2021-10-19

哺乳類の知能進化④ ~脳は何のためにあるのか?~

これまでの投稿で哺乳類の知能進化を扱い「知能進化のカギは皮膚感覚にある」ことを追求してきました。今回は、改めて根本に立ち返り「そもそも脳は何のためにあるのか?≒知能進化とは何か?」を追求していきたいと思います。

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◆脳はなんのためにあるのか?

脳の役割は、外識機能(5感)で得たあらゆる外部情報を集約し、状況に応じた適切な判断を下して「行動」を起こすためにあります。つまり、脳は「情報を集約し行動する為」にあるのです。

これまで哺乳類の知能進化に関して扱ってきましたが、脳の役割から「知能進化とは何か?」を考えると、外識機能によって捉えられる情報量(=外圧)が多い=状況把握が多層的になることと、それに基づく最適な判断→行動が多様であるほど知能が高いと言えます。つまり、外識機能(回路)の多層化(拡大)と、それに基づく「どうする」回路の多様化こそ、知能発達の中身なのです。

 

◆外識機能と内識機能

脳に情報を送る外識機能とは「5感」です。「触覚」「味覚」「嗅覚」「聴覚」「視覚」の5感が捉えた外部情報が脳に送られ、脳が行動指令を下すのです。そして、行動指令に必要なのものが駆動物質の情報であり、駆動物質(の種類と濃度)そのものを「内識」と呼びます。外識機能と内識機能つながることで行動を起こせるのです。

以下は過去に追求してきた「脳回路の仕組み」からの引用です(http://www.seibutsushi.net/blog/2019/01/4343.html)

 

◯脳回路の仕組み(外識機能と内識機能)2

0.前感覚機能(松果体?):波動を受信するが、まだ感覚機能は備わってない。昆虫の触角の原機能。イルカetc.の受・発信機能。人類の気や予知の受・発信機能etc.

1.触覚回路:餌や棲家etc.接触対象の+-を判別する必要から(波動機能より進化した)触覚の受信機能を獲得。 空気や物体や濃度や外力etc.接触する外圧を受信し、扁桃体が熱い・寒い、痛い・痒いetc.の価値判断を下し、グリア細胞に様々な駆動司令を出す。

2.味覚回路:触覚機能の一部で、食物の+-判断に特化した受信機能を進化させた。触覚機能と同様に、扁桃体が甘い・辛いetc.の価値判断を下して、グリア細胞に駆動司令を出す。

3.嗅覚回路:非接触対象(近くの対象)の+-を判別する必要から(触覚機能より進化した)嗅覚の受信機能を獲得。比較的距離の近い対象の臭いの種類や濃度を受信する。はじめは受信して駆動するだけだったが、その後、その受信機能を土台にして様々な武器として性情動物質etc.を放出する機能を形成してゆく。

4.聴覚機能:より遠い外圧or対象の+-を判別する必要から、膜によって(0の)波動を増幅して受信する機能を獲得。この機能も、はじめは受信して情報を扁桃体に送るだけだったが、その受信機能を土台にして、主に同類に対して情報を発信することの利点から、その後、発声機能を形成すると共に、同類向けに周波数が限定されてゆく。

5.視覚機能:もっと遠い対象の+-を判別する必要から、もっと高周波の波動を膜によって増幅し、受信する機能を獲得。この機能も受信して情報を扁桃体に送るだけであったが、その後、昆虫や魚などは防衛力を高める必要etc.からDNA変異によって発光or発色機能を獲得した種も多い。しかし、人類は今も受信機能しか持ち合わせていない。但し人類は、その受信機能を土台にして(肉体的には何も発信できないが)、化粧や衣服etc.意識的に全ゆる物に視覚情報を発信している。とりわけ人類は3000年前に文字を発明して聴覚情報を視覚情報に変換させたが、その記録価値・固定価値は、同時に捏造や文字脳(観念脳)による追求力劣化、あるいは観念支配による思考停止etc.重大な弊害を生み出している。

そして、これまでの投稿で扱ってきたように、哺乳類は他の種別と比較して、とりわけ「触覚機能(=皮膚感覚)」を発達させることで知能を進化させています(http://www.seibutsushi.net/blog/2021/10/7367.html#more)。

 

◆皮膚は第2の脳

まず皮膚は感覚機能として極めて優れています。例えば、日本の職人さん。大工さんは、手で触るだけで「良い木かどうか?」が分かると言います。また板金職人は、一ミリ以下の凹凸も手で触るだけで感じ取ることでできるそうです。つまり視覚などの他の感覚機能に比べて、極めて優れた識別能力を持っています

また、皮膚はそれ自体が駆動物質=情報伝達物質を分泌し、キャッチできるという脳と同様の機能を持っています。鳥肌が立ったり、じんましんが出たりするのは皮膚の拒絶反応で、これらは脳が命令している訳ではなく、皮膚自体が判断している一つの具体的現れです

実際、目や耳ができるまでは生物は皮膚によって外部情報をキャッチし(それを集約し)判断していました。つまり、皮膚はそれ自体がもともと判断機能を持っていたのです。例えば触覚が生み出す「心地よさ」「気持ちの悪さ」「怖さ」等は皮膚自身がが感じ生み出す感情です。

まとめると、脳は「情報を集約し行動する為」にあり、とりわけ哺乳類は「皮膚感覚」を発達させることで多層的な外部情報を捉えられるように進化し、それが脳の発達にもつながっています。この皮膚と脳の判断=駆動物質のやり取りを強化することで、皮膚の持つこの機能を脳に転移させ、脳と皮膚を「共進化」させたのです。

では、判断機能を持つ脳と皮膚、両者の関係はどうなっているのか?皮膚が発達したから脳が発達するのか、脳が進化したから皮膚が発達するのか?次回扱っていきます。

List    投稿者 t-kenta | 2021-10-19 | Posted in 2)知られざる原始哺乳類, ①進化・適応の原理, ④脳と適応No Comments » 

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