2021-11-15

サル社会の構造②~大型化して樹上を独占した原猿がぶつかった外圧~

初期原猿は、地上に比べて餌の少ない樹上では繁殖ができず、少産化で成体数を減らす戦略を取りました。つまり、この時期の樹上はさほど過密でもなく、性闘争も過激ではなかったのです(この状態が概ね2000万年以上)。

今回は、原猿はその後どのような外圧にぶつかったのか?(=適応したのか?)を追求していきます。

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◆腸内細菌を獲得し、雑食化することで「大型化」に向かう

原猿が次に取った戦略は、餌が少ないことから花→果実→葉(セルロース)など雑食化して餌を確保することです。雑食化するために、腸内細菌を獲得し、これによって大型化が可能になりました。

豊かな食を確保でき、外敵に食われない大きさとなったことで、樹上は防衛力と生産力を備えた楽園となります(陸海空に代わる第4の世界を独占)。この状態で初めて樹上は過密状態になり、原猿は異常繁殖をしていきます。

同類(原猿)でほぼ独占状態になった樹上。これまでの地上生活とは全く異なる環境の中、大型化した原猿同士はモグラ時代と同様にオスメスとも激しい性闘争を繰り広げます。では、地上と樹上の性闘争は何が異なるのか?そして、原猿がぶつかった外圧とは?

 

◆本能の不全状態に陥る

性闘争以前にまずは、食の確保(縄張り)闘争があり、何割かは縄張りを確保できず死んでいきます。しかし、樹上という特殊性によって、縄張りを確保できないのに死なないという個体が登場します。そうなると、餌の量に対して個体数が過密となり、恒常的な縄張り(餌)確保の闘いが常態化します。

さらに、繁殖期になると、オスの行動圏はメスの三倍に拡大しますが、モグラ時代は3分の2のオスは覇者に追い出されて死んでいったのに対して、樹上では追い出されても、地上に逃げて隣の樹に移り固めの葉を食べれば、死なずにかろうじて生きていけます。しかし、生きてはいるのに、食糧を取ろうとすると縄張りを持つオスに襲われ追い払われ続けることになります。つまり、負けたオスは飢えと脅えの不全感に恒常的に苛まれる状態です。

他方、縄張りを獲得したオスは恒常的な若オスの縄張り侵犯(追い払っても追い払ってもやってくる)で、身も心も休まる暇がない過剰緊張状態に陥ります。

また、過密状態では、縄張りは重合します。従って縄張りオスは、若オスの掠め取りだけではなく、他の縄張りを持つオスともたびたび遭遇し闘わなければならなくなります。

負けたオスも、勝ったオスも、いずれも、本能の不全状態(本能の統合不全)に陥り、種として本能を超える必要が出てきたのです。

本能ではどうにもならない外圧状況に対して、オス、そしてメスはどのうように適応したのか?を次回扱います。

List    投稿者 t-kenta | 2021-11-15 | Posted in ①進化・適応の原理No Comments » 

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