ財団、ジョンズ・ホプキンス健康安全保障センター、世界経済フォーラムの共催で行われたこのイベントでは、コロナウイルスは18カ月以内に6500万人の死者を出し、世界経済を大暴落に追い込んでいくというシミュレーションがなされていた。

新型コロナウイルスが自然発生ではなく人為的だという証拠は永久に出ることはないかもしれない。しかしウイルスに国境はなく、一度放たれると標的だけでなく使用した側も感染する。『イベント201』のシミュレーション通り事態が進行する中、これほど早く中国が感染から立ち直ることは想定外だったかもしれない。

  投稿者 seibutusi | 2020-04-30 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 

“新型スーパーウイルス”の正体と感染・増殖・重症化のプロセス その2

“新型スーパーウイルス”の正体と感染・増殖・重症化のプロセス その1 の続きです

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.新型コロナウイルスの侵入・増殖のプロセス

新型コロナウイルスは、ヒトの細胞であればどの細胞でも侵入できるわけではなく、ウイルスを受け入れる「受容体」が発現している細胞だけに侵入することが可能となります。新型コロナウイルスの増殖のプロセスは4段階1. ウイルスの細胞への吸着と侵入2. ウイルスの脱殻(だっかく)と核酸の遊離3. ウイルスの複製の生成(=増殖)4. ウイルスの細胞からの放出
1.新型コロナウイルスの細胞への吸着と侵入

・ウイルスは、「受容体」が発現した宿主細胞を見つけると、スパイク糖タンパク質の突起を細胞表面に引っ掛けて吸着・結合。・ウイルスの突起・スパイク糖タンパク質と宿主細胞のタンパク質とが、結合・融合することで、細胞内への侵入を果たします。・新型コロナウイルスの細胞への侵入=乗っ取り=感染の成立です。

2.新型コロナウイルスの脱殻(だっかく)と核酸の遊離

・ウイルスは細胞への侵入と同時に自らのエンベロープ外膜を破壊して、保有している核酸(RNA遺伝子)を細胞内に遊離させます。・この外膜を破壊して核酸を遊離させる過程が「脱殻(だっかく)」です。・ウイルスの脱殻(だっかく)によって、細胞内に遊離した核酸・RNAの遺伝子は、細胞核の中へ送り込まれます。
3.新型コロナウイルスの複製の生成(=増殖)

・ウイルスは細胞を乗っ取って、自らのタンパク質や核酸(RNA遺伝子)を合成させるようにプログラム化。・これで、ウイルスの複製に必要なタンパク質や核酸(RNA遺伝子)を、大量に合成することができます。・細胞内で合成されたバラバラのタンパク質や核酸(RNA遺伝子)は、細胞の複製機能を利用して集合させることで、ウイルスの複製(コピー)が生成完了。・これで、新型コロナウイルスによる最初の宿主細胞での増殖は完成です。
4.ウイルスの細胞からの放出

・複製により増殖した新しいウイルスは、細胞外へと放出されます。

・放出された大量の複製ウイルスは、また次の標的宿主細胞へ吸着・侵入することによって、次から次へと新たな増殖が繰り返されていきます。・また、複製ウイルスの放出の際には、宿主細胞の膜や壁は破壊されます。

・従って、一度ウイルスに感染して乗っ取られた宿主細胞には、「細胞死(アポトーシス)」または「ガン細胞化」の2つしか選択肢がありません。

・「アポトーシス(細胞死)」とは、ガン細胞化などの被害を避けるために、細胞自らが自殺してしまう「プログラムされた細胞死」のことです。

・こうして、新型コロナウイルスによる増殖の進行・拡大とともに、さまざまな症状の発現とその重症化が進行していきます。
.4つの受容体の発現部位と重症化の関係

3月中旬までの研究や論文などで、新型コロナウイルスの細胞侵入の際の受容体として、「ACE2受容体」以外にも3つの受容体が存在することが明らかになっています。

・3つの受容体とは「CD147受容体」「GRP78受容体」「CD4受容体」です。今回の「新型コロナウイルス感染症」においては、何らかの基礎疾患のある人が重症化して死亡に至るケースが多いことは分かっていました。

・しかし、4つもの受容体の存在新型コロナウイルスの細胞への侵入経路が幅広く行われていることが判明。

・肺だけではなく心臓、肝臓、腎臓、腸、血管などの損傷や炎症はもちろん気管支炎や腫瘍やガン細胞は、新型コロナのターゲットにされます。

1.「ACE2受容体」の発現部位と重症化との関係

〇「ACE2受容体」の本来の機能

「ACE2受容体」本来の機能には、・炎症を起こした部位の保護作用・肺炎などの損傷からの保護作用・心臓機能の調整・保護作用・血管機能の調整・拡張作用・腎臓機能の調整・保護作用などがあります。・従って、これらの部位に基礎疾患があり損傷や炎症などを起こしたりすると、「ACE2受容体」の発現が多くなると思われます。・その結果、新型コロナウイルスが増殖するための標的細胞となるリスクが高くなると推定できます。


〇「ACE2受容体」の発現が多い下気道(気管支・肺胞)では重症化が多い

「ACE2受容体」の発現部位は、上気道(鼻腔、咽頭、喉頭)、下気道(気管支、肺胞)、心臓、腎臓、さらに十二指腸、小腸、精巣などの細胞表面です。・もともと、気管支や肺胞の細胞表面は、「ACE2受容体」が多く発現しやすい部位。「ACE2受容体」には、炎症を起こした部位の保護作用という本来の働きがあります。そこで肺胞がなんらかの影響で炎症を起こすと、「ACE2受容体」は、肺胞の細胞表面に特に多く発現する傾向があります。

・特に喘息(ぜんそく)や呼吸器疾患のある人習慣的な喫煙者は、新型コロナウイルスに感染すると咳き込みを繰り返すため、肺炎を発症して「ACE2受容体」の発現をさらに喚起することになります。

・肺炎を発症してしまうと、『新型コロナウイルスは今まで以上に勢力を増して肺胞の細胞内で増殖を加速化する』という症例の報告もあります。・新型コロナウイルスが下気道(気管支、肺胞)で増殖して肺炎を起こして重症化すると、呼吸不全、敗血症、多臓器不全などを合併して、最悪のケースでは死亡に至ることもあります。

・発症からわずか2週間で死亡してしまったあの「志村けんさん」喫煙常習者で肺炎での入院歴もあったことから、このパターンの重症化プログラムに陥ったものと推測できます。
2.「CD4受容体」の発現部位と重症化との関係

「CD4受容体」は、なんと 免疫細胞の表面に発現する糖タンパク質の受容体。

・主に、リンパ球系のT細胞(ヘルパーT細胞)や単球系のマクロファージや樹状細胞に発現します。なお、このCD4受容体は、エイズウイルス(ヒト免疫不全ウイルス (HIV-1) )の主要なレセプターとして知られています。「CD4受容体」が、これらの免疫細胞の表面にが発現するということは、新型コロナウイルスに標的宿主細胞として狙われ乗っ取られるということ。

・新型コロナウイルスに乗っ取られて増殖を終えられた免疫細胞の行く末は、細胞死またはガン化のいずれかの選択肢しかありません。

・本来であれば「ヘルパーT細胞」は、マクロファージや樹状細胞から新型コロナウイルスの情報を受け取り、サイトカインなどの免疫活性化物質などを産生して、攻撃の司令塔の役割を担うはず。

・それが、に新型コロナウイルスが増殖するための宿主細胞として狙われ、「CD4受容体」の発現で抵抗もせずに、免疫細胞自らが死滅する運命になるとは驚きです。
〇これまでの「新型コロナウイルス感染症」の症例を検証

・新型コロナの患者の病態で、『重症患者の85%に免疫のリンパ球の減少が見られる』という症例は、新型コロナウイルスが免疫細胞の「CD4受容体」とも結合できることで裏付けできます。また中国の新型肺炎の重篤な患者に『エイズ治療薬を投与すると症状が改善された』という症例は、エイズウイルスの「CD4受容体」が新型コロナウイルスの受容体でもあることを裏付けます。リンパ球が減少すると白血球も多く減少することになるので、「免疫不全」を引き起こし最悪は「多臓器不全」で死亡する可能性が高くなるのでしょう。

・またリンパ球の減少による免疫不全で『サイトカインストームを引き起こし多臓器不全に陥る』という症例も見られるとのこと。

・「サイトカインストーム」とは、「免疫機能が暴走することで起こる免疫異常」のこと「CD4受容体」の本来の役割である、「ウイルスなどの病原体と戦い身体を守る免疫機能」が極端に強くなって免疫異常となり、自分自身の正常な細胞までも破壊することで重症化する病態です。「新型コロナウイルス感染症」において、度々若い人でも重症化して死亡する症例は、この「サイトカインストーム」原因ではないかと思われます。
3.「CD147受容体」の発現部位と重症化との関係

「CD147受容体」は、特に腫瘍や炎症のある組織などの細胞で高度に発現する糖タンパク質の受容体。つまり腫瘍やガン細胞(悪性腫瘍)の表面に発現するということは、基礎疾患にガンがある人の腫瘍細胞は、新型コロナウイルスから宿主細胞として激しい増殖のターゲットにされてしまうということ。

・「新型コロナウイルス感染症」において、『ガンの患者において死亡する症例が多い』ということも、「CD147受容体」の存在があることで因果関係が想定できます。
4.「GRP78受容体」の発現部位と重症化との関係

「GRP78受容体」は、細胞内の小胞体で恒常的に発現するタンパク質の受容体。「小胞体」とは、細胞質内に網目状に連なる膜性の袋状細胞小器官のこと。「GRP78受容体」には、ガン細胞の増殖の阻害作用やアポトーシス(プログラム化された細胞死)の関与作用があります。

・従ってガン患者のガン細胞小胞体で「GRP78受容体」の発現が頻繁におこると新型コロナウイルスの増殖ターゲットとされる確率が高くなるということ。

・この「GRP78受容体」の存在も「新型コロナ肺炎」において『ガン患者の死亡する症例が多い』という報告を裏付けることができます。

下記参考記事

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『新型コロナ災禍の終息は1~2年先?まずは接触機会8割減による沈静化が必須!』 http://fanblogs.jp/boyakiman/archive/211/0

『新型コロナウイルスの細胞侵入・増殖から肺炎の発症までの過程とその危険度とは』 http://fanblogs.jp/boyakiman/archive/179/0

『新型コロナウイルスと互角に戦える免疫力!自然免疫を高めると無症状・軽症で回復』  http://fanblogs.jp/boyakiman/archive/180/0

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以上です。

  投稿者 seibutusi | 2020-04-25 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 

“新型スーパーウイルス”の正体と感染・増殖・重症化のプロセス その1

素人でも新型コロナウィルスの正体を調べる事(知る事)で、ウィルスの感染・増殖の構造を知ることが出来る。その結果、マスコミ等に踊らされる事無く、自らの意思で自らの責任で行動する事が出来る。

コロナウイルスの全てが分かる!“新型スーパーウイルス”の正体と感染・増殖・重症化のプロセスhttp://fanblogs.jp/boyakiman/archive/213/0

の記事が有りましたので転載します。

.新型コロナウイルスの正体と特徴

「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)」は、「急性呼吸器疾患(COVID-19)」病源体となるコロナウイルスに属する新種。

「新型コロナウイルス」の構造は、

・タンパク質の「カプシド」という殻の中にRNA遺伝子(リボ核酸)が包まれ、カプシドの外側が「エンベロープ」という脂質膜で覆われた極小粒子。

・粒子の大きさは、細菌の10分の1程度の0.1μmでインフルエンザウイルスとほぼ同じ。

・エンベロープの周りには、「スパイク」と呼ばれる糖タンパク質の王冠(コロナ)状の突起が、多数突き出た形状になっています。

・「エンベロープ(脂質膜)」は、アルコール(エタノール)で破壊することで、ウイルスの感染能力を失活できます。

自らの増殖機能を持たないコロナウイルスは、ヒトの宿主細胞に侵入して、その複製機能を利用して増殖する必要があります。またヒトの細胞であればどの細胞でも侵入できるわけではなく、ウイルスを受け入れてくれる受容体(レセプター)の発現が必要です。

・新型コロナウイルスのエンベロープの突起・「スパイク糖タンパク質」が、標的とする宿主細胞に侵入・増殖する際に重要な役割を果たします。

. 新型コロナウイルス感染症(急性呼吸器疾患)の概要

・「急性呼吸器疾患(COVID-19)」は、「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)」病原体となって発症するウイルス性呼吸器疾患。

・「新型コロナウイルス感染症」病原体である、「新型コロナウイルス」の特徴のひとつは、“潜伏期間が非常に長い“こと。症状の発現と重症化の進行過程

・「新型コロナウイルス感染症」における症状は一定ではなく、感染者によって無症状・軽症・重症・合併症・死亡など幅広く発現するのが特徴。

上気道(鼻腔・口腔・咽頭・喉頭)だけの感染(増殖)ならば無症状や軽症で回復し、下気道(気管・気管支・肺胞)まで感染(増殖)が進行すると、重症化が進行し合併症を併発して最悪は死亡に至ると思われます。

・WHO(世界保健機構)が、中国の4万4672人の感染者のデータを分析した結果、【軽症が81%、重症は14%、重篤は5%、死亡は2.3%】という割合になっています。〇初期症状は一定ではなく多様

・初期症状は、風邪やインフルエンザの症状と似ているため、早期段階での症状だけでの感染の判断は困難とされています。ただ、くしゃみ・鼻水・のどの痛みなどの上気道症状は少ないとされます。

・主な症状としては、発熱、空咳、喀痰、疲労・倦怠感、息切れ、咽頭痛、頭痛、下痢など多様。また嗅覚や味覚の機能障害も見受けられます。しかし、感染していても無症状の人も多く、発熱検知装置だけで判定できない可能性も高いとされます。〇肺炎を発症すると重症化して合併症も併発

・新型コロナウイルスの増殖が上気道を突破して下気道に至ると、高熱・気管支炎・肺炎などの症状が発現してきます。

・さらに重症化すると呼吸困難や呼吸不全に陥り「人工呼吸器」が必要となります。

・また肺胞での増殖で大量に複製されたウイルスが血流に乗って拡散され、腎不全、肝不全、心不全などを合併して「多臓器不全」を引き起こすことも判明しています。

・また、免疫の過剰反応で起きる「サイトカインストーム」重篤化した症例も報告されています。

死亡リスクが高い基礎疾患

新型コロナウイルス感染症による死亡リスクが高い基礎疾患として、1.心血管疾患(心臓病・心筋梗塞・狭心症)2.糖尿病3.慢性呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患)4.高血圧5.ガン(悪性腫瘍)6.慢性腎臓病7.肥満

の7つが挙げられます。

新型コロナウイルス感染症でこれまで死亡した人のデータによれば、症状の発現から死亡までの日数は<6日から41日間>までの幅がありますが、平均すると<わずか14日間>であることが示されています。

Ⅲ 新型コロナウィルスの3つの感染エンルート】

新型コロナウイルスには3つの感染経路があり、「飛沫感染」と「接触感染」の2つが主体で「エアロゾル感染」もあり得ると考えられます。新型コロナウイルスのヒトへの侵入口は、口・鼻・目の3ヵ所です。

飛沫の大きさと特徴

「飛沫」とは、感染者の咳やくしゃみで放出されるエアロゾル粒子のこと。水分に覆われたエアロゾル粒子の中に「ウイルス飛沫核」が含まれています。飛沫の大きさは、おおよそ1μm ~100μmまで大小さまざまとされています。なお、ウイルスそのものの大きさは、0.1μm程度の極微小粒子。「飛沫の大きさ」を3つに大別すると以下のようになります。

① 咳やくしゃみから出る粘性のない1μm~100μmのエアロゾル粒子

② くしゃみから出る鼻汁・痰の混じった粘性のある100μm以上の大きな粒子

③ 呼気から出る粘性のない1μm未満のエアロゾル粒子飛沫の大きさで感染様式や活性時間が異なる

①の「粘性のない1μm~100μmのエアロゾル粒子」は、2m以内に落下して水分蒸発で乾燥し、おおよそ2分以内で感染能力を失活(死滅)すると思われます。従って、1m以内では飛沫感染しても2m離れれば安全圏とされます。

4~10μmの大きな飛沫の主な沈着部位は、鼻腔・口腔などの上気道とされ、主に上気道内の粘膜細胞で増殖します。しかし、1~3μmの小さな飛沫は落下せずに空気中を浮遊し、吸入すると一気に下気道の肺胞にまで到達するとされています。換気や風通しの良い場所ではおおよそ2分程度で乾燥して失活(死滅)しますが、換気が悪く湿度の高い密閉空間では、3時間でも感染能力を保持するようです

②の「粘性のある100μm以上の大きな粒子」は、すぐに落下するので飛沫感染のリスクは少なく、むしろ物体に付着して「接触感染」の主要な感染源となります。粘性があるので外側が乾燥していても内部のウイルスは感染能力を保持し、日陰や室内での生存時間は数日にもなると思われます

③の「粘性のない1μm未満のエアロゾル粒子」は、呼気の87%を占めており感染能力も持っていると考えられています。特に、【湿気の多い密室空間(エアロゾル状態)】では、呼気で放出される1μm未満のエアロゾル粒子でも感染能力を保持したまま浮遊し、2m以上離れていても上気道または下気道まで吸引してしまいます。これが「エアロゾル感染」と呼ばれる感染様式です

その2へ続く

  投稿者 seibutusi | 2020-04-24 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 

大規模な消毒剤の空中散布や日常的な手の過剰殺菌による人体への影響

「人体常在菌の概要と役割」http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=291609より。
人の体は細菌と共生することで維持されており、常在菌を良いバランスで保つことが、健康には非常に重要です。
 常在菌の役割としては、病原菌の侵入や増殖を抑制する免疫機能、人体では作れない有用な物質の製造機能があります。
 また、常在菌には善玉菌、悪玉菌という言い方がありますが、一つの菌が単独で役割を果たしているわけではなく、細菌同士が協力し合って細菌群として機能しています。常在菌は高度に分業化した社会を作って、その社会を守るためにお互いに協力し合っています。

現在、新型コロナウイルスの感染対策として、手の消毒が励行されていますが、消毒剤による皮膚の過剰殺菌や大規模な消毒剤の散布等々。消毒剤による人体の健康への影響 については、十分な注意が必要 なようです。

 

In Deep https://indeep.jp/perfect-spanish-disinfection-could-suggest-perfect-doomsday/ より。

世界中で拡大する大規模な消毒剤の空中散布や、日常的な手の過剰殺菌により、いよいよ人類の健康状況は終末の局面に至ると予測される

・スペインで大規模な空中消毒が実施されることを報じたメディア。 La Razon

消毒剤とは「毒」だという認識が必要となっている

あんまり暗い気分になりたくはないのですけれど、報道などを見ていると、
「なんか、どんどん悪いほうに行ってないか?」
と思うことが多くなっています。

新型コロナウイルスの感染状況の話ではなく、「人間の対策」のほうがです。

冒頭のスペインの「政府が、空中からの大規模な消毒作戦を承認」というのもそういうひとつです。

中国で新型コロナウイルスの感染拡大が始まった頃にも、武漢などでは「大規模な街中の消毒」が繰り返されていました。

そして、それと共に、現在、アフリカから南アジアにかけて「イナゴ(サバクトビバッタ)」の駆除のために、さまざまな国で大規模な殺虫剤の散布が続いています。

これらの現実が「近い将来に招くかもしれないこと」にふと気づいた際に、以下の記事を書かせていただいたことがあります。
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人類絶滅への道 : コロナウイルスとイナゴに対しての「殺菌と消毒の嵐」が吹き荒れる中、地球の微生物と昆虫類が「大絶滅」に向かう可能性。そしてその次は…
https://indeep.jp/disinfecting-whole-world-could-cause-human-extinction/
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新型コロナウイルスの消毒剤に何が使われているのかは、国によって違うのでしょうけれど、一般的な物質の特性としては、「第4級アンモニウム塩」というような物質と類似したような性質のものが使われる場合も多いと思われます。

たとえば、これらの第4級アンモニウム塩的な物質は、それが新型コロナウイルスを死滅させるかどうかという以前に、
「これらは、激しく人間の常在菌と、身体機能そのものに悪影響を及ぼすもの」
であるのです。

なお、アメリカ環境保護庁 (EPA)が 3月に発表した「新型コロナウイルスに対して有効な消毒剤」は以下のようになっていました。

EPAが新型コロナウイルス に有効だとした薬剤の一部

・過酸化水素
・フェノール
・第四級アンモニウム塩
・亜塩素酸ナトリウム
・次亜塩素酸ナトリウム
・二酸化塩素
・塩化ナトリウム

これらはですね。ウイルスを「殺す」のにも有効なのかもしれないですが、「常在菌も殺す」し、「生体機能も殺し」ます。

たとえば、上にある「フェノール」は、Wikipedia には以下のようにあります。
フェノール] 毒性および腐食性があり、皮膚に触れると薬傷をひきおこす。
まあ、どれもそうですよ。

過酸化水素] 強い腐食性を持ち、高濃度のものが皮膚に付着すると痛みをともなう白斑が生じる。重量%で6%を超える濃度の水溶液などの製剤は毒物及び劇物取締法により劇物に指定されている。

第四級アンモニウム] 第四級アンモニウム化合物は健康にさまざまな影響を与える。例を挙げていくと、軽度の皮膚や呼吸器の炎症から皮膚の焼灼性熱傷、胃腸炎、吐き気、嘔吐、昏睡、痙攣、低血圧、死などがある。

上の第4級アンモニウムの「さまざまな影響」には、
死などがある
などがあり、「死などがある」じゃないだろ、と言いたくなりますが、現在、スーパーや公共施設などの入口に置かれてある消毒剤の中には、こういう薬剤が添加されているものがたくさんあるのです。「死などもある」というような作用を持つかもしれないものが。

多くの人々は、それを「毎日、手になすりつけて」いる。

これらの薬剤の最も適切な表現は「毒」です。

~ 中略 ~

スペインの数値が語る「消毒の現実」

そもそも、スペインでは、これ以前に、 「軍事緊急ユニット(UME)」 の名の下に、 「軍によるスペイン全土消毒作戦」 が展開されていました

以下はそれを報じた 3月23日の記事のスペインの報道の概要です。
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スペイン軍事緊急ユニットがスペイン国土の隅々まで消毒する

軍事緊急ユニット(UME)の兵士たちは、スペインのさまざまな都市に展開し、コロナウイルスの蔓延を阻止しようとしている。彼らは 3月15日に消毒活動を開始して以来、空港や駅、あるいは行政施設や養護施設まで、あらゆる種類のスペースを消毒するという使命を遂行している。

軍は、この「消毒戦争」のために消毒用の大砲まで開発し、「町全体」を消毒することさえ可能にした。軍は主に 0.5%の次亜塩素酸塩を含む消毒剤を消毒に使用しており、消毒する領域全体に均一に噴霧させている。

特に、ベンチ、手すり、建物への通路、待ち合わせ場所、人ごみなど、接触が増える可能性のある領域に重点を置いている。適切と思われる場合には、0.45% の次亜塩素酸塩溶液で満たされたポンプを使用し、病院の駐車場などの広いエリアに使用している。 (La Razon)
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これまでもこのようなことをしていたのですが、これからは「空中からの散布も始める」というのです。

なお、注目していただきたいのは、スペインでは「 3月15日」から、このスペイン全土の徹底消毒作戦をおこなっているということです。つまり、この 1ヵ月ずっと行っている。

それを知りまして、私は、
「ああ、スペインで、感染拡大が止まらないのは、このせいだ」
と直感しました。

これは、あくまで私個人の考え方ですが、「人間はバクテリアによって、ウイルスから守られている」と私は考えています。地球上に存在する夥しい種類のウイルスたちと、バクテリア(細菌)や真菌は、基本的には共生していると思われ、特殊な例を除けば、その共生関係の中では「致命的な健康被害は起きにくい」と思われます。

人間が地球に登場して以来の地球とは、そもそも、そういう「共生の場所」です。

たとえば、科学の世界で、人間の腸内のバクテリアが「健康に非常に重要だ」と気づいたのは、比較的最近のことですが、
「それなら外部のバクテリアも悪いわけがない」
と思うのです。

私たちはウイルスに対してもバクテリアに対しても、「病原体」としてのイメージしか持てないという、現実の把握に乏しい近代社会に生きてきました。しかし、腸内細菌のことを考えるだけでも、私たちは「微生物と共生して生きているし、共生しなければならない」というのが現実だと気づきはじめていた はずです。

それなのに、現実の今の社会では、そのバクテリアをただ殺している。常在菌まで殺している。

常在菌に関しては、「全身の常在菌がウイルスから私たちを守っている」ことは医学的にも真実であり、これについては後でふれようと思います。過剰な手の殺菌などは、ウイルスや病原体バクテリアに感染する危険を増加させるのです。

そもそも、スペインで行われているような屋外での殺菌作業が、「実際に屋外のウイルスを殺すのかどうか」は、実は科学の世界ではよくわかっていないのです。

以下は、3月12日の科学誌サイエンスからの抜粋です。
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上海、光州、韓国などの都市で、屋外の消毒で最も一般的に使用されているのは、希釈した次亜塩素酸ナトリウムの溶液、または家庭用漂白剤だ。

しかし、これらの漂白剤が屋外でコロナウイルスを破壊するかどうかは不明であり、それが物の表面でウイルスを殺すかどうか、あるいは、それが空中のウイルスを殺すかどうかは不明だ。 (Science)
——————-

科学的に有効性がわかっていないことを、なぜか大規模に行う。

ただし、これらの消毒剤は、ウイルスに有効かどうかわからなくても、「バクテリアは確実に殺す」はずです。

ということは、スペインの完全な消毒活動は 1ヶ月以上続いているわけで、現在、
「スペインの自然環境体系と、スペイン人の健康は、信じられないほど毀損している」
と考えられます。

スペインのあらゆる場所で、消毒剤が大気中に漂っている状態であり、それは肺から直接、血液に入る(経口した毒は肝臓などで解毒されても、肺から入ると解毒されません)ことになります。

環境に関しては、微生物が消えることで、それに依存している小さな生物たちが生きることができない。その小さな生物に依存している大きな生物も生きられなくなってくる。

~ 以下略 ~

 

  投稿者 seibutusi | 2020-04-23 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 

データから見る新型コロナウィルスの影響力

 

世界画像は、こちら、よりお借りしました。

致死率(死亡数/感染者数)だけの増大を取り上げ、意図的に大騒ぎするマスコミ。しかし、過去の致死率との比較も解説していないし、実態の被害の大きさを示している、死亡率(人口に対するその感染病の死亡者数)も比較していない。

本来、新型コロナウィルスの影響度を測るには、死亡率も含めて、過去の被害と同じ種類の比率で比較するのが事実に即した分析になる。そして、毒性を示す死亡率と、伝染しやすさを示す感染率が有効な指標になる。

そこで、各種の公表データから新型コロナウィルスの影響度を追ってみた。その際に、現在のコロナウィルス調査そのものバラツキや、比較データの年代の多少のズレや不正確さはあるが、単純化して比較を行った。

その結果は、影響度のオーダーを読みとるには利用価値は高く、現在の新型コロナウィルスの影響力と比較すると、桁数が異なるほどの差が出ている。

(さらに…)

  投稿者 sinsin | 2020-04-17 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 

「コウモリ」と「ウイルス」の密接な関係 ~コウモリはウイルスの貯水池?~

 

新型コロナウイルスの自然宿主(最初にウイルスにかかった生物)はコウモリとされています。

「コウモリ」は「ウイルスの貯水池」と言われ、コウモリ起源のウイルスが多く存在する ようです。

今回は、 コウモリとウイルス 、そして人類の密接な関係 について見ていきます。

 

Yahooニュース https://news.yahoo.co.jp/byline/ishidamasahiko/20200303-00165778/より。

「コウモリ」はなぜ「ウイルスの貯水池」なのか

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症(COVID-19、以下、新型コロナ感染症)が世界中で猛威をふるっているが、このウイルスはSARS(SARSr-CoV、重症急性呼吸器症候群)と同じ人獣共通感染症(Zoonosis)だ。こうしたウイルスの自然宿主(最初にウイルスにかかった生物)はコウモリとされているが、なぜコウモリ起源のウイルスがこんなに多いのだろうか。

コウモリが感染させるウイルス

人獣共通感染症はヒトの感染症の60%以上を占める。世界で毎年約10億人が病気になり、数百万人が死ぬ病気だ。人獣共通感染症では、野生生物を自然宿主にしていた病原体(ウイルス)が、家畜などの脊椎動物や昆虫などの無脊椎動物を経由し、あるいは直接にヒトへ感染して広がっていく。

ウシから天然痘や結核、ブタやアヒルからインフルエンザ、ヒツジやヤギから炭疽症、ネズミ(齧歯類)からペスト、主にイヌ(ネコやコウモリなども)から狂犬病といった人獣共通感染症があるが、サル免疫不全ウイルス(SIV)が変異してヒトに感染してヒト免疫不全ウイルス(HIV-1、HIV-2)になったようにヒトと野生生物の接触によって感染が広がることも多い(※1)。

自然宿主にはコウモリが多く、コウモリの次は霊長類、齧歯類の順になる ようだ。また、世界で新たな人獣共通感染症が発生するリスクの高い地域としては、コウモリはアジアの一部と中南米で多く、霊長類は中米、アフリカ、東南アジアに集中し、齧歯類は北米、南米、中央アフリカの一部と予測されている(※2)。

コロナウイルスも人獣共通感染症で、最初に発見されたのが1965年という新しいウイルスだ(※3)。このウイルスが注目されたのはSARSが流行した時で、SARSの自然宿主は当初、ジャコウネコと考えられていた。

その後、同じウイルスがコウモリ(キクガシラコウモリの一種、Rhinolophus sinicus)で発見され、現在ではコウモリのSARSウイルスが共通祖先としてヒトとジャコウネコに感染したとされている(※4)。ちなみに、いわゆる南京虫、トコジラミ(Cimex lectularius)もコウモリからヒトに寄生先を変えた生物だ(※5)。

SARSウイルスやMARS(MARS-CoV)ウイルス(コウモリ→ヒトコブラクダ→ヒト)などのコロナウイルスの研究が進んだ結果、コウモリはコロナウイルスなどヒトに対して新たに出現するウイルスの「貯水池(Reservoir)」と考えられるようになった(※6)。

コウモリのコロナウイルスと遺伝子が96%同じ新型コロナのウイルスも同じようにコウモリが自然宿主と考えられているが(※7)、なぜコウモリはウイルスを貯め、主要な感染源になっているのだろうか。

コウモリはウイルスの貯水池

コウモリという生物の特徴は、その種類の多さ だ。哺乳類の種類の約20%がコウモリとされ、その種類は900種を超えるが、環境破壊のせいで絶滅危惧種も多い。分布域も広く、哺乳類ではヒトとネズミなどの齧歯類、クジラ類と同様、地球上の広い範囲に棲息している。

また、哺乳類の進化の中では比較的プリミティブな生物で、多くの哺乳類が持つ遺伝的特質の原型を持っている。つまり、コウモリの古い形質の遺伝子で保存されてきたウイルスは、変異すると他の哺乳類へ感染する能力を持ちやすいことになる。

種類によっては かなりの長距離を飛翔する のもコウモリの特徴だ。つまり、ウイルスを広い範囲に感染させる能力を持っている。広範囲に多種多様なコウモリが分布し、広大な空間を移動するわけだ。

また、多くの種類のコウモリは冬眠する ことが知られている。ウイルスもコウモリとともに越冬し、長い期間、生きながらえることができる。また、コウモリ自体の寿命も長く、30年以上も生きる種もいる。こうした意味でもコウモリはウイルスの貯水池になるのだろう。

ヒトのトコジラミがコウモリ由来だったように、コウモリは哺乳類の血液を吸うダニやシラミなどを媒介しやすい。こうした寄生虫からウイルスが感染することも多い。

さらにコウモリは、あまり清潔ではない湿った洞窟や木の洞などに集団で棲息する種が多い。そもそもコウモリの個体数は多く、こうした集団が密集することでウイルス感染のパンデミックを起こしやすい。また、容易に捕まえることができるので食用にする地域もある。

コウモリの認知やセンシング、コミュニケーション手段はエコーロケーション(反響定位)だ。口から発する超音波が跳ね返ってくることで、飛行したり位置を認知したりする。その際に飛び散る唾液などを介してウイルスが感染しやすくなる。

以上をまとめると、コウモリはウイルスが好みやすい環境に棲息して大集団を形成し、広く分布して長距離を移動し、哺乳類の多くに共通する遺伝的な特徴を持ち、ウイルス感染によるパンデミックや他の哺乳類にウイルスを感染させやすい特徴を持っている ということになる。

こうした生物は他にもいる。我々ヒトだ。集団が密集して暮らし、長距離を移動し、口から唾を飛ばしながらコミュニケーションする。コウモリからヒトへ、ヒトから他の生物へ、ウイルスの連鎖が広がっているのかもしれない。

一方、コウモリの生息域は自然破壊で狭められ、劣悪な環境で暮らさざるを得なくなっている。また、地球温暖化で分布も変化し、これまでヒトとあまり接触しなかった種類のコウモリが身近に現れるようになってきた。

コウモリという貯水池のウイルスが変異しやすく、ヒトに感染しやすい状況になっている というわけだ。新型コロナウイルスもコウモリからヒトに感染するようになったが、これからも新たなウイルスが出現し、人類の脅威になるかもしれない。

 

(以上)

  投稿者 seibutusi | 2020-04-16 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 

新型コロナウイルス は史上最強のウイルスであることが判明。これにより治療薬の開発は不可能である可能性が高まる

ヒトの遺伝子の半分がウィルス遺伝子でありかつ共生関係になっている。

それは、「ヒト(動植物共)の細胞は、適合するウィルスを積極的に感染と増殖を行って体内に取り込んでいった。古くはミトコンドリアから腸内のウイルス(最近のゲノム研究)」

又ウイルスは、感染してヒトの細胞内で生きるためには、「受容体」と「プロテアーゼ」のどちらも必要なのです。

受容体 → ウイルスが細胞に入るために必要なヒトの細胞表面にある酵素

プロテアーゼ → ウイルスが細胞内で増殖するために必要な酵素

ウイルスが自分の意志(?)だけで細胞に侵入することは不可能であり、「自分に合う受容体」と「増殖などに利用できるプロテアーゼ」が細胞内になければ、感染も増殖もできないのです。

今回は、

★[完璧なウイルス]新型コロナは「3種類の感染受容方法」を持ち、増殖するための酵素を「8種類利用できる」おそらく史上最強のウイルスであることが判明。これにより治療薬の開発は不可能である可能性が高まる

https://indeep.jp/the-most-perfect-virus-in-this-world/ より転載します

新型コロナウイルス SARS-Cov-2 の特徴

・多様な感染受容ルートを持つために感染性が極めて強い(少量のウイルスでも感染できる)

・細胞内の複数の酵素(プロテアーゼ)を利用して増殖できる

・つまり、ごく少量のウイルスでも死滅せずに発症する可能性がある(検査で陰性と出ても発症する可能性も)

・それなのに、発症率と症状は低く、誰が感染しているかわかりにくい

・致死率が低い(感染者が生きている限り、ウイルスは死滅しないので社会全体のウイルスの絶対量が増えていく)

・発症期間が極めて長い(ウイルスの外部への放出期間が長い)

一方

【新型コロナウイルス、「克服」までの道は既に見えている】新型コロナウイルスは全く未知のウイルスではない

(https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/20/03/09/06663/)との記事もあります。

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新型コロナウイルスが以下のような特徴を持っている

・感染性が高い

・致死率が低い

・感染しても発症しないか軽症

このように「普通に考えれば危険には思えない」性質を持つ新型コロナウイルスですが、この性質がそのまま「現代文明の脅威となる」ということのようなんです。

数々の国でこの新型ウイルスの分析が進められていますが、それらの研究の中で、

・新型コロナウイルスは複数の感染受容体(ウイルスが感染するために必要なもの)を持つ

・新型コロナウイルスは複数のプロテアーゼ(ウイルスが増殖するのに必要なもの)を持つ

ことがわかりはじめているのです。

新型コロナウイルスの場合は、ACE-2 という名称の細胞表面の受容体に「のみ」適合し、それと出会った場合に、ウイルスは細胞内に入ることができます。

【コロナウイルスと受容体ACE-2】

最近の研究でわかったことは、新型コロナウイルスが必要とする受容体は「ACE-2だけではない」ことがわかってきているのです。つまり、多彩な感染経路を持っているのです

さらには、感染だけではなく、「増殖」に関しても、新型ウイルスは特殊な性質を持っていることがわかってきました。

一般的には、

・特定の一種のウイルスには、特定の一種の受容体

・特定の一種のウイルスには、特定の一種のプロテアーゼ

が対応するものだと理解しています。

ここで、新型コロナウイルスは、

【受容体もプロテアーゼも多用に対応している】

ことがわかってきたのです。

「多様な感染ルートを持ち」

「多様な増殖の手段を持つ」

これが意味するところは、もちろん、ウイルスそのものの強靱性を示すものでもありますけれど、それと共に、

【治療薬やワクチンを作るのが非常に困難】

であることを示します。

以下は治療薬のコンセプトのひとつですが、

「ウイルスと受容体の結合を阻害する」ということを目的に作ろうとしている治療薬

この場合は、新型コロナウイルスが「 ACE-2」という受容体「にだけ結合する」ことが念頭にある概念ですが、しかし、仮に、

「複数の受容体に結合できて感染するウイルスだとどうなるか」

とか、あるいは、

「細胞表面全体に結合できる能力を持つようなウイルスならどうなるか」

となりますと、このような「受容体との結合を阻害して感染を防ぐ」タイプの予防薬は「事実上作ることができない」ことになります。結合を阻害する目標の受容体を絞ることができなくなるからです。

・ 薬の開発にはもうひとつの方向があります。

いわゆる「抗ウイルス薬」と呼ばれるものと同じようなもので、ウイルスが細胞内で増殖するために必要なプロテアーゼというものを阻害するという方向です。

これができれば、「ウイルスが細胞内で増殖することを防ぐ」ことができることになり、治療薬となり得ます。

しかし仮に、「複数のプロテアーゼを利用できるウイルス」というようなものが存在したならどうなるでしょうか。これもやはり対象となるプロテアーゼを絞ることができないために、治療薬の開発は事実上不可能となると思われます。

そして、新型コロナウイルスはどちらの条件も満たしているウイルスであることがわかったのです。

「複数の受容体に感染する」ということについては、以下の記事ですでにふれています。

インドの科学者たちが発表した「新型コロナウイルスの中に存在するHIV要素」を中国やフランスの科学者たちも発見。それにより、このウイルスは「SARSの最大1000倍の感染力を持つ可能性がある」と発表

これは、香港のサウスチャイナ・モーニング・ポストの記事をご紹介したものですが、そこに以下のようにあります。

(新型コロナウイルスは)スパイクタンパク質を切断して活性化し、ウイルス膜と細胞膜の「直接結合」を引き起こす。これによりウイルスに感染する。

中国・南海大学によるこの研究が正しければ、新型コロナウイルスは、受容体などとの結合という面倒な手間を飛び越して、

「ウイルス膜と細胞膜の《直接の結合》を引き起こす」

性質を持っている可能性が高いのです。

このウイルスのきわめて高い感染性の理由のひとつはこれだと思います。

そして、ウイルスを活性化させ増殖させるために必要な細胞内のプロテアーゼに関して、通常は「ひとつの種類のウイルスは、ひとつのプロテアーゼを利用する」というように思われるのですが、

「新型コロナウイルスは少なくとも 8種類のプロテアーゼを利用して増殖できる」

ようなのです。

本当に考えられないほど「完璧」なウイルスなのです。

要するに、

「新型コロナウイルスは、通常のウイルスとは比較にならない強力な感染性能と、細胞内での維持性能を持っている」

ということになります。

阻害薬や、抗ウイルス薬の多くが、その個別のウイルスに対応する「受容体」と「プロテアーゼ」が特定の1つだとして開発されると思われます。

しかし、新型コロナウイルスは、「それを複数持っている」ということで、これはおそらくとしか言いようがないですが、

「治療薬は開発できない」

という可能性が高くなってきたと思われます。

・・・・・改めてものすごいウイルスだと感じます。

感染して発症すると、1ヵ月ほども長引くのは、この「細胞内の複数のプロテアーゼを利用できる」ために、ほんの少量のウイルスが残っているだけの状態で(普通なら症状が消えるようなウイルス量でも)発症が続くということなのかもしれません。

あるいは、中国でも日本でも起きている、「退院したのに、再び発症した」というのも、「陰性判定が出たのに、後に陽性となった」という理由もこの「複数のプロテアーゼを利用できる性質」によるものだと思われます。

クルーズ船の60代乗客が感染 陽性→2度の陰性→陽性

朝日新聞デジタル 2020/03/07

秋田県で6日、大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」から下船した秋田市在住の60代の男性が新型コロナウイルスに感染していたことが確認された。

男性は船内の検査で陽性となり入院したが、その後2回の検査で陰性となり退院。その後の検査で再び陽性と判明した。

おそらくは、「検査では検出されなないほど体内のウイルス量が減少して、検査では陰性と出た」けれど、「ほんのわずかに残っていたウイルスが細胞内の複数の酵素を利用して、また増殖を始めた」ということだと思いますが、このあたりは私は素人ですので、推測にすぎません。

しかし、この推測が正しいのならば、今後ずいぶん長期間にわたり、私たちの社会は、非常に「面倒な時代」を過ごすことになってしまうのかもしれません。致死率が低いことにより、病気の拡大がそう簡単に終息することもなさそうで、「ウイルス自体の変異による消失」を待つしかなくなりそうです。しかし、それがいつになるのか。

いずれにしても、日を重ねるにつれて、このウイルスが「史上最強のウイルス」であることが、さらにわかり続けています。

薬剤・ワクチン開発的な対抗策がかなり厳しいものになってきているかもしれない現状です。

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  投稿者 seibutusi | 2020-04-16 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 

「ウイルスと共に生きる」~単なる病原体でないウイルスの本質と可能性~

人間と共生する生き物? 可能性未知数のウイルスの正体 http://www.seibutsushi.net/blog/2020/02/5351.html
で見たように、ヒトゲノム(人間の遺伝情報)の45%が「ウイルス」や「ウイルスのようなもの」で構成されている といいます。

ウイルス感染が頻りに報道されている今こそ、単なる病原体でないウイルスの本質と可能性を追求する ことが必要ではないでしょうか

予防衛生協> 生命科学の雑記帳> 12.「ウイルスと共に生きる」  より。

「 ウイルスと共に生きる」

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(19)ウイルスは生物か無生物か といった議論が古くからおこなわれてきました。この議論が始まる大きなきっかけになったのは、1935年、スタンレーがタバコモザイクウイルス蛋白の結晶化に成功し、これが感染性を持っていたことから、ウイルスは自己増殖する蛋白であるという説を提唱したことでした。しかし、彼は結晶化したサンプルにウイルスRNAが含まれていたことには気がつきませんでした。

ウイルスが生物か無生物かといった議論は、生物の定義はなにかという問題につながります。新しい科学知見が蓄積してきている現在、生物の定義の議論は容易ではないと思います。私は、この表にまとめたように、ウイルスは細胞を持たない生命体という視点 でとらえるのが、ウイルスの存在意義を知る上で重要と考えています。

(20)これまでの話は動物ウイルスを主体にしたものでしたが、ウイルスに関する大きなブラックボックスは海に存在するウイルスです。海洋生物には陸地を上回る膨大な量のウイルスが存在していることが1980年代終わり頃から指摘されるようになりました。メキシコ湾では、藍藻の群落の上の海水には、1 mlあたり10億個ものウイルスが含まれていることが報告されています。藍藻 は細菌の一種なので、これは細菌ウイルスと考えられます。海には植物プランクトンも多く存在していて、これには植物ウイルスが寄生しています。

最近、世界の海に含まれるウイルスについて興味ある試算が発表されました。それによると、 1 mlの海水中のウイルス量を深海では100万個、沿岸では1億個と仮定した場合、海のウイルスの総量は、ウイルスに含まれる炭素の量では2億トンとなり、これはシロナガスクジラ7500万頭に相当します。ウイルスの長さを100 nmと仮定すると海のウイルスを全部つなげた場合、銀河系に到達する1000万光年にもなるという結果です。

我々は陸地だけでなく海水も含めて、膨大な数のウイルスに囲まれて生きている ということになります。ウイルスの生態、ウイルスの存在意義について、病気の面だけでなく、ウイルスを単なる物質ではなく生命体という視点からもっと理解を深めることが必要ではないでしょうか。

(21)最後に生命体としてのウイルスの役割を考えてみたいと思います。 ウイルスの起源については、いろいろな議論がありますが、そのひとつに、ウイルスは地球上に現れた最初の生命体という見解 があります。46億年前に地球が誕生し、最初に生命の情報を持ったRNAが出現しました。この時代はRNAワールドと呼ばれていますが、これが5億年くらい続いたのちにDNAが出現しました。遺伝情報としてRNAを持つものはウイルスだけです。そこで、ウイルスはRNAワールドの遺物であって、それからDNAが生まれ、さらに原核生物である細菌、ついで真核生物の植物、動物が生まれた という見解です。これが正しければ、すべての生物の最初の祖先はウイルスということになります。もちろん、この見解には反論もあります。

次に、ウイルスは進化の原動力になってきた という見解です。ウイルスは遺伝子をほかの生物に運ぶ能力を持っています。遺伝子治療はその性質を利用したものです。進化の過程を見ると、単なる変異では説明できない大きな変化が時折、起きています。これはウイルスが新しい遺伝子を運び込んだことによる と考えるのが妥当です。人の妊娠維持に役立っている側面は、先ほどお話しした内在性レトロウイルスで見いだされています。

さらに大きな視点では、ウイルスは地球環境での生態系の調節にかかわっている という側面が指摘されはじめています。そのひとつに、海水中で植物プランクトンが植物ウイルスにより溶解されることが温室効果ガスの放出の引き金になっている可能性があげられています。海は有機性炭酸ガスの最大の貯蔵庫になっていますが、このガスの蓄積の原因のひとつとして、植物ウイルスによる植物プランクトンの溶解が考えられています。広島湾では赤潮が収まる時にウイルス粒子の数が増加することが見いだされており、植物ウイルスが赤潮の植物プランクトンを溶解しているものと推測されています。

私たちは ウイルスと共に生きている ということを改めて認識する必要があると思います。

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(以上)

  投稿者 seibutusi | 2020-04-11 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 

パンデミック新時代 :人類の進化とウィルスの謎に迫る

近年の感染病(新型コロナ・SARS・ペスト・スペイン風邪)は風土病が拡散した結果と言われており、人類の進化とウイルスは密接な関係が有る事が解かって来た。前回の記事「ウイルスと共に人類は進化してきた。」参照願います。

以下に『パンデミック新時代 :人類の進化とウィルスの謎に迫る』 ネイサン・ウルフ著を紹介した記事を紹介します

類人猿は生物多様性の高い森に住んでいたが、ヒトの祖先は森からサバンナに進出した。ここで遺伝子のボトルネックがおこり、遺伝的多様性が減少するとともに、身体に寄生あるいは共生するウィルスの種類も減少した。そしてそれに対する抵抗性も減少するか喪失した。

森を脱出したホモサピエンスはまた森に侵入しはじめた。森林伐採や鉱物資源開発と野生生物取引の拡大のためである 発展途上国では人口爆発により、多くの労働者が森林地帯に入り込み食料になる野生動物の量が増えた。

森で鳴りを潜めていた諸々の微生物が、動物由来の感染症の拡大リスクが増えた

幸いに、日本では、大陸諸国と違い、動物食は少なくタンパク源として魚介類を採っていたので<森ー野生動物ー感染症>の影響はすくないのでは。

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京都楽蜂庵日記 https://blog.goo.ne.jp/apisceran

『パンデミック新時代 :人類の進化とウィルスの謎に迫る』 ネイサン・ウルフ著

ウルフによると人間の感染症の約70%が動物に由来するという。それも霊長類やコウモリ、げっ歯類をはじめとるするほ乳動物からきている。新型コロナウィルス(COVID-19)はセンザンコウが、SARSはハクビシン由来のウィルスによる感染ではないかと言われている。

雑食は霊長類の中でヒトの特性かと思われていた。しかし伊谷純一郎先生(1926-2001)らの研究によって、そうではない事があきらかにされた。たとえば、チンパンジーは、いかもの食いで300種の植物、23種の昆虫を食べるそうだ。さらに彼らの縄張りに棲んでいる様々なサル類、カモシカやイノシシ、イタチなども手当たりしだいに食べる。

ウルフらも、チンパンジーとヒトの共通祖先は森で集団で狩りをして他の霊長類を食べていたと述べている。

これ以来、ヒトの祖先は血まみれの獲物から様々なウィルスの感染を受けるようになった(ライオンやオオカミのような肉食動物は、こういったリスクの少ない獲物の処理法をしているのだろう)。食物連鎖の頂点にいる肉食性の大型動物ではウィルスの「生態濃縮」がおこる。ウィルスー微生物ー小型動物のすべての食物連鎖のウィルスが体内に入って寄生する可能性がある。

類人猿は生物多様性の高い森に住んでいたが、ヒトの祖先は森からサバンナに進出した。ここで遺伝子のボトルネックがおこり、遺伝的多様性が減少するとともに、身体に寄生あるいは共生するウィルスの種類も減少した。そしてそれに対する抵抗性も減少するか喪失した。

森から出た人類の祖先は、火をおこす技術を発明し、料理を始めた。これによって細菌による食中毒がなくなった。火のおかげで、利用できる食物のレパトリーが格段に増え保存が効くようになった。この革命的なイノベーションによって、人類の人口は急速に増えた。約1万年前から5000年前に人類は狩猟採集時代から牧畜農耕時代に入り、一部は都市に住み始めた。

じめじめした森から「清潔」な環境に移った人類に、病原微生物の脅威がなくなったかというとそうでもなかった。熱帯地方では蚊を媒介とするマラリアが毎年、約200万人もの生命を奪っている。ヒトの唯一の遺伝的な対抗法は、鎌形赤血球遺伝子といった半端な工夫でしかなかった。森→サバンナ→乾燥地帯へと進出した人類を後もどりさせないバリアーがマラリアである。マラリアを媒介する蚊は森林に限定させずに、水たまりのあるところならどこでも生息できる。

アラスカのような極寒の地まで版図を広げて住まいを拡大した白人が、結局熱帯に大量に住み着けなかったのはこれが原因である。

おそらく、森に住んでいた人類の共通祖先は現在のチンパンジー同様に、マラリア寄生虫に対する抵抗性を身体に持っていたのだろう。しかし、先程述べたボトルネックの際にこれを失ったか、あるいは人類拡散の過程でこの抵抗力をなくした。

それでも、病原微生物のキャリアーである他の動物に接触しなければ問題ない。

ところが人間は大量の家畜を身の周りにおく生活をはじめた。家畜は飼いならされる前から、それぞれ微生物レパートリーを持っていたので人間と最初に接触した時期から、お互いにそれらを交換しはじめた。さらに野外動物が飼育動物にウィルスなどを感染させ、それがさらに人に感染する。

トリインフルエンザの場合は鶏舎のニワトリが感染してさらに人に感染する。ウシは天然痘の、ニワトリやブタはインフルエンザの、ラクダはMERSのウィルスをヒトに媒介した。家畜だけでなくペット動物も人間との濃厚接触で病原微生物を感染させている。

栽培植物も野外動物からの微生物感染の手助けをした。例えば、農家の近くでマンゴーを栽培すると、これにニパウィルスの保菌者であるコウモリがやって来て糞をする。それをブタが食べて発病し、さらに人にウィルスをうつす。ニパウィルス症は主として脳炎を発症させる死亡率50%の恐ろしい伝染病である。

病原微生物に対する抵抗性が弱くなった人の集団に、なにかのはずみで感染症が広がったとする。その集団が小さいと、たちまち罹る人は罹り死ぬ人は死んで、エピデミックは終わる。エピデミックで滅んだ無数の村や部落、小さな町の記録は残らない。それをたちまちカバーするほど、ヒトの繁殖力も大きかったのだろう。

病原微生物もほかの動物に移り住むのでなければここで滅びる。その集落は多大な損害を被ることになるが、その微生物に比較的強い体質(遺伝子)の子孫が残る。形態の変化こそないが一種の進化がおこる。

これはまだ交通の発達する前の時代の話であるが、鉄道、道路、飛行機、船など交通手段によって地球は狭くなった。そこでは、人も病原菌も大陸や海洋を瞬時で渡り歩くことができる。ウィルスにとって小さな部落の人口を相手にしているのではなく、数億から今では70数億もの巨大な数の被感染プールが出現したのである。ウィルスにとっては申し分のない資源だ。

ここから人類の歴史はパンデミックとの戦いの歴史となった。人類がいままでにおこした戦争での死者よりも、パンデミックの犠牲者の数の方がづつと多い。

森を脱出したホモサピエンスはまた森に侵入しはじめた。森林伐採や鉱物資源開発と野生生物取引の拡大のためである(2020/04/07京都新聞夕刊4面参照)。発展途上国では人口爆発により、多くの労働者が森林地帯に入り込み食料になる野生動物の量が増えた。これらには絶滅危惧の問題になっているキツネザルなどが含まれる。

森で鳴りを潜めていた諸々の微生物が、再びヒトと向き合うようになった。生物多様性の危機だけでなく、動物由来の感染症の拡大リスクが増えた。その結果、世界にひろまったのがHIV(チンパンジーのSIV起源)でありエボラウィルス(コウモリ起源)である。COVID-19の原因ウィルスSARS-Co-2も武漢の海鮮市場付近が発生場所とする説が多い。コウモリーセンザンコウーヒトという感染経路の可能性が論じられている。

いまや、東南アジア、アマゾン川流域、中央アフリカなどのウイルスのホットスポットがエピデミックやパンデミックの感染起源になっている。

人獣共通感染症の微生物は動物から人に感染するだけでなく人から動物にも乗り移る。人に集団免疫が形成されると、ウィルスは自分が絶滅するので、他の種類の宿主を探しているのである。新聞報道(京都新聞2020/04/07朝刊8面「NYのトラも」)によると米ニューヨーク市のブロンクス動物園で飼育されているマレートラやライオンが新型コロナウィルスに感染している事がわかった。せきの症状があり(多分肺炎になっているのだろう)、食欲も減退している。飼育員からトラに感染したとされている。

日本における<森ー野生動物ー感染症>といった文脈での研究は少ない。多分、日本では大陸諸国と違い、動物食は少なくタンパク源として魚介類を取っていたからだ。

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  投稿者 seibutusi | 2020-04-09 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 

口という器官の不思議な進化 ~ 口の起源、「顔」の始まり ~

人類の音声言語と発声器官の進化 http://www.seibutsushi.net/blog/2020/03/5414.html

人類の聴覚はどう進化したのか? http://www.seibutsushi.net/blog/2020/03/5427.html
 

人類の音声言語の進化(発声器官と聴覚機能の進化)に続き、今回は、声を発する「口」という器官の進化について見ていきます。

 

そもそも、生物の「口」、さらには「顔」は、どのように発生して、進化してきたのか?

とりわけ、音声言語(会話)を進化させた人類の「口」は、とのように進化したのか?

 

集団給食協会HP http://cfs.or.jp/food_education2/vol05.html より。

口という器官の不思議な進化

「食べる」ことで、人は生き続けることができます。食べなければ、私たちの身体を構成する材料が得られない、身体がなくなってしまうのです。その入り口となる器官を、「口(クチ)」と呼びます。すべての生物に口があるかというと、実はそうとも言えません。例えば、植物は光合成によってエネルギーを生みだし、キノコなどの菌類は菌糸という細胞によって他の生物の遺骸を分解して「食べて」います。

とはいえ、私たちにとって「口」がかけがえのない「食べる」ための器官であること は間違いありません。馬場悠男さんは、次のように定義しています

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 陸上動物の祖先がまだ海中で暮らしていた時代、おそらく5億年以上前のあるとき、海中を一定方向に動く動物の前端に孔(アナ)が開き、そこから栄養物を体内に取り込むようになった。あるいは、栄養物を体内に取り込む孔を常に前にして、海中を一定方向に動く動物が現れたということかもしれません。この前端に開いた孔こそが、のちに「口」と名づけられることになる器官にほかなりません 
(馬場悠男、「顔」ってなんだろう?、NHK出版社、2009年)

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これは口の起源であるとともに、「顔」の始まり でもあります。馬場さんは、口を中心として「一定方向にある程度の速さで動く動物にのみ<顔>ができる」と指摘します。口ができると、 ①より早く、より確実に食物を取り込む、②生存していくために外敵や障害物をいち早く察知しようとして、口の周辺に目・鼻・耳等の感覚器官が集中するようになり、「体の前端・口・感覚器官という三点セットが揃ったとき、『顔』というものが形成された」と述べています。

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 間を含む大部分の脊椎動物や昆虫の体は左右対称にできているので、前と後ろ、左と右の概念が生まれ…そのため、方向も一定にできるし、前端も決まる。 (馬場悠男、前出、2009年)

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ウニやヒトデのような動物には、口はありますが顔がありません。それは、ウニやヒトデには先端も方向もないからなのですが、顔があるからといって私たちがイメージする口と同じであるとは限りません。無顎類と呼ばれるヤツメウナギには、口も前端も感覚器官の集中もあるので、顔が存在します。その口には顎(アゴ)がないため、ただの孔が先端に開いているだけで、閉じることはもちろん嚙み砕くこともできません。 顎のないヤツメウナギには口のすぐ後ろ、頭の後方に8つもの鰓(エラ)が並んでいます。いうまでもなく、ヤツメウナギの「目」と思われていたものは水の中で呼吸するための「鰓」でした。

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 い魚たちが顎を作る材料に選んだのは、なんとこの鰓の一部だと考えられている
(遠藤秀紀、人体 失敗の進化史、光文社新書、2006年)

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遠藤秀紀さんによると、この鰓の構造がいかに下顎に適した位置と形になっているのかは、食卓に上がった焼かれたサンマの姿をよく観察するとわかるらしい。サンマは口から取り入れた水を鰓に通すことで酸素を吸収するため、鰓は血管をたくさん通した柔らかい組織となっています。その柔らかい組織を支える骨格を鰓弓(サイキュウ)と呼び、目の少し後方で少し下(腹)側にあります。鰓弓は下顎のすぐ後方の位置にあり、しかもかなり似た形をしています。

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 ここで、脊椎動物に頭が無かった時代を思い浮かべてみよう。口の孔は開いているが、そこに開閉する顎構造は存在しない。口の周囲を見れば、そこには顎よりもはるか昔から存在する鰓弓(鰓)が陣取っている。鰓弓は効率よく水から酸素を得られるように、左右に何枚も同じ構造を作り上げている。もしこの鰓弓の前方部分、つまり口に近い部分に蝶番が生じて、しかも筋肉で意のままに開閉できるようになったとしたら…まずはその動物は、口の孔の周囲に、開け閉めできる扉を持つことになるのではないか。観音開きを左右ならぬ上下にしたような便利な扉が口の上下に備わることになる。顎構造の上半分は、もともとあった頭の骨と一体になり、上顎が出来上がる。専門用語では、口蓋方形骨(コウガイホウケイコツ)などと呼ばれる、頭の一部となっている構造だ。一方、下半分は、鰓弓のパーツを使いながら、下顎へと発展していけばよい。 (遠藤秀紀、前掲書、2006年)

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なんと開きっぱなしだったヤツメウナギの口は、鰓の蝶番を転用することでパクパク開け閉めできる魚や私たちのような口になった と考えられているのです。確かに、ただ開いているだけの孔では、せっかく口に入ったエサも簡単に逃げてしまうことができますし、逃げられないためには掃除機のように強力に吸い続けるか、必死に前進してエサを消化管まで送り込まなければならないですね。口に蝶番が付きさえすれば、エサに逃げられることもなく、じっくり消化管まで送り込むことができます。

ところが、せっかく手に入れた蝶番付きの口を手放さなければならない危機を迎えます。海から陸上に私たちのご先祖様が進出する時に、大きな問題に直面するのです。同じ哺乳類の仲間であるイルカやクジラの耳には耳輪(ジリン)や耳垂(ジスイ/耳たぶ)などによって構成される耳介(ジカイ)または耳殻(ジカク)と呼ばれる部分が見当たりません。魚にも耳介がないのですが、イルカやクジラはおそらくもともとあったものが退化してしまったのかもしれません。なぜ退化したかというと、耳介の大切な役割である集音機能が水中ではあまり必要ないからなのです。プールに耳栓をせずに水中に潜ると、周りの音がすごくよく聞こえるという経験をしたことはないでしょうか。水の中は空気中に比べて音の伝導率が高いのです。

つまり、海から陸上に進出した私たちのご先祖様は、鰓呼吸から肺呼吸へという呼吸方法の転換とともに、「音が聞こえない!」、音をなんらかの方法で増幅することを求められた のです。その結果として、最初は爬虫類のように地面近くに頭を配置し、大地の振動を顎の骨(骨伝導)で拾っていたようですが、次第に頭の位置を高くした哺乳類には、その手が使えません。そこで思い切って、せっかく魚時代に手に入れた顎の蝶番を耳の奥にしまいこんで、耳小骨という音の増幅装置に転用してしまいました。いまさら顎なしの口というわけにもいかないので、再び「上顎は方形骨ならぬ鱗状骨(リンジョウコツ)、下顎は間接骨ならぬ歯骨(シコツ)」(遠藤)で顎の蝶番を確保したと考えられています。約3億7000万年前に舌顎骨(ゼツカツコツ)をアブミ骨に、約2億年前に方形骨をキヌタ骨、さらに鱗状骨を上顎、歯骨を下顎に変化させて、私たち哺乳類の顎ができあがった ようです。

 

(以上)

  投稿者 seibutusi | 2020-04-04 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments »