2021-11-25
サル社会の構造⑤~原猿オスに同化⇒若オス達の意識にどんな変化が生まれたのか?~
前回は原猿メスに同化しましたが、今回は原猿オスに同化。
特に若オス達の意識にどんな変化が生まれたのかを解明していきますが、その中に、サル・人類に特有の共認機能の鍵が隠されていることがわかっていきます!
■1.飢えの肉体的な不全<精神的・意識的な不全が上回る、「無限苦行」の本能不全状態に陥った若オス達
前提としては、食性が変わって(葉っぱが食べられるようになって)エサも豊富になるとともに大型化し、天敵も減少。
防衛力と生産力に優れた陸海空に代わる第4の世界を手に入れた原猿は、一気に繁殖し、樹上は過密状態に。
縄張りオスは、餌は一定確保できるので、肉体的には充足している状態ですが、若オス達からの恒常的な縄張り侵犯があり、常に過剰緊張状態に陥っており、精神的・意識的には不全状態に陥っていることが想像できます。では、一方の縄張りを確保できない若オス(弱オス)達はどんな状態かというと、
〇若オス
過密状態となり恒常的な縄張り闘争が起こる。縄張りが重合しているのでどこにいっても他のサルの縄張りを侵犯することに。若オスたちは飢えに苛まれ、食糧を得ようとすれば、縄張りオスに襲われ、追い払われる状態。(※前回記事)
若オスの敵は縄張りオス(ボス)だけでなく、若オス同士も餌を奪い合う敵同士の関係です。オスの性闘争本能はメスよりも数倍強く、いきなり結束はできません。
飢えを凌ごうとすれば、縄張りオス(ボス)や同類からの掠め取りが必要になり、常に同類との衝突を続けなければならない状態です。
これまでの哺乳類の同類同士の闘争(性闘争)は、繁殖期以外は起きず、恒常的なものではありませんでした。繁殖期という限定された期間に両者の性闘争本能にスイッチを入れば良く、どちらかが戦意が無くなれば、敗従本能により、過剰な闘争は避けられていたからです。
しかし、両者の戦意がある無いに関わらず、常に同類との衝突を続けなければならない。かつ餌も確保できないという【肉体的にも精神的・意識的にも不全状態】が延々と続きます。
この終わりが無く、展望の見えない状態が続けば、やがて空腹を満たしたいという肉体的欠乏さえ、精神的な苦痛が生み出す「これ以上は戦いたくない」という厭戦感(えんせんかん)が上回り始め、活力(戦意)はどん底状態。言わば「無限苦行」の本能不全状態だということです。
みなさんはどこまで想像(同化)できるでしょうか。人間で言えば、例えば「戦争をしたくも無いのに、続けなければいけない。終わりの見えない闘いを強いられる」そんな状態なのだと思います。
しかし、この苦痛の極致の状態が逆に突破口になるのです。
サル社会の構造④~改めて原猿メスに同化~
今回はもう一度、原猿のメスに同化していきたいと思います。
食性が変わって(葉っぱが食べられるようになって)エサも豊富になるとともに大型化。天敵も減少。
防衛力と生産力に優れた陸海空に代わる第4の世界を手に入れた原猿は、一気に繁殖し、樹上は過密状態に。 (さらに…)
サル社会の構造③~恒常的な縄張り闘争の下でメスはどうした?~
原猿時代、単体で生存していたメスは、若オスだけでなくメスを含めた周りの同類は全て敵という状況で、常に飢えに苛まれ縄張りが持てなかった可能性が高い。
そのような状況下でどうやって生存=適応していったのでしょうか。
(さらに…)
サル社会の構造②~大型化して樹上を独占した原猿がぶつかった外圧~
初期原猿は、地上に比べて餌の少ない樹上では繁殖ができず、少産化で成体数を減らす戦略を取りました。つまり、この時期の樹上はさほど過密でもなく、性闘争も過激ではなかったのです(この状態が概ね2000万年以上)。
今回は、原猿はその後どのような外圧にぶつかったのか?(=適応したのか?)を追求していきます。
サル社会の構造①~原モグラと原猿。違いと共通点~
今回から「サル社会の構造」に入っていきます。
サルの特徴は、
①オスメス集団が(初めて)形成されたこと
②共認機能を形成し、著しく知能を発達させたこと
③オス同士が集団を形成したこと
今回は下の図のモグラ・ツパイと原猿の違いと共通点から、まず原猿のおかれた状況を押さえていきたいと思います!(原猿とはモグラが樹上に逃避した種。) (さらに…)
哺乳類の知能進化(番外編)~・ドーパミンの基礎知識・~
ドーパミンは快感物質(解脱物質)と言われる。
この駆動物質は特にサル・人類に顕著な神経伝達物質であり、サル・人類史(つまり、共認回路あるいは観念回路)と深くかかわる物質です。
ドーパミンに関する基礎的な知識をまとめます。
(さらに…)
哺乳類の知能進化(番外編) ~アドレナリンとは何か?~
これまでのブログで「哺乳類の知能進化」について扱ってきました。その中で、脳の役割とは、
脳の役割は、外識機能(5感)で得たあらゆる外部情報を集約し、状況に応じた適切な判断を下して「行動」を起こすためにあります。つまり、脳は「情報を集約し行動する為」にあるのです。http://www.seibutsushi.net/blog/2021/10/7405.html#more
と定義しました。そして、行動を起こすためには「駆動物質(=情報伝達物質やホルモンのこと)」が必要で、知能進化との関連が深い脳の働き・役割を追求するために「駆動物質とはそもそも何なのか?」は知能進化を解明するための重要な追求テーマです。
※駆動物質について(http://bbs.kyoudoutai.net/blog/2021/10/9158.html http://bbs.kyoudoutai.net/blog/2021/10/9394.html)
前回のブログでは、駆動物質のひとつで、快感物質で言われるエンドルフィンについて扱いました(http://www.seibutsushi.net/blog/2021/11/7432.html#more)。今回は、興奮・闘争系の駆動物質として知られる「アドレナリン」について扱っていきます。
哺乳類の知能進化(番外編) ~快感物質と呼ばれるエンドフィンの本来の役割とは?~
これまで、哺乳類の知能進化の謎を追求していますが、それには「皮膚感覚の発達」が関係していました。
皮膚感覚の快感回路(安心感)の発達は同時に不快感や、何かおかしいという違和感や、しっくりこないなどの不整合感の感覚も鋭敏にさせます。
実はこの不整合感の回路こそが、探索回路を発達させる駆動力になります。したがって、快感回路=「充足への欠乏」が探索回路を発達させ、知能進化の駆動力になっているということなのです。
この皮膚感覚の快感回路。これは明らかに快感物質(つまり駆動物質)を皮膚が発生させているということだと思いますが、この快感物質をはじめとした、そもそも情報伝達物質(現在では”情報の伝達”というよりも、行動を起こす為の駆動力の根源とも言える為、駆動物質とも言っていますが)とは、そもそもどんなものなのかを整理する必要があります。
今回は、快感回路の最も根源的とも言えるであろう、エンドルフィンについて扱います。