2022-08-27

観念機能の形成過程24~「思春期」が出来たのはなんで?~

前回の記事では、

人類以外は「思春期」はほとんど存在しないといいます。(思春期とは生物学的には性成熟開始後から繁殖期までを指します。)
では、なぜ人類は一見厄介な思春期を作り出したのでしょうか?男女で違いがあるのもなぜなのでしょうか?

再度、人類進化を見ながらは、その原因を考えてみたいと思います。

人類はオスメス残留という他の哺乳類にはみられない集団形態をとります。
その理由は、
①機能欠損の人類は、極めて少数で、集団を出ても他の集団がいない。かつ洞窟の外は極めて危険であるという消極的理由
活力源を同類(仲間)との一体化に求め、そこに収束したという積極的理由

主としてその二つの理由により人類は性闘争を封鎖し、オスメスともに集団に残留し思春期が出来ていきます。その思春期は人類固有のもので、他の哺乳類にはほとんど存在しません。現代からみれば、厄介そうに見える思春期、それが出来たのは何故なのでしょうか?
ソース画像を表示

 にほんブログ村 科学ブログへ

◆何故人類はこのような一見厄介な思春期を抱え込んでいるのだろうか?
それは人類の進化戦略(生き残り戦略)と密接に連関しています。

哺乳類は胎内保育の結果、生体後に異性をめぐってオス同士(メス同士)を戦わせて淘汰するという性闘争戦略をとっていますが、人類の場合は、生き残り戦略としてオスメスが集団に残留する道を選択した。しかし、オスメス残留は性闘争を封鎖するになります。

この封鎖した最強の性エネルギーを利用して思春期を作り上げました。

性ホルモンが刺激する扁桃体の近くには記憶を司る海馬と、快感(プラス感情)を刺激する側座核が存在し、扁桃体が刺激されると扁桃体は海馬と側座核を刺激する。海馬が刺激されると神経細胞の結合が活発になり、記憶容量が格段に増大する。つまり学習能力が高まるのです。

それに加えて、オスの場合には、側座核は快感中枢とも言われているが、側座核が刺激されると(ドーパミン回路が刺激され)リスクのある行動=危険を好むようになり(冒険心)を取ることを好むようになります。一方、メスは、より充足を求めるようになっていきます。
※このオスメスの違いはオスメスの役割の違いによるものですが、その構造はもう少し検討する必要があります。

つまり、人類が感情が不安定な思春期という弱点を敢えて作り出し、残したのは、学習能力を高めリスクに挑戦し進化するためであったと考えられます。この思春期のエネルギーによって人類は軟弱化を防ぎ変異(大胆な行動)を促進させたと思われます。

一説によれば、ネアンデルタール人は現生人類と比べて、ほとんど思春期に当たるものがなかったといわれる。だとすれば、人類の世界への拡散(決死行)を可能にした一つの要因が思春期かもしれない。

次回はオスメス残留と進化促進戦略をまとめてみたいと思います。

List    投稿者 m-yoriya | 2022-08-27 | Posted in 5)人類の拡散, ①進化・適応の原理No Comments » 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.seibutsushi.net/blog/2022/08/8331.html/trackback


Comment



Comment