膜たんぱく質の判断機能は腸の判断機能へと受け継がれている。
腸の「判断機能」の起源を追求する中で、細胞膜=膜たんぱく質が重要な器官であること、その選択透過性が判断機能の起源になっているのではないかという部分まで見えてきました。
今回は、膜たんぱく質の選択透過性とその仕組みについて追求していきます。
細胞は、脂質二重層構造を持った細胞膜で内外が隔てられています。この性質だけでは、ホルモンやたんぱく質などの物質を取り込むことができません。
そこで、膜タンパク質の判断機能を活かして細胞膜を透過する膜輸送の仕組みをもっているのです。
では、具体的にどのように判断して取り込んでいるのでしょうか?
実は、小さな物質と大きな物質を取り込むのとで、その方法が異なります。
小さな物質の代表としてナトリウム-カリウムポンプ等のイオンポンプが該当します。
それらを取り込む場合は、これら専用の鍵穴(受容体)に、鍵(ナトリウムイオンやカリウムイオン)
が結合した際に輸送たんぱく質に変容して通過していきます。
受験のミカタ(https://juken-mikata.net/how-to/biology/cell-membrane.html)様より転載
大きな物質の代表としてはホルモンやたんぱく質などがあります。
それらを取り込む場合は、細胞膜上の鍵穴(受容体)にホルモンやたんぱく質などの鍵(細胞外物質)が結合して初めて取り込みが行われます。
具体的には細胞膜がタンパク質等の大きな細胞外物質を取り込む形で陥入し、陥入した部分が細胞外物質を包みこむ形で細胞膜から分離して、細胞内に物質を取り込んでいます。
細胞は常に周囲からの様々なシグナル(細胞外物質)にさらされており、細胞の特性に従って、細胞膜に組み込まれた受容体(鍵穴)を変容させて選択的に応答しています。このようなシグナルの無限的組み合わせと、それにフィットする選択的応答方法(=受容体)が実現されています。
これら細胞内への取り込みこそ、膜たんぱく質が選択性を持って行われている、つまり判断していることを意味しています。
この膜輸送システムは、単細胞時代から存在するものです。
多細胞生物になった段階においても、それぞれの組織機能に応じた機能特化が行われていますが、基本的な構造は単細胞時代から変わっていないのです。
腸のもつ判断機能が膜たんぱく質の判断機能に由来しているという事が分かりますね。
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