2014-12-04

健康・医療分野における微生物の可能性を追求する 11 ~自家製発酵食品の効果と乳酸菌のチカラ~

◆自家製ケフィアの健康効果

前回の記事で紹介をしたケフィアを自家製で作成、し約1ヶ月に渡り毎朝食べることで、どれだけ健康状態に変化が見られるのかを実験しました。仕様したケフィア生菌と牛乳(成分無調整)は市販のものを使用しました。

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まずは簡単に作り方を紹介。

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画像はこちらからお借りしました。

  1. ケフィア生菌1袋を、牛乳1Lに入れ、よく混ぜる。この時、他の細菌が混入しないように、牛乳1Lは未開封のもの、混ぜ棒は熱湯消毒すること。
  2. 牛乳パックの口を閉じ、常温で24時間置く。ケフィアの発酵適温は20℃~30℃で、この温度帯であれば約24時間で完成する。気温が下がる冬場は、2~3日かかることがある。
  3. 完成!完成後の保存は発酵の進行を遅らせるため、冷蔵庫で保存して下さい。
  4. ジャムやフルーツソースをかけてもおいしいですが、慣れてくるとそのままで食べられるようになってきます。やっぱり自然の味が一番!

こんなに簡単に作ることができるケフィアですが、どれほどの効果があるのでしょう?

今回は2名の被験者が1ヶ月間毎日ケフィアを食べ、毎日腸の状態と血圧を測り、1ヶ月経過時に血液検査を行いました。

~結果~

Aさん:血圧、血液検査の結果に大きな変化は見られなかったが、腸の調子は非常に良くなったとのこと。特にこれまでは仕事が忙しくなると腸の調子が悪くなりがちであったが、ケフィアを始めてからはそれが改善されたそうです!

Bさん:Aさん同様、血圧、血液検査の結果に大きな変化は見られなかったが、これまで朝食に摂っていた市販のヨーグルトをケフィアに置き換えたことで、体が軽くなるように感じたそう。Bさんは、温度差が激しくなるとお腹を壊し易かったそうですが、そちらも改善されたとのこと。

以上の結果から、血圧や血液まで影響が出るにはもう少し時間が必要かもしれませんが、前回の記事で挙げたような健康効果(特に整腸作用)は確かにあると言えそうです。お腹の調子を崩し易い人には、お勧めできる食品です!

 

◆乳酸菌のチカラ

ケフィアの効果は、その主成分の一つである乳酸菌のチカラによるところが大きそうです。そこで、乳酸菌の知られざるチカラについて紹介します。これからの季節…必読です!

~乳酸菌でインフルエンザ予防~

■乳酸菌がウイルスへの抵抗力を高める 風邪対策として早めに始めておきたいのが乳酸菌の摂取。ヨーグルトや乳酸菌が「免疫力を高める」「インフルエンザ予防に効く」という話を耳にした人も少なくないだろう。 実際に、市販のヨーグルトや乳酸菌飲料に使われている1073R-1乳酸菌やラブレ菌、FK-23乳酸菌といった菌をとることで、病原体の侵入があったときに最初に働く免疫細胞のひとつ、「NK(ナチュラルキラーの略)細胞」の働きが高まったり、感染後の重症化が抑えられたりすることが確認されている。「菌の種類によって効果は異なるようだが、基本的には乳酸菌をとることで免疫を活性化する刺激が入り、防御機能が働くのでは」と山本室長(国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター室長)は語る。最近の研究で、NK細胞だけでなく免疫細胞全般の働きを高める乳酸菌があることもわかってきた。 キリンR&D本部研究所で乳酸菌の研究を行ってきた杉村哲研究員は「病原体の侵入を防ぐ免疫細胞は、プラズマサイトイド樹状細胞(以下、pDC)という別の免疫細胞から指令を受けている。そこで、このpDCの働きを高める乳酸菌を探し、プラズマ乳酸菌と名づけた」と説明する。

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画像はこちらからお借りしました

■乳酸菌が体の防御力を高めてウイルス感染をふせぐ 免疫には、体内に侵入した病原体やウイルスに感染した細胞などの“異物”を早めに見つけ出し、排除する「自然免疫」と、一度感染した病原体を記憶して、次の侵入時に攻撃をしかける「獲得免疫」がある。乳酸菌の摂取で働きが高まる免疫細胞としてよく知られているのはNK細胞だが、pDC細胞の働きが高まれば、免疫細胞全般の働きと、普通の体細胞ひとつひとつの防御力が高まると考えられる。 同社と国立感染症研究所の共同研究によると、この乳酸菌を含むヨーグルト飲料を飲んで、実際に咳や熱などのカゼ・インフルエンザ様疾患の発症が低減したという。さらに、血液を調べたところ、体内に入り込んだウイルスの増殖を抑制する力も高まっていた。

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画像はこちらからお借りしました

・引用元(日本経済新聞

 

◆乳酸菌と酵母の共生関係

前回の記事でケフィアは、乳酸菌と酵母による共生発酵であると紹介しましたが、ケフィア以外にも2種類の菌の共生発酵から作られる食品があります。

2種類の微生物が協力して活動する食品として、日本の伝統醗酵食品で言うならば清酒がまずあげられます。伝統的な清酒の仕込みでは、酵母を増やす酒母製造工程において、はじめに低温性乳酸菌が生育しやすい環境を整え、酸性でも生育できる酵母だけを優先的に増殖させる技術(生もと、山廃仕込み)が用いられてきました。乳酸菌などの細菌と酵母の共生から成り立っている,清酒は異種間の微生物相互作用による発酵産物であり,換言するならば共生の発酵産物です。
一方,ワイン製造は,清酒が純粋な酒母を利用して発酵を進めるのに対して,古くから土着の微生物を積極的に利用している点が異なります。ワインの味と香りは,自然界の酵母フローラに大きく依存します。つまり,ワインは異種酵母間の共生による産物として捉えることができます。
醗酵乳品の中にも乳酸発酵とアルコール発酵が関与するケフィールがあります。伝統的なケフィールの製造に用いるケフィール粒はかなり多くの種類の乳酸菌と酵母などから自然に構成された共生培養です。乳酸を栄養素として消費できる酵母は、お互い良好な共生関係を築けていたと考えられます。

・引用元(乳酸菌ってどんな菌?)

これだけ可能性を秘めた微生物の世界。更に追求を深めて、みなさんに有意義な情報を紹介していきます。今後もお楽しみに!

 

List    投稿者 seibutusi | 2014-12-04 | Posted in ⑩微生物の世界No Comments » 

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