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観念機能の形成過程28~同期力と充足増幅力を高めたメスの思春期~

 

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前回 [2]の続きです。

たとえば思春期を迎えた人類の女性は、箸が転げてもおかしいとか、脳内お花畑(妄想)常態とか、常に幸せそうですよね。他にも、女の子同士で延々と恋話をしたり、用もないのにトイレへ一緒に行くなどの同期行動も特徴的です。このように、脳内のドーパミンが過剰分泌になったり、行動における同期性が急速に高まりが、こうした変化にはどのような意味があるのでしょうか。

 

初期人類は、一体充足を最大のエネルギー源にして生き延びらえてきました。その一体充足の核になっていたのが、性です。

 

そこから考えると、メスの思春期に顕著な行動(おしゃべりや行動を共にする)は、同じメス同士の同期力を高めることで、自らの充足力を高めようと、相互に波動→充足を増幅させていったのではないでしょうか。

 

そこで高められたメスの充足力が、性の対象であるオスをはじめ、集団の充足へと向けられていったと思われます。思春期の性エネルギーを活かしたメスの充足力が、オスのリスクを伴う行動を引き出していったのでしょう。

 

この一体充足力の強化こそ、人類(特にメス)の性機能や快感機能の発達など、肉体的な変化をもたらした要因ではないでしょうか。

 

こうして人類のオスもメスも、幼児期から肉体的な性成熟をするまでの成長期に加え、さらに思春期を生み出しました。そこで変異存在であるオスのリスクある行動をもたらし、安定存在であるメスの充足力の増幅強化をもたらすことで、後天的に能力を身に付ける仕組みを獲得しました。このように性の引力を利用して、オスメス残留による適応の弱体化を防止して変異を生み出していった構造は、現代も貫かれています。

 

■最近、思春期が衰弱している!?

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最近の子どもたちの話では「危険なことは親から禁止されている」「受験勉強で毎日疲れている」など、思春期に見られる危険な行動を一切しないと聞きます。種としての強化を図るためにつくりあげた思春期が衰弱しているのはなぜでしょうか。

 

人類の意識の全ては、共認機能も本能機能も含めて、観念機能に収束しています。従って思春期の衰弱に、観念が大きく影響していることは間違いありません。これは仮説ですが、現代の親は「あなたのため」と言って、子どもが判断しているように思わせて、親の理想像(観念)を押し付けているケースが散見されており、子供たちも親の価値観に対して不全感を抱くものの、それに変わる新しい展望も見えないので、親の観念に順応しているように思います。

 

その結果、本来分泌されるはずの駆動物質が出てこないため、思春期が衰弱しつつあるのではないでしょうか。このままでは種としての変異が促進されないため、問題を迎えることになります。衰弱の原因は新しい展望が見えないことにあるので、この展望をどう創り出していくのかが、人類にとって重要になるでしょう。

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