2021-09-28

哺乳類の集団形態③~哺乳類はなぜ母系集団なのか?~

前回は「哺乳類はなぜ集団化したのか?」を扱いました。

・哺乳類は圧倒的な弱者であったこと。
・集団化することで、点滴からの防衛力と餌の獲得を実現したこと。
・集団化するために、メスの親和本能を強化したこと。
・集団の主は「メス(=母系集団)」であること。

以上のことが分かってきました。
ここで疑問が残ります。なぜ哺乳類の集団の主はメスなのでしょうか?

そこで今回は「哺乳類はなぜ母系集団なのか?」を扱っていきます。

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前々回のブログより。http://www.seibutsushi.net/blog/2021/09/7301.html#more

初期哺乳類は、土中や地中近くで隠れ住むモグラやネズミなどですが、膜(≒卵)の乾燥化を防ぐ為に、胎の中で生む胎生へと進化(変化)していきます。
(※膜を”殻”にして固くしていく方向が爬虫類や鳥類)

卵を多く生んで成体になる前に多くが死ぬ(多産多死)ことによって、種として成体前に淘汰圧力がかかる卵生に比べて、胎内で生む場合、成体になるまでの淘汰圧力がかからない。
その為、成体になってから淘汰圧力がかかるように哺乳類は性闘争本能を強化しました。
この性闘争本能強化によって、オス同士はメスを巡るライバル同士。
したがって群れないし、メス同士も同様に性闘争本能があるので、初期の哺乳類は群れません。この性をめぐる闘争本能の強化ゆえに、単独行動をとっているのです。
(引用終わり)

オスとメスも単独で生きていたのにも関わらず、どうしてメスは母系集団をつくることができたのでしょうか?

実現論史 前史 ハ.哺乳類(原モグラ)時代の性闘争本能より https://www.rui.jp/ruinet.html?i=100&c=1&t=3

哺乳類は、淘汰適応の必要から性闘争の本能を極端に強化し、その性情動物質によって追従本能(いわゆる集団本能の中枢本能)を封鎖することによって、個間闘争を激化させ淘汰を促進するという淘汰促進態である。しかし、それはその様な大量淘汰態=進化促進態としてしか生き延びることができない弱者故の適応態であり、生命の根源本能たる集団本能を封鎖し、大多数の成体を打ち敗かし餓死させるこの極端に強い性闘争本能は、生き物全般から見て尋常ではない、かなり無理のある本能だとも言える。だからこそ、同じ原モグラから出発して地上に繁殖の道を求めた肉食哺乳類や草食哺乳類は、進化するにつれて親和本能を強化し、その親和物質(オキシトシン)によって性闘争本能を抑止することで追従本能を解除し、(尋常な)集団動物と成っていったのであろう。
(引用終わり)

結論を言うと、メス性闘争本能を上回る【親和本能】を強化したからなのです。

性闘争、縄張り闘争に敗れた初期哺乳類の一部は地中から追い出されて、地上に出なければならない状況になりました。
地上に出てみると、あたり一面敵だらけ!哺乳類は圧倒的に小さく弱者だったので、地上は単体で生きていけるような場所ではありませんでした。
さらにメスは子ども(子孫)も育てなければなりません。
この圧倒的不利な外圧の状況下でメスは子孫を残し、生きていくために、性闘争本能以上に【親和本能】を強化したのです!

哺乳類のメスは、胎内保育で子どもをほぼ成体の状態まで育てていきます。
胎内の子どもを異物と認知しないために、オキシトシンという親和物質を出して、胎内保育を可能にしました。
地上に出た初期哺乳類のメスは、防衛力を高めるためにこの親和物質を強化して集団を作り、生き延びてきたのです。

この母系集団では、子育てはもちろん、餌の確保、縄張りの維持などすべてをメスのみで行っています。
なんと狩りもメスだけでできてしまうのです!驚きですよね。

ではなぜオスは集団化しなかったのでしょうか?
オスは【変異】の存在であり、胎内保育によって淘汰圧力が弱まったので、互いに敵視し合う【性闘争本能】をより強化することになりました。
結果としてオスは、性闘争本能が強いために集団をつくることができないのです。
また生物には【巣立ち本能】が備わっており、ある一定の時期になると、集団から巣立っていきます。メスは親和機能強化することで娘を残留させることにし、オスを追い出す方式を取りましたが、 それでも集団に残ろうとするオス(息子)がいれば、メスはオス(息子)を集団から追い出すでしょう。

母系集団のカギは【メスの親和物質】ということです。
性闘争本能を上回る【親和本能】を強化したことで、メスは集団をつくることができたのです。

いかがだったでしょうか?
メスが性闘争本能を上回る親和本能を強化した結果、母系集団をつくることを可能にしたのです。
オスは集団に属せない、メスだけで生きていけるとすると、オスは一体何をしているのでしょうか?
次回は「哺乳類のオスの役割=存在理由は何か?」を扱っていきます。

List    投稿者 takayama | 2021-09-28 | Posted in ①進化・適応の原理, ③雌雄の役割分化No Comments » 

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