これまで観念回路の形成過程を追求してきました。木に登れなくなったサルが、同類との一体化、万物との一体化をする中で、成立してきたのが観念回路です。
その知能進化を踏まえて、今回は人類になってどのような肉体進化が起こっていたかという現象から、それがなぜ、どのようにしてもたらされたのか追求していこうと思います。
画像はこちら [2]からお借りました
<毛が無くなり、肌感覚が高まる>
オランウータン以降は主たる一体化充足が密着充足になっています。生存上ではゴツゴツした身体で毛がある方が安全。しかし初期人類は、一体化の充足度を高めるために、毛を薄くして肌質そのものを変え、密着度を高めました。これが万物との一体化の土台にもなっています。
<器用に体を動かせるようになる>
人類は、肉体的な能力はどの生物にも劣っています。しかし一方で、細かな身振り手振り、二足歩行、馬に乗りながら弓で的を撃てるなど、体性感覚や運動神経の器用さ、緻密さ柔軟さが優れています。
同類と一体化するだけだと単純な動きの方が一体化しやすいですが、初期人類の対象は同類だけでなく、同類以外=万物が含まれます。万物の複雑な動きを真似て同期するための運動機能が進化しました。
<直立二足歩行が常態になる>
二足歩行は上半身の直立から始まっています。上半身の直立は明らかに同類との一体化のためであり、あるいは身振り手振りによって相手に表現するためです。それを歩いている状態でも可能するために二足歩行になりました。
<表情が豊かになる>
一体化と本能・共認をどう統合するか、というのが観念の始まりだったのと同じで、進化においても一体化と淘汰・鍛え上げが上手く整合していませんでした。
そこで、「どう整合するか」「人類として適応していくか」をみんなで追求することが一番重要な集団課題だったのではないでしょうか。みんなで追求する上で、仲間の反応や表情は重要な羅針盤になり、また自分の判断を表現する上でも大切です。その追求のために表情も豊かになっていきました。
以上の考察を踏まえると、体の器用な動きも同類との一体化、万物との一体化、そこに合わせていく動きの中から磨かれていったということになります。つまり、肉体進化と知能進化は混然一体であり、いずれも仲間や万物との一体化で貫かれていることが分かります。