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新型コロナウイルス は史上最強のウイルスであることが判明。これにより治療薬の開発は不可能である可能性が高まる

ヒトの遺伝子の半分がウィルス遺伝子でありかつ共生関係になっている。

それは、「ヒト(動植物共)の細胞は、適合するウィルスを積極的に感染と増殖を行って体内に取り込んでいった。古くはミトコンドリアから腸内のウイルス(最近のゲノム研究)」

又ウイルスは、感染してヒトの細胞内で生きるためには、「受容体」と「プロテアーゼ」のどちらも必要なのです。

受容体 → ウイルスが細胞に入るために必要なヒトの細胞表面にある酵素

プロテアーゼ → ウイルスが細胞内で増殖するために必要な酵素

ウイルスが自分の意志(?)だけで細胞に侵入することは不可能であり、「自分に合う受容体」と「増殖などに利用できるプロテアーゼ」が細胞内になければ、感染も増殖もできないのです。

今回は、

★[完璧なウイルス]新型コロナは「3種類の感染受容方法」を持ち、増殖するための酵素を「8種類利用できる」おそらく史上最強のウイルスであることが判明。これにより治療薬の開発は不可能である可能性が高まる

https://indeep.jp/the-most-perfect-virus-in-this-world/ より転載します

新型コロナウイルス SARS-Cov-2 の特徴

・多様な感染受容ルートを持つために感染性が極めて強い(少量のウイルスでも感染できる)

・細胞内の複数の酵素(プロテアーゼ)を利用して増殖できる

・つまり、ごく少量のウイルスでも死滅せずに発症する可能性がある(検査で陰性と出ても発症する可能性も)

・それなのに、発症率と症状は低く、誰が感染しているかわかりにくい

・致死率が低い(感染者が生きている限り、ウイルスは死滅しないので社会全体のウイルスの絶対量が増えていく)

・発症期間が極めて長い(ウイルスの外部への放出期間が長い)

一方

【新型コロナウイルス、「克服」までの道は既に見えている】新型コロナウイルスは全く未知のウイルスではない

(https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/20/03/09/06663/)との記事もあります。

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新型コロナウイルスが以下のような特徴を持っている

・感染性が高い

・致死率が低い

・感染しても発症しないか軽症

このように「普通に考えれば危険には思えない」性質を持つ新型コロナウイルスですが、この性質がそのまま「現代文明の脅威となる」ということのようなんです。

数々の国でこの新型ウイルスの分析が進められていますが、それらの研究の中で、

・新型コロナウイルスは複数の感染受容体(ウイルスが感染するために必要なもの)を持つ

・新型コロナウイルスは複数のプロテアーゼ(ウイルスが増殖するのに必要なもの)を持つ

ことがわかりはじめているのです。

新型コロナウイルスの場合は、ACE-2 という名称の細胞表面の受容体に「のみ」適合し、それと出会った場合に、ウイルスは細胞内に入ることができます。

【コロナウイルスと受容体ACE-2】

最近の研究でわかったことは、新型コロナウイルスが必要とする受容体は「ACE-2だけではない」ことがわかってきているのです。つまり、多彩な感染経路を持っているのです

さらには、感染だけではなく、「増殖」に関しても、新型ウイルスは特殊な性質を持っていることがわかってきました。

一般的には、

・特定の一種のウイルスには、特定の一種の受容体

・特定の一種のウイルスには、特定の一種のプロテアーゼ

が対応するものだと理解しています。

ここで、新型コロナウイルスは、

【受容体もプロテアーゼも多用に対応している】

ことがわかってきたのです。

「多様な感染ルートを持ち」

「多様な増殖の手段を持つ」

これが意味するところは、もちろん、ウイルスそのものの強靱性を示すものでもありますけれど、それと共に、

【治療薬やワクチンを作るのが非常に困難】

であることを示します。

以下は治療薬のコンセプトのひとつですが、

「ウイルスと受容体の結合を阻害する」ということを目的に作ろうとしている治療薬

この場合は、新型コロナウイルスが「 ACE-2」という受容体「にだけ結合する」ことが念頭にある概念ですが、しかし、仮に、

「複数の受容体に結合できて感染するウイルスだとどうなるか」

とか、あるいは、

「細胞表面全体に結合できる能力を持つようなウイルスならどうなるか」

となりますと、このような「受容体との結合を阻害して感染を防ぐ」タイプの予防薬は「事実上作ることができない」ことになります。結合を阻害する目標の受容体を絞ることができなくなるからです。

・ 薬の開発にはもうひとつの方向があります。

いわゆる「抗ウイルス薬」と呼ばれるものと同じようなもので、ウイルスが細胞内で増殖するために必要なプロテアーゼというものを阻害するという方向です。

これができれば、「ウイルスが細胞内で増殖することを防ぐ」ことができることになり、治療薬となり得ます。

しかし仮に、「複数のプロテアーゼを利用できるウイルス」というようなものが存在したならどうなるでしょうか。これもやはり対象となるプロテアーゼを絞ることができないために、治療薬の開発は事実上不可能となると思われます。

そして、新型コロナウイルスはどちらの条件も満たしているウイルスであることがわかったのです。

「複数の受容体に感染する」ということについては、以下の記事ですでにふれています。

インドの科学者たちが発表した「新型コロナウイルスの中に存在するHIV要素」を中国やフランスの科学者たちも発見。それにより、このウイルスは「SARSの最大1000倍の感染力を持つ可能性がある」と発表 [1]

これは、香港のサウスチャイナ・モーニング・ポストの記事をご紹介したものですが、そこに以下のようにあります。

(新型コロナウイルスは)スパイクタンパク質を切断して活性化し、ウイルス膜と細胞膜の「直接結合」を引き起こす。これによりウイルスに感染する。

中国・南海大学によるこの研究が正しければ、新型コロナウイルスは、受容体などとの結合という面倒な手間を飛び越して、

「ウイルス膜と細胞膜の《直接の結合》を引き起こす」

性質を持っている可能性が高いのです。

このウイルスのきわめて高い感染性の理由のひとつはこれだと思います。

そして、ウイルスを活性化させ増殖させるために必要な細胞内のプロテアーゼに関して、通常は「ひとつの種類のウイルスは、ひとつのプロテアーゼを利用する」というように思われるのですが、

「新型コロナウイルスは少なくとも 8種類のプロテアーゼを利用して増殖できる」

ようなのです。

本当に考えられないほど「完璧」なウイルスなのです。

要するに、

「新型コロナウイルスは、通常のウイルスとは比較にならない強力な感染性能と、細胞内での維持性能を持っている」

ということになります。

阻害薬や、抗ウイルス薬の多くが、その個別のウイルスに対応する「受容体」と「プロテアーゼ」が特定の1つだとして開発されると思われます。

しかし、新型コロナウイルスは、「それを複数持っている」ということで、これはおそらくとしか言いようがないですが、

「治療薬は開発できない」

という可能性が高くなってきたと思われます。

・・・・・改めてものすごいウイルスだと感じます。

感染して発症すると、1ヵ月ほども長引くのは、この「細胞内の複数のプロテアーゼを利用できる」ために、ほんの少量のウイルスが残っているだけの状態で(普通なら症状が消えるようなウイルス量でも)発症が続くということなのかもしれません。

あるいは、中国でも日本でも起きている、「退院したのに、再び発症した」というのも、「陰性判定が出たのに、後に陽性となった」という理由もこの「複数のプロテアーゼを利用できる性質」によるものだと思われます。

クルーズ船の60代乗客が感染 陽性→2度の陰性→陽性 [2]

朝日新聞デジタル 2020/03/07

秋田県で6日、大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」から下船した秋田市在住の60代の男性が新型コロナウイルスに感染していたことが確認された。

男性は船内の検査で陽性となり入院したが、その後2回の検査で陰性となり退院。その後の検査で再び陽性と判明した。

おそらくは、「検査では検出されなないほど体内のウイルス量が減少して、検査では陰性と出た」けれど、「ほんのわずかに残っていたウイルスが細胞内の複数の酵素を利用して、また増殖を始めた」ということだと思いますが、このあたりは私は素人ですので、推測にすぎません。

しかし、この推測が正しいのならば、今後ずいぶん長期間にわたり、私たちの社会は、非常に「面倒な時代」を過ごすことになってしまうのかもしれません。致死率が低いことにより、病気の拡大がそう簡単に終息することもなさそうで、「ウイルス自体の変異による消失」を待つしかなくなりそうです。しかし、それがいつになるのか。

いずれにしても、日を重ねるにつれて、このウイルスが「史上最強のウイルス」であることが、さらにわかり続けています。

薬剤・ワクチン開発的な対抗策がかなり厳しいものになってきているかもしれない現状です。

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