2021-09-28

哺乳類の集団形態③~哺乳類はなぜ母系集団なのか?~

前回は「哺乳類はなぜ集団化したのか?」を扱いました。

・哺乳類は圧倒的な弱者であったこと。
・集団化することで、点滴からの防衛力と餌の獲得を実現したこと。
・集団化するために、メスの親和本能を強化したこと。
・集団の主は「メス(=母系集団)」であること。

以上のことが分かってきました。
ここで疑問が残ります。なぜ哺乳類の集団の主はメスなのでしょうか?

そこで今回は「哺乳類はなぜ母系集団なのか?」を扱っていきます。 (さらに…)

  投稿者 takayama | 2021-09-28 | Posted in ①進化・適応の原理, ③雌雄の役割分化No Comments » 

哺乳類の集団構造② ~哺乳類はなぜ集団化したのか?~

 

前回の投稿では「初期哺乳類のオス・メスが「単独」で行動しているのは何で?」を扱い、結論として『性闘争本能を強化したことによって普段はバラバラに行動すしている』と結論付けました。

 

初期哺乳類がオス・メス単独で行動していたのに対し、進化の過程で「集団化する哺乳類」が出てきます。このシリーズの大きな目的である

『人類にとっての集団の本質とは何か?それを本質から追求するには、人類社会、その前のサル社会は当然のことながら、そもそも哺乳類全般にとっての「集団とは何か?」を明らかにしていく』

から、今回は「哺乳類はなぜ集団化したのか?」を追求していきます。

 

(さらに…)

  投稿者 t-kenta | 2021-09-24 | Posted in ①進化・適応の原理, ③雌雄の役割分化No Comments » 

哺乳類の集団構造①~初期哺乳類のオス・メスが「単独」で行動しているのは何で?~

 

高度成長期以降、都市へと人が流れ込み村落共同体が崩壊。人類は核家族という社会=生産過程から切り離された、消費だけの集団を単位として生きている。核家族は現在上記のような異常な事態なども発生しており、今後どのようにして単位集団を再生していくのかを探るためにも、人類・サルを含めた哺乳類がどのように集団を形成しているのかをおさえていきます。/改めて「哺乳類」を追求する。より

 

上記のように、現在は既成の集団が全て崩壊過程にあり、根底からの集団の再生が求められています。人類にとっての集団の本質とは何か?それを本質から追求するには、人類社会、その前のサル社会は当然のことながら、そもそも哺乳類全般にとっての「集団とは何か?」を明らかにしていく必要があります。

そこで今回から、シリーズで「哺乳類の集団構造」を追求し、集団とは何か?を明らかにしていきたいと思います。

 

(さらに…)

  投稿者 tuti-nor | 2021-09-22 | Posted in ①進化・適応の原理, ③雌雄の役割分化No Comments » 

皮膚は第三の脳である

腸は第二の脳と呼ばれているが、皮膚は第三の脳といわれる。中でも哺乳類は皮膚感覚が極めて発達した生物である。皮膚と脳には共通項がある。
まず受精卵が細胞分裂する際に脳(神経系)と皮膚は同じルーツ(外胚葉)から生まれ、よく似た仕組みを持っている。このことから「皮脳同根」と言われているそもそも皮膚の役割とは1つが生命を維持するための「防御機能」、もう1つが環境の変化を感知する「感覚機能」である。「防御機能」は体液の流出を防ぎ、体外からの異物侵入を防いでいる。また「感覚機能」は、環境の変化を感知する機能で、皮膚には、温かいとか痛いといった感覚をキャッチする神経が備わっているが、これらの「五感」に加えて「心地よさ」「気持ちの悪さ」「怖さ」などの感覚も実は肌で感じている。例えば「温泉に入ると、気持ちがよい」とか「触ってみたら気持ち悪かった」という感覚は、「皮膚が感じた感情」と言える。
こうして考えると、「鳥肌が立つ」「身の毛がよだつ」「温かい人、冷たい人」「肌が合う、肌が合わない」 など、皮膚感覚で感じた取った現象を表わした言葉が意外に多い。皮膚は、目には見えない情報を受け取る感覚に優れていて、感情のアンテナのような役割を果たしているのである。何故なら人間の皮膚には、「セロトニン」「ドーパミン」「アドレナリン」などの脳内物質を受け取る皮膚受容体がある。だからこそ、いろいろなことを感じ取る。「セロトニン」は幸せや癒し、「ドーパミン」は快感や意欲、「アドレナリン」は活動的にしてくれる脳内物質であることから、正に「肌で感じて感情を作り出す」ということになる。例えばお風呂に浸かった瞬間に「気持ちよい」と感じたり、腹痛時に手でおなかをさすってもらうと「痛みが和らいだ」と感じたりするのは、実は体の表面の皮膚がキャッチしたものである。それは、皮膚にはアドレナリン、ドーパミン等の脳内物質を感じとる受容体があるためである。

皮膚は両生類や爬虫類にも存在するが、哺乳類の特徴は感覚性の神経端末が皮膚にまで達していることである。
以上の事実より、とりわけ哺乳類は皮膚と脳が「共進化」していると考えられる。それは、授乳等による母子間の密着(親和)を要因としているのだろう。スキンシップやグルーミング(毛づくろい)によって脳内のオキシトシン分泌が活性化されることが確認されている。

  投稿者 kitamura | 2021-09-18 | Posted in ④脳と適応No Comments » 

胎内保育は免疫を抑制するレトロウイルスから生まれた

共同体社会と人類婚姻史  http://bbs.jinruisi.net/blog/2019/09/4292.html

から胎盤について引用させていただきます。

胎盤はどうやって生まれたか?

2.5億年前の史上最大の大絶滅を生き延びた哺乳類ジュラマイアの化石(1.6億年前)には、胎盤があった。
これによって、赤ちゃんは母親の子宮に密着し、栄養や酸素を母親から受け取れるようになった。哺乳類も元々は、受精卵を殻で覆い外へ産み落としていたが、受精卵の中にある赤ちゃんの尿を溜める袋が発達し母親の体の一部に密着したのです。これが胎盤となり子供は母親の胎内に留まって育つようになった。

胎盤の登場によって子供が無事に育つ確率は卵の時代に比べて飛躍的に高まった。なぜ哺乳類は突如、胎盤を手に入れることができたのか?
PEG10という遺伝子が重要な役割を果たしている。この遺伝子は1.6億年以上前に突如現れ、その後の哺乳類に受け継がれた。PEG10遺伝子は、様々な病気を引き起こすレトロウイルスとよく似ている。レトロウイルスが祖先のDNAに入り込み、胎盤を生み出すPEG10遺伝子になったと考えられる。

胎盤には、ウイルスから貰ったとも考えられる不思議な能力が備わっている。それは、母親の免疫を抑えるという能力である。
親子であっても時に血液型すら違う別人である。そんな赤ちゃんが体内にいれば、母親の免疫によって異物とみなされ攻撃される。それを胎盤が母親の免疫を抑えることで防いでいる。レトロウイルスも相手に感染するために免疫からの攻撃を抑える能力を持っている。この力がレトロウイルスをDNAに取り込んだ哺乳類にも伝わり、胎内保育を可能にした。

その後、胎盤の能力は強化され、子を身ごもる期間は長くなっていった。安全な母親の胎内でより成長してから生まれてくるように。

  投稿者 takayama | 2021-09-16 | Posted in 2)知られざる原始哺乳類No Comments » 

「褒める教育」は本当に根拠があるのか?

「褒める」教育や子育てを推奨する教育学者は数多い。
しかし、「褒める教育」にはそれを支える普遍的根拠があるのであろうか?
哺乳類以降の動物たちにさかのぼって、検討してみた。

①哺乳類
哺乳類(オオカミやライオン)の母親と子どもの関係を見る限り、例えば子どもが何かができるようになった時に、母親が何か特別の鳴き声を発することや、体を舐めるなどの「褒め」を示す行動は見られない。まして「褒め」のために、子供にえさを与える行動も、見て取れない。
親の姿勢はあくまで見守りであり、余程危険なことでもしない限り、子どもの行動には関与しない。

(さらに…)

  投稿者 kitamura | 2021-09-12 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 

哺乳類の誕生 その時の環境って!?

哺乳類の追求に入るにあたって、まずは哺乳類が誕生した背景について抑えていきたいと思います。
今回は原モグラより前の哺乳類。第一次哺乳類と呼ばれる哺乳類について紹介します。
その当時、おかれていた環境とは?

以下るいネット(http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=126777)より引用です。

1.氷河によって水辺を追われ、寒冷化に適応して生き延びた
3億5000万年前に地球は氷河期に突入し、約1億年間それが続いた。
その中で2億9000万年前爬虫類が出現、そしてさほど間をおかずして単弓類(哺乳類の前身)が出現する。単弓類とは、頭骨の左右に1つずつ、単弓型側頭窓という穴を持つ四肢動物。

単弓類Edaphosaurus_BW

Wikipediaより引用
これは恐らく、氷河拡大期中、多くの地域で池や川が氷結し、その結果、水中に棲めなくなり(or卵が水中で孵らなくなり)止む無く水辺を離れざるを得なかったからで、その為肺呼吸や心臓の機能を(心肺機能)を高める方向で進化を遂げた種たちが辛うじて生き残ったということではないかと思われる。
この単弓類の特徴は、摂取した食物を熱エネルギーに変え、かつ熱を汗腺によって発散する機能がある。つまりある程度の恒温性を獲得しているこれは基本的に寒冷下で生き延びられるように適応した結果であろう。
そして恒温性を獲得した結果、卵胎生=卵を体内で孵して生む種も登場している。そのようにして寒冷化に適応した単弓類は、変温動物であった爬虫類(従って赤道近辺にしか棲息でき無かっただろう)に対してより広域の生息域を一旦は確保する。

注)一般には哺乳類は爬虫類から進化したと考えられている。しかし恒温性の獲得や汗腺の存在。更には単弓類の後期には汗腺を発達させ栄養分を分泌する乳腺の原型が登場していることから見て、私は彼らを先哺乳類と呼んでも差し支えないと思う。そして、この単弓類=哺乳類の祖先の登場時期が、爬虫類の登場とさほど時間的に差が無いことから、両生類から爬虫類の系統とは別に直接枝分かれした可能性が高いと思う。
更に(初期単弓類が卵生と卵胎生どちらであったかははっきりしないが、)もし卵胎生の単弓類が主流(もしくは先行している)であれば、両性類が水中で孵していた卵を、母体の羊水の中で孵すように進化したと考えられる事から、(爬虫類は硬い卵の殻を作っている)両生類から直接進化した可能性がますます高まる。

(さらに…)

  投稿者 takayama | 2021-09-09 | Posted in ①進化・適応の原理No Comments » 

驚くべき母乳の役割

哺乳類の名前の由来は、文字通り哺乳による子育てにあるが、この哺乳には、生物としての需要な戦略が秘められている(るいネットの投稿http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=351281より。

母乳は単なる栄養物ではない。鳥類等の子育てが孵化後はエサを噛み潰すことで、未発達な消化器系を補助しているのに対して、母乳には栄養分以外の役割がある。
具体的には母乳には次のような成分が含まれている。

以下「medelaリンク」から抜粋
①数百万の生細胞。生細胞には免疫を高める白血球だけでなく、臓器の発達と治癒を促す幹細胞も含まれている。
②1,000種類以上のタンパク質。これらは赤ん坊の成長と発達を助け、免疫系を活性化させ、脳内のニューロンを発達させて保護する。
③40種類以上の酵素。これらは鉄分吸収を助けるだけでなく、赤ちゃんの消化器系と免疫系のサポートもする。
④多様なホルモン(=駆動物質)
⑤免疫グロブリン。抗体には5つの基本タイプがあり、それらがすべて含まれている。
⑥1,400種類以上のマイクロRNA。これらは遺伝子発現を調整するだけでなく、疾患の進行を予防または止めるのを助ける。
これらの成分の含有率は生後の経過時期によって異なっている

これらは免疫系と遺伝子の発現系に大別される。胎内保育を行う哺乳類の胎児は、母親の免疫系に守られており、かつ母親の胎内にいる際には、免疫系の発達は逆に母親を免疫攻撃してしまう。そのために産み落とした後、リンパ球や、母親の獲得免疫、さらには処々の免疫系を生後に発達させる必要があったからだと思われる。
加えて哺乳類とりわけ人類は未成熟状態で産まれる。具体的には様々な運動機能を産後に完成させてゆく。とりわけ脳(脳内ネットワーク)は専ら生後に発育する。遺伝子発現のカギを握る駆動物質やマイクロRNAが母乳によって与えられるということは、哺乳類は爬虫類や鳥類と異なり、敢えて未成熟状態で乳児を生み出し生後に完成させるという戦略を取ったと思われる。とりわけ脳は、「外圧⇒どうする」を探索する機能である。その意味で弱者であった哺乳類(とりわけ人類は)先天的な本能回路だけではなく、外圧状況に適応させるべく生後に完成させる戦略を取ったということなのだろう。

さらに母親による駆動物質(情報伝達ホルモン)の付与は、母親の精神状態が乳児に大いに影響する可能性を暗示している。その意味でも注目すべき事実であろう。

  投稿者 kitamura | 2021-09-03 | Posted in ①進化・適応の原理No Comments »