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観念機能の形成過程26~若者から「反抗期」が無くなっている。この背景には何があるのか?~

前回 [1]は思春期における「反抗期」について扱いました。

※反抗期とは?
ウィキペディア [2]によると

反抗期(はんこうき)は、精神発達の過程で、他人の指示に対して拒否、抵抗、反抗的な行動をとることの多い期間のことである。子供から大人へと成長する過程で誰もが通るものとされている。
反抗期は2回あるとされ、幼児期の反抗期を第一反抗期(第一次反抗期)、思春期の反抗期を第二反抗期(第二次反抗期)としている。

とあり、思春期の反抗期は「第二次反抗期」にあたるようですが、記載にもあるように、誰もが通る反抗期というのが一般的な認識ですが、現在の若者は、「友達親子」のような現象からもあるように、いわゆる「反抗期が無い」といった若者が増えているようです。

人類の適応戦略上重要な「思春期」。この点から見て、現在の「反抗期が無い」人類は大丈夫なのでしょうか?

 

■「反抗期が無くなっていること」が意味するものとは?

前回扱ったように、「反抗期」自体は生物史にとって普遍性の無いものなので、”反抗期自体が無いこと自体”はそこまで問題は無いでしょう。

しかし、最強の性エネルギーを利用して思春期を作り上げたのには間違いなく、反抗期の背景には思春期の性エネルギーがあり、【反抗期が無いことは、思春期の性エネルギーが衰弱した】とも捉えることができます。
そうなってくると話は変わってきます。

それは人類の進化戦略(生き残り戦略)と密接に連関しています。
哺乳類は胎内保育の結果、生体後に異性をめぐってオス同士(メス同士)を戦わせて淘汰するという性闘争戦略をとっていますが、人類の場合は、生き残り戦略としてオスメスが集団に残留する道を選択した。しかし、オスメス残留は性闘争を封鎖するになります。この封鎖した最強の性エネルギーを利用して思春期を作り上げました。

観念機能の形成過程24~「思春期」が出来たのはなんで?~ [3]

セックスレスが常態化している日本では、確かに「性そのものが衰弱している」と捉えることができます。
ではその原因は一体何か?

一つは物理的・身体的要因として、【人工物質による環境ホルモンが、生殖機能の障害をもたらし、それによる性の衰弱】が考えられます。

人工物質による「環境ホルモン」が、生殖・内分泌系異常、免疫系・神経系の障害、そして胎児への影響が報告され続けてきた。そして、1990年代には精子半減が報告され、社会に衝撃を与えたが、未だに解決の方向には全く進んでいない。

人工物質による肉体破壊に、精子半減とともにメスの不妊化も判明 [4]

そしてもう一つは、親や先生、または社会からの「規制・管理による抑制圧力」によって意識や活力が衰弱していることです。

私権の衰弱から約50年、私権に替わる収束先を求めて仲間収束した若者たちも、暴走族やヤンキーなどといった形で、抑圧されたエネルギーを発散させてきましたが、親や先生、社会からの規制や管理圧力が強まれば強まるほど、ありあまるエネルギーを発散させるようになるのは本来生物としては真っ当な姿です。(※決して暴走族やヤンキーを肯定しているわけではありません)

しかし、現在はそのエネルギーの向けるべき収束先もわからず収束不全状態。
反抗期が無いといっている若者に聞いてみると、「反抗すること自体がバカバカしい」と言っているようですが、こういった価値観=観念に支配され、本来生きている間で最もエネルギーがあふれる思春期に、エネルギーを注げる対象・収束先が見つからず、そのエネルギーはどんどん抑圧され衰弱する一方だということ。
このように人類の飛躍期のはずの思春期にエネルギーが無いというのは、死活問題です。

 

変異やリスクを恐れず、失敗から学ぶ。このようにして人類は生き延び、変化に適応してきました。
しかしこの変化が目まぐるしい現代において、【思春期が無くなっているということは、生物として適応能力が無くなっている】ということを示している。

そう言っても過言では無いのだと思いますが、みなさんはどう思いますでしょうか?

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