2020-12-31

キノコは森の救世主? ~地球史から菌類の可能性を探る~

>菌根菌が森林における樹木の多種共存を維持したり、樹種を置き換える遷移(樹種の移り変わり)を促進したりします。<
>土壌に生息する微生物のはたらき(土壌微生物が原動力となる環境変化)を理解することではじめて森の成り立ちと遷移を理解できる<

 以上、「森の未来は菌だけが知っている? ~森林と微生物の共存関係~」リンク より。

菌類含め微生物には、まだまだ計り知れない可能性がありそうです。社会の大変動が続く来年も引き続き、微生物の可能性を追求していきます。

年末の今回は、森のキノコの働きの本質・可能性とは何か?  地球史の視点から書かれた記事から見ていきます。

 

以下、BE-PAL (2019.01.25) より。

キノコは救世主?菌の地球史に迫る!

もしも世界にキノコがいなかったら、世界はどうなってしまうだろう。

キノコのことを以前は義務教育で、「花の咲かない植物」(注)として教えていたという。しかしキノコは、もちろん植物ではない。

植物は光合成によって二酸化酸素と水から様々な有機物質を作り出し自分の体を形づくる。キノコは枯れ木や動物の死骸を腐らせ分解し、水と二酸化炭素に戻す。正反対の性質をもった生き物だ。

生態系という大きな枠組みの中でいうと、いわば有機物を作り出す生産者の植物に対して、キノコはそれらを元に戻す還元者としての役割を担っている。

世界にキノコが無かったら、割と短期間で、世界は枯れ木や生き物の死骸でいっぱいになってしまうだろう。荒唐無稽な妄想の様だが、長い地球の歴史の中には、かつて、そういう時代もあった。

■まだキノコのいない太古の巨大樹の森は、巨大昆虫の天国だった。

およそ3億5920万年前から2億9900万年前の間、石炭紀と呼ばれる時代の後期。シダ植物の巨大な森林が地表を覆い、翼開長70cmに達する巨大なトンボ「メガウネラ」が飛びまわる。後の恐竜や哺乳類の先祖に当たる両生類や、巨大化した節足動物や昆虫が栄えた時代だ。

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日本最大のトンボ「オニヤンマ」翼開長12cm前後。

トンボは昆虫の中でも、太古から大きく変化していないと言われる。早期に生物の形態として完成していたからだ。

古代トンボ、メガウネラはオニヤンマの約6倍の大きさで、鳥類では猛禽のチョウゲンボウとほぼ同じ大きさ。

昆虫の大型化は、石炭紀の大気中の酸素濃度が高かったからという説がある。当時の酸素濃度は35%ほどといわれ、それ以前のデボン紀の15%、現代の21%に比べても10%以上高い。気圧も現代より高かったという説があり、もしそうならば、実際の酸素の大気中保有量はさらに多かった可能性もある。

酸素濃度が上がったのは、地表を覆い尽くす巨大森林の光合成による酸素の放出と二酸化炭素の減少のためだといわれるが、もう一つほかにも重要な原因がある。それは、巨大森林の樹木が枯れても、それを分解する生物の能力が非常に小さかったからだ。

枯れ木の材を構成する主な成分は、セルロース、ヘミセルロース、リグニンという物質で、地球上でもっとも分解しにくい有機物質として知られている。中でもリグニンは分解できる生物がほとんど皆無で、枯れた巨大樹木は分解し切れないまま堆積し地中深く埋もれ高温、高圧の下で化石化していった。それが、今、私たちの使う化石燃料「石炭」の起源だ。

石炭が今有るのは、古生代後期の石炭紀に、キノコ(白色腐朽菌)がいなかったからだ。

現在でも、生物の中でリグニンを枯れ木など植物遺骸から直接分解できるのは、唯一キノコの仲間だけだ。2億9900万年前、石炭紀が終わりを告げたのは、進化によってリグニン分解能力を持つキノコが出現したか、腐朽菌の能力が進化してより強力になったかどちらかだと考えられる。いずれにしても、リグニンがキノコによって分解されるようになったことで、時代を追うごとに酸素濃度が高くなり続けるという、石炭紀の不安定な状態が解消された。

実際に石炭紀末期は、二酸化炭素濃度の減少によって気温低下を招き、氷河期を迎えている。動物たちには大変つらい時代だった。現在に続く安定した大気組成、これは後の生態系の安定と繁栄のためにも大切なことだっただろう。

リグニンを分解するキノコは、褐色のリグニンを分解し白色のセルロースなどを残し、材の白腐れをおこすことから、白色腐朽菌といわれる。

白色腐朽菌の仲間は、シイタケやブナシメジ、ヒラタケなど栽培できるものが多い。多くが私たちの生活に密接にかかわっている。キノコ狩りの対象になるキノコも少なくない。たとえば、ナメコ、マイタケ、クリタケ等々。

2

白色腐朽菌の仲間。白色腐朽菌には優秀な食用菌も多い。

キノコは独力で、動物は細菌の力を借りてセルロースやヘミセルロースを借りて栄養にする。

一方、枯れた植物のその他の成分。セルロースやヘミセルロースを分解する微生物は古生代石炭紀にもいたはずだ。セルロースは直接動物には消化分解できない。微生物の力を借りなければ、巨大昆虫や動物は植物から栄養を得ることができないからだ。

現代もセルロース分解能力を持つ微生物はたくさんいる。土中に普通に存在するセルロース分解菌や、カビの仲間、身近なところでは納豆菌なども。

草食動物やシロアリの消化器には常在菌としてセルロース分解菌があり、その助けを得て植物を消化して栄養としている。セルロースは多糖類で炭水化物の一種だ。分解されるとブドウ糖になり、リグニンに比べ分解しやすいだけでなく、生物がエネルギー原として利用するのに効率が良い。早くから動物がセルロースを利用できるように進化してきた理由の一端はそういったところにもあるだろうと思う。

キノコの中でセルロースやヘミセルロースの分解を担う菌類を褐色腐朽菌という。白いセルロースやヘミセルロースを分解して、褐色のリグニンを残し、いわゆる材の褐色腐れをおこすキノコの仲間だ。これら褐色腐朽菌は、さすがキノコ。ほかの微生物に比べてセルロース分解能力がずっと強力だ。

微生物が糖にまでしか分解しないのに対し、一部の褐色腐朽菌、ミミナミハタケ、やマツオウジなどのキノコは、セルロースを分解するだけでなく、糖も一気に分解しにアルコールを作り出す。それも菌糸を生ごみに混ぜておくだけという手軽さで。

現在、マツオウジなど褐色腐朽菌を使って、バイオ燃料を生産しようという研究が盛んに行われているという。

③

主に昆虫によってボロボロに風化した枯れた立木。崩れ落ちた地面からやがてキノコが発生する。

枯れた植物を分解してもとに返す、それはキノコを中心にした生物の総力戦だ。

強力な分解能力を持つキノコだが、それでも膨大な植物を菌類だけで消費、還元するのは力不足だ。キノコを要に様々な生物が複雑に連携してやっと植物遺骸を分解し尽くすことができる。

たとえば動物や昆虫が植物を食べセルロースから栄養を取り出す過程で、噛み砕いて細かくしたり、糞として排出することで、キノコの分解効率が上がる。その逆もあって、キノコが木材などを分解することで、材そのものを消化できなかった昆虫などが栄養として利用しやすくなる。また分解の過程で細かくなった成分を細菌がさらに栄養にして分解する。植物を再び水と二酸化炭素に戻すこと、それは全ての生物による総力戦だ。

もっともそれが、キノコにとっても動物にとっても生きる=食べるということなのだけれども。
【人間はキノコを、カブトムシは菌糸を食べる。カブトムシを育てるキノコ「ヒラタケ」】

生態系の中で、分解者、還元者の要を務めるキノコだが、皮肉なことに、今や一番のそして暴力的で破壊的な還元者は、私たち人間かもしれない。

人間が石炭や石油など化石燃料を使い続けることそれは、地球史の時間を逆に巻き戻す行いなのだろう。

(以上)

  投稿者 seibutusi | 2020-12-31 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 

特番『日本コロナの真実とは?コロナ狂騒曲の真相と処方箋』

先回、コロナワクチン接種は、世界支配を目論んでいる者の「選民思想に基づく、人類削減計画」

ウイルスの遺伝子は生物生命に直結した物であると考えると、数十億年かけて共生してきたウイルス遺伝子と違い新ウイルスを直接体内に入れる事は恐ろしくて出来ないはずですが・・

 又、ワクチンの副作用で怖いのは、気が付かない内に不妊症になる事です。(人類削減計画)

と投稿しましたが、新型コロナについて良く解る動画が有りましたので紹介します

 

特番『日本コロナの真実とは?コロナ狂騒曲の真相と処方箋』ゲスト:大阪市立大学名誉教授 井上正康氏 リンク

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新型コロナウイルスの医学的実害が驚くほど少ない事が明白であるにも関わらず、国内では極めて深刻な生活被害が未だに続いています。

この被害はテレビ視聴率と相関しており、「メディアが煽った恐怖心による国家レベルの思考停止と過剰反応」が本質です。

医学的根拠の無い自粛と同調圧が深刻な実害を与え続けています。

新興感染症では、時間経過とともに明らかになる客観的事実に基づき、過剰反応せずに少しずつ軌道修正しながら対応することが大切です。

しかしながら、残念なことに、冷静で科学的な視点よりも、メディアが流す情報に翻弄されてきたのが日本の実態でした。

メディアは毎日、“コロナの恐怖心”をあおり続けましたが、実際のところ、日本の感染症は欧米諸国とは全く異なっており、重症者数や死者数も欧米よりけた違いに少ないのが事実です。

【ポイント】

●日本で重症化した人や死亡者が少なかったのは、弱毒株の新型コロナが早い時期に入国していたから。
●「PCR陽性=感染者」ではない!発症した患者さんを医師が診断してはじめて、新型コロナウイルス感染者になる。PCR法は何を検出しているのかというと、ウイルス遺伝子(新型コロナウイルスRNA)の断片になります。

ウイルス遺伝子の断片が見つかったということは、「ウイルスが今いる」、あるいは、「少し前にいた痕跡がある」ということになります。ウイルスの断片が残っていれば陽性になるということです。そのうえで、ウイルスの状態がどうなのかまでは、わかりません。

参考リンク

●新型コロナウイルスに対してリスクが高いのは、がんの化学療法をうけている人、糖尿病や生活習慣病のある高齢の「免疫弱者」

●若年や働き盛りの世代は極めてリスクが低いので、適切な感染予防を講じたうえで、しっかりと経済活動をすることが重要。

●東アジアの民族は何万年も前から土着のコロナウイルスと共存して生活してきたため、コロナウイルスに対して、ある程度の免疫力を発揮する。

コロナワクチンは遺伝子ワクチンで「DNA・RNA」を筋注して免疫反応を起こさせるもので、昨年までは、家畜に使っていたが、人体に使った経験が一度もありません。

遺伝子改変が起きてアナフィラキシなどの強烈な副作用が起きる可能性があるのです。

注)アナフィラキシー(英: anaphylaxis)とは、原因物質(抗原)により感作される準備期間の後、その原因物質が再び生体に接触することで引き起こされる免疫学的機序による全身的なアレルギー反応 。

以上です 

  投稿者 seibutusi | 2020-12-29 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 

共同体社会での「家族農業の挑戦」~国連家族農業の10年

最近の報道で「コロナ禍の世界 飢餓の拡大を止めたい:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)」「今、世界では「飢餓パンデミック」と流されている。

その様な状況で 日本の零細農業(古来から続いて来た「自然との共生関係」)の在り方が注目されています。

一方で、コロナ禍後の世界は、共同体社会群(自主独立は自集団で食料生産が出来る)がネットワークで結ばれ有機体(生命原理に則った進化形態)になるとの予測もあります。

今回は、注目すべき記事を転載します。

JOG(1191) 家族農業の挑戦~「国連家族農業の10年」リスト(国際派日本人養成講座より)

■1.2019~28年「国連家族農業の10年

「日本の農業は零細で、海外とは生産性で敵(かな)わないから、もっと大規模化しなければ」と世間では言われてきましたし、筆者もそう信じ込んできました。しかし、今や潮目は変わりつつあります。

2017年12月20日の国連総会で、2019年から28年を「国連家族農業の10年(The UN Decade of Family Farming)」とすることが全会一致で可決されました。家族農業とは、家族労働が中心の農林漁業を指します。

世界の5億7千万の農場のうち5億以上を占めており、食料の70%以上(価格ベース、2016年)を供給しています。[小規模、p11]  世界的な人口増で2050年までに現在よりも60%も多くの食料を生産する必要があるのですが、そのためにも家族農業が中心的な役割を担う、という考えに基づいています。

食料増産と言えば、穀物メジャーなど国際的な大規模農業を連想しますが、それらは環境や食の安全、土地生産性の面で多くの問題を抱えており、人類社会の健全な発展には、伝統的な家族農業を発展させていかなければならない、という認識なのです。

■2.国際的アグリビジネスの環境破壊、農薬汚染、フードマイル

まずは大規模農業の実態を見てみましょう。アメリカの大規模農業のシンボルは「センターピボット」と呼ばれる散水施設です。半径400m、面積50ヘクタールの円形農場を、時計の針が回るように散水管が回転しながら潤します。こうした農場が集中しているネブラスカ、コロラドなど7つの州にまたがる大穀倉地帯は、耕地面積が日本の国土の1.2倍もあります。

さらに限られた場所で集中大量生産された食料は、遠くの消費地まで運ばなければなりません。1トンの食料を1キロメートル運ぶと、1t・kmと計算する指標がフードマイルです。

我が国のフードマイルは輸入食料の多さと、アメリカやオーストラリアなどの生産国から遠いことで、8669億t・kmに達し、2位の韓国、3位のアメリカの3倍というダントツ状態になっています。

また大規模に耕作し、遠距離を運ぶためには、その過程での品質リスクが生じます。農林水産省の調査で「小麦には、アメリカ産では9割以上、カナダ産ではほぼすべてと呼べる水準でグリホサートが検出される」と判明しまた。グリーンホサートは長年使われている除草剤ですが、発がん性などが疑われており、アメリカでは使用禁止を求めてさかんに訴訟が起こされています。

■3.大規模農業の非効率性

国際的な大規模農業に比べれば、家族農業の資源効率の良さは圧倒的です。家族農業は世界の農業資源(土地、水、化石燃料)の25%を利用するだけで世界の食料の70%以上を生産するのに対し、大規模農業は資源の75%を浪費しながら、30%の食料しか提供していません。

しかも生産された食料の3分の1が長距離長期間の流通や消費の過程で有効利用されずに、廃棄されています。世界では8億人が慢性的な飢餓状態におかれる事を考えれば、巨大なムダを発生させています。

土地の生産性も段違いです。日本の農地1ヘクタールが約10人を養えるのに、欧州随一の農業国フランスで2.5人、アメリカでは0.9人、オーストラリアに至っては0.1人です。これは日本の土地の肥沃さ、雨の多さ、水田の活用などの要因もありますが、国土の狭い我が国ではアメリカやオーストラリアのような大規模粗放農業は適さない、ということです。

■4.83歳の母が50種類以上の自給野菜を作っています

家族農業の実態を見てみましょう。たとえば、福島県二本松市で農民民宿を営む菅野正寿さんは、次のように記しています。

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83歳になる私の母は、毎日畑に行き、さやえんどう、ネギ、キャベツ、里いも、白菜、シソの葉、玉ねぎなど年間で50種類以上の自給野菜をつくっています。さらに梅干し、たくあん、白菜漬け、わらび漬けなどを手作りし、4年前に開業した農家民宿のお客さんに好評です。[農民、p75]

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50種類もの作物を作っていれば、干ばつ、洪水、台風、害虫、病害などの被害を受けるのも、特定の作物でしょう。作物の多様性が、食料供給の安定性を大きく向上させるのです。土壌や水資源など周辺環境への影響も無視できるほどでしょう。もともと自然は多様性、分散性を本質としていますから、それに沿った農業形態なのです。 農園で採れた作物を自分たちや民宿のお客さんが食べるわけですから、フードマイルはせいぜい数十メートルでしょう。しかも旬の時期に採れたてを食べられるのです。農薬もほとんど要らないでしょうし、長距離輸送のための箱詰めや取引業務も不要です。

なにより、高齢者が元気に社会のお役に立っている、という姿は長寿社会の理想です。また家族農業は田舎で就業機会を生み出せるのです。

■5.都市住民も「マイ田んぼ」でお米の自給

すでに国内外で、家族農業の形態をさらに広げる試みがなされています。

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農家民宿でつながった都市住民が、「マイ田んぼ」として米づくりをしています。埼玉のご夫婦、市民団体、学生、福島大の先生など5組が、それぞれ150坪くらいの我が家の田んぼを耕し、田植え、草取り、稲刈り、脱穀などに関わっています。私は、苗代、草刈、水管理、有機肥料などの経費と管理料をいただいています。[農民、p76]

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「マイ田んぼ」を持つ人々は「自分の家族が食べる米は自分で作りたい」と話しているそうです。都市住民も兼業農家となって、自分で作ったお米を食べられる時代になってきました。

奈良県大和郡山市では市内小学校の父兄と農民団体が協力して、親子農業体験のイベントを開催し、そこで採れた作物を学校給食に提供しています。令和元年にはタマネギ、ジャガイモ、ニンジン、カボチャなど5品目2130キロを供給しました。 子供たちの健康を増進し、農業を体験学習できるだけでなく、農民の方も高齢で離農を考えていた人々がお役に立てることで元気になったり、新規就農した青年が安定した収入を得られるなど、大きなメリットが生まれています。

■6.「消費者が食べているのは流通経費とサービス料」

都市近郊の農地で採れた作物を、近くで直売することも広がっています。農民作家の山下惣一氏はその価値をこう語っています。

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私の所属するJA唐津市の共販の露地ミカンの一○キロ一箱のセリ値は、加重平均で七○○円であった。ところが、集出荷、ダンボール代、運送費などの出荷経費が一箱につき六五○円かかる。つまり、ミカン一○キロ一箱の流通経費六五○円、農家手取り五○円である。リンゴも同様だった。消費者が食べているのはミカンやリンゴや野菜の姿をした流通経費とサービス料なのだ。[山下、p197]

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これが産地近くの直売所では、こうなります。

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私たちが村はずれの国道沿いに農水産物の直売所を開いてから八年がたった。一三○名の農家で組織し、店員二人をおいて、盆、正月に数日間閉める以外は毎日やっているが、じつによく売れる。新鮮な農水産物が、生産者の受け取り額は高く、消費者の支払う額はより少なく喜ばれている。・・・農家がやっている無人、有人、農産加工、レストラン等の販売所は九州七県で一九三二か所ある。私の近くでも山村である七山村(ななやまむら)の「鳴神の庄」のように、年商二億円を超え、法人化して村活性化の中核になっている例もある。[山下、p197]

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これが地産地消の効率性です。前号では、「身土不二」すなわち人間と大地は繋がっており、人は生まれた場所から3里(12キロ)ないし4里(16キロ)の歩ける範囲内で採れた作物を食べるのが良い、という伝統的思想を紹介しました。自給、地産地消はまさしくこの「身土不二」を実現する生活スタイルなのです。

■7.広がる都市農業

(略)

■8.自然の力を利用して収穫をあげるアグロエコロジー

家族農業は環境保全にも役立ちます。特にアグロエコロジーと呼ばれる農法は、農薬や化学肥料など人為的な外部からの投入物を減らし、微生物など生物多様性の力を最大限に活用します。自然の恵みを最大限に生かして、食べ物をいただく農法です。

大規模農業では単一種の作物を広範囲に作る、という不自然なことをしています。単一作物の栽培によって、生物の食物連鎖のバランスが崩れ、雑草や害虫がはびこりやすくなります。それを農薬で抑えようとすると、土壌が酸性化して土壌微生物が生息できなくなり、枯れ葉や死んだミミズなどを分解して栄養素を作物に供給することができなくなるのです。

大規模農業で土地が痩せ、収率が低下していくのは、自然の生命の循環を破壊しているからです。それを自然の循環に即して、恵みをいただこう、とするのが、アグロエコロジーです。

我が国で古くから行われていた合鴨(あいがも)農法とは、水田に放し飼いされた合鴨が雑草や虫を食べ、その排泄物が稲の養分となることで、無農薬で収穫を格段に上げるアグロエコロジーの一手法です。水田で魚を飼う農法も同様の効果を生みます。

思えば、国際的な大規模農業は近代物質文明の産物でした。英国の産業革命では、北米大陸南部で黒人奴隷を使った大規模プランテーションを作り、そこで栽培した綿花を輸入し、機械式の織機で作った織物を輸出する体制が作られました。この時点ですでに大規模農業が現れています。

それは人間が自然を思うままに改変し、搾取してよしとする「不自然」な農法でした。自然を破壊し、人間の健康も脅かし、なおかつ生産性も低い、というのも当然でしょう。その過ちに気がついた所から「国連家族農業の10年」は始まりました。

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  投稿者 seibutusi | 2020-12-25 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 

「微生物燃料電池」の可能性 ~汚水や廃水を燃料にして微生物が発電~

環境破壊阻止の観点から、脱化石燃料⇒自然エネルギー(太陽光や風力など)への 転換の試みが各国で進められています。コロナ禍を受けて、この流れはますます加速されると考えられます。その中で、微生物の力で発電する「微生物燃料電池」の開発も進められているようです。

 「微生物燃料電池」の可能性とは? 現状の開発状況を解説する記事から紹介します。

Gigazine 2020年12月24日 より。

汚水や廃水を燃料にして微生物の働きで発電する「微生物燃料電池」が秘める可能性とは?

気候変動の緩和が世界的な課題になっている中で、各国は太陽光や風力といった再生可能エネルギーを用いた発電の導入を進めています。近年では広く知られている太陽光発電や風力発電に加え、微生物を利用して廃水などから電力を作り出す「microbial fuel cells(微生物燃料電池)」 が注目されているとのことで、ウェストミンスター大学で生体触媒テクノロジーについて研究するGodfrey Kyazze氏が、微生物燃料電池の仕組みや応用について解説しています。

Four ways microbial fuel cells might revolutionise electricity production in the future

燃料電池には外部回路へ電子が流れ出すアノード(マイナス極)と外部回路から電子が流れ込むカソード(+極)が存在し、両電極間に与えられた燃料を消費して発電を行います。微生物燃料電池では電極で燃料から電子を取り出す反応を、「有機物を分解して電子を取り出す微生物」が担っている点が特徴です。

一般的な微生物燃料電池はアノード室とカソード室が膜で隔てられており、触媒となる微生物はアノードで成長し、燃料中の有機物を分解して電子と水素イオンに変換します。この反応で生成された電子は外部回路を通じてカソード室へ流れ込み、水素イオンも膜を通ってカソード室へ移動するため、カソード室では水素イオンと電子が反応して水が生成されます。継続的に燃料中の有機物が微生物によって分解され、電子が外部回路を通ってカソード室へ送られることにより電流が発生するという仕組みです。

記事作成時点では、すでに小型のファンやLEDライトを稼働させられる微生物燃料電池が開発されています。また、微生物燃料電池には「塩分への耐性が強い」「室温でも動作する」「さまざまな物質を燃料にできる」という利点もあることから、将来的に発電システムを大きく変える可能性もあるとのこと。

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Kyazze氏は、微生物燃料電池の応用が有望とみられている4つの事例について説明しています。

◆1:糞尿を使った発電
糞便や尿に含まれる生分解性の有機物は、微生物燃料電池が電気を生み出す燃料として注目されています。実際にガーナではトイレに微生物燃料電池を実装する(PDFファイル)研究が行われており、トイレが発電所になる可能性が示唆されたとのこと。

この実験ではおよそ2年間にわたり微生物燃料電池を装備したトイレが使用され、尿から窒素を除去して糞便を堆肥にしながら、トイレ内のLEDライトへ電力を供給するのに十分な電力が生成されたそうです。電力網が整備されていない遠隔地や難民キャンプにおいて、トイレ内の糞尿を燃料にして発電できるこの仕組みが非常に役立つ可能性があるとKyazze氏は述べています。

◆2:植物を使った発電
微生物燃料電池を応用することにより、生きた植物を使って発電を行うこともできるとのこと。以下のムービーでは、どのようにして植物を使って発電できるのかが説明されています。

Plant-e animation [EN] – YouTube

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◆3:低電力な脱塩システム
微生物燃料電池の少し変わったバリエーションとして注目されているのが、微生物を使用した「脱塩システム」です。このシステムでは、微生物燃料電池のアノード室側に陰イオン交換膜を、カソード室側に陽イオン交換膜を設置し、2つの膜の内部に脱塩したい水を入れます。

微生物が反応してアノード室側で水素イオンが発生した場合、水素イオンは陰イオン交換膜を通過して脱塩したい水の方へ移動できません。そのため、脱塩したい水から陰イオン交換膜を通って陰イオンがアノード室側へと流れ込みます。一方、外部回路を通って電子がカソード室側へ移動すると反応で水素イオンが消費されるため、陽イオン交換膜を通って脱塩したい水から陽イオンがカソード室側へ流れ込みます。

このやり取りを繰り返すことで、2つの膜に囲まれた水が脱塩されるとのこと。既存の海水を淡水に変えるシステムは非常に大きなエネルギーを消費するため、発電しながら大規模な淡水化を達成する方法は革命的だとKyazze氏は述べています。

◆4:メタン発酵法の効率改善
メタン発酵法(嫌気性発酵法)は廃水に含まれる有機物を微生物に分解させ、天然ガスとして利用可能なメタンガスを主成分とするバイオガスを取り出す方法です。一般的にメタン発酵法は非効率的だそうですが、Kyazze氏によるとメタン発酵法と微生物燃料電池のシステムを組み合わせたelectromethanogenesisという手法を用いることで、メタン発酵法の効率を改善できるそうです。

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記事作成時点では複数のスタートアップが微生物燃料電池の商品化に向けた研究を行っているそうで、将来的には微生物燃料電池が宇宙空間における発電に使用され、長期的な宇宙ミッションで電力を供給する可能性もあるとKyazze氏は述べました。

 

(以上)

  投稿者 seibutusi | 2020-12-24 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 

コロナワクチンは、「選民思想に基づく、人類削減計画(気付かれず不妊症にする)」

最近の「コロナワクチンに関するニュースリンク)」は国民全員に接種しなければ・・との世論形成が始まりました。

まさに新型コロナ報道と同じですね。

コロナワクチン接種は、世界支配を目論んでいる者の「選民思想に基づく、人類削減計画」ではと推測します。

前回の記事で、人間の身体と大地は繋がっている~「身土不二(しんどふじ)」の思想 (リンク)【「身」すなわち人間の身体と、その人間が生まれ育った「土」つまり大地は「不二」、二つではなく一体。】と記載しましたが、その中心的役割を果たしたのはウイルスであると考えます。(ウイルス進化説)

そもそもウイルス(遺伝子を持ったナノサイズの粒子)は、その地域の自然環境に適応する為に変異を繰り返し、生物と共生関係(生物の細胞内で代謝及び増殖を行い、生物に有益な遺伝子与える)を築いてきた。特に哺乳類の細胞は恒温で栄養も豊富にあるので最も良い共生対象となる。

又感染症(ウイルスが原因となる)は地域限定の風土病(特定の動物ネズミ・豚・蝙蝠などと共生関係)であり、その地域に住む人は免疫を獲得している。

しかし人口が増え、遠隔の他集団との交流の増加に合わせて、風土病(感染症:天然痘・ペスト・コロナ等)が世界に広がった。その中でワクチンで絶滅できたのは天然痘だけであり、その他のワクチンは副作用の方が問題となっている。

現在開発中のコロナワクチンには、①不活性したウイルス接種する方式(従来方式) ②ウイルスの遺伝子を接種方式があり、現在②が主流となりつつあります。

そこでウイルスの遺伝子は生命原理に直結した物であると考えると、数十億年かけて共生してきたウイルス遺伝子と違い新ウイルスを直接体内に入れる事は恐ろしくて出来ないはずですが

 又、ワクチンの副作用で怖いのは、気が付かない内に不妊症になる事です。(人類削減計画)

以下に関連記事を転載します

コロナワクチン:これまでの実験の結果や内部告発のまとめ:不妊、重篤な副作用、予防効果なし リンク

こちらは「内部告発」という形の情報ですが、これまでのビルゲイツのワクチン犯罪(アフリカやインドで不妊になった少女が続出)や、GSK社の企業倫理の低さなどを考えると、信ぴょう性が高いように思われます。

巨大製薬企業GSKの内部告発者:「新型コロナワクチンを接種した者の97%が不妊になった」[

・概要: GSK(グラクソ・スミスクライン)社の内部告発者は、このワクチンに含まれるそれぞれの性別に特化した抗原は、ヒトの生殖能力に有害であると考えている。・(中略)

・この内部告発者が送信してきた情報によれば、新型コロナウイルスのワクチンはすでに完成しているが、これには様々な抗原および「化学物質の混合物」が含まれているという。そしてその一部は有害であるとしている。

このワクチンの原料に関して、内部告発者が主張する内容は次の通り。 1. 抗hCG抗原:女性の不妊症を引き起こす抗原。

(後略)

予防接種が免疫低下を招く理由(抗体=免疫という嘘) リンク

新型コロナワクチンはビルゲイツらディープステートによる人口削減計画 リンク

2020年4月24日18時45分ロシア公共放送の番組「人と法律」でビルゲイツによる新型コロナウイルス(covid19)とワクチン開発への取り組みに関して放送されました。

かつては陰謀論とみなされていた話が今や公共放送で報道されるようになった。

(中略)

・ビルゲイツは世界中でワクチン強制摂取による人体実験を行っていた

ビルゲイツが開発したワクチンでインドの子供50万人が身体麻痺を起こした

ロシアの公共放送の記者達は、これまでビルゲイツが行ってきた驚愕のワクチン実験の事実を明らかにし公表した。

ビルゲイツの出資でインドのポリオワクチンが実施され、WHOはこの結果を良好だと発表した。

この発表と同時にインドの独立系医師たちはビルゲイツによるポリオワクチンの副作用で50万人の子供たちの体が麻痺したと発表した。

その後ビルゲイツはインドの国立諮問機関に圧力をかけて新しいワクチンの導入を受け入れさせた。

それは50種類のポリオ混合ワクチンを5歳以下の子供たちに受けさるというものだった。

・インドの医師たちはビルゲイツ財団を告訴し国立諮問機関の会員から除名した

インドの医師たちはビルゲイツがインド国家へ破壊的活動を行ったとしてビルゲイツ財団を告発した。

2017年インド政府はビルゲイツのワクチンの使用を中止して、ビルゲイツとビルゲイツの息がかかった人々を国立諮問機関の会員から除名し追放した。

・自然に存在するポリオではなくビルゲイツが開発したワクチンに混入されたウイルスでポリオに感染

一方でアフガニスタン、ナイジェリア、コンゴ、パキスタンではビルゲイツによる子供たちへのワクチンの接種が続行された。

WTOはポリオワクチンを接種された子供たちは不自然な形でポリオに感染していたと発表した。

ポリオに感染したほとんどの子供たちは自然によるウイルスではなく、ワクチンに混入されたウイルスでポリオに感染した。

2019年の報告書のデータでは113人が自然のポリオで感染し、195人はワクチンのウイルスが原因で感染した。

ポリオが問題になっていなかった国ではワクチンが原因でポリオに感染率は100%

(中略)

・ビルゲイツは10年前に人口削減計画の構想を発表している

ロシア公共放送のジャーナリストは10年前にビルゲイツがこのような言葉を述べたと語っている。

「現在世界人口は68億人に達しているそして96億人にまで増加が見込まれている。新しいワクチンと新しい医療と新しい出産システムを構築したら、人口増加を今よりも10~15%抑えられると想定している。」

・戦争ではなくウイルスを使えば10年で1000万人以上の人間を削減する事ができる

さらにビルゲイツはこう語る。

「現在は世界破滅の最大の脅威はもはや兵器や爆弾のようなものではなく現在では細菌、ウイルスである」

「もし私が直近の10年間で1000万人以上の人間を削減することができるとすればそれはウイルス。戦争や爆弾ではなく細菌だ。」

・ビルゲイツは開発した新型コロナのワクチンを700万人に接種させると発言

現在もビルゲイツはワクチン開発に関して活発に活動している。

今回の新型コロナウイルス流行の初期にコロナウイルスワクチンの開発を宣伝し既に2億5000万ドルの投資をしている。

ビルゲイツ「通常新しいワクチン開発には5年の期間が必要だが、我々は今18ヶ月で完成できるように動いている。開発が順調に進めば18ヶ月よりも早くワクチンを完成させることが可能。完成したワクチンは最終的に700万人が摂取することになる。」

・ビルゲイツはワクチンにマイクロチップを埋め込み人体を管理すると発言

「ワクチンにはマイクロチップでデジタル証明が入る」とビルゲイツは語る。

この仕組みはコロナウイルスのワクチン接種をしたかどうかを明確にするために使われる2019年12月、2つの大学の研究者はデジタルタトゥーを開発中であると述べている。

これはビルゲイツに様々なワクチンを接種していない人間を特定する解決策を依頼されたためである。

このマイクロチップでは脈拍や生理周期、血圧や生命活動における情報が管理されるという情報もある。

最終的にはそうなる可能性は高い。

・新型コロナによるリハーサルが上映されていた

イベント201で新型コロナウイルスの感染拡大によるこの世の終わりのリハーサルが上映された

人と法の番組制作者はさらに興味深い情報を提供している。

2019年11月武漢で初めての感染拡大が始まる2ヶ月前にネット上でイベント201というドキュメンタリーが公開された。

このイベント201の内容は「この世の終わりのリハーサルが行われていて大規模なコロナウイルス感染症の発生をシュミレーションする」というものだ。

このシュミレーションはジョンホプキンス大学医療保障センター世界経済フォーラムビルメリンダゲイツ財団等が主催した。

この主催者たちによって制作されたドキュメンタリーはシュミレーションの結果を受けて関係者が次のように発言している。

 

(中略)

まとめ

このようにビルゲイツが自身の配下のWTO(世界貿易機関)と共に、開発したワクチンによる人口削減計画を世界の人々に実行してくるとしたら、私たちは彼らの背後に何があるのか理解すべきである。

ロシアの中で最も大きなマスコミがこの問題に対して真正面から行動していることは驚愕な事実だ。

しかしこのおかげでロシアのほとんどの国民が知識を武装してワクチン反対に臨むことができる。

自分が知らないものを自分に注射させることを許さないようにするべきだ。

特に西側の文明で政治会社を買収した上で、満面の笑みで我々を助けたいと言ってくる人は特に警戒すべきである。

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  投稿者 seibutusi | 2020-12-18 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 

日本は「まわりじゅう食べものだらけ」~人間の身体と大地は繋がっている

最近の報道で「コロナ禍の世界 飢餓の拡大を止めたい:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)」「今、世界では「飢餓パンデミック」と流されている。

前回の記事で、数百年続く日本企業は「共同体の和と自然との和生物原理」を持っている と記載しました

その中で自然との和を生かす「日本料理」】を紹介しましたが、

今回は、日本の食材について 記載した記事を紹介します

日本人は、日本列島で採れる豊かな食材に合った身体を発達させてきた

「まわりじゅう食べものだらけ(我々の先祖は、代々、この恵まれた自然の中で得られる食べ物で生活していました。3里四方で採れる食材だけで栄養は十分でした。)」

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人間の身体と大地は繋がっている~「身土不二(しんどふじ)」の思想 (リンク

■1.「身土不二」の思想「身土不二」という言葉を聞かれたことがあるでしょうか。

「身」すなわち人間の身体と、その人間が生まれ育った「土」つまり大地は「不二」、二つではなく一体だという思想です。

考えて見れば、私たちの身体は食べたものを分解し、そこから得られた栄養素から形成されています。そして、すべての食物はもともと、大地から育った植物か、それを食べて育った動物でした。

したがって、我々の身体は食べ物を通じて大地と繋がっているのです。

この認識の上で、身土不二は、生まれた場所から歩いて行ける範囲、3里(12km)ないし4里(16km)の範囲で育った食物を食べるのが良いという思想です。

タイの養殖エビ、カリフォルニアのオレンジ、オーストラリアの牛肉を日常的に食べている我々の現代の生活から見れば、とんでもない暴論に聞こえます。 しかし、この説には科学的根拠がないわけではありません。たとえば、日本人には牛乳を飲むとお腹を壊す人が少なくありません。これは牛乳が、もともと日本の土地で生み出された飲み物ではないからです。

■2.牛乳でお腹を壊さない方が少数派

インドから独立したバングラデシュがたび重なる洪水と飢餓で苦しんでいるため、フランス政府が救援物資として粉ミルクを贈ったことがありました。ところが、それを飲んだバングラデシュの人たちが下痢と腹痛を訴え、死者まで出る騒ぎになったそうです。

(中略)

調査の結果、驚くべき発見がありました。

まず、すべての人類は、生まれてから7歳ぐらいまでは乳に含まれる乳糖(ラクトーゼ)を消化吸収する酵素(ラクターゼ)をもっています。これがないと母乳を飲んでも下痢してしまうのです。

ところが一部の人々では、7歳を過ぎるとラクターゼが消滅する事が判りました。バングラデシュの人たちもブラジルの人も、ラクターゼをもっていなかったことが症状の原因だったのです。

当初、このラクターゼ欠乏症は一部の人々とみられていました。しかし、調査が進むにつれて、じつはそれが世界の多数派で、むしろ7歳以降もラクターゼを持っている人々の方が、世界全体で20%程度の少数派であるという事実が判明しました。

■3.ヨーロッパの自然環境の貧しさから生まれた牛乳を飲む習慣

成人してもラクターゼを持っているのは、スウェーデンやノルウェーでほぼ90%と、ヨーロッパ北部が中心でした。 ヨーロッパ北部は寒冷のため濃緑色の葉物野菜は育たず、不足するカルシウムを摂取するために、6千年ほど前に牛や羊の家畜化を始めてから、その乳を飲むようになったのです。その過程で、離乳期が終わってもラクターゼを分泌し続ける体質が突然変異で現れ、適者生存でヨーロッパ人の主流となりました。

したがって、ヨーロッパ人が牛乳を飲むのは、厳しい気候のもとで野菜に恵まれない風土に、やむなく適応した結果なのです。言わば、彼らなりの「身土不二」の実践でした。

明治時代に医学や栄養学の指導者としてやってきたのは、北ヨーロッパに住むドイツ人が中心でしたので、牛乳を飲むことを「文明的」な食事として推奨しました。この誤解が今も続いているようです。

ヨーロッパ人のような体質の突然変異を経験せず、自然の豊かな国土に住む日本人は、わざわざ牛乳をカルシウム源として飲む必要はありませんでした。小松菜や大根の葉など濃緑色の葉物野菜、および味噌、豆腐、納豆など大豆を使った食品で十分にカルシウムを採れるからです。特に大根の葉は同じ重量の牛乳に比べて、2倍のカルシウムを含んでいます。

■4.「まわりじゅう食べものだらけ」

ヨーロッパに比べれば、日本列島の自然の豊かさは歴然としています。鹿児島に住んでいるあるアメリカ人女性は「日本の田舎の人は、食べものに囲まれて暮らしている」と言って、こう続けたそうです。

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海に出れば魚、貝類、海草、山へ行けば木の実、草の実、山菜。季節ごとにいろんな食べものがとれる.こんな豊かな自然はほかにないわ。まわりじゅう食べものだらけ。

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我々の先祖は、代々、この恵まれた自然の中で得られる食べ物で生活していました。3里四方で採れる食材だけで栄養は十分でした。 上の発言に「海草」が出てきますが、最近の研究では海草を分解できる腸内細菌を持っているのは、世界の中でも日本人だけだそうです。多くの外国人は寿司は好きでも、海苔は「ブラック・ペーパー」と言って嫌います。海苔の食物繊維を消化できず、そのまま排泄してしまうのですね。日本人は海草類を食べ続けた過程で、それに適した細菌を腸内に取り込んだようです。[大腸]  日本の伝統食に関して、島田博士はこう結論づけています。

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私たちの先祖が大事にしてきた米、粟、麦、ソバなどは、澱粉の供給源として非常に優れたものである。これで十分な炭水化物と若干の蛋白質は確保できるから、あとは蛋白質と脂肪の供給源があれば三大栄養素は大丈夫である。大豆はこの両方を満足させる食品である。日本人が穀類(米とは限らない)と大豆を核とした食生活を営んできたことは理にかなったことであった。他にいくらかの野菜があればビタミンもミネラルも必要な量は確保できる。

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■5.欧米人を驚かせた、かつての日本人の体力

戦国時代に日本に上陸した最初のキリシタン宣教師フランシスコ・ザビエルは、日本人を観察して「彼らは時々魚を食膳に供し米や麦も食べるが少量である。ただし野菜や山菜は豊富だ。それでいてこの国の人達は不思議なほど達者であり、まれに高齢に達するものも多数いる」と書き残しています。 明治初年に日本で動物学・生理学を教えたアメリカ人のエドワード・モースは、人力車の「車夫たちは長休みもしないで、三十哩(今でいうおよそ50km)を殆ど継続的に走った」と驚きを語っています。[アグリコ日記]

これに比べれば、現代日本人は、かつてのご先祖様よりはるかに豊かな栄養をとっているのに、これほどの体力はありません。逆に国民病とも言われるスギ花粉症などに悩まされています。

和歌山県の山村に住む医師の報告によれば、山林労働者は大量にスギ花粉を吸っているはずなのに、スギ花粉症の人はほとんどいないとの事です。原因を調べてみると、山林労働者の朝食は米飯が95%であるのに、スギ花粉症の人々は60%がパン食でした。そこでスギ花粉症の人々の朝食をパンから米飯に変えると、ほとんどの人の症状が楽になったそうです。 この原因として、麦は米に比べるとほとんどが輸入のため収穫したあとに農薬をかける(ポストハーベスト農薬)ので残留農薬が多い、パンは米に比べ食品添加物が多い、などが考えられています。[山下、p210]

■6.「米を食べるとバカになる」

(中略)

米飯食からパン食に変わったのは、それを促進した一大キャンペーンがあったからです。昭和30年代、日本は高度経済成長のためにアメリカへの工業製品輸出を増やす必要がありました。そのためには輸出入のバランスから、アメリカからの食料輸入を増やすことが求められました。食料輸入を増やせば、農村の労働力を大量に都市部に移して、工業化を促進することができます。 アメリカとしても、農産物の対日輸出を増やすことは大歓迎です。こうして日本人の米飯食をやめさせ、パン食に切り替えることは、当時としては一石三鳥の政策だったのです。 そこで日本人にパンを食べさせようというキャンペーンが大々的になされました。当時、大脳生理学の専門学者が米食を否定し、それをもとに製粉・製パン業界が「米を食べるとバカになる」というパンフレットを何十万部もばら撒きました。朝日新聞も昭和32年9月3日の『天声人語』で、こう述べています。

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  投稿者 seibutusi | 2020-12-10 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 

「日本文化に学ぶサステナビリティ」~江戸時代の循環型社会から学ぶ~

「持続可能な社会」の実現態、それが江戸時代 リンク

“和”のパワーを原動力にした日本企業が世界で活躍している。リンク

コロナ禍で世界経済が急下降し、世界が大転換期に直面している今。その突破口は「和のパワー」にあるのかも知れません。

今こそ、現代人が「日本文化」、中でも「江戸時代」に学ぶべき点は何か。

江戸時代の循環型社会について今年6月に開催されたイベントのレポートより、考えていきたいと思います。

以下、「IDEAS FOR GOOD」の【イベントレポート】2020.8.17. より。

「日本文化に学ぶサステナビリティ」
江戸時代の循環型社会から学ぶサーキュラーエドノミー

欧州を中心に発展したサーキュラーエコノミー(循環型経済)の概念は、今や中国や東南アジア、南米・アフリカなどでも広がりを見せている。

日本でも、特に江戸時代に循環型社会が確立していたとよくいわれる。一体、具体的にどのような点が「循環型」だったのか、そして現代に適用できるものはないのか。

そんな問いを探るオンラインセミナー「日本文化に学ぶサステナビリティ」が2020年6月8日に一般社団法人サステナブル・ビジネス・ハブ(以下、SBH)と世界のソーシャルグッドなアイデアマガジン「IDEAS FOR GOOD」の共催で開催された。第一回のテーマは「サーキュラーエドノミー~江戸時代の循環型社会を学ぼう~」だ。

今回は、イベントの中から特に印象に残った部分をご紹介する。

・登壇者

北林功さん(一般社団法人サステナブル・ビジネス・ハブ 理事、リサーチャー/COS KYOTO株式会社 代表取締役、コーディネーター/一般社団法人Design Week Kyoto実行委員会 代表理事)

沼野利和さん(一般社団法人サステナブル・ビジネス・ハブ理事、事務局長/グロービス経営大学院准教授/公益財団法人小笠原流煎茶道 教授・評議員)

加藤遼さん(一般社団法人サステナブル・ビジネス・ハブ 理事、プロデューサー/IDEAS FOR GOOD Business Design Lab. 所長/内閣官房シェアリングエコノミー 伝道師)

・ファシリテーター

加藤佑(ハーチ株式会社 代表取締役/IDEAS FOR GOOD 編集長)

なぜ、江戸時代は循環型社会を実現していたといわれるのか

まず、ファシリテーターの加藤による、世界におけるサーキュラーエコノミーの動きの共有からイベントはスタート。英国サーキュラーエコノミーの推進機関エレン・マッカーサー財団の「サーキュラーエコノミーの3原則」や「取って使って捨てる」リニア型モデルからの転換、経済的利益と環境負荷の分離など、世界のサーキュラーエコノミーの考え方や潮流が説明された。

続いて、このような海外の動きを踏まえつつ、江戸時代の日本の循環型社会はどのようなものだったか北林さんより解説された。

最盛期の江戸の人口は100万人を超えていたといわれ、世界最大級の都市であった。さらに、江戸時代後期の日本の人口は約3,300万人で安定していた。「発展や変化を抑えることで安定を作ったのが江戸幕府だったのです」と、北林さんは言う。“安定”が循環型社会を実現するうえでキーワードになってくるということだろう。

さらに、北林さんは「江戸という世界最大級の都市は、エネルギーや農業、商品がすべてオーガニックで循環していた」と説明した。具体的にはどんな点が循環型だったのか、下記で紹介された事例のいくつかをご紹介しよう。

● 下肥(しもごえ)

江戸の循環型社会を構成する要素は多くあるが、なかでも肥料として使う人糞尿を表す「下肥(しもごえ)」は重要なポイントだという。大都市である江戸から排出された下肥は農村に買い取られ、肥料として利用されていた。すなわち、江戸は消費地でもあったが、肥料の一大産地としても機能していたということである。「下肥を買うための競争入札まで行われていたほど貴重でした」と、北林さんは言う。

これはサーキュラーエコノミーと食の観点において重要なポイントとなる。都市を単なる一大消費地ではなく、資源やエネルギーが集まる生産地にもしていく方策は、近郊(都市)農業・廃棄物の資源化というサーキュラーエコノミーの文脈で、世界中で採用されている。

● 5R

江戸時代では5R(Reuse, Reuse, Repair, Recycle+Return)が実現されていた。「Return(還す)」について北林さんは次のように説明する。「基本的に製品は有機物で成り立っていて、土に還る原料でできていたため、Returnが江戸時代の一つのポイントでした」

さらに江戸時代には、「Repair(修理)」や「Recycle(リサイクル)」の要でもある静脈産業が発展していたのも特徴だ。紙屑広い・紙屑買い・古着屋・古傘買い・灰買い・空樽買い・ホウキ買いなど、あらゆる製品に修理やリサイクルが実践されていたという。資源が限られていたからこそ、ダウンサイクルしながらも最後まで使い切り、土に戻そうという文化があった。

● 時間の概念

江戸の循環型社会の前提となるのは、何世代にもわたって大きく生活や産業が変わらないと当時の人々が認識していたことだと北林さんは指摘する。「今植えた木は孫の時代に使えるようになるので、『孫のために植える』といった思考がありました。超低成長で変化がゆっくりな時代であったからこそ、子孫のことまで考える持続可能な思考に至ったのです」江戸時代は世代間を超えて、長い目でモノを作ることが意識されていた。長い目でモノを見るからこそ、「長期間製品を維持し、修理しよう」というマインドが生まれていたのだろう。

北林さんからは他にも、衣食住それぞれの循環の仕組みや修理が前提にあるデザインなどが共有された。

生物多様性のなかで育まれた日本文化

沼野さんは、文化や文明と自然環境の関係を紐解いた。自然環境から「文明」が生まれ、文明が長く続き「文化」が生まれる。したがって、文明は自然環境あっての文明で、文化は文明あっての文化であるという。

実は日本には約5,600種の維管束植物が生息し、そのうち1,950種が日本固有のものだという。日本の27倍の土地の広さを有するヨーロッパに生息する維管束植物は約2,000種だ。日本がいかに生物多様な国であることがわかるだろう。

自然との接点が多く存在し、複雑な生物多様性のなかで生きている日本人だからこそ、「自然をコントロールする」方向ではなく、「自然と共に生きる」方向に進んでいったのではないかと沼野さんは指摘する。例えば、昔から人間と植物との接点を表すものとして、「やまとことば」が挙げられる。「“はな”は花・鼻」、「“は”は葉・歯」など、人と植物(自然)の一体感が示されている。江戸の循環型社会を考えるうえで、日本人の自然との一体感は重要なカギになるだろう。

働き方とサーキュラーエコノミー

加藤遼さんは、働き方の視点からサーキュラーエコノミーにアプローチした。「働くとは、『はたを楽にする』という近くの人たちを楽しませ、楽にするといった意味があります。労働・対価・消費するという一方通行ではなく、周りの人を楽にし、人と自然の関係性のなかで生活が成り立っていくということではないでしょうか。コロナ禍がまさにこの傾向を加速させると考えています。そのため、『働く』の語源に立ち返ることも重要ではないかと思います」

「人間の技術の進化によって、ご近所さんとの付き合いが増えたり、家庭菜園ができたり、自分でモノを作れたりと、地域との関係が強くなり、生産者と消費者の垣根がなくなっていくのではないかと考えています。職住近接は今後のテーマになっていくでしょう」

職住近接や地域コミュニティの強固なつながりがあり中央集権的ではない分散型社会は、まさに江戸時代が実現していたことである。

結果、現代にどう適用するのか

では、私たちは江戸時代の循環型な社会のしくみをどう活かせばいいのか。

加藤は、効率性とレジリエンスを軸に、「効率性は低いが、レジリエンスが高かった江戸時代」と「効率性は高いが、レジリエンスは低い現代」を融合させていくには、テクノロジーの力が重要になると話す。グローバル経済(現代)とローカル経済(江戸時代)をテクノロジーの力で組み合わせた分散型のグローカル経済を実現することが、これからの目指すべき方向ではないだろうか。

~以下略~

(以上)

  投稿者 seibutusi | 2020-12-10 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 

数百年続く日本企業は「共同体の和と自然との和≒生物原理」を持っています

生物史から観て「持続可能な開発目標 (SDGs)社会」は正しいか?(リスト)の続きです

現在、世界共通目標になろうとしている認識

自然との循環共生社会

持続可能な開発目標 (SDGs)社会

が有りますが、SDGsの中の「持続可能な開発の三側面、経済・社会・環境を調和させる。:古来、日本においては老舗企業(数百年に及び長寿企業)は「三方よし」を経営哲学としている」

最先端を行っている日本企業にスポットを当てた投稿が有りましたので転載します

国際派日本人養成講座「和」のパワーでグローバルに活躍する日本企業

> 三方よしとは、結局、従業員、顧客、社会への貢献を目的として、和を以て働く事ですが、その和には二種類あります。共同体の和と自然との和です

★千年以上の老舗企業が今も発展している

★企業間の和の力を発揮している「自動車産業」

★自然との和を生かす「電子部品産業」、「日本料理」

 

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“和”のパワーを原動力にした日本企業が世界で活躍している。

■1.千年以上の老舗企業が今も発展している

ヨーロッパには創業200年以上の長寿企業を会員とするエノキアン協会がありますが、欧州企業の最古参は1502年創業のドイツの”The Coating Company”です。近年は日本企業も入会を始め、現在のトップは石川県の温泉旅館「法師」です。717年創業ですから、欧州最古参よりもさらに800年も古いのです。 しかし、日本では「法師」よりもさらに古い企業がいくつもあります。578年創業の金剛組(大阪、社寺建設)、587年池坊華道会(京都、華道茶道教授)を筆頭に千年以上の会社が10社ほどもあるのです。

■2.三方よし経営が長寿企業を生んだ なぜ、これほど我が国には長寿企業が多いのでしょうか?

「三方よし」がその秘密だと考えます。何百年という間には、従業員、顧客、世間のニーズは不断に変化していきますが、売り手よし、買い手よし、世間よしを心がけていれば、変化を機敏に把握して、現時点で何をすることが、売り手・買い手・世間のためになるかをよく考え、時代と共に変化していくことができます。

たとえば、羊羹(ようかん)などで有名な虎屋は室町時代後期の創業との由で、500年ほどの長寿企業ですが、求められる甘さも時代によって変わっていくといいます。同じ甘味でも、戦争直後、甘いものが不足している時代に感じる甘さと、現代のように和洋菓子が豊富にある中での甘さは感じ方が違うそうです。したがって、甘みも時代によって変えていかなければなりません。 虎屋17代当主・黒川光博氏は「伝統は革新を連続させることにある」と言われています。何百年もの間の絶え間ない革新の連続が積み重なって、長寿企業の伝統が形成されていくのです。そういう革新を続けていく原動力が、三方よしの精神なのです。

(中略)

■5.和の力を発揮している自動車産業

三方よしとは、結局、従業員、顧客、社会への貢献を目的として、和を以て働く事ですが、その和には二種類あります。共同体の和と自然との和です。 自動車分野は日本企業がまだまだ強く、2019年の販売台数ランキングで見ると、1位はフォルクスワーゲンの1097万台ですが、2位はわずか23万台差でトヨタ自動車、3位はルノー・日産・三菱自動車連合で、日系メーカーとは言いがたいですが、旧日系企業分が過半を占めています。7位にはホンダが入っています。 スマホやパソコンでは日系企業の影が薄くなってしまいましたが、なぜ自動車では日系企業がこれほど頑張っているのでしょうか?

この点は東京大学ものづくり経営研究センターの藤本隆宏教授が主張されている「擦り合わせ」という言葉で説明できます。 車のボンネットを開けてみれば、多くの部品がぎっしりと詰め込まれています。それらは自動車メーカーを中心に多くの部品メーカーが、互いの機能の連携や空間の取り合いに関して「擦り合わせ」をしながら、車全体の信頼性や性能、コストを追求しているのです。「擦り合わせ」ができるのは、企業間に「和」があるからです。 これに比べると、スマホやパソコンは標準部品を市場から購入して、組み立てることで製品ができます。個別製品のために開発しなければならない部品はそうありません。ほとんど組立メーカーの単独の力だけで、製品を作れるのです。 自動車産業ではまさしく、日本の人々の「和」の力を原動力として、日系企業が世界市場で活躍しているのです。

■6.自然との和を生かす電子部品産業

スマホやパソコンでは日系企業の影が薄くなりましたが、実はそれらの中には、日系企業が作っている電子部品がたくさん使われています。アップルのiPhoneや、中国のファーウェイなどのスマホの中を見れば、日本製の電子部品がたくさん見つかります。 電子部品の世界生産額は25兆円、そこで日本企業は約40%のシェアを持っています。

上位は日本電産、村田製作所、TDK、京セラ、等々、日本企業が独占しています。電子部品は、物質の特性を引き出す開発、製造プロセスでも高度な素材管理、清浄度管理、設備管理などが必要であり、中国や韓国では一朝一夕に真似のできない分野なのです。 なぜ電子部品では、これほど日系企業が強いのでしょうか?

たとえば多くのスマホでは受信するとブルブルと震える機能がついていますが、そこでは大きさ4ミリほどの超小型モーターが使われています。そのブラシは直径0.01ミリ、髪の毛の細さの1/8ほどの金の極細線で作られています。 世界に金の極細線を供給しているのが、田中貴金属工業です。同社は明治18(1885)年に東京日本橋で両替商「田中商店」として出発しました。金は錆びず、熱や薬品にも強く、導電性も高く、さらに薄く長く伸ばせます。1グラムの純金を、太さ0.05ミリの線にすると、3千メートルにもなります。そうした貴金属の特長を、長年磨いてきた加工技術で引き出しているのです。 同社ではさらに、プラチナでガン細胞の成長を抑えるとか、銀にカドミウムを加えて接点としての性能をあげる、など、貴金属の新しい特性を引き出す革新的な研究開発を続けています。同社の技術開発部門長の本郷茂人(まさひと)氏はこう語っています。

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貴金属のほうから、そういう特性を世に出してくれ、出してくれって言っているような気がするんですよ。われわれが特性を探し出すんじゃなくてね。世の中に出してくれ、出してくれと言っているものを出してやるように努力するのが、われわれの仕事じゃないかと思うんです。[野村,p46]

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

すべてのものは「神の分け命」です。それぞれの「神の分け命」の声を聞いて、その可能性を最大限に引き出し、処を得られるようにしていくことは、まさに自然との和の協同作業です。

エレクトロニクス化が進む自動車分野や医療分野でも電子部品のニーズは高まりつつあり、一層の高精密部品が求められていきますから、日本企業の活躍の場はさらに広がっていくでしょう。

■7.ミシュラン星付き店、東京はパリの2倍。 製造業以外にも、日本人が「和」の力をフルに発揮して、世界で存在感を示している分野があります。日本料理がその一つです。世界の一流レストランを国別や都市別にガイドブックにしている『ミシュランガイド』では、東京版が星付きレストラン226軒で、従来に引き続き世界一となりました。本場パリが113軒、ニューヨークが77軒に比べると、独走状態です。 東京ばかりでなく、京都106軒、大阪98軒も、ニューヨーク以上ですね。日本版のガイドを発行している日本ミシュランタイヤのポール・ペリニオ社長は次のように語っています。

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驚くのが、日本のどこに行ってもその地方だけで1冊のレストランガイドを作るだけのコンテンツがあるということです。・・・これまで、(北は北海道から南は九州まで)色々なエリアを取り上げたガイドブックを発行してきましたが、どこに行っても本として成立することに感動します。 日本各地のガイドブックを積み重ねると、何十センチもの高さになる。フランスのミシュランガイドは全国をカバーする1冊だけです。(JOG注: 日本は)飲食店の数が多く、平均レベルがとても高いんですね。[グルメクラブ]

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

日本料理の特質は、素材の味を最大限に引き出すことです。日本列島の多種多様な自然の恵みを生かして、各地域でその土地ならではの料理が発達しています。それはまさに自然との「和」の産物なのです。

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  投稿者 seibutusi | 2020-12-03 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 

脳内の死細胞を掃除する新たなメカニズム~ミクログリアの機能低下を「アストロサイト」がバックアップする~

>グリア細胞は主に3種類ある。アストロサイト、オリゴデンドロサイト、ミクログリアだ。アストロサイト、オリゴデンドロサイトはじめ脳内の他の細胞は神経外胚葉に由来であるのに、ミクログリアだけは骨髄系の白血球由来だ。<
>つまりマクロファージは脳を除く全ての体細胞に備わっているが、ただ唯一、脳はその防御システムである脳血液関門でその侵入を防いでいる。その為に脳専用に備わった免疫物質がミクログリアである。<

以上、ミクログリアは「脳内のマクロファージ」 より。

グリア細胞の内、「ミクログリア」は「脳内の掃除屋」と言われていますが、死細胞を貪食し除去する機能が低下したときに別のグリア細胞「アストロサイト」がその機能を補っていることが、研究により分かったようです。

脳内ではグリア細胞(ミクログリア、アストロサイト他)らの細胞群が、各々の役割(機能)を超えて柔軟に補い合いながら、脳内の状況(外圧)に適応しているのではないか と考えられます。

以下、academistJournal(名古屋大学の教授らによる記事) より。

脳内の死細胞を掃除する新たなメカニズムとは? – 脳内環境維持のためのバックアップシステム

脳内の死細胞はどのように掃除されるか?

私たちの脳内では健康な状態でも毎日少しずつ細胞が死んでいます。また、脳梗塞や脊髄損傷などの神経損傷時には非常に多くの細胞が死にます。死細胞の蓄積は炎症などさまざまな悪影響を脳内にもたらすため、死細胞の速やかな除去は脳内環境の維持にとって重要であると考えられています。

脳に存在するマクロファージ類縁細胞「ミクログリア」は、マクロファージと同様に強い貪食能力(細胞外の不要物を細胞内に取り込み分解する能力)を持ち、死細胞を貪食し除去する「脳内の掃除屋」として知られています。

しかし、加齢に伴い脳内で細胞死は加速する一方で、ミクログリアの貪食能力は低下すると考えられています。また、神経損傷時には非常に多くの細胞が一度に死ぬため、すべての死細胞をミクログリアだけで貪食し除去しているとは考えにくく、ミクログリアには依存しない別の死細胞除去システムが脳内に存在することが示唆されてきました。

画像1

—脳内において死細胞除去を担うのはミクログリアであると考えられているが、ミクログリアに依存しない死細胞除去システムも存在すると考えられる。

ミクログリアが不在のとき、別の「脳内の掃除屋」は現れるか?

私たちは、「脳の掃除屋であるミクログリアを人工的に死滅させたとき、その残骸はどのように掃除されるのか?」を観察することにより、別の死細胞除去システムが現れるのではないかと予想しました。そこで、近年私たちが確立したマウス実験系を用いてミクログリア特異的に細胞死を引き起こし、その後ミクログリアの残骸がどのような経緯をたどるのか観察しました。

すると予想通り、ミクログリアが不在の状態でもミクログリア残骸は脳内から速やかに除去されたことから、ミクログリアに依存しない死細胞除去システムが脳内に実在することが示されました。

ミクログリアの機能低下を「アストロサイト」がバックアップする

ミクログリア以外のどの細胞が脳内の掃除に関与しているのかヒントを得るために、脳の分子発現解析を行いました。その結果、「アストロサイト」(血液脳関門の形成やシナプス伝達などに関わることが知られている細胞)の細胞活性化の指標となる分子の発現が上昇していることがわかりました。

そこで私たちは、アストロサイトの関与を考え、アストロサイトとミクログリア残骸の位置関係を脳切片上で観察した結果、活性化したアストロサイトがミクログリア残骸を貪食していることが明らかになりました。

さらに、私たちはアストロサイトがミクログリア残骸を貪食するときに用いる分子群を同定しました。それらの貪食関連分子群は、アストロサイトがミクログリア残骸を貪食しているときだけでなく、通常時においてもアストロサイトに発現していたことから、アストロサイトは通常状態から貪食細胞としての機能を備えていることが示されました。

以上で示されたアストロサイトの貪食作用は、ミクログリアを死滅させるという通常では起こり得ない環境下で観察された現象です。そこで、ミクログリアの貪食機能が低下するという自然に起こり得る環境下においても、アストロサイトは貪食能力を発揮するか検証しました。

通常状態のマウス脳を観察していると、稀ながらも自然死した細胞が見つかります。その自然死した細胞は、野生型マウスでは100%の確率でミクログリアに貪食されていたことから、従来から言われてきたように、ミクログリアは脳内の主要な貪食細胞であることが確認されました。

それに対し、ミクログリアの機能低下が起こる遺伝子欠損マウス(IRF8欠損マウス: ミクログリアが正常に分化せず本来の細胞機能を発揮できない)では、死細胞の約半数がミクログリアではなくアストロサイトに貪食されていました。これらの結果から、アストロサイトの貪食作用はミクログリアの機能低下により現れるバックアップシステムであることが示されました。

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—自然死した細胞(青)は、野生型マウス(図左)ではミクログリア(赤)に取り囲まれていたが、ミクログリアの機能低下が起こるIRF8欠損マウス(図右)ではアストロサイト(緑)に取り囲まれていた。

アストロサイトのさらなる理解を目指して

アストロサイトの貪食能力の有無やその意義、さらにミクログリア貪食能力との相違点については、これまで謎が多い状態でした。本研究から、通常時からアストロサイトは貪食能力を備えていること、また、その貪食能力はミクログリアが機能低下を起こしたときに発揮されることが明らかとなりました。

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—ミクログリア不在または機能不全のときにアストロサイトは貪食機能を発揮する。

今後、ミクログリアとアストロサイトの両細胞が持つ貪食作用を相互制御することにより、加齢や神経損傷時の脳内から異物や死細胞を効率的に除去し、脳内環境を整えることが可能になると期待されます。そのためには、「アストロサイトがミクログリアの機能低下を、どのように認識し貪食機能を発動するのか?」という疑問をまず解決する必要があると考え、現在研究を進めています。

(以上)

  投稿者 seibutusi | 2020-12-03 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments »