2022-09-29

人間の赤ちゃんが他の哺乳類と比べて未熟な状態で生まれてくるのはなぜ?

人間の赤ちゃんは他の哺乳類に比べてかなり未熟な状態で生まれます。

産まれて30分足らずで自力で立ち上がる哺乳類の赤ちゃんの話が出ますが、人間ではありえません。かなり未発達な部分が多いのが人間の赤ちゃんの特徴。自分で動くこともできず、母乳に吸い付くのがやっと。泣くことのみが唯一の自己主張です。

 

一般的には、脳の発達で頭が大きくなり、この状態で無事出産するためには、体が未成熟なうちに産む必要があると言われています。また、直立二足歩行により胎盤が小さくなったことも理由として挙げられています。

 

しかし、生物にとって出産は、種の存続に直結する最も大切なことです。それにも関わらず人類がこのような方法をとっているのには、出産後の成長過程においても必然性があるからです。


画像はこちらからお借りしました→リンクリンク

(さらに…)

  投稿者 amino | 2022-09-29 | Posted in 4)サルから人類へ…No Comments » 

人類は肉体進化も知能進化も一体充足回路によってもたらされている

これまで観念回路の形成過程を追求してきました。木に登れなくなったサルが、同類との一体化、万物との一体化をする中で、成立してきたのが観念回路です

その知能進化を踏まえて、今回は人類になってどのような肉体進化が起こっていたかという現象から、それがなぜ、どのようにしてもたらされたのか追求していこうと思います。

画像はこちらからお借りました


(さらに…)

  投稿者 amino | 2022-09-29 | Posted in 4)サルから人類へ…No Comments » 

分子系統学がわかる(4)~分子系統学の課題~

今回は最終回です。まだまだ分子系統学にも課題が残っているようです。具体的な課題についていくつか調べてみました。(参考にしたのは、『生物を分けると世界が分かる』岡西政典さんです。有難う御座います。)

■■■分子系統解析の注意点~偽遺伝子の罠~■■■
分子系統解析における相同とは由来が同じ遺伝子のことで、これを解析に用いなければ、間違った結果が生み出されることになる。

たとえばDNAには遺伝子重複といって、ある遺伝子が、生殖細胞を作る際の複製ミスによって本来より余分に作られてしまう例が知られている。死に直結しそうな複製ミスだが、生物の中には、この余分な遺伝子を保持したまま子孫を残してきたと思われるものがいる。

その原因はさまざまだが、たとえばアフリカツメガエルでは、祖先種において全ゲノム重複が起こったと考えられている。このカエルでは、他の近縁のカエルに比べて、生体内のすべての遺伝子がそのままそっくり2倍になっている。これを『倍数体』と呼ぶ。このような2倍に増えた遺伝子のうち、機能を持ち続けるものは、ほとんどの場合、どちらか一方だけ。そして機能を持っているほうは、変化が起こりにくい。機能しているということは、すなわち生存に関わっているということであり、変化すると致命的になり、死亡して次世代 が残せないから。

すでに機能している遺伝子があれば、使われない残りのもう一方は変化が起こってもその個体に害を及ぼさない。したがって、使われないがゆえに、倍数体の遺伝子の片方は、その配列情報をどんどん変化させていくことになる。このとき、機能を持ち続ける遺伝子は他の近縁の種が持つ遺伝子と「相同」であり、もう一方の変化していく遺伝子は「偽遺伝子」と呼ばれる。

この偽遺伝子の変化が十分に起こっていない場合、PCR法によってターゲットとしていた相同遺伝子でなく偽遺伝子の配列を得てしまう可能性がある。実験の性質上、PCR法では配列が似ているものを誤って拾ってしまうことがあるからだ。
PCR法では、増幅する遺伝子を特定する際に、その遺伝子を囲む特定の数十塩基を指標にする。もし偽遺伝子でもこの指標部分が相同遺伝子からほとんど変化していない場合は、こちらを増幅してしまう可能性がある。これは系統解析のエラーの原因となる。

■■■分子系統解析の注意点~進化速度の罠~■■■
また、生物によっては塩基置換の速度が異なり、これが系統解析に影響を及ぼす場合がある。たとえば他の生物の体内に寄生する生物は、宿主から十分な栄養が得られるため、感覚器官や 運動器官、さらに消化器官まで退化して失くしてしまい、生殖器官だけを発達させているものが多い。こうして生殖に特化した寄生生物は産卵数を増加させる。生物の塩基置換は生殖細胞を作る際に起こるため、卵数の増加=塩基置換を持った子の数の増加ということになる。また、寄生虫は一般に体が小さいため、赤ちゃんから成熟するまでのスピード=次の子を残すまでのサイク ルも速くなるらしい。おそらくこのような理由から、塩基の置換が蓄積されるスピード=進化の速度が速まることになる。

そうなると、本来まったく関係のない分類群のはずなのに、配列の変化が大きいというだけで、このような進化速度の速い生物同士の系統と近いと判断される場合がある。進化速度が速いということは、比べる配列に塩基置換が多いということである。なぜなら分子系統解析では、塩基置換をシグナルと捉える。もし10種を比べる中で、(本来は系統的に遠い)2種だけ塩基置換が群を抜いて多い(=シグナルが多い)ものがあれば、その類似点によってこの2種が近くなってしまうのである。進化速度の速い遺伝子を持つ生物は系統樹上で枝が長くなるため、この現象は『長枝誘因』と呼ばれ、分子系統解析における一つの主要なエラーの例として知られている。
これらのエラーは、注意深く解析していけば克服可能である。たとえば、枝の長い種を除くのではなく、解析する種の数を増やしていくことによって配列の偏りのエラーが薄まるという研究 などが知られている

このような追求課題が残っています。分子系統学の長所を活用しなから、今までの知見(例えば形態学)も踏まえて総合的な判断が求められている気がします。有難う御座いました。

  投稿者 hirosige | 2022-09-20 | Posted in ①進化・適応の原理No Comments » 

分子系統学がわかる(3)~上手くいかない分子系統学?!~

この間の調査で、分子系統学の可能性が見えてきましたが、そう簡単ではないようです。まだまだ分子系統学にも課題が残っているようです。今回は、上手くいかなかった事例、上手くいっているの?事例を調べてみました。

■■■珍渦虫(ちんうずむし)は、系統的にどの生物に近縁なのか?■■■

珍渦虫は,その単純な体性から原始的な動物と言われ,その系統学的位置は長らく不明であったようです。その最新情報情報です。引用は、東京大学・上島励・准教授の記事です。引用有難う御座います。これを読んでも本当に決着したのか?まだまだ課題がありそうです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
珍渦虫のDNA による分子系統解析は1997年に初めて行われ,軟体動物の二枚貝類に近縁であるという驚くべき知見が報告された。しかしその後,この知見は珍渦虫そのものではなく,「珍渦虫が餌として食べた二枚貝」の混入であったことが判明し,「本物」の珍渦虫のDNA による分子系統解析がやり直された。その結果,珍渦虫は後口動物の一員であるという,またまた驚くべき知見が発表された。この新知見にもとづき珍渦虫に対して新しい動物門(珍渦虫動物門)が創設され,この問題は解決したかと思われた。

その後,扁形動物の一員と考えられていた無腸形類が珍渦虫に近縁であることが示唆され,両者を統合した珍無腸形動物門が新たに創設された。しかし,その系統学的位置については,後口動物説だけでなく,「前口動物と後口動物が分岐するよりも前に出現した原始的な三胚葉動物(左右相称動物)である」という新たな説が発表され,さらには珍渦虫と無腸形類は近縁でないとする説も出るなど,状況は混沌としてきた。

2016 年の1 月にNature 誌に2つの論文が発表され,珍渦虫と無腸形類は近縁であること,これら(珍無腸形類)は三胚葉動物の最も初期に分岐した古いグループであることが強く支持された。しかし,今までに述べた説は,全てDNA の分子系統解析にもとづいている。餌の混入であった「軟体動物説」はともかくとして,その後の論文ではいずれも複数の遺伝子情報を用いていたにもかかわらず,なぜ解析結果が二転三転したのだろうか。これまでの研究で問題となっていたのは,珍渦虫の分子データ(遺伝子の種類)が少ないこと,解析対象となる分類群の多様性が充分でなかったこと(特に無腸形類)である。今回発表された論文では,これらの問題をクリアする多くのデータを用いており,珍無腸形類の系統学的位置は今度こそ決着したと思われる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

■■■ヒトに最も近い類人猿は?チンパンジー?オランウータン?■■■

ヒトと類人猿の関係はいろいろ議論されていますが、分子系統学の追求の結果、ヒトに一番近いのはチンパンジーであると、1990年代にほぼ確立されたようです。ただし、調べてみるとそう簡単ではなさそうです。まだまだ課題がありそうです。

(1)形態的特徴との違いは?

チンパンジーとゴリラが地上を歩くときに、共通したナックル歩行という歩き方があります。これに対し、オランウータンやテナガサルはナックル歩行をしません。ヒトの二足歩行にどう繋がるのか?

また歯のエナメル質は、ヒトとオランウータンでは厚いのに対して、チンパンジーとゴリラでは薄くなっています。その他、ヒトの体との類似点が、チンパンジーは2箇所、オランウータンは28箇所(例えば白目黒目)と言われています。

まだまだ、その謎はまだ解決されていないようです。

(2)分子系統学の方法で異なる?

ヒトに最も近いのはオランウータン?:異説・珍説の扱い方(”むしのみち”さん引用有難う御座います)

最節約法を使って、現存大型霊長類(ヒト、チンパンジー、ボノボ、ゴリラ、オランウータン)とアフリカ、アジア、ヨーロッパの化石大型類人猿との間での(形態形質による)系統関係を調べた。

>解析の結果、現存大型霊長類は単系統で、二つの姉妹群(ヒト+オランウータン、チンパンジー・ボノボ+ゴリラ)が検出された。ヒト+オランウータンには、化石人類および中新世の類人猿が含まれていた。

つまり、ヒトとオランウータンには(アフリカの類人猿をのぞく)共通祖先がいた可能性がある。その共通祖先は、少なくとも1300万年前までは広い分布をもっており、その後の分断分布(Vicariance)によって、東アフリカのヒト科人類や、スペインから東南アジアに分布する中新世の類人猿へとなったのかもしれない。

今回は以上です。まだまだ分子系統学も課題がありそうです。次回は、~分子系統解析の課題~です。

  投稿者 hirosige | 2022-09-18 | Posted in ①進化・適応の原理No Comments » 

分子系統学が分かる(2)~分子系統解析の特徴~

今回は、分子系統学をどのように行っているのか?その具体的中身を調べてみました。以下の3項目です。

(今回も下記の①、②で参考にしたのは、『生物を分けると世界が分かる』岡西政典さんです。有難う御座います。)

①『分子系統学=系統樹をどのように作っているのか?』

②『分子系統学の特徴は?』

③『分子系統解析の各方法について』

■■■PCR法を使って系統樹を作る■■■
系統樹は、新型コロナウィルス検査に活用されたPCR法を使っているのです。

DNAを人工的に取り出し、増幅させ、1本に解離し、配列を読み取る方法=PCR法で系統樹を作成する。DNA解析で得られた遺伝子の塩基の配列から系統樹を作成する方法は、基本的には、『配列の類似度』で検討することになります(固体A、B、Cの塩基配列の類似度より系統樹を作成する。塩基配列の違い数が少ない程、系統樹上の近い枝に配置される)。

■■■分子系統解析の5つのメリット■■■
では、何故これほどまでに、分子系統学が発展してきたのか?現在はDNA解析によって形態の進化を考察するという手法が主流となっているが、何故なのか?そのメリットを調べてみました。

①客観性が高い(形態にて系統樹を作成するより客観的)
②全生物で共通である(形態は、その生物の生き様に応じて、由来が異なっても形が似てしまう。これを収斂と呼ぶ。形態が似ていても、起源が同じ『相同』と起源が違う『相似』とで異なる。前者は系統的に遠い。このような場合にも分子系統学は適用可能)
③独立性が高い(一つの塩基の変化が他の塩基に影響を与えない)
④情報量が多い
⑤形質状態が決まっている(A、T、G、Cの4つの形質状態と決まっている。ただし、その状態の変化として、4つの塩基の変化率(塩基置換率)を考える必要がある。塩基は、細胞分裂によって生殖細胞(精子、卵子)が作られる際に、ごく稀に起こるDNAの複製ミスや化学的な損傷などが原因となり、その配列が変化する。このミスが起こる確率を『塩基置換率』と呼び、これと、細胞分裂の際の各遺伝子配列そのものの位置の入れ替え(『組み換え』と呼ぶ)が子孫に伝わることによって進化が起こると考えられている。したがって、系統解析において塩基置換率をどのように考慮するかは、DNA解析においては非常に重要)

■■■分子系統解析の各方法■■■
分子系統樹の作成法を大きく分類すると、遺伝距離を用いる方法(距離行列法;平均距離法、近隣接合法)と配列データそのものを用いる方法(形質状態法;最尤法、最節約法)に大別されます。ここでは、最節約法、最尤法について調べました。

1)最尤法
進化の過程で生じる塩基置換について、それを生じさせる仮説にもとづき、ある一つの共通先祖から実際に観察される現在の配列データが実現する確率(尤度)を求めて、この尤度が最大になる系統樹を選び出すという方法です。長所としては、進化における DNA の塩基置換は確率過程とみなすことができるが、最尤法ではそのことが明示的に取り入れられており、何を仮定して解析を行っているのかが明確である点です。すなわち、前提としている確率モデルがはっきりしているので、より良いモデルの選択、改良ができることです。

2)最節約法
塩基置換などの進化的変化数の合計を最小にする(最も節約する)という最大節約原理にもとづいて系統樹を作成する網羅的探索法の一つです。最節約法は、DNA塩基配列データばかりでなく、形態形質の形質状態などのデータにもとづいた分岐分析などでも利用されるアルゴリズムとしてよく知られています。最節約法は主に樹形を決定するために用いられる方法であり、一般的には枝長を求めることは困難です。また、ある特殊な場合を除いては、系統樹の根を無条件に与えることも不可能です。さらに、塩基置換数が非常に大きく、並行突然変異や復帰突然変異がかなりの頻度で起こっている場合には、置換速度が一定あるいはほとんど一定でない限り、最大節約法は重大な誤りを犯す傾向があります。
比較したアミノ酸や塩基数が少なく、並行突然変異や復帰突然変異が多いときには、置換速度が一定であっても最大節約法は誤った樹形を与える確率が高いことが知られています。

両方法とも長所短所があります。例えば、塩基サイトあたりの置換数が非常に小さく、しかも多数の塩基サイトが用いられたとき以外は、最節約法は真の系統樹を選ぶ効率が悪いことが指摘されています。また、最節約法はサイトあたりの置換数が大きくない限り、どの塩基またはどのアミノ酸がどの技でどう変化したのかについておおよその推定ができるという利点があります。いろいろな方法によって得られた系統樹のうち、どれが真の系統樹であるかを判断するための方法や基準は現在のところ知られていません。しかし、樹形全体の中のある特定の分岐について、その確からしさを検定したり推定するための方法は知られており、その一つとして広く用いられる方法は、ブートストラップ法とよばれる方法があります。

今回は以上です。次回は、~上手くいかない分子系統学!?~です。

  投稿者 hirosige | 2022-09-18 | Posted in ①進化・適応の原理No Comments » 

分子系統学が分かる(1)~分子系統学とは~

分子系統学って知っていますか!?

分子系統学とは、生物のもつタンパク質のアミノ酸配列や遺伝子の塩基配列を用いた解析を行い、生物が進化してきた道筋(系統樹(上図参照(引用させて頂きました。有難う御座います)を解明しようとする学問です。

従来の系統学は主に形態、発生といった表現型の比較に基づいていたのに対し、分子系統学はそれらの根本にある遺伝子型に基づく方法であり、より直接的に生物の進化を推定できると期待されるのです。この学問は、20世紀に入り、各種理論やDNA解析技術によって大いに発展しました。

分子系統学の研究は、20世紀半ばに、分子進化(生物種によるアミノ酸配列の違いが過去の進化を反映していると考える)が研究され、分子時計仮説が提唱されたのに始まります。分子進化がほぼ一定の速度で進むとする考えで、進化の時間経過が追えることが示唆されました。その後分子進化速度は機能的に重要でない部分は早く進化するなど一定ではないことが明らかになり、木村資生による中立進化説が定説となりました。分子系統学はこれらの理論を基本をおいているのです。

この分子系統学は、今や高等学校の教科書にも載っているそうです!!この分子系統学ををシリーズで調査、追求していきます。

第1回目は、分子系統学とは何か?そしてその誕生は?についてです。

参考にさせて頂いた書籍は、『生物を分けると世界が分かる』岡西政典 著です(有難う御座います)。

■分類学と系統学は何が違う?
自然界の生物を分類する学問を『分類学』と呼ぶが、それに対して、『系統学』と呼ぶ学問があります。この分類学の父と呼ばれているのが、スウェーデンの植物学者、カール・フォン・リンネ(聖職者の子として生まれた)です。リンネの代表作『自然の体系』は、1735年に初版が刊行されています。

まずは、分類学と系統学を簡単に分類します。

・分類学「ある一時期における生物の体系を表す学問」
・系統学「ある期間における生物の進化の過程を考える学問」

なぜ二つの学問的な違いが生まれたのか?それには、当時の宗教的価値観(キリスト教価値観)を理解しておく必要があります。

『リンネの分類体系』生物が階層性に落とし込まれるということ自体、彼は神の業で不変のものであると考えた。つまり属や種などの階層は明確に他と区切られており、その間のものは存在しないという考え=キリスト教の価値観。

しかし現在では、生物は長い年月の間に、DNAの突然変異などによって、少しずつ環境に合わせてその形質を変化させ、現在のような多様な姿を得るに至ったという考えが主流です。そしてその発端が、チャールズ・ダーウィンが『種の起源』(初版1859年)で唱えた進化論です。
進化論とは、置かれた環境に有利な形質を持つ生物のみが生き残り、 次世代にその形質を伝えていくという「自然選択」説に基づいたものです。

このダーウィンの進化論によって、生物は長い年月の間にさまざまな変化を蓄積し、現在のような姿になったことが説明された。・・・となると当然、現在生きている生物たちには共通の祖先がいるという認識が生まれます。

それまでは、私たちヒトと、私たちに近縁と考えられているチンパンジーは、共に神が造った不変の生物なので、どれだけ昔に遡ったとしても、ヒトとチンパンジーが現在のように共存していたと考えられていました。これに対して、十分時間を遡れば私たちもチンパンジーもまだ存在せず、それに似て非なるサルのような形の共通の祖先がいたとする考えが生まれたのです。これが、『系統学の始まり』と言えます。

■分子系統解析の誕生
しかしDNA解析技術の発達はこの状況を一変させました。DNAの塩基配列というデータは、系統樹の作成と非常に相性が良く、多くの場合、形態に基づいた系統解析(系統進化パターンを構築するための解析)よりも優秀な成績を残すと言われています。

近年では、良いか悪いかは別として、専門的な知識がなくても、材料とDNA実験施設さえあれば、あらゆる生物の系統樹を構築することが可能になりました。これを「分子系統解析」と呼びますが、近年では高校の授業の一環で系統樹の作成も行われているほどです。

実際、分子系統解析が分類学にもたらした恩恵は非常に大きく、これまで形態だけでは分からなかったさまざまな系統(外見は変わらず他の形質が異なる種のことを「隠蔽種」という)が分子系統解析によって見出されています。このように分類学は、分子系統解析の登場によって大きく進歩し、現在でもさまざまな研究成果が次々に発表されている状況にあるのです。

今回は以上です。次回は、~分子系統解析の特徴~です。

  投稿者 hirosige | 2022-09-18 | Posted in ①進化・適応の原理No Comments » 

観念機能の形成過程28~同期力と充足増幅力を高めたメスの思春期~

 

前回の続きです。

たとえば思春期を迎えた人類の女性は、箸が転げてもおかしいとか、脳内お花畑(妄想)常態とか、常に幸せそうですよね。他にも、女の子同士で延々と恋話をしたり、用もないのにトイレへ一緒に行くなどの同期行動も特徴的です。このように、脳内のドーパミンが過剰分泌になったり、行動における同期性が急速に高まりが、こうした変化にはどのような意味があるのでしょうか。

 

初期人類は、一体充足を最大のエネルギー源にして生き延びらえてきました。その一体充足の核になっていたのが、性です。

 

そこから考えると、メスの思春期に顕著な行動(おしゃべりや行動を共にする)は、同じメス同士の同期力を高めることで、自らの充足力を高めようと、相互に波動→充足を増幅させていったのではないでしょうか。

 

そこで高められたメスの充足力が、性の対象であるオスをはじめ、集団の充足へと向けられていったと思われます。思春期の性エネルギーを活かしたメスの充足力が、オスのリスクを伴う行動を引き出していったのでしょう。

 

この一体充足力の強化こそ、人類(特にメス)の性機能や快感機能の発達など、肉体的な変化をもたらした要因ではないでしょうか。

 

こうして人類のオスもメスも、幼児期から肉体的な性成熟をするまでの成長期に加え、さらに思春期を生み出しました。そこで変異存在であるオスのリスクある行動をもたらし、安定存在であるメスの充足力の増幅強化をもたらすことで、後天的に能力を身に付ける仕組みを獲得しました。このように性の引力を利用して、オスメス残留による適応の弱体化を防止して変異を生み出していった構造は、現代も貫かれています。

 

■最近、思春期が衰弱している!?

最近の子どもたちの話では「危険なことは親から禁止されている」「受験勉強で毎日疲れている」など、思春期に見られる危険な行動を一切しないと聞きます。種としての強化を図るためにつくりあげた思春期が衰弱しているのはなぜでしょうか。

 

人類の意識の全ては、共認機能も本能機能も含めて、観念機能に収束しています。従って思春期の衰弱に、観念が大きく影響していることは間違いありません。これは仮説ですが、現代の親は「あなたのため」と言って、子どもが判断しているように思わせて、親の理想像(観念)を押し付けているケースが散見されており、子供たちも親の価値観に対して不全感を抱くものの、それに変わる新しい展望も見えないので、親の観念に順応しているように思います。

 

その結果、本来分泌されるはずの駆動物質が出てこないため、思春期が衰弱しつつあるのではないでしょうか。このままでは種としての変異が促進されないため、問題を迎えることになります。衰弱の原因は新しい展望が見えないことにあるので、この展望をどう創り出していくのかが、人類にとって重要になるでしょう。

  投稿者 oku-ken | 2022-09-10 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 

観念機能の形成過程27~初期人類のメスに思春期はあるのか?~

 

前々回の投稿では、初期人類のオスの思春期について言及しました。

 

初期人類はオスメス残留という他の哺乳類に見られない集団形態を採り、集団内での争いを避けるため、哺乳類特有の強力な性闘争を封鎖しました。そして、この封鎖した最強の性エネルギーを利用して、思春期を作り上げました。

 

オスは思春期を迎えると、性ホルモン(駆動物質)を分泌して、
①神経細胞の結合が活発になり、記憶容量が格段に増大する=学習能力が高まる
②リスクのある行動(冒険心)を取ることを好む
などの特徴が見られるようになります。

 

つまりオスは思春期を作り出すことで学習能力を高め、リスクに挑戦する中で能力を伸ばして、軟弱化を防ぎ変異を促進させていったと思われます。

 

■メスの思春期について
前々回の投稿ではオスの思春期について言及しましたが、メスにはどのような変化があるのでしょうか?

 

まずは集団にオスだけでなくメスも残留するという点では、メスも集団を出ていく類人猿に対し、人類は弱点を残すことになります。

 

そもそも、類人猿のメスが集団を放逐されるのは、子育て期間を長期化させたことによるオスの軟弱化(適応力の弱体化)を防ぐため。だからオスだけでなく、メスも集団を出ていくことで、メスにも生存圧力がかかるようになり、メスをオス収束させる=性収束させることになります。その性収束が年中発情を可能にし、オスの性闘争を激化させることにつながります。その結果、オスの弱体化を防ぎ、種としての強化を図ってきました。これが類人猿の生殖の基幹戦略です。

 

したがってメスの残留は、類人猿と比べると、オスの性エネルギーを引き出す力が弱くなる点が、問題となります。つまり、この弱点を超えるために、人類のメスにも思春期がセットされているのです。

 

では、思春期を迎えたメスがどう変化するのかについては、次回の投稿で触れていきます。

  投稿者 oku-ken | 2022-09-10 | Posted in 5)人類の拡散No Comments » 

観念機能の形成過程26~若者から「反抗期」が無くなっている。この背景には何があるのか?~

前回は思春期における「反抗期」について扱いました。

※反抗期とは?
ウィキペディアによると

反抗期(はんこうき)は、精神発達の過程で、他人の指示に対して拒否、抵抗、反抗的な行動をとることの多い期間のことである。子供から大人へと成長する過程で誰もが通るものとされている。
反抗期は2回あるとされ、幼児期の反抗期を第一反抗期(第一次反抗期)、思春期の反抗期を第二反抗期(第二次反抗期)としている。

とあり、思春期の反抗期は「第二次反抗期」にあたるようですが、記載にもあるように、誰もが通る反抗期というのが一般的な認識ですが、現在の若者は、「友達親子」のような現象からもあるように、いわゆる「反抗期が無い」といった若者が増えているようです。

人類の適応戦略上重要な「思春期」。この点から見て、現在の「反抗期が無い」人類は大丈夫なのでしょうか?

 

(さらに…)

  投稿者 tuti-nor | 2022-09-03 | Posted in ①進化・適応の原理, ④脳と適応No Comments » 

観念機能の形成過程25~生物史・人類史から見ると「反抗期」とは一体何を意味するのか?~

前回、思春期にリスクのある行動(=危険を好む行動)をとるようになるのは、【人類の適応戦略として軟弱化を防ぎ、変異(大胆な行動)を促進する為】だと分析しました。

では、思春期の特徴として出てくる「反抗期」。

この【反抗期】とは、生物史・人類史から見ると一体どのような意味があるのでしょうか?

 

(さらに…)

  投稿者 tuti-nor | 2022-09-01 | Posted in ①進化・適応の原理, ④脳と適応No Comments »