2014-12-31

2014年 STAP細胞問題は終わっていない

昨年の科学界は、青色LEDでノーベル物理学賞という輝かしい功績もありましたが、なんといってもSTAP細胞に始まり、STAP細胞に終わった一年でした。

論文が発表されたのは昨年の1月29日付けのプレスリリース。そして1月30日のネイチャー。その直後から様々な疑義が指摘されました。7月には論文撤回。そして先日、理化学研究所調査委員会は再実験の結果、「STAP細胞はES細胞だとほぼ断定した。」と述べました。

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STAP細胞論文について、報告書の内容を説明する理化学研究所の調査委員会の桂勲委員長(2014年12月26日)

この問題、これで決着がついたと思っている方々は多いと思う。

しかし、この問題、まだ終わっていないのです。

(さらに…)

  投稿者 kumana | 2014-12-31 | Posted in ⑧科学ニュースより6 Comments » 

微生物の力~真似するべきか!?薬を作り出す微生~

放線菌

画像はこちらから(http://common.pref.akita.lg.jp/kagakukan/2f/nousan/3/menu2/c.html)

微生物は様々な力を持っています。腸内細菌は人間が食べた食事を分解し、人間にとって必要な成分を作り出します。それらを吸収することで人間は栄養素を得ることが出来ます。

又、酵母菌やイースト菌など食品を発酵させ、より健康的な食品へと作り替えてくれるものも存在します。

そして今日は薬(抗生物質)をつくりだす微生物を紹介したいと思います。

体に入ってきた異物を駆除してくれる微生物(腸内細菌)もいるのでイメージはしやすいかと思います。

名前は放線菌です。しかしその力を本当に人間にとって有用なものなのか!?

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  投稿者 seibutusi | 2014-12-30 | Posted in ⑩微生物の世界No Comments » 

【放射性物質を無害化する微生物vol.5】~乳癌の発生状況から見る内部被爆の日米比較~

【放射性物質を無害化する微生物vol.1】~放射性物質を吸収する微生物編~
【放射性物質を無害化する微生物vol.2】~放射性物質を分解する微生物編~
【放射性物質を無害化する微生物vol.3】~原爆と原発の違いと放射能耐性微生物の効果~
【放射性物質を無害化する微生物vol.4】~放射性物質による被害~

これまで、地球の誕生から現在までの環境を作ってきた微生物の活動を、様々な事例を基に見てきました。現在我々が直面している放射線の問題も、この微生物が鍵を握ることは明白です。

放射性物質の被害による発症の場合、症状が出るまで時間がかかるケースが多く、その相関も統計的に判断しなければなりませんが、多人数・長期間の調査が必要で、コストも多く、その調査は十分行われていないのが現状です。ですから、「どれだけ放射性物質を取り込んだら危険なのか?」はまったくの未知です。未知なので、だれも内部被曝の危険性については詳しく触れないでいるのが実態です。

今回は前回に引き続き放射性物質による人体への影響を、乳癌の発生状況から内部被爆の実態を日米比較という形で見ていこうと思います。

■許容範囲内の放射線量の原発付近で、乳癌が大量発生

では内部被曝の影響は小さいのではないのか?と思われるかもしれません。しかし、こんなデータもあります。アメリカの原発周辺では、乳がんでの死亡率がとても高い(乳がんは放射線の影響により発病する代表的な疾患です)。

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図の黒い部分は原発の100マイル(およそ160キロ)以内を示しています。1985~89年のアメリカの乳ガン死亡者のうち3分の2はその郡の住民である、との報告があります。面積にしてみれば、30%前後しかないんです。それなのに、乳がんでの死亡率が異常に高い。これは原発の影響と見て間違いないでしょう。(もちろん、日本でも原発増設にともない乳がん患者が増加しています。日本では沖縄や離島以外、全て”原発の近隣”なのです。)

このデータが示す本当の恐ろしさは・・・これら乳がんの死亡率が、「原発事故による健康被害ではない」ということです。定められた安全基準に従い、正常に運転された原発による影響なんです。これらの原発から放出された放射線が「一年間に浴びていい量」を超過したわけではありません。測定値は安全値を示しているのです。

ではなぜ乳がんが急増したのか?僕は内部被曝の影響と見ています。実は厳重に密閉していても、”「放射性廃棄物」の一部はどうしても原子炉外部へ出て行かざるを得ない”んです。外部被曝による健康被害が考えられない以上、内部被曝の影響と見るのが自然ですし、内部被曝は少量だろうと影響は大きいです。だから線量は安全度のあてにならないのです。

現在でも「線量は一年に浴びていい値の何百分の一だから安心しろ」という論調がありますが、これは内部被曝を全く度外視した乱暴な意見なんです。

『マスコミは決して語らない、内部被爆の危険性』より引用。

内部被爆は外部被爆より明らかに人体への影響が大きい。内部被爆に関する基礎情報を整理する必要性があります。

(さらに…)

  投稿者 若林 | 2014-12-21 | Posted in ⑩微生物の世界, ⑪福島原発問題1 Comment » 

【乳酸菌はどのようにしてヒトの免疫機能を正常化するのか?】-6. ガンの原因はミトコンドリアの機能不全である

前回、ガンは浄血装置であることを述べました。

そこで、今回は、ガン細胞そのものがどのような過程で生じるのか見ていきたいと思います。

ガン細胞の発生過程を見ていくにあたり、非常に重要な視点となるのが「ミトコンドリア」です。

ミトコンドリアとは、ほとんどすべての生物(動植物や菌類など)の細胞に広く含まれている細胞内構造物の一つです。 高校の生物の教科書などで細胞の構造図を見た覚えがあれば、その中でたいていは丸いカプセルのような形で描かれていたでしょう。 このミトコンドリアは一つの細胞に(細胞の種類によって違いますが)数十から数万という大変な数が含まれています。

このミトコンドリアは、普段私たちの体の中で一体どのような働きをしているのでしょうか?

ミトコンドリア

(画像引用元:http://d.hatena.ne.jp/appleflower/20110220/p1)

 

1.人間はミトコンドリアを使ってエネルギーを産み出している

人間のエネルギーの産みだし方について、説明します。我々人間が、なぜ、生きて動くことができるのか?その説明をします。たとえば、自動車は、エンジンがあっても、ガソリンがなければ、動きません。

人間も自動車で言えば、エンジンがあって、ガソリンのようなものがあるハズです。これは、これからの説明をわかりやすくするための、たとえを用いた説明ですので、その辺を御理解いただければ幸いです。

まず、人間の細胞には、二つのエンジンがあります。ひとつは、「解糖系」というエンジン。もうひとつは、「ミトコンドリア」というエンジン。この「二種類のエンジン」をケース・バイ・ケースで使い分けて、生命を維持しています。(生きているのです)

まず、解糖系というエンジンは、その名の通り、解糖系というエンジンのガソリン(燃料)は糖です。もうひとつのミトコンドリアのガソリン(燃料)は、酸素と脂質とタンパク質です。

 

◆小まとめ◆

<人間がエネルギーを産み出す方法>

1.ミトコンドリアが「酸素」「脂質」「タンパク質」を使用してエネルギーを産み出す場合

2.解糖系が「糖」を使用してエネルギーを産み出す場合

 

2.どのようにしてこの2種類のエンジンを使い分けているのでしょう?

 

◎ミトコンドリア(=持久力系エンジン)

ミトコンドリアは、持久力や持続力のエンジンです。燃料は酸素と脂質とタンパク質です。後で、詳しく説明しますが、ミトコンドリア内で、たとえば、車を例にとると、アイドリングのような状態をつくり、死ぬまで、アイドリングしているようなイメージです。

このアイドリングが止まった時に、死が訪れるのです。重要なのは、あくまでも、酸素です。酸欠は、生命の死です。

糖尿病の失明や壊疽も、血流不足により、部分的にアイドリングが停止し、部分的な細胞死が発生します。

網膜の毛細血管はひじょうにせまいのです、細いのです。生命にとって一番重要な、酸素は、赤血球が、運びますが、この赤血球が、ぎりぎり通れるかどうか? それが、網膜の毛細血管なのです。

高血糖になると、すぐに、血流が悪くなります。赤血球が折角、頑張って酸素を網膜に運ぼうとしますが、高血糖になると、簡単に、運べなくなってしまいます。

それほど、網膜の毛細血管は繊細なのです。(網膜に限らず、全身の臓器や中枢神経をネットワークしている毛細血管すべてが、ひじょうにせまく細いです)

車の場合、アイドリングが止まっても、またエンジンをかければ、良いのですが、ミトコンドリアというか、生命は、一度、この営みが止まると、再稼働できないのです。ここが重要です。

ということで、窒息等は、酸素が取り込めなくなり、ミトコンドリア内の酸素と脂質とタンパク質の燃料が、 枯渇するわけですから、ミトコンドリアのアイドリングが止まるのです。

いわば、死と言う事です。我々、ミトコンドリアを持った生物の生命線は、なんといっても酸素なのです。

酸素がない状態、それは、死を意味します。反対に、解糖系は、酸素を必要としませんので、ある意味、不死です。 癌細胞も不死です。癌細胞を培養して糖を与え続けると、永遠に増殖します。寿命がないのです。

解糖系が言わば癌化する前の癌細胞と考えてもいいです。 解糖系が潜在的癌細胞であり、解糖系が何らかの環境の変化で、亢進する。

解糖系の異常な亢進が癌ということです。(遺伝子の変異)
◎解糖系(=瞬発力系エンジン

解糖系は、 通常は休眠状態です。 たとえば、 何か重い物を持ち上げなければならなくなったとか、たとえば、 家が火事になったような時に、火事場の馬鹿力として、使われます。 この時、みなさん、必ず息を止めますね。 筋肉の中で嫌気的解糖を行っているのです。 そして、 翌日、筋肉内に乳酸がたまり、筋肉痛になります。もし、皆さん、筋肉痛になったら、「あ!俺の筋肉の中で、解糖系が、嫌気的解糖を行って、 乳酸を出したな!」 と理解してください。

簡単に言えば瞬発力のエンジンが、 解糖系の担当です。 通常、スポーツ選手、特に瞬発力を求められるスポーツ選手以外は、解糖系はほとんど、使われないのです。そして、年齢とともに、解糖系は衰えていきます。瞬発力のスポーツは、歳をとると難しくなっていきます。

 

◆小まとめ◆

◎ミトコンドリアの特徴

 ・基本的に人間はミトコンドリアを使用して、持続的にエネルギーを産出している

 ・酸素がなくなると死ぬ

◎解糖系の特徴

 ・普段は休眠状態

 ・酸素が必要ないので不死身

 ・潜在的細胞(→解糖系の異常な亢進が癌細胞)

 

3.癌細胞は、糖を燃料にして、解糖系(エンジン)を動かしている

細胞内で、解糖系(エンジン)が糖を燃料にしてエネルギーにすると、ピルピン酸というものが出てきます。

そして、このピルピン酸は、アセチルCoAというものに変化して、ミトコンドリア(エンジン)に移動し、酸素と合わせて、ミトコンドリア(エンジン)内で、燃料になり、エネルギーになります。

これが、我々人間のエンジンの正常なエネルギーを、生み出す仕組みです。しかし、癌細胞は、糖を解糖系が取り込み、ピルピン酸を産み出した後に、通常のアセチルCoAに変化せず。酸素があるのに、一切、酸素を用いないで、ピルピン酸から乳酸に変化させているのです。

以下に、正常なエネルギーのつくり方と癌細胞のエネルギーのつくり方を、まとめて比較してみましょう!

 

<正常なエネルギーのつくり方>

解糖系が糖を燃料にしてエネルギーを産出

→ピルピン酸が同時に生成される

→ピルピン酸は、アセチルCoAへ変化し、ミトコンドリアへ移動

→ミトコンドリアは、酸素とアセチルCoAを使用し、エネルギーを産み出す

 

<癌細胞のエネルギーのつくり方>※これが重要!!

解糖系が糖を燃料にしてエネルギーを産出

→ピルピン酸が同時に生成される

→ピルピン酸は、アセチルCoAへ変化せず、癌細胞が乳酸へ変化させる

(乳酸で止まり、酸素があるのに、酸素を用いず、ミトコンドリアにも移動しない)

※これを「嫌気的解糖」等と呼びます。

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(引用:http://blue-clinic-aoyama.com/?p=3513)

 

4.そもそも解糖系とは何か?なぜ存在しているのか?

 

◎生命の起源 

話は、まず、地球上の生命の起源に遡ります。まず、「地球上のすべての生命の共通の祖先がいた」という理解は、 世界中の研究者が認めるところです。 しかし、今のところ、その共通の祖先は何か? その解明はできていません。

しかし、その共通の祖先の次の段階の生物は、わかっていますし、現在も存在してもいます。 それは、「原核生物」と呼ばれるものです。 たとえば、「大腸菌」なんかが、 よく知られた、原核生物ですが、 とにかく、具体的な生物として、 最初に産声を上げたのが、「原核生物」と言われています。

 

◎原核生物は糖を摂取し、生きていた

「原核生物」は、 酸素のない環境で、 深海の熱水吐出口あたりで、 生まれたのではないだろうか? というのが、 研究者達の共通の認識です。原核生物のまわりの環境は、酸素がまったくなく、弱酸性で、海水温が32℃くらいで、糖の元祖ともいうべき、ホルムアルデヒドが、多く存在しており、原核生物は、 そのホルムアルデヒドを、摂取して、生き延びてきたのです。

原核生物は、 ホルムアルデヒド(糖の元祖)を、摂取して、解糖系を用いて、生きていました。そんな時、暗黒だった、地球に、太陽の陽がさしはじめました。そうすると、太陽の陽を利用する、あらたな原核生物が産まれました。シアノバクテリアの登場です。シアノバクテリアは、光合成を行い、酸素を産出しました。酸素は、原核生物にとっては、猛毒でした。多くの原核生物が、酸素で、絶滅しましたが、酸素の環境に適応した 。原核生物は、 疲弊しながらも生き延びたのでした。
◎人間は、原核生物(解糖系)とミトコンドリアが合体した真核生物

そんな時、 酸素を利用する 新たな生物が産まれました。ミトコンドリアの登場です。酸素を利用し膨大な量のエネルギーをつくり出す、ミトコンドリアを、原核生物は自身に取り込みました。原核生物は、その酸素を利用して莫大なエネルギーを つくりだすことに成功しました。「真核生物」の誕生です。

真核生物は、酸素と脂質とタンパク質を摂取し、やがて、多細胞生物に進化して、有性生殖を開始し、巨大化と多様化を推進し、ますます、酸素を活用し、進化繁栄をしていきました。それが、我々人類なのです。まとめますと、 我々は、原核生物(解糖系)とミトコンドリアが合体した、真核生物であり、それが多細胞生物となり、さらには、変化する環境に適応するために、有性生殖を取り入れ、それによって、ゆるやかに進化し、多様性を育んできました。

 

5.なぜ嫌気的解糖でエネルギーを産出するようになるのか?

1921年に、がん細胞がブドウ糖を多く取り込むことが最初に報告されました。糖尿病のがん患者が、がんを発症すると尿糖が減ることや、ブドウ糖の入った培養液にがん組織や正常組織を入れて培養する実験で、正常の筋肉組織や肝臓組織に比べて、がん組織ではブドウ糖の消費量が極めて高いことが報告されました。また、翌年の1922年には、がん組織には乳酸が大量に蓄積していることが報告されており、これは、がん細胞では「嫌気性解糖系」が亢進しているということを意味します。

それでは、なぜミトコンドリアを使ってエネルギーを産み出さず、常時、嫌気的解糖を用いてエネルギーを産み出すようになるのでしょうか?

それは何らかの理由でミトコンドリアが機能不全に陥っていることが原因なのです。

当然、ミトコンドリアが機能不全に陥ってしまうと、ミトコンドリアを利用したエネルギー産出ができなくなってしまいます。この非常事態に対応するために仕方なしに、「嫌気性解糖」でエネルギーを産出しているだけなのです。

要するに、ミトコンドリアの代わりに、糖を使ってエネルギーを産出してくれているもの。それが、ガンだと言えます。

次回は、「なぜミトコンドリアがこのような機能不全に陥ってしまうのか?」に焦点を当てて追求していきたいと思います。

参照・引用:http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/544.html

  投稿者 seibutusi | 2014-12-07 | Posted in ⑤免疫機能の不思議No Comments » 

健康・医療分野における微生物の可能性を追求する 11 ~自家製発酵食品の効果と乳酸菌のチカラ~

◆自家製ケフィアの健康効果

前回の記事で紹介をしたケフィアを自家製で作成、し約1ヶ月に渡り毎朝食べることで、どれだけ健康状態に変化が見られるのかを実験しました。仕様したケフィア生菌と牛乳(成分無調整)は市販のものを使用しました。

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まずは簡単に作り方を紹介。

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画像はこちらからお借りしました。

  1. ケフィア生菌1袋を、牛乳1Lに入れ、よく混ぜる。この時、他の細菌が混入しないように、牛乳1Lは未開封のもの、混ぜ棒は熱湯消毒すること。
  2. 牛乳パックの口を閉じ、常温で24時間置く。ケフィアの発酵適温は20℃~30℃で、この温度帯であれば約24時間で完成する。気温が下がる冬場は、2~3日かかることがある。
  3. 完成!完成後の保存は発酵の進行を遅らせるため、冷蔵庫で保存して下さい。
  4. ジャムやフルーツソースをかけてもおいしいですが、慣れてくるとそのままで食べられるようになってきます。やっぱり自然の味が一番!

こんなに簡単に作ることができるケフィアですが、どれほどの効果があるのでしょう?

今回は2名の被験者が1ヶ月間毎日ケフィアを食べ、毎日腸の状態と血圧を測り、1ヶ月経過時に血液検査を行いました。

~結果~

Aさん:血圧、血液検査の結果に大きな変化は見られなかったが、腸の調子は非常に良くなったとのこと。特にこれまでは仕事が忙しくなると腸の調子が悪くなりがちであったが、ケフィアを始めてからはそれが改善されたそうです!

Bさん:Aさん同様、血圧、血液検査の結果に大きな変化は見られなかったが、これまで朝食に摂っていた市販のヨーグルトをケフィアに置き換えたことで、体が軽くなるように感じたそう。Bさんは、温度差が激しくなるとお腹を壊し易かったそうですが、そちらも改善されたとのこと。

以上の結果から、血圧や血液まで影響が出るにはもう少し時間が必要かもしれませんが、前回の記事で挙げたような健康効果(特に整腸作用)は確かにあると言えそうです。お腹の調子を崩し易い人には、お勧めできる食品です!

 

◆乳酸菌のチカラ

ケフィアの効果は、その主成分の一つである乳酸菌のチカラによるところが大きそうです。そこで、乳酸菌の知られざるチカラについて紹介します。これからの季節…必読です!

~乳酸菌でインフルエンザ予防~

■乳酸菌がウイルスへの抵抗力を高める 風邪対策として早めに始めておきたいのが乳酸菌の摂取。ヨーグルトや乳酸菌が「免疫力を高める」「インフルエンザ予防に効く」という話を耳にした人も少なくないだろう。 実際に、市販のヨーグルトや乳酸菌飲料に使われている1073R-1乳酸菌やラブレ菌、FK-23乳酸菌といった菌をとることで、病原体の侵入があったときに最初に働く免疫細胞のひとつ、「NK(ナチュラルキラーの略)細胞」の働きが高まったり、感染後の重症化が抑えられたりすることが確認されている。「菌の種類によって効果は異なるようだが、基本的には乳酸菌をとることで免疫を活性化する刺激が入り、防御機能が働くのでは」と山本室長(国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター室長)は語る。最近の研究で、NK細胞だけでなく免疫細胞全般の働きを高める乳酸菌があることもわかってきた。 キリンR&D本部研究所で乳酸菌の研究を行ってきた杉村哲研究員は「病原体の侵入を防ぐ免疫細胞は、プラズマサイトイド樹状細胞(以下、pDC)という別の免疫細胞から指令を受けている。そこで、このpDCの働きを高める乳酸菌を探し、プラズマ乳酸菌と名づけた」と説明する。

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画像はこちらからお借りしました

■乳酸菌が体の防御力を高めてウイルス感染をふせぐ 免疫には、体内に侵入した病原体やウイルスに感染した細胞などの“異物”を早めに見つけ出し、排除する「自然免疫」と、一度感染した病原体を記憶して、次の侵入時に攻撃をしかける「獲得免疫」がある。乳酸菌の摂取で働きが高まる免疫細胞としてよく知られているのはNK細胞だが、pDC細胞の働きが高まれば、免疫細胞全般の働きと、普通の体細胞ひとつひとつの防御力が高まると考えられる。 同社と国立感染症研究所の共同研究によると、この乳酸菌を含むヨーグルト飲料を飲んで、実際に咳や熱などのカゼ・インフルエンザ様疾患の発症が低減したという。さらに、血液を調べたところ、体内に入り込んだウイルスの増殖を抑制する力も高まっていた。

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画像はこちらからお借りしました

・引用元(日本経済新聞

 

◆乳酸菌と酵母の共生関係

前回の記事でケフィアは、乳酸菌と酵母による共生発酵であると紹介しましたが、ケフィア以外にも2種類の菌の共生発酵から作られる食品があります。

2種類の微生物が協力して活動する食品として、日本の伝統醗酵食品で言うならば清酒がまずあげられます。伝統的な清酒の仕込みでは、酵母を増やす酒母製造工程において、はじめに低温性乳酸菌が生育しやすい環境を整え、酸性でも生育できる酵母だけを優先的に増殖させる技術(生もと、山廃仕込み)が用いられてきました。乳酸菌などの細菌と酵母の共生から成り立っている,清酒は異種間の微生物相互作用による発酵産物であり,換言するならば共生の発酵産物です。
一方,ワイン製造は,清酒が純粋な酒母を利用して発酵を進めるのに対して,古くから土着の微生物を積極的に利用している点が異なります。ワインの味と香りは,自然界の酵母フローラに大きく依存します。つまり,ワインは異種酵母間の共生による産物として捉えることができます。
醗酵乳品の中にも乳酸発酵とアルコール発酵が関与するケフィールがあります。伝統的なケフィールの製造に用いるケフィール粒はかなり多くの種類の乳酸菌と酵母などから自然に構成された共生培養です。乳酸を栄養素として消費できる酵母は、お互い良好な共生関係を築けていたと考えられます。

・引用元(乳酸菌ってどんな菌?)

これだけ可能性を秘めた微生物の世界。更に追求を深めて、みなさんに有意義な情報を紹介していきます。今後もお楽しみに!

 

  投稿者 seibutusi | 2014-12-04 | Posted in ⑩微生物の世界No Comments » 

常在菌がとりもつ母子の世界 ~常在菌の親から子への継承~

常在菌

 

突然ですが、体重約700kgの牛は、一日どれくらいの牧草を食べていると思いますか?

 

正解は、青草で約50~60kg!

 

牛の胃袋に棲んでいる微生物の中には、セルロースを分解する酵素(セルラーゼ)を持つものがいて、牛が食べた草やデンプンを発酵分解して揮発性脂肪酸(VFA)を作ります。これが胃袋から吸収され、血液を介して牛のそれぞれの組織に送られてエネルギーとして利用されます。牛のエネルギー要求量の60~70%をVFAが賄っていると考えられています。つまり、腸内細菌がいるから、牛は700kgもの身体を作り出すことが出来ているのです。

人も腸内細菌等の常在菌が不可欠という点では同じです。もっというと人類ほど常在菌と共存している種はいないかもしれません。何故ならば、草食動物は肉が消化できず、逆に肉食動物は草を消化することができませんが、人類は草も肉も果物も木の実も根っこも・・果ては、一般動物は決して食べない骨髄までも食べます。雑食ということですね。何でも食べられるということは、言い換えればそれだけ常在菌の種類が豊富であることを物語っています。

DNA変異(分解酵素の変異)よりも、常在菌の獲得による方が遥かに食性の領域≒適応の可能性は広がります。人類の場合は、人類史99.9%が極限的な餓えの時代です。極限的な餓えに適応するために一般生物なら手も出さないような食性を獲得する必要があり、この時代に今の私たちに繋がる常在菌の体系はほぼ出来上がったのだと思います。

この常在菌から見た母子の世界を暫く記事にしていきたいと思います。

第一回は【常在菌の親から子への継承】です。

(さらに…)

  投稿者 seibutusi | 2014-12-02 | Posted in ⑩微生物の世界No Comments » 

【脳のメカニズムと可能性Vol.3】日本語の母音主義がもたらす表現の豊かさと脳の関係

鳥獣戯画7

 

今日は日本語と日本人の脳の関係について見ていきます。

全ての日本語は子音+母音からなりたっています。必ず母音が入ります。一方英語ならびにその他の言語では、それほど母音は重視されません。

この違いが、日本人に独特の感性を育んできたと考えられます。

http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=298165 より引用
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医学博士である角田忠信氏はその著「日本人の脳—–脳の働きと東西文化」で、
西欧人の脳が、言語脳である左脳でロゴス(理性=言語や計算)、右脳でパトス(感性)を認知するのに対して、日本人の脳は、左脳で情緒や自然をも認知し、しかもロゴスとパトスを分け隔てずに認知する、としている。

(内田樹氏は、こうした日本人の脳を「マンガ脳」と言っている。
 そしてブログ記事リンクで、

 「欧米語話者は失読症になると、まったく文字が読めなくなる。しかるに、日本語話者は二種類の病態をとる。漢字が読めなくなって、かなだけが読める症状と、かなが読めなくなって、漢字だけが読める症状である。それから、漢字を読んでいるところと、かなを読んでいるところが、別の脳内部位であることが知れるのである」

 と述べて、これが和漢洋の混交遣いと関係していることを解説している。

この認知形式は、日本語の特殊性によるもので、日本人以外は、同じ母音主義のポリネシア人しか持ち合わせない。

日本人の場合、母音も子音も左脳で認知表現している。
一方、西洋人の場合、子音が有意味音とみなされ左脳で認知されるが、母音だけだと、自然音と同じく無意味音とみなされて雑音としてやり過ごされる。
日本人の場合、虫の声などの自然の音も母音と同様に左脳で認知していることが注目される。

それは日本人がベースに温存してきた<部族人的な心性>の中核であるアニミズムに由来するのではないか。八百万に神を見出すという信仰は、自然の八百万に意味を見出す、つまりは森羅万象を言葉として認知するということになるからだ。
またこのことは、日本語ならではの擬音語や擬態語が豊かにあり現代人の私たちもそれを多用していることに繋がる。

日本語の動物の鳴き声と外国語のそれを比べると、まず前者が母音主義ゆえに母音表現、後者が子音主義ゆえに子音表現であることに気づく。日本人も外国人もその言語脳の働きによって、自分たちの鳴き声の方がそっくりで他者のそれが似ても似つかないと感じている。

だからひいき目ということにはなるのだが、どう考えても動物が人間の口や舌や唇だからできるfやv、sやthを発声している訳はなく、母音主義の方が動物的と言える。
それは、人類が言葉を得る前段階として、動物の物真似をすることで「音楽する脳」を発達させたこととも符号している。たとえば子音主義の欧米人の歌でもリズムや音程や感情移入は母音を活用している。また、感情のうちの情動(emotion)は、無意識的な即座の身体反応を伴うもので、プリミティブなものは人間だけでなく動物も展開する。その人間による言語表現には、驚きがa、u、e、oであるなど普遍的に母音主義がみとめられる。

角田教授はこう述べている。
「日本人の脳だけが、母音に対して特殊な反応形式を示すと考えられます。
 ですから面白いですよ。いろいろ実験してみますと、動物の声のようなものはみんな左側にいってしまうんです。
 けれども楽器の音のように整然としたものは右側へいきます。
 これはどうも脳幹にあるスイッチのような機能の作用らしくて、日本人以外は、そのスイッチの作用の仕方が違う」

日本人とポリネシア人だけが、その他の世界の人々と異なり、石器時代の人類の認知形式を言語形式として、そしてその発展系である音楽を根幹的要素とする祝祭や文化として温存してきてしまっている。
なぜ、「音楽する脳」が<動物の物真似段階→歌い踊る段階→楽器を奏でる段階=言葉が生まれる段階>と進化する過程で、日本人とポリネシア人だけが母音主義にとどまり、その他大勢が子音主義に移行したのか?

子音主義への移行については寒冷や乾燥などの気候との関連を言う諸説があるのだが、私は、日本人は、あくまで石器時代のアニミズム的世界観を母音主義を一貫することで守ろうとしたのではないか、と仮説する。そう考えないと、文明化した後の一貫を説明できないからだ。
そしてそう考えると、中国から漢字を導入する際のあの世界に類例のないウルトラC的なやりかた(音読み・訓読み/和漢混合遣い)がはじめて理解できる。日本人は母音に宿ると信じた言霊を守ろうとしたのではなかろうか。
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引用終わり  

日本人は虫の声など自然の音も言語野で捉えることができる。これがアニミズムや八百万信仰など、日本人特有の感覚の原点にあるのかもしれません。

日本語の母音が心情に与える効果・影響については、黒川伊保子氏が、『日本語はなぜ美しいのか』という本の中で、次のように述べています。

http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=298447 より引用

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いままで問題にされてきた、聴覚レベルの「音韻」は、顕在意識の話にすぎない。ほんとうは、全身で感じる「発音体感」すなわち発音がもつ潜在意識のレベルを明らかにしないと、言葉の本質はわからない。

この「発音体感」論を支える論拠は、「共鳴動作」である。共鳴動作とは、「人が生まれながらにもっている、目の前の動作に共鳴する[→真似する]能力」のことで、赤ちゃんはこの能力によって母語を覚えるという。

「共鳴動作」によって幼いときに身につけた、音と意味のつながりの感覚すなわち「発音体感」が、「意識・所作・情景」という人間の基礎感覚をつくるし、その言語の特徴にもなる。

発音体感は、意識と所作と情景を結ぶものだ。辞書的な意味によって発音体感の意味を語ろうとすると、美しい関係性モデルはでき上がらない。なぜなら、意味は記号であり、慣習的に使われているうちに、ことばが生み出されたときの意識や情景とは乖離してしまうからである
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引用終わり

>発音体感は、意識と所作と情景を結ぶものだ。
日本語のもっている語感は、「意識・所作・情景」といった日本人の感覚に深く結びついているとすれば、日本語の特性を理解することが、私達にとって有用な脳の使い方につながるかもしれません。

次回、脳と言葉の関係について、さらに深めていく予定です。

  投稿者 seibutusi | 2014-12-01 | Posted in ④脳と適応No Comments »