2022-08-27

観念機能の形成過程24~「思春期」が出来たのはなんで?~

前回の記事では、

人類以外は「思春期」はほとんど存在しないといいます。(思春期とは生物学的には性成熟開始後から繁殖期までを指します。)
では、なぜ人類は一見厄介な思春期を作り出したのでしょうか?男女で違いがあるのもなぜなのでしょうか?

再度、人類進化を見ながらは、その原因を考えてみたいと思います。

人類はオスメス残留という他の哺乳類にはみられない集団形態をとります。
その理由は、
①機能欠損の人類は、極めて少数で、集団を出ても他の集団がいない。かつ洞窟の外は極めて危険であるという消極的理由
活力源を同類(仲間)との一体化に求め、そこに収束したという積極的理由

主としてその二つの理由により人類は性闘争を封鎖し、オスメスともに集団に残留し思春期が出来ていきます。その思春期は人類固有のもので、他の哺乳類にはほとんど存在しません。現代からみれば、厄介そうに見える思春期、それが出来たのは何故なのでしょうか?
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  投稿者 m-yoriya | 2022-08-27 | Posted in 5)人類の拡散, ①進化・適応の原理No Comments » 

観念機能の形成過程23~人類特有の「思春期」とは?~

以前のブログでは、初期人類はオスメス共に集団に残留することによって、
【①オスの軟弱化】【②種の適応度を上げるための遺伝子の多様性=変異促進の阻害が生じる可能性】
が生じ、①に対しては通過儀礼で強化する、②は前回のブログでは近親配偶について詳しく見ていきました。

①のオスの軟弱化に対して、人類は人類固有の「思春期」でも突破してきたと思われます。
今回は、「思春期」に焦点を当て、オスの弱体化をどう突破したのかを見ていきたいと思います。
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  投稿者 takayama | 2022-08-24 | Posted in ①進化・適応の原理No Comments » 

観念回路の形成過程22~初期人類は生命原理=DNAの多様化をどのようにして克服していったのか?

前々回+前回の記事で追求したのは、

【初期人類は哺乳類と異なり、オスメスとも集団に残留したと考えられる】

⇒オスメス残留の問題は、以下の2つを考えました。

【①オスの軟弱化】

【②種の適応度を上げるための遺伝子の多様性=変異促進の阻害が生じる可能性】

そして①について前回追求しました。今回は②について追求していきます。

生物は、オスメスに分化することで、遺伝子交差によってより多様な変異を生み出すことを可能にしました。そして多様な変異を生み出すために、精子の遊泳能力を高め、より遠方の配偶子と交配します。

哺乳類の大半のオス(一部の種はメスも)が集団を出ていくというのもこの同じ原理なのです。しかし、個体数が少なくなると(生息域が限定されてくると)、近隣の個体と生殖せざるを得なくなります。

これについては、人類は進化様式の主軸を、DNA進化から、共認内容の進化や、観念内容の進化に移行させているのです。

これは、本能では適応できなかったために、DNA変異より早い、共認進化、観念進化に可能性収束したのです。結果的にそれが残留方式の欠陥を克服させたといえそうです。

しかし・・・

この場合、身近な集団内で種の保存が行われていくため、近親交配の欠陥が問題になりそうです・・・。

それについてはどう考えればいいのでしょうか?

(注)近親相姦という言葉は、最初からマイナスの価値観が含まれているので、近親交配と呼ぶようにします。

まずは、事実はどうなのか?

近親交配だと遺伝子が劣化するのでしょうか?俗説によれば奇形が増えるとさえれています。しかし、遠方交配の場合だと、確かに変異は上昇しますが、変異がプラス側(適応側)に働くのか、マイナス側(不適応側)に働くのかは別問題です。どちらかと言えば確率的にはマイナスの方が多いのです。

逆に近親の場合、優れた形質がかけ合わせられるという側面も上がります。またそれ以上に、置かれた環境に適応すべく獲得された形質が(近親だと置かれた環境が同じなので)、優れた獲得形質が継承される確率が上がるという利点があり、支配階級ほど同族婚的な婚姻となる傾向があるのもそれが一つの理由ではないかと思われます(例えば、欧州のハプスブルグ家の婚姻戦略はヨーロッパ王家の多くと婚姻結ぶものだが、何代も続けばほぼ近親婚となる。日本の天皇家と藤原家の関係も同様。平安時代から大正時代まで続けているのです)。しかし、それを主要な要因として、その一族が滅亡したことという事実はなさそうです。

また、動物の事例で言えば優れた競走馬や血統犬を人工的交配によって作り出すなど、日本には族内婚の流れをくむ、1960年代まで残存していました。
また孤島における配偶は、近親的色彩が上がり、環境の変化や他の地域での適応度は落ちます。しかし、獲得形質の継承から固有の環境により適応した固有種も登場し、環境条件が大きく変わらない限り滅亡することはないのです。

要するに近親交配によって、遺伝子が劣化する(奇形が増える)という言説には、遺伝学的根拠はないとみてもよさそうです。

むしろ重要なことは、進化戦略には遺伝子の相違の大きさによって進化を促進させるという戦略と、獲得形質の継承によって最終的に優れた形質を継承させるという二つが存在するということです。大脳新皮質の発達は後天的な獲得形質の要因が能力に占める要因が大きくなることを示し、そうであるがゆえに人類は進化の源泉をDNA進化ではなく観念進化におくとともに、遺伝的な戦略としては、後者の道を(もちろん置かれた条件に即してだが)選択したということだと思われます。

今回の追求は以上です。

  投稿者 hirosige | 2022-08-19 | Posted in 5)人類の拡散, ①進化・適応の原理No Comments » 

観念回路の形成過程㉑~初期人類のオスはどのようにして闘争力を培ったのか~

前回の記事では、初期人類がオスメスとも母集団に残留することについて書いたが、これは生物史上稀有な集団形態であり、
そこには大きな矛盾を孕むことになる。

哺乳類は胎内保育のため、成体になるまで淘汰圧力が働かない。従ってメスをめぐるオス同士の戦い(性闘争)を激化させ、オスに対する淘汰圧力を働かせるという手法をとった。
そのため哺乳類は、成体になると母集団を出ていき(性闘争の敵として親に追い出され)、自らの縄張りを確保しなければならない。それは、一人前になるため武者修行でもある。つまり、残留する道をとれば、そのままではその個体は(ひいてはその種は)、軟弱化してしまう
では、初期人類はどのようにしてその欠陥を克服したのであろうか?


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  投稿者 amino | 2022-08-18 | Posted in 4)サルから人類へ…No Comments » 

デルス・ウザーラから学ぶ2 ~始原人類にとっての精霊信仰とは?~

前回に引き続き、始原人類の意識や思考に同化するにあたって、デルスウザーラから色々を学ぼうと思います。


※画像はコチラよりお借りしました。

※黒澤明監督の『デルスウザーラ』とは?

* * * * *
20世紀初頭(明治末期)のロシア沿海州への探検記(アレクセーニエフ氏記)の実話をもとに映画化されたものです。
主人公のデルスは狩猟少数民族のゴリド人で、近代化が徐々に進展する渦中ながらも、色濃く原始の風習や思考を色濃く残す人物でした。
主人公デルスのその有り様から、同類や万物と一体化するとはどういうことか、彼(原始人類)にとって精霊とはどういう存在か等を感じとっていきたいと思います。

デルス・ウザーラから学ぶ万物との一体化とは?より
* * * * *

前回の記事では、デルスの類まれなる洞察力や観察眼、不屈の精神などを見てきましたが、映画後半、彼は森の中のトラを猟銃で撃ってしまいます。
すると、そこから一気に彼の視力は一気に衰え、気力そのものが衰弱していってしまいます。

トラはゴリド人によって崇拝されている”森の精霊(ガニガ)の使い”として見られていたようなのですが、なぜトラを撃ったあと、デルスは(気力も視力も)急速に衰弱していったのでしょうか?

 

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  投稿者 tuti-nor | 2022-08-11 | Posted in 6)“祖先の物語”番外編, ①進化・適応の原理No Comments » 

観念回路の形成過程⑳~成体になったオスメスが集団から出ていく原猿や類人猿に対し、初期人類はオスメスともにの集団に残留させたのはなぜか?

初期人類の集団構造には、独自の特徴があることをご存じだろうか。

 

一般的に、哺乳類であれば、成体になるとオスが集団を出てゆき、メスが残留するケースが主流である。その後、進化した原猿や類人猿に至っては、オスもメスも集団から出ていく。それに対して、初期人類はオスメスともに集団に残留したと考えられている。

 画像はこちらからお借りしています。

初期人類は他の哺乳類と異なり、なぜこのような集団構造を選択したのだろうか?

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  投稿者 oku-ken | 2022-08-10 | Posted in 4)サルから人類へ…, 5)人類の拡散, ⑧科学ニュースよりNo Comments » 

デルス・ウザーラから学ぶ万物との一体化とは?

これまで観念回路の形成過程に迫ってきました。

主体凍結から、同類との一体化回路から万物への一体化回路を形成する中で、本能・共認回路との矛盾が発生。
それらを行動できるまで再統合するために包含思考(現象的には異なるものを大きく括る思考)を獲得し、それら現象の本質を抽出。
本質やそれらに関わることを構造化していくことで再統合し、「包含思考⇒本質の抽出⇒精霊の措定⇒構造化」を何度も組みかえることで矛盾を突破しました。

観念回路の形成過程の構造は解明されつつも、その過程で人類が突破口としてきた、「万物との一体化」や「精霊」などは“分かりそうで分からない”“掴めそうで掴めない”感覚になります。
始原人類にとって、これらは一体どういうものだったのでしょうか?
そこで一つの映画から、上記について迫っていきたいと思います。
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  投稿者 takayama | 2022-08-06 | Posted in 4)サルから人類へ…No Comments » 

観念回路の形成過程⑲~人類の知能進化の主要因は道具か?観念(言語)か?

教科書的に言えば、「人類は複雑な道具をつくることで手先が器用になり脳の発達を促した」とあります。
これは本当なのでしょうか?

こちらよりお借りしました。        こちらよりお借りしました。

道具の使用だけで見れば、チンパンジーやゴリラだけでなく、鳥なども道具を使う。
道具の発明で言うと、礫器からハンドアックスまでの進化にかかった時間の割にそこまで脳容量も増えていない。
つまり、道具と知能の進化は比例していないのです。

では、人類の知能進化の主要な要因はなんなのでしょうか。

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  投稿者 m-yoriya | 2022-08-03 | Posted in ①進化・適応の原理No Comments »