2022-08-24

観念機能の形成過程23~人類特有の「思春期」とは?~

以前のブログでは、初期人類はオスメス共に集団に残留することによって、
【①オスの軟弱化】【②種の適応度を上げるための遺伝子の多様性=変異促進の阻害が生じる可能性】
が生じ、①に対しては通過儀礼で強化する、②は前回のブログでは近親配偶について詳しく見ていきました。

①のオスの軟弱化に対して、人類は人類固有の「思春期」でも突破してきたと思われます。
今回は、「思春期」に焦点を当て、オスの弱体化をどう突破したのかを見ていきたいと思います。

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■思春期とは?
思春期とは、第二次性徴期と呼ばれ、おおよそ男性は11歳ごろ、女性は9~10歳ごろから始まります。
(第一次性徴は、男の子なら陰嚢や陰茎、女の子なら子宮や卵巣といった、赤ちゃんが生まれた時点で既にわかる男女の違いのことを言うそうです。)
そして思春期には、男女でそれぞれ違いがあるように感じます。


画像はこちらよりお借りしました。

●男性の思春期の特徴
声変わり、ひげが生える、筋肉や骨格が発達する、身長が伸びる、精通が起こる

●女性の思春期の特徴
体つきが丸みを帯びてくる、胸が大きくなる、身長が伸びる、初潮を迎える

■思春期に感情が不安定になるのは何で?
人類に真に特徴的なのは「思春期」(性成熟の開始)に、著しく感情が不安定になるということ。
正確に言えば、プラス感情もマイナス感情も大きく増幅されるということなのです。

それは、性ホルモンが視床下部の扁桃体を刺激しているからです。
扁桃体が刺激されることで、脳内伝達物質が大量に分泌され、その結果感情が刺激され、神経細胞の樹状突起のシナプスが作るネットワークが量、スピードともに大きく増大するのです。

■思春期の脳って?
しかも人類は思春期になると脳が後頭部より成熟していきますが、もっとも最後まで残されるのが前頭前野
前頭前野は激しい感情を制御するブレーキ役。
しかし人類の場合、この前頭前野の成熟が遅く、十分に機能し始めるのが25歳位だと言います。

つまり思春期は、ブレーキのないアクセル全開の状態だということ。

男の子が、危険と分かっていても(注意されても)、危険なことをしたくなったり、ヤンチャをしたくなったり。

思春期の女の子が「箸が転んでも可笑しい年頃」といわれるように、何気ないことで笑いが止まらなくなったり、急に泣き出したり。

これらもブレーキが利いていない状態だと思われます。

思春期には、男女で身体的な変化にも大きく違いがありますが、男の子はより危険を好むようになり(冒険心)、女の子は、より充足を求めるようになっていくのも思春期の大きな特徴だと言えます。

人類以外は「思春期」はほとんど存在しないといいます。(思春期とは生物学的には性成熟開始後から繁殖期までを指します。)
では、なぜ人類は一見厄介な思春期を作り出したのでしょうか?男女で違いがあるのもなぜなのでしょうか?
このあたりについては、次回以降詳しく見ていくことにします。

List    投稿者 takayama | 2022-08-24 | Posted in ①進化・適応の原理No Comments » 

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