2021-01-14

食と農から世界変える本物の農業への挑戦――下から新しいモデル創造する時代へ

共同体社会での「家族農業の挑戦」~国連家族農業の10年  リンク 

>日本の零細農業(古来から続いて来た「自然との共生関係」)の在り方が注目されており、コロナ禍後の世界は、共同体社会群(自主独立は自集団で食料生産が出来る)がネットワークで結ばれ有機体(生命原理に則った進化形態)になるとの予測もあります。

今回は、日本の小規模の第一次産業(農業・漁業)で共同体社会の実現態のなろうとしている事例を紹介します。

長周新聞 に記載されている

「食と農から世界変える本物の農業への挑戦――下から新しいモデル創造する時代へ リンク」を紹介します。

又「小規模漁業が輝く未来づくりをめざして リンク」の記事もあります。

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はじめに

いま世界は大きな危機に立っていると思う。一つは自然環境の激変と自然生態系の変化に襲われてきていることである。そしてもう一つは、自然破壊の要因といえる世界経済と国際社会のあり方である。現在の産業構造は人間が簡単便利で何でも欲しいものをいつでも手に入れ環境も快適で移動も通信も思いのままという暮らし方を追求してきた。その結果、お金を軸とした社会構造を築き巨大な社会システムで人工的な都市と機械に囲まれた暮らしを作ってしまった。富の集中と大多数の貧困とを生み出してきている。

しかしこのコロナ禍によって世界貿易と交流が激減しその崩壊が始まった。国内でも人の交通が止まり、産業が衰退し地域社会が壊れるような状況にある。ここからの転換とこれまでの富の集中と貧困の拡大の問題にどう答えていけるかが問われている。こうした局面でどう立ち向かっていくかを考えてみたい。

サトウキビから考えること

種子島ではサトウキビの栽培と安納芋の栽培が盛んである。しかし農業中心の島で農業の崩壊局面にある。サトウキビ栽培について考えてみる。

サトウキビは島の中心にある大きな製糖工場で精白糖に製造される。ほとんどの栽培農家はここに原料として持ち込む。収穫量は一反当たり6㌧もあればいい方だ。キビの糖度によって買取価格は異なるが平均1㌧2万円であり、粗収入は反当(10㌃)12万円にしかならない。しかも収穫の手作業が高齢化で困難となり機械作業を頼むと四万円超ほどかかるので残るのは3万~4万円ほどにしかならない。これでも栽培交付金などで下支えされていての結果。砂糖の関税が撤廃されて国庫収入が無くなり交付金がゼロになったらやっていけない。すでに日米FTA自由貿易による砂糖関税撤廃が決まっているので絶望的である。しかしこれは島の農家には知らされていない。南西諸島のサトウキビ栽培は畑の半分からそれ以上を占める。離島の農業経済にとっては致命的だ。

普通のサトウキビ栽培と大工場での精製糖はもちろん必要である。だが、精製してしまうと世界中どこで作っても同じ商品となる。そのため価格差でしか差異がなくなる。この砂糖生産を守るためには関税などの対応と交付金による生産奨励しかない。この栽培は糖度と量の問題でしかなく農薬化学肥料に頼った圃場面積拡大と機械化によるものとなる。それでもチンチバックやメイチュウなどの病害虫に悩まされる。さらに米国の異性化糖が輸入を拡大していく。

✤   ✤

しかし、種子島に残る小さいながらも伝統的な黒糖生産がある。登窯によって薪を燃やして三段の舟型鉄平底鍋に搾汁液を入れて、流れ作業で煮詰めて黒糖にするもの。サトウキビも黒糖専用に栽培し、量を追わず噛んで美味しいと感じられるように育て完熟させる。これを一本一本手刈りし虫喰いや折キビを排除選別して原料とする。生産者や畑ごとの単位で製造して味へのこだわりが強い。

種子島は南西諸島北端にあり糖度は平均5度から10度近く低い。甘さを抑えたミネラルバランスのいい美味しさになっているのである。これが黒糖を直接食べる文化が昔から定着した理由である。野良仕事のお茶請けや疲労回復や飲み過ぎの翌朝などで使われている。植物由来の鉄分やカルシウム、カリウム等が含まれる。

この黒糖作りはサトウキビ栽培から製造、販売まで農家自身が行っている。この結果、反当粗収入は40万円から50万円程になり経費を引いても30万円ほど残る。平均四反歩で粗収入200万円と田舎ではまずまずの収入である。

つまりサトウキビ栽培は単に工場への原料提供となると低収入に喘ぐことになる。しかし栽培から加工、販売まで農家が手掛けると収入は悪くない。しかも農家にとっては、自分の栽培したものがどのように最終的に消費されるか、生産と消費の全てに関わることが可能になる。生産から消費までのフードシステムを農家が主導権を持って関わることが可能になるのである。消費者の喜ぶ顔を見ることができる。ここから畑での仕事の仕方が変わるのである。すると農家の仕事が変わる。

大量生産大量消費を前提とした画一的な製品としての精白糖は世界中どこでも同じ製品である。差異は価格だけ。価格低減に流れていき生産者は苦しくなる一方である。栽培も可能な限り機械化工業化し効率を求めて化学肥料農薬頼みになっていく。果てはDNA操作種苗が出てくることが危惧される。世界的多国籍企業の出番である。

しかし、手作りの黒糖は、畑ごとに味が違う。サトウキビ一本ずつ味が違うのである。当たり前だが、その味がそのまま黒糖に出る。この自然からのミネラル食品の味わいと価値は、脳疲労回復を重視する博多の病院Boocsクリニックで患者さんに紹介しているほどである。この価値をどう伝えるか、こうした希少な伝統の黒糖作りを継承し発展させていきたい。

いま問われているのは農業の価値観が変わること。お金のために効率と平均化と見てくれ重視などの食べ物の商品化生産から、生命が喜ぶ生命系の生産循環に携わることを自覚することなのである。これは手仕事や五感を使った黒糖の製造作業などで心と体の統合的発達と充実をもたらすことになる。黒糖作りは、繊細な感覚と運動能力と味へのこだわりという芸術的な感性が求められている。ここにサーファーの聖地としての種子島への移住者たちの参加がある。今、島に移住したこうした若者たちと古老の先輩たちからの技術継承に取り組んでいるところである。それは本物の農業のあり方に迫る挑戦となっている。彼らは昔からの百の仕事をこなす自給型の生き方、百姓になるという。職人の価値観に似ている。

(中略)

農業の未来への挑戦――生産と加工と消費を結ぶこと

黒糖作りでサトウキビ栽培と収穫と加工、そして販売まで一貫して携わることで見えてきたものは何か。土作りの意味である。土壌分析をして植物の必要なミネラルバランスをどう回復させるか、その有機肥料資材の作り方である。また土の団粒構造は土壌菌と草の根から作られること、これをどう形成していくか。いかに土壌菌、それも枯草菌中心の畑を作るかである。慣行栽培の畑の作物は収穫後腐る。山は枯れるのである。山の土壌は枯草菌によって作られている。この関係を学ぶことだ。

種子島では昨年安納芋に元腐病が大発生した。原因は糸状菌である。この糸状菌は腐敗菌である。これを食べて繁茂するのが本来は枯草菌なのだという。土壌を殺菌剤によって殺菌し、化学肥料使用と妨害虫への農薬の多投は畑を弱らせる。こうした慣行栽培と連作は病害によって衰退していく。

農産物栽培は何のためか、誰のためかという基本に立ち返る必要に迫られている。お金のためという。しかしそれすらも確保できない状況に追い込まれているのだ。儲かるのは農業機械企業、化学肥料企業、そうして種苗会社を買収した多国籍化学企業である。肝心の農家は衰退する一方である。そして美味しくなくただ価格だけが安い農産物が氾濫していく。

地域づくり村づくりとコモン(共有)の価値

現在の社会は崩壊へ向かっている。ゲームは一人勝ちし他の人に掛け金が無くなったらおしまい、ゲームオーバーである。そうしたらガラガラポンでやり直しである。今までは戦争で廃墟としてやり直してきた。もうそれは不可能である。人類の絶滅しかない。 では、今まで述べてきたように農と食から作り直すこと。命にこだわる食のつながりで新しい産業と社会を生み出すにはどうすればいいだろうか。すでに日本各地でも、いや世界各地でもその動きは起こってきている。その共通語は自然とともに生きることである。

✤    ✤

では、新たな価値観と協同の創造力のために求められている価値とは何だろうか。これは理論だけではできない。効率は時間概念とともにある。これを捨てることは、非効率ではなく時間を命とともに積んでいくのだ。一定時間で一定の生産物を生むのではない。手仕事や身体全体で関わる仕事は、作ることに集中し短い時間を長く、長い時間を短く感じることである。これはものづくりの自分との関係性の中にある固有性であり、他人と同一の基準で図ることはできない。手仕事をなす人には分かる自明のことである。

✤   ✤

他人を意識しないものづくりはない。自己の表現としてのものづくりは、全て他人との関係性においてある。他人との関係性と社会性を直接に意識しない金銭的価値だけで作るものは価値がない。あるいは擬制的価値である。偽物である。それを作る自分もまたそうなる。

何を言いたいか。資本主義の問題を語りそのシステムを変えようとする人もまた資本主義の中で生きている。これは空気の中で生きているのにそれを自覚しないようなもの。いつの間にかその価値観の中で存在しているのである。だからいつも不安の中にいて分断と競争の中にいる。お金がなければ生きていけないと思っている。そしてお金に依存し食べることから暮らすこと労働すること、全てが金銭的価値の中で動いているのだ。

実は、人はお金がなくても生きていける。家族も養うことができる。それはどうやるか。まずは食べ物、住まいを自分たちで確保することからだ。いま日本の田舎は畑も土地も古民家も溢れかえっている。市町村の補助金も多く、工夫すればほとんどお金がなくても何とかなる。問題は食べ物を作り古民家を再生し、そして村人たちと様々な行事や村仕事をこなすことである。

世界を変えていくのは、いきなり巨大システムの上部を破壊するのではなく下から小さなコミュニティの単位でモデルを創造しつなげていくことだと思う。それはいま世界中で起きている。これまでの有力なリーダーが出てそしてそれに付き従う集団ではなく、多様で温かく愛と希望を持った小さなグループが主導していく。その価値観は、「アメニモマケズ」であり「イワンのバカ」の世界である。いま問われているのは新たな人々の未来である。

(パルシステム連合会顧問)

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List    投稿者 seibutusi | 2021-01-14 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2021-01-14

地下深部ではアーキア(古細菌)が今もメタンを生成し続けている

>地球全体に生息する細菌とアーキアの実に70%が地下に存在していることになる。< リンク

地下深部には膨大な生命体(微生物)が潜んでいます。地下深部に生息する細菌やアーキアなど、微生物の可能性は計り知れません。

微生物の可能性追求。今回は「南関東の地下深部で今もアーキア(古細菌)がメタンを生成し続けている」という研究報告を紹介します。

JAMSTEC(海洋研究開発機構)プレスリリース(2021年1月13日) より。

茂原市周辺の地下深部ではアーキアがメタン生成を続けていることが明らかに

1. 発表のポイント

◆メタン生成アーキアに特有な補酵素F430を分子レベルで分析した結果、南関東一帯に広く分布する深部地下帯水層に棲息するアーキア(古細菌)が、今もメタンを生成し続けていることを明らかにした。

◆アーキア群集の中では、メタン生成アーキアに加え、多種多様な微生物が深部地下帯水層に存在していた。

◆深部地下帯水層は雨水や海水による表層からの炭素供給がほぼ無く、独立した地下生命圏を形成していることがわかった。

 

2. 概要

~中略~

近年の研究によって、海底下での地下生命圏の限界(2015年 7月 24日既報)や微生物が関与するメタンサイクル(2018年 9月 24日既報)は急速に明らかになってきました。しかし、メタンやヨウ素を産出する関東地下深部におけるアーキアの存在量やその活性など、基本的な知見はほとんど不明なままでした。

そこで本研究では、メタン生成アーキアに特有な補酵素であるF430分子(※1)を分析するなどした結果、アーキアは現在も地下深部でメタン生成をし続けていること、また地表からの炭素供給はほぼ無く、独立した環境で地下生命圏を形成していることが明らかになりました(図3、4)リンク

~中略~

3. 背景

南関東ガス田は、日本最大の水溶性天然ガスおよびヨウ素の産出量を誇るガス田です。関東の地下深部には約300~40万年前の海底堆積物でできた地層が分布しており、地層中の地下水には水溶性の天然ガスや高濃度のヨウ素が含まれています。産出される天然ガスは、地中に埋もれた有機物が微生物によって分解されたものと推定されており、事実、過去の研究により千葉県茂原市周辺の地下水からはMethanobacteriales目やMethanosarcinales目などのメタン生成アーキアの遺伝子が検出されています。しかし、地下深部に棲息するメタン生成アーキアの存在量やその活性を正確に評価することは困難でした。

そこで本研究では、メタン生成アーキアだけが持つ機能性分子の補酵素F430の定量的な有機分析と遺伝子解析を行うことで、深部流体の中に棲息するメタン生成アーキアの存在量を評価しました。また、ヨウ素等のハロゲン成分の無機分析のほか、メタンやその前駆物質になる溶存無機炭素の放射性炭素同位体比(図4)(※2)を測定することで、地下深部の炭素循環について明らかにしました。

4. 成果

本研究では、千葉県茂原市周辺にある2か所の調査地点(図1)において、深部地下帯水層から自噴しているガスおよび地下水試料を採取しました(図2)。まず、この試料から補酵素F430を抽出して測定した結果、調査地点の深部地下帯水層には、高濃度のF430が含まれていることが明らかになりました(図3)。F430は非常に不安定な化合物のため、メタン生成アーキアの細胞外に放出されると、速やかに異性化(エピマー化)(※3)または分解することが知られています。しかし、本研究で用いた試料からはF430のエピマーは検出されませんでした(図3)。このことから、深部地下帯水層のメタン生成アーキアは、高いメタン生成活性を有すると考えられます。

また、同試料を用いてリボソームRNA遺伝子(※4)の解析を行った結果、Methanomicrobiales目などに属するメタン生成アーキアの存在を明らかにするとともに、多種多様な微生物が存在することも確認されました。

さらに、地下深部のメタンおよび無機炭素に含まれる放射性炭素同位体比を測定し、メタン生成が行われている地下環境の炭素の起源について検証しました。その結果、放射性炭素がほとんど含まれていませんでした(図4)。このことから、調査場所の深部地下帯水層は、雨水や周辺海水といった表層由来の炭素の供給が限りなく少ないことが明らかになりました。

5. 今後の展望

補酵素F430を用いたメタン生成アーキアを解析する手法により、環境中のメタン生成ポテンシャルを高感度に評価することができ、遺伝子解析による評価と相互補完的な検証が可能になりました。今後は、補酵素F430に関する分子指標性と遺伝子指標性の有用性を、幅広い環境試料に適用することで、応用研究に活かして行きます。

本研究の調査地点は、メタンやヨウ素を豊富に含む特殊な環境であるにも関わらず、多様性に富んだ微生物群集が検出されました。今回の発見により、地下圏の原核生物の生態に関する解明や深部地下帯水層におけるメタン生成プロセスの解明につながるものと期待されます。

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図1 千葉県茂原市と南関東ガス田(オレンジ色)の位置関係

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図2 

(左)深部地下帯水層の噴き出し部:研究対象としたガス坑井は、地下の圧力によって自噴している。猛噴直後の噴き出し口には、写真のような泡が水面を覆うように現れる。この泡は地下深部の微生物組成に由来することが明らかになった。ゆえに、ここは深部帯水層に広がる「地下生命圏の窓」とも表現できる。

(右)水上置換法によるガス採取後の様子:採取したガスを分析した結果、99%以上がメタンで構成されていた。また、メタンガスと共に地下から湧出する深部地下帯水層は、高濃度のヨウ素と溶存有機物を含んでいるため、黄褐色を呈している。気相と液相の間には多量の泡が確認できる。

 

(以上)

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List    投稿者 seibutusi | 2021-01-14 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2021-01-07

ヒトの知能の高さは、言語能力によって実現された

生物史から観ると 生物は「共に助け合う」という共存のシステムの中で進化してきた事実がある。

又人は最先端の機能の脳についても右脳(先祖脳:DANに刻まれた共栄共存)と左脳(自分脳:現実の情報を観念で選択する)を使い進化してきた。

その中で、右脳から生み出された言語によって「人類社会」を造り上げたと思われる。

※社会とは、“様々な役割を持った個々によって構成される集合体”を指す。“社会”を地球上で初めて構成した生物は、ヒトではなく昆虫(ハチやアリ)である。

右脳と左脳

【ヒトの知能の高さは、言語能力によって実現された。】

の論考を転載します。

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脳科学メディア(リンク)より

【言語の脳科学・人類学・進化学】

ヒトをヒトたらしめる要素として、様々な能力や性質を挙げることができる。たとえば、『道具の使用』や『社会の構築』、または『言語の使用』などである。とはいえ、これらの要素は必ずしもヒトのみに限られるものではない。たとえば、ヒトと同じ霊長類に属するチンパンジーやボノボ(=ヒト科チンパンジー属)であれば、道具の使用や社会の構築を可能としており、イルカやヨウム(=洋鵡:インコ科ヨウム属)であれば、自らが生み出す音を用いて仲間への情報の伝達を図るという点で、簡易な言語の使用を可能としている。

道具の使用や社会の構築、または言語の使用を可能とするためには、一定の知能が必要となる。それゆえ、道具や言語を使用し、または社会を構築している動物には『一定の知能がある』と結論付けることができる。この点、一般的にはヒトと他の動物を区別するために『知能の有無』が基準として用いられる場合があるが、ヒト以外の動物が道具や言語を使用し、または社会を構築していることを考えると、ヒトと動物を区別する基準を『知能の有無』とするのは適切ではないといえる。そこで、ヒトと動物を区別する基準として『知能の有無』ではなく、『知能の高さ』を用いることが適切といえる。

ヒトの知能の高さがどの程度であるかを把握する際に、人が行い、なおかつチンパンジーやボノボ、イルカやヨウムなどの一部の動物が行う『道具の使用』『社会の構築』『言語の使用』の度合いが一つの基準となる。なお、『道具の使用』と『社会の構築』は、『言語の使用』によってより高度なものへと進化・発展させることが可能となる。この点で、『言語の使用』は他の二つの能力よりも高次に属する能力であるといえる。

以下では、言語の特殊性に焦点を当て、言語能力がヒトの進化や社会の構築にどのような影響を与えたのかについてみていく。

  1. 言語の特殊性

言語は、活用次第で道具や社会を進化・発展させる要素となる。ヒトのこれまでの歴史を振り返ると、言語が道具や社会を大きく進化・発展させてきたことが分かる。以下では、ヒトのこれまでの歴史の中で言語がどのようにして道具や社会を進化させてきたのかについて概観する。

1-1.言語による道具の進化

“より高度な言語”を駆使することで“より高度な道具”を実現した例としては、今から20万年~3万年ほど前に存在していたネアンデルタール人とホモ・サピエンスの事例を挙げることができる。 ネアンデルタール人とホモ・サピエンスは、言語の運用能力に大きな開きがあったことが分かっている。ホモ・サピエンスは利便性の高い石器を考案すると、高い言語能力を用いて子孫へと継承させていった。こうした『言語による技術の継承』が行われることによって、世代を重ねるごとに利便性の高い石器が生み出されるようになった。これに対してネアンデルタール人は、高い言語能力を有していなかったため、石器に関する技術を子孫に継承させることができなかった。それゆえ、世代を重ねても石器の利便性が向上することはなかった。 こうした要因が一因となり、ネアンデルタール人は今から3万年ほど前に絶滅した。

(中略)

  1. 言語獲得までの過程と、言語獲得によって得られた能力

言語は、技術や社会を発展させる要素となる。なお、技術や社会を発展させるためには一定の知能が不可欠となることから、言語の運用能力と知能には一定の関連性があるといえる。

先述したように、ヒトと動物を区別する基準は『知能の有無』ではなく『知能の高さ』とすることが適切である。そして、言語能力と知能に一定の関連性があるのであれば、ヒトが言語を獲得するに至った過程と、それに連なる知能の変化についてみることで、言語能力と知能がどのように関連しているのかを知ることができる。よって以下では、ヒトが高度な言語能力や知能を獲得するに至った要因や、言語の獲得によってどのような能力を得ることができたのかについてみる。

2-1.身体的特徴の変化による発声の実現

言語を用いる方法は、2つに分類することができる。一つは『文字による表記』であり、もう一つは『音声による表現』である。この2つの方法は同時期に獲得されたものではなく、『音声による表現』が発生(=今から数十万年~数百万年前に発生)した後に、文字が生み出されたことによって『文字による表記』が発生(=今から約5000年前に発生)した。

・・2-1-1.二足歩行と筋力の変化

(中略)

2-1-2.高度な発声の獲得

(中略)

2-2.脳の肥大化による心の誕生

言語は、狭義の意味においては“情報の伝達のツール”に留まるが、広義の意味においては“思考のツール”をも含んだ要素である。この点、言語を“情報の伝達および思考に用いるツール”と定義付けるのであれば、イルカやヨウムが言語を駆使して思考することができず、ヒトのみが言語を駆使して思考を可能としていることから、広義の意味での“言語の使用”は、ヒトのみに可能な活動であるといえる。

直立二足歩行の獲得に起因する脳の肥大化は言語の使用を可能とし、ヒトは言語を駆使することで脳の肥大化を加速させた。こうして加速した脳の肥大化は、ヒトと他の動物の違いを決定付ける“言語以外の性質”の獲得を実現するようになった。例えば、協調性や推論、長期記憶と抽象的思考、短期記憶と論理的思考などである。

・・2-2-1.協調性と推論

様々な要因から脳を肥大化させていったヒトは、他の動物や自然との生存競争の中で生き残るべく、集団内での協調性(チームワーク)を身に付けるようになった。身に付けられた協調性は後に、狩り以外の様々な場面でも発揮されるようになった。

かつてヒトは生活をより安定したものにするために、野営地を作ることで生活の拠点を設けた。野営地を中心とした集団生活では分業が求められ、ある者は野営地を離れて狩りを行い、ある者は野営地や子どもを護衛する役割を担った。狩りによって獲得された食糧は、野営地の構成員に等しく分配されなければ集団を維持することができなかったため、狩りに参加していない野営地の構成員にも等しく分配された。このような“集団を維持するための圧力”は、結果的に集団内で“相手の意図を推測する”という能力を高めていくことになった。このような“相手の意図を推測する”能力は、集団内での生活や狩りの場面だけでなく、敵対する集団との戦闘においても重要な役割を果たした。敵対する集団との戦闘で相手に勝利するためには、敵の意図を推測し、先手を打つことが求められた。また、戦闘中に仲間の意図を推測して協力することで勝率を高めることができた。敵対する集団同士の戦闘においては、協力する集団は協力しない集団よりも優位に立つことができたため、仲間の意図を推測する能力や協調性を持たない集団は淘汰され、そうした能力を持つ集団だけが生存し続けることになった。

ヒトと最も近い種族とされるチンパンジーでさえ、“協調性”や“相手の意図を推測する能力”を有していないことが実験によって確認されている。 ある実験において、ヒトの子どもに容器の蓋の開け方を教えた後、容器の蓋の開け方を知っている子どもから見える場所で、大人がその蓋を開けようとしても開け方が分からないふりをした。それを見た子どもは、その時に自分がしていた作業を中断し、困っている大人を助けるために大人のところへ向かった。同様の実験をチンパンジーに対して行なったところ、チンパンジーは同じ状況に置かれても協力する素振りを見せなかった。 この実験の結果から、ヒトの社会が発展した要因の一つは、他の構成員の意図を推測し、協調行動をとれる“社会性”にあることが分かる。

相手の意図を推測し、意志の疎通を図り、協調することによって、ヒトは集団として、単独で活動するよりもはるかに多様かつ効率的な活動を行うことができるようになった。こうした“協調性”や“相手の意図を推測する能力”が求められた生活環境の中で、ヒトは“推論”の能力を身に付けるようになる。この推論の能力によって、相手の意図を正確に把握し、高い精度で協調性を発揮することが可能となった。なお、こうして獲得された推論の能力は、後にヒトの言語能力の向上に大きな影響を与えることになる。

・・2-2-2.長期記憶と抽象的思考の発達

推論の能力を獲得したヒトはその能力を駆使するうちに、次第に記憶を蓄積し、過去の記憶を遡る能力を高めていった。これにより、過去の記憶を遡って複数の情報を整理し、眼前の相手の状態や心理・思考をより正確に推測できるようになった。こうした推測を繰り返すことにより、脳内では扁桃体などの感情をコントロールする中枢部分や自律神経が発達していった。

過去の記憶を遡る能力を獲得したヒトは、記憶力を強化させていった。記憶力の強化は脳のさらなる発達をもたらし、膨大な情報の長期記憶が可能となった。長期記憶を獲得したヒトはその後、長期記憶の一部を取り出し、それらを組み合わせることで計画や筋書きを構成する能力(=構成力)を身に付けた。この能力により、その時点における推論だけなく、過去の情報を呼び起こし、未来における中長期的な利益を実現するための推論が可能となった。 “長期記憶”と“記憶を用いて情報を構成する能力”を獲得したヒトは、言語を用いて目の前にある事柄を思考するだけでなく、過去や未来に関する事柄や、眼前に存在していない“概念”などの抽象的な事柄を思考することが可能となった。こうした抽象的な思考は、後に宗教や芸術の分野を切り開いていくことになった。 なお、過去の記憶と未来の推論はヒトの言語体系(文法構造)にも変化をもたらし、ヒトは言語を用いて過去や未来を指す“時制”を扱うことができるようになった。

・・2-2-3.短期記憶と論理的思考の発達

ヒトの脳は進化の過程で“長期記憶”だけでなく、“短期記憶”も身に付けた。長期記憶が過去の経験(『学校を卒業した』、『友人と食事をした』という情報)や物事の意味(『りんご』、『自動車』、『勉強』の概念や定義に関する情報)の記憶であるのに対して、短期記憶は特定の作業を行う際にのみ保持される記憶である。たとえば、現在の時刻が『12時30分』であるといった情報の記憶や、天気予報で明日の気温が『22℃』であるといった情報の記憶、または『昨日の食事は何だったか?』といった質問内容(情報)の記憶である。長期記憶が長時間に渡って(場合によっては一生を通じて)保持される記憶であるのに対して、短期記憶は特定の作業(=時間や天気を知る、質問に答えるという作業)が終わると失われる記憶である。なお、脳の進化の過程で獲得された短期記憶は、後に“論理的思考”の実現を可能とした。

・・・2-2-3-1.短期記憶に基づく情報処理

ヒトの短期記憶の容量は、成長とともに増加することが確認されている。まだ歩行ができない乳幼児(1歳前後)の場合は、2つ程度の短期記憶(=情報のまとまり)しか保持することができない。そのため、乳幼児は思考の際に2つの以上の情報を結び付けることができない。たとえば、『リンゴ(の数)よりもバナナ(の数)の方が多い・少ない』といった2つの情報の比較が、乳幼児の思考の限界となる。 就学前(4~5歳)になると、子どもは3つの短期記憶を保持し、それぞれの関係を処理できるようになる。たとえば、『4+5=9』といった記号を用いる足し算がこれにあたる。この計算には、『4』、『+』、『5』という3つの情報を同時に記憶し、処理することが求められる。そのため、3つの短期記憶を保持できるようになって初めて、足し算や引き算などの計算を行うことができるようになる。 就学後(6歳~11歳)は4つの短期記憶を保持することができるようになり、それぞれの関係を処理できるようになる。たとえば、『12:36は15:45と等しいか否か』といった比率の計算がこれにあたる。この比率の計算には、『12』、『36』、『15』、『45』という4つの情報を同時に記憶し、処理することが求められる。そのため、4つの情報を記憶できる場合にのみ計算が可能となる。

ヒトの短期記憶の容量は、2歳頃から11歳頃にかけて増加していく傾向がみられる。なお、ヒトは成人であっても一度に4~5つ程度の短期記憶(=情報のまとまり)しか覚えられないことが実験によって確認されている。(ただし、特定の情報に関して事前にリハーサルを繰り返すことで、一時的に5~9個のまとまりの記憶が可能になることが確認されている。)

・・・2-2-3-2.短期記憶と論理的思考の関係

短期記憶は、ヒトの論理的思考に不可欠な要素となる。論理的思考とは、『因果関係に基づき、結論に至る展開を想像する知的活動』を指す。論理的思考では、結論に至るまでに複数の情報を記憶し、処理する必要がある。それゆえ、複数の短期記憶を保持できる場合にのみ、論理的思考が可能となる。

論理的思考の例の一つとして、以下の展開が挙げられる。

【前提から導かれる結論】

◆前提1.……生物は、いつか必ず死ぬ◆前提2.……ヒトは、生物である。◆結論 ⇒ ヒトは、いつか必ず死ぬ

上記の2つの前提から論理的に結論を導くためには、2つの前提を記憶し、処理する必要がある。このことから、論理的思考には短期記憶が不可欠であることがわかる。 幼い子どもが論理的な思考を苦手とするのは、短期記憶の限界が論理的思考に制限をかけているためである。これは言い換えれば、成長によって複数の情報を同時に記憶し、処理することを可能とすることで、論理的に矛盾のない思考が可能となることを意味している。

(中略)

短期記憶に基づく論理的思考がヒト特有の能力であるという点は、『交互』の概念の理解が可能であるか否かを調べる実験からも明確になっている。 エサの隠し場所を『右、左、右、左』と交互(=単純交代)に設定した場合、この法則はヒト以外の動物でも理解できることが確認されている。これに対して、エサの隠し場所を『右、右、左、左、右、右、左、左』のように同じ場所を2回1組として交互(=二重交代)に設定した場合、この法則を理解できるのはヒトだけであることが確認されている。 これは、ヒト以外の動物は短期記憶の能力の関係から、一つ前の情報と二つ前の情報の両方を記憶することができないために『一つ前が右、二つ前も右だから、今回は左である』という、短期記憶に基づく論理的思考ができないことが原因となっている。

こうした短期記憶の能力は、ヒトが用いる言語(文章)における“入れ子構造”(=回帰的階層構造)の作成に不可欠となっている。入れ子構造(=回帰的階層構造)とは、言語(文章)の中に他の独立した言語(文章)が組み込まれた文章を指す。

【入れ子構造を持つ文章と持たない文章】

◆入れ子構造(回帰的階層構造)を持たない文章例:『彼は肉を食べる。』◆入れ子構造(回帰的階層構造)を持つ文章例:『私は、彼が肉を食べるということを知っている。』⇒“私は知っている”という文章の中に、“彼が肉を食べる”という独立した文章が組み込まれている。

ヒトは今から約20万年前に、短期記憶の発達から上記のような入れ子構造(=回帰的階層構造)を持つ文章を構成する能力を獲得した。こうした“回帰性”は、音声(言語)を用いてコミュニケーションを行う他の動物にはみられない、ヒト特有の能力となっている。

上記の例のような“自分以外の他者が~であること知っている”といった複雑な入れ子構造(=回帰的階層構造)の文章を生み出すことができるようになったのは、複数の情報(他者に関する情報と、自分が知っているという情報)を同時に保持できる短期記憶の能力が発達したことに加え、他者の意図や考えを推測する能力である『認知機能』が発達したことが要因となっている。

こうして、短期記憶による論理的思考の発達や長期記憶による抽象的思考の発達により、ヒトの言語能力と思考力はさらに向上していくことになった。

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List    投稿者 seibutusi | 2021-01-07 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2021-01-07

微生物と免疫:都会の遊び場に“森”を移したら、子どもたちの体の環境も多様になった

>土壌に生息する微生物のはたらき(土壌微生物が原動力となる環境変化)を理解することではじめて森の成り立ちと遷移を理解できる<リンク

森は、土壌に生息する微生物との共生により、多様な生命活動を維持する力を持っているようです。
そして、森にはヒトの免疫力を向上させる力もあるようです。

今回は「都会の遊び場に“森”を移したら、子どもたちの体の環境も多様になった」という実験結果を報告する記事を紹介します。

WIRED(2021/01/06) より。

微生物と免疫:都会の遊び場に“森”を移したら、子どもたちの体の環境も多様になった

①

微生物の多様性が欠落した環境は人間の免疫システムに不利に働く可能性が高いとする「生物多様性仮説」。これを裏づけるため、フィンランドの都会の保育園に森林の地面を移植する実験が行なわれた。砂とアスファルトの遊び場は一晩で草原やベリーの茂みでいっぱいのオアシスに──。そこで過ごした子どもたちの皮膚の微生物環境は、短期間でかくも「多様」なものへと変化していた。

2016年5月のまだ肌寒い夕暮れどきに、フィンランドの都市ラハティにある人気のない保育園の庭に作業員の一団が足を踏み入れた。そして、ブランコとジャングルジムが設置されている一角の地面に森林の地面を移植した。

フィンランドのそれほど開発が進んでいない地域の森林から採取された自然のままの低木、すねの高さのベリーの茂み、風に揺れる草原の草、そして柔らかくなめらかな苔の塚が移植され、その小さな森の周囲には柔らかい緑の芝が植えられた。翌朝、登園した子どもたちは(それまではアスファルト、砂利、砂という殺風景だった)園庭の遊び場が一晩で小さな自然のオアシスに変わったことを発見した。

同月に、ラハティとそこから西に約800kmのタンペレの3カ所の保育園で同じことが起きた。自然を愛するゲリラアーティストによる作品ではなく、舗装された都会における微生物の少ない環境が人間の免疫システムに不利に働く可能性を調べる大がかりな科学実験の始まりだった。

「『生物多様性仮説(biodiversity hypothesis)』という説があります。微生物の多様性が欠落した環境だと人間は免疫介在性の病気にかかる可能性が高いというものです」と語るのはフィンランド自然資源研究所(Luke)の進化生態学者であるアキ・シンコネンだ。「しかし、この仮説を子どもを対象に実際にテストした人は誰もいませんでした」

おそらく「衛生仮説」のほうが一般的だろう。1990年代初頭に英国の疫学者、デイヴィッド・ストラカンが最初に提唱したこの仮説では、ぜんそく、糖尿病、アレルギーなどの過剰な免疫反応に関連する慢性疾患の増加は、子どもの生育環境の無菌化が進んでいることが原因だと考える。

免疫システムとは、突き詰めれば物体の分類装置であり、自己と非自己を識別することが免疫システムの役割だ。子どものころに遭遇した微生物は、この識別プロセスの最初の指導的役割を果たし、発達中の免疫システムが危険なものとそうでないものを解読するのを助ける。

抗菌せっけんや抗菌ジェルを使用し、高層アパートに閉じ込もり、コンクリートジャングルをクルマで移動する家庭が増えるほど、細菌、原生動物、菌類、ウイルスが繁殖する生息地は少なくなり、子どもの発達中の免疫システムがそれらに遭遇する可能性は低くなる。細菌などへの曝露が少ないということは、訓練の機会が少ないということだ。充分に訓練されていない免疫システムは、体内の細胞と食物アレルゲン、腸内微生物、または空気中の花粉を区別できない可能性がある。

微生物の多様性に欠ける場所で生活するとどうなるか

2000年代初頭に研究室で行なわれたげっ歯類を対象とした実験ではこうした考えを裏づける結果が出た。野生のラットの免疫システムは危険な病原体と戦うが、ささいな刺激物とは戦わないように充分に調整されている。これに対してラボで育ったラットは最も小さな刺激と過剰に戦った。

人間を対象とした疫学研究からも、アレルギーとぜんそくの発生率は、農村部よりも工業化地域で高くなる傾向があるという状況証拠が得られている。こうした都市部の現代的なライフスタイルにおいて仮定される弊害に対抗するために、数十の企業がさまざまな生きた細菌を配合した錠剤やドリンク、クリームを免疫力を高めるプロバイオティクスと宣伝して次々と販売し始めた。

(以上)

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List    投稿者 seibutusi | 2021-01-07 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2021-01-02

免疫は何を認識するのか?~共生関係をつくる仲間か否か?

■免疫は何を認識するのか?~「自己/非自己」のあいまいさ
免疫とは、細菌やウイルスから、からだを守っている防御システムで、「疫(えき)」(病気)から「免(めん)」(免れること)ことから、免疫と言われる。

この免疫の働きについて、よく、自分と同じものを「自己」、異なるものを「非自己」として認めることにより、免疫の反応が始まると言われるが、実は「自己」と「非自己」の区分では捉えきれない現象が多くある。

免疫が「自己」の脂肪やタンパク質を攻撃する病気が年々増加している。これは自己免疫疾患と呼ばれ、関節リウマチや多発性硬化症など多様な病気がある。他方、私たちの腸管内には、1000種以上、100兆個以上もの腸内細菌が生息しているが、免疫は「非自己」であるこれらの腸内細菌を攻撃しない。

そうであれば免疫系は、「自己」と「非自己」を区分しているといえるのだろうか?それとも別の区分があるのだろうか?

今回はこの疑問を中心に免疫とはなにか?を考えてみます。

■免疫の「正の応答/負の応答」のバランス
私たちの身の回りには、細菌やウィルス、花粉、粉塵など生体に悪影響を起こす生物や物質に満ち溢れているが、それを気にせず生きていくことができる。これは免疫という自己防御機構によるところが大きい。免疫は、多くの動物に備わった生体防御機構であり、外部より侵入する細菌やウイルスなどの病原体や生体内で生じた腫瘍細胞を排除する役割を担っている(正の応答)。さらに、正に応答した免疫系がそのまま続くことは個体にとって新たな障害を惹き起こす原因となるため、細菌やウイルスなどの排除に引き続き「正の応答」を終焉させるように調節されている(負の応答)。このように、免疫の正の応答と負の応答のバランスが保たれることで、私たちは良好な健康状態を維持されている。

■自己を攻撃する細胞をだれでも持っている
正と負のバランスが崩れると、様々な不整合が生じる。その一つが、年々増加している「自己免疫疾患」、免疫細胞が、無害な自分自身の細胞や組織を攻撃してしまい、臓器や関節、皮膚といった身体の様々な部位に病気を発症させる。

自己免疫疾患の原因は、完全には明らかにされていない。しかし、最近の研究により、どんな健康な人でも、自己反応性の免疫細胞が体内に潜んでいて、これにより自己免疫疾患をひこ起こす恐れがあることが分かってきた。以前は、 T細胞(リンパ球の一種)は、胸腺内で作られるとき、自己に反応する T細胞は排除されると考えられていたが、そうではないことが分かっている。自己に反応する「過激な」T細胞が見つかると、細胞死(アポトーシス)が起きる。また、自己にまったく反応しない「鈍感な」T細胞は無用とみなされ、成熟するステップに進めず、最終的には死んでしまう。こうして、最終的には、自己に対して、弱いがある程度の強さで反応する T細胞だけが選抜させる。したがって、何かきっかけで免疫細胞が暴走してしまと、誰でも自己免疫疾患を発症する可能性があることになる。

しかし、多くの場合で自己免疫疾患が起こらないのは、免疫細胞を制御する制御性T細胞(Treg)の働きによることが、最近の研究で明らかになっている。私たちの体内の免疫細胞には、自己に反応するT細胞と、免疫細胞を制御するT細胞があり、免疫系は両者によってバランスを取ることで恒常性が保たれている。

T細胞の分化とはたらき

「T細胞の分化とはたらき」(画像はコチラよりお借りしました)

かつては、自己免疫疾患が起こるのは、例えば、ウイルスと自己の抗原が似ているなど、標的になる自己抗原に問題があるという考え方が主流だったが、最近では免疫系の問題(制御性T細胞の機能不全)だということが分かってきた。制御性T細胞の機能低下や数が減ると、自己への免疫反応を押えきれなくなり、自己免疫疾患が起こることになる。

◎本来、「自己」に反応しないように出できているはずの免疫に、なぜ「自己」に反応する可能性があるT細胞が存在するのだろうか?

■がんと免疫~がん細胞は非自己ではなく自己
その理由のヒトつとして考えられるのが、がん細胞へに対する免疫反応。自己の細胞に遺伝子異常が生じて異常増殖が引き起こされたがん細胞は、「非自己」ではなく「自己」。制御性T細胞が免疫応答を制御し、がん細胞に対する攻撃=自己免疫反応を生起させることで、がんの増殖を押えていると考えられる。「自己」に反応する可能性があるT細胞は、生きていくために必要な細胞の一つだと言える、

 

がん免疫のメカニズム

「がん免疫のメカニズム」(画像はコチラよりお借りしました)

■腸内細菌と免疫
免疫は認識しているのか?そのヒントは、腸内細菌と免疫の関係にある。ヒトの腸管には500~1,000種類、100兆個以上の腸内細菌が生息し、この腸内細菌が消化液では分解できない食物繊維などを微生物発酵(腸内発酵)により代謝し、有用な代謝産物に作り替える働きをしている。これまで腸内細菌の一部種類に炎症やアレルギーを抑える効果があることが知られていたが、最近の研究でそのメカニズムが分かってきている。

広く免疫系で炎症を抑える制御性T細胞は腸内に多く存在し、腸の過剰な炎症や食物アレルギーを抑えるなど、腸管免疫で重要な役割を担っている。この制御性T細胞の誘導には腸内細菌が必要で、特に腸内細菌のなかでもクロストリジウム属細菌が腸管で制御性T細胞を誘導すること明らかにされている。

 

腸管においてクロストリジウム属細菌がTレグを誘導する流れ

「腸管においてクロストリジウム属細菌が制御性T細胞を誘導する流れ」

(画像はコチラよりお借りしました)

腸内細菌は私たちが生きていく上で不可欠な存在。もともと非自己である腸内細菌が、免疫に排除されることなく、腸管内に共生できるのは、制御性T細胞を介したヒト~腸内細胞の協同の結果ともいるかもしれない。

■免疫は何を認識するのか?~共生関係をつくる仲間か否か?
ここまで見てきたように、免疫系の認識は、これまでいわれている「自己./非自己」の区分では捉えきれないものだと分かる。がん細胞のように自己であっても排除する必要があるものがあり、一方、腸内最細菌のように非自己であってもは排除されないものある。

腸内細菌は免疫には除されることなく、生命誕生の初期から共生し、複雑な共同体を形成しつつヒトの健康と密接に関わっている。こうしてみると、免疫系は、生命体(ヒトと腸内細菌群の共同体)にとって「必要か否か」「仲間かどうか?」というような認識をしているのではないだろうか?

現在の抗菌・滅菌などの狂った衛生観念と抗生物質の使用により、長い長い間、共生していた細菌や寄生虫どの微生物を一方的に悪者として排除してしまった結果、腸内細菌群のバランスの異常など→免疫機能不全を引き起こし、アレルギー性疾患と自己免疫疾患を増加させていることがほぼ明らかになっている。今、改めて「共生」という自然の摂理、生命原理に立ち返り、追求する必要があるのだとと思います。

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List    投稿者 seibutusi | 2021-01-02 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2021-01-01

物質だけを研究しても解明できない『生命の本質』

 

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あけまして、おめでとうございます。

昨年は、科学的根拠が一切ないコロナ騒動。その背後で起こる経済崩壊、アメリカ大統領選を舞台とした、アメリカ・中国の分裂、ワクチンの強制接種への流れ・・・。今年は世界がどうなるかわからない。

そんな中で生き抜いていくためには、マスコミが垂れ流すウソを見抜く力が必要。そのための入り口は、コロナやワクチン報道が正しいかどうかを、自分の頭で考え判断すること。それには、より普遍的な事実としての生命原理を知らなければいけない。

それにピッタリなのが『生命とは何か?』を追求した、リュック・ モンタニエ博士の『水によるDNA 情報の記憶』の実験だ。

リュック・ モンタニエ博士とは、HIV発見の功績でノーベル賞を受賞、「新型コロナは人工ウイルス」とする論文を発表し、「人為的な改変は必ず消える」とパンデミックが干渉と共に終わる道筋を表明した科学者だが、その博士は「水によるDNA 情報の記憶」という示唆に富む実験を行っている。

では、その実験を読み解いていこう。

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List    投稿者 sinsin | 2021-01-01 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2020-12-31

キノコは森の救世主? ~地球史から菌類の可能性を探る~

>菌根菌が森林における樹木の多種共存を維持したり、樹種を置き換える遷移(樹種の移り変わり)を促進したりします。<
>土壌に生息する微生物のはたらき(土壌微生物が原動力となる環境変化)を理解することではじめて森の成り立ちと遷移を理解できる<

 以上、「森の未来は菌だけが知っている? ~森林と微生物の共存関係~」リンク より。

菌類含め微生物には、まだまだ計り知れない可能性がありそうです。社会の大変動が続く来年も引き続き、微生物の可能性を追求していきます。

年末の今回は、森のキノコの働きの本質・可能性とは何か?  地球史の視点から書かれた記事から見ていきます。

 

以下、BE-PAL (2019.01.25) より。

キノコは救世主?菌の地球史に迫る!

もしも世界にキノコがいなかったら、世界はどうなってしまうだろう。

キノコのことを以前は義務教育で、「花の咲かない植物」(注)として教えていたという。しかしキノコは、もちろん植物ではない。

植物は光合成によって二酸化酸素と水から様々な有機物質を作り出し自分の体を形づくる。キノコは枯れ木や動物の死骸を腐らせ分解し、水と二酸化炭素に戻す。正反対の性質をもった生き物だ。

生態系という大きな枠組みの中でいうと、いわば有機物を作り出す生産者の植物に対して、キノコはそれらを元に戻す還元者としての役割を担っている。

世界にキノコが無かったら、割と短期間で、世界は枯れ木や生き物の死骸でいっぱいになってしまうだろう。荒唐無稽な妄想の様だが、長い地球の歴史の中には、かつて、そういう時代もあった。

■まだキノコのいない太古の巨大樹の森は、巨大昆虫の天国だった。

およそ3億5920万年前から2億9900万年前の間、石炭紀と呼ばれる時代の後期。シダ植物の巨大な森林が地表を覆い、翼開長70cmに達する巨大なトンボ「メガウネラ」が飛びまわる。後の恐竜や哺乳類の先祖に当たる両生類や、巨大化した節足動物や昆虫が栄えた時代だ。

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日本最大のトンボ「オニヤンマ」翼開長12cm前後。

トンボは昆虫の中でも、太古から大きく変化していないと言われる。早期に生物の形態として完成していたからだ。

古代トンボ、メガウネラはオニヤンマの約6倍の大きさで、鳥類では猛禽のチョウゲンボウとほぼ同じ大きさ。

昆虫の大型化は、石炭紀の大気中の酸素濃度が高かったからという説がある。当時の酸素濃度は35%ほどといわれ、それ以前のデボン紀の15%、現代の21%に比べても10%以上高い。気圧も現代より高かったという説があり、もしそうならば、実際の酸素の大気中保有量はさらに多かった可能性もある。

酸素濃度が上がったのは、地表を覆い尽くす巨大森林の光合成による酸素の放出と二酸化炭素の減少のためだといわれるが、もう一つほかにも重要な原因がある。それは、巨大森林の樹木が枯れても、それを分解する生物の能力が非常に小さかったからだ。

枯れ木の材を構成する主な成分は、セルロース、ヘミセルロース、リグニンという物質で、地球上でもっとも分解しにくい有機物質として知られている。中でもリグニンは分解できる生物がほとんど皆無で、枯れた巨大樹木は分解し切れないまま堆積し地中深く埋もれ高温、高圧の下で化石化していった。それが、今、私たちの使う化石燃料「石炭」の起源だ。

石炭が今有るのは、古生代後期の石炭紀に、キノコ(白色腐朽菌)がいなかったからだ。

現在でも、生物の中でリグニンを枯れ木など植物遺骸から直接分解できるのは、唯一キノコの仲間だけだ。2億9900万年前、石炭紀が終わりを告げたのは、進化によってリグニン分解能力を持つキノコが出現したか、腐朽菌の能力が進化してより強力になったかどちらかだと考えられる。いずれにしても、リグニンがキノコによって分解されるようになったことで、時代を追うごとに酸素濃度が高くなり続けるという、石炭紀の不安定な状態が解消された。

実際に石炭紀末期は、二酸化炭素濃度の減少によって気温低下を招き、氷河期を迎えている。動物たちには大変つらい時代だった。現在に続く安定した大気組成、これは後の生態系の安定と繁栄のためにも大切なことだっただろう。

リグニンを分解するキノコは、褐色のリグニンを分解し白色のセルロースなどを残し、材の白腐れをおこすことから、白色腐朽菌といわれる。

白色腐朽菌の仲間は、シイタケやブナシメジ、ヒラタケなど栽培できるものが多い。多くが私たちの生活に密接にかかわっている。キノコ狩りの対象になるキノコも少なくない。たとえば、ナメコ、マイタケ、クリタケ等々。

2

白色腐朽菌の仲間。白色腐朽菌には優秀な食用菌も多い。

キノコは独力で、動物は細菌の力を借りてセルロースやヘミセルロースを借りて栄養にする。

一方、枯れた植物のその他の成分。セルロースやヘミセルロースを分解する微生物は古生代石炭紀にもいたはずだ。セルロースは直接動物には消化分解できない。微生物の力を借りなければ、巨大昆虫や動物は植物から栄養を得ることができないからだ。

現代もセルロース分解能力を持つ微生物はたくさんいる。土中に普通に存在するセルロース分解菌や、カビの仲間、身近なところでは納豆菌なども。

草食動物やシロアリの消化器には常在菌としてセルロース分解菌があり、その助けを得て植物を消化して栄養としている。セルロースは多糖類で炭水化物の一種だ。分解されるとブドウ糖になり、リグニンに比べ分解しやすいだけでなく、生物がエネルギー原として利用するのに効率が良い。早くから動物がセルロースを利用できるように進化してきた理由の一端はそういったところにもあるだろうと思う。

キノコの中でセルロースやヘミセルロースの分解を担う菌類を褐色腐朽菌という。白いセルロースやヘミセルロースを分解して、褐色のリグニンを残し、いわゆる材の褐色腐れをおこすキノコの仲間だ。これら褐色腐朽菌は、さすがキノコ。ほかの微生物に比べてセルロース分解能力がずっと強力だ。

微生物が糖にまでしか分解しないのに対し、一部の褐色腐朽菌、ミミナミハタケ、やマツオウジなどのキノコは、セルロースを分解するだけでなく、糖も一気に分解しにアルコールを作り出す。それも菌糸を生ごみに混ぜておくだけという手軽さで。

現在、マツオウジなど褐色腐朽菌を使って、バイオ燃料を生産しようという研究が盛んに行われているという。

③

主に昆虫によってボロボロに風化した枯れた立木。崩れ落ちた地面からやがてキノコが発生する。

枯れた植物を分解してもとに返す、それはキノコを中心にした生物の総力戦だ。

強力な分解能力を持つキノコだが、それでも膨大な植物を菌類だけで消費、還元するのは力不足だ。キノコを要に様々な生物が複雑に連携してやっと植物遺骸を分解し尽くすことができる。

たとえば動物や昆虫が植物を食べセルロースから栄養を取り出す過程で、噛み砕いて細かくしたり、糞として排出することで、キノコの分解効率が上がる。その逆もあって、キノコが木材などを分解することで、材そのものを消化できなかった昆虫などが栄養として利用しやすくなる。また分解の過程で細かくなった成分を細菌がさらに栄養にして分解する。植物を再び水と二酸化炭素に戻すこと、それは全ての生物による総力戦だ。

もっともそれが、キノコにとっても動物にとっても生きる=食べるということなのだけれども。
【人間はキノコを、カブトムシは菌糸を食べる。カブトムシを育てるキノコ「ヒラタケ」】

生態系の中で、分解者、還元者の要を務めるキノコだが、皮肉なことに、今や一番のそして暴力的で破壊的な還元者は、私たち人間かもしれない。

人間が石炭や石油など化石燃料を使い続けることそれは、地球史の時間を逆に巻き戻す行いなのだろう。

(以上)

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List    投稿者 seibutusi | 2020-12-31 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2020-12-29

特番『日本コロナの真実とは?コロナ狂騒曲の真相と処方箋』

先回、コロナワクチン接種は、世界支配を目論んでいる者の「選民思想に基づく、人類削減計画」

ウイルスの遺伝子は生物生命に直結した物であると考えると、数十億年かけて共生してきたウイルス遺伝子と違い新ウイルスを直接体内に入れる事は恐ろしくて出来ないはずですが・・

 又、ワクチンの副作用で怖いのは、気が付かない内に不妊症になる事です。(人類削減計画)

と投稿しましたが、新型コロナについて良く解る動画が有りましたので紹介します

 

特番『日本コロナの真実とは?コロナ狂騒曲の真相と処方箋』ゲスト:大阪市立大学名誉教授 井上正康氏 リンク

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新型コロナウイルスの医学的実害が驚くほど少ない事が明白であるにも関わらず、国内では極めて深刻な生活被害が未だに続いています。

この被害はテレビ視聴率と相関しており、「メディアが煽った恐怖心による国家レベルの思考停止と過剰反応」が本質です。

医学的根拠の無い自粛と同調圧が深刻な実害を与え続けています。

新興感染症では、時間経過とともに明らかになる客観的事実に基づき、過剰反応せずに少しずつ軌道修正しながら対応することが大切です。

しかしながら、残念なことに、冷静で科学的な視点よりも、メディアが流す情報に翻弄されてきたのが日本の実態でした。

メディアは毎日、“コロナの恐怖心”をあおり続けましたが、実際のところ、日本の感染症は欧米諸国とは全く異なっており、重症者数や死者数も欧米よりけた違いに少ないのが事実です。

【ポイント】

●日本で重症化した人や死亡者が少なかったのは、弱毒株の新型コロナが早い時期に入国していたから。
●「PCR陽性=感染者」ではない!発症した患者さんを医師が診断してはじめて、新型コロナウイルス感染者になる。PCR法は何を検出しているのかというと、ウイルス遺伝子(新型コロナウイルスRNA)の断片になります。

ウイルス遺伝子の断片が見つかったということは、「ウイルスが今いる」、あるいは、「少し前にいた痕跡がある」ということになります。ウイルスの断片が残っていれば陽性になるということです。そのうえで、ウイルスの状態がどうなのかまでは、わかりません。

参考リンク

●新型コロナウイルスに対してリスクが高いのは、がんの化学療法をうけている人、糖尿病や生活習慣病のある高齢の「免疫弱者」

●若年や働き盛りの世代は極めてリスクが低いので、適切な感染予防を講じたうえで、しっかりと経済活動をすることが重要。

●東アジアの民族は何万年も前から土着のコロナウイルスと共存して生活してきたため、コロナウイルスに対して、ある程度の免疫力を発揮する。

コロナワクチンは遺伝子ワクチンで「DNA・RNA」を筋注して免疫反応を起こさせるもので、昨年までは、家畜に使っていたが、人体に使った経験が一度もありません。

遺伝子改変が起きてアナフィラキシなどの強烈な副作用が起きる可能性があるのです。

注)アナフィラキシー(英: anaphylaxis)とは、原因物質(抗原)により感作される準備期間の後、その原因物質が再び生体に接触することで引き起こされる免疫学的機序による全身的なアレルギー反応 。

以上です 

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List    投稿者 seibutusi | 2020-12-29 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2020-12-25

共同体社会での「家族農業の挑戦」~国連家族農業の10年

最近の報道で「コロナ禍の世界 飢餓の拡大を止めたい:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)」「今、世界では「飢餓パンデミック」と流されている。

その様な状況で 日本の零細農業(古来から続いて来た「自然との共生関係」)の在り方が注目されています。

一方で、コロナ禍後の世界は、共同体社会群(自主独立は自集団で食料生産が出来る)がネットワークで結ばれ有機体(生命原理に則った進化形態)になるとの予測もあります。

今回は、注目すべき記事を転載します。

JOG(1191) 家族農業の挑戦~「国連家族農業の10年」リスト(国際派日本人養成講座より)

■1.2019~28年「国連家族農業の10年

「日本の農業は零細で、海外とは生産性で敵(かな)わないから、もっと大規模化しなければ」と世間では言われてきましたし、筆者もそう信じ込んできました。しかし、今や潮目は変わりつつあります。

2017年12月20日の国連総会で、2019年から28年を「国連家族農業の10年(The UN Decade of Family Farming)」とすることが全会一致で可決されました。家族農業とは、家族労働が中心の農林漁業を指します。

世界の5億7千万の農場のうち5億以上を占めており、食料の70%以上(価格ベース、2016年)を供給しています。[小規模、p11]  世界的な人口増で2050年までに現在よりも60%も多くの食料を生産する必要があるのですが、そのためにも家族農業が中心的な役割を担う、という考えに基づいています。

食料増産と言えば、穀物メジャーなど国際的な大規模農業を連想しますが、それらは環境や食の安全、土地生産性の面で多くの問題を抱えており、人類社会の健全な発展には、伝統的な家族農業を発展させていかなければならない、という認識なのです。

■2.国際的アグリビジネスの環境破壊、農薬汚染、フードマイル

まずは大規模農業の実態を見てみましょう。アメリカの大規模農業のシンボルは「センターピボット」と呼ばれる散水施設です。半径400m、面積50ヘクタールの円形農場を、時計の針が回るように散水管が回転しながら潤します。こうした農場が集中しているネブラスカ、コロラドなど7つの州にまたがる大穀倉地帯は、耕地面積が日本の国土の1.2倍もあります。

さらに限られた場所で集中大量生産された食料は、遠くの消費地まで運ばなければなりません。1トンの食料を1キロメートル運ぶと、1t・kmと計算する指標がフードマイルです。

我が国のフードマイルは輸入食料の多さと、アメリカやオーストラリアなどの生産国から遠いことで、8669億t・kmに達し、2位の韓国、3位のアメリカの3倍というダントツ状態になっています。

また大規模に耕作し、遠距離を運ぶためには、その過程での品質リスクが生じます。農林水産省の調査で「小麦には、アメリカ産では9割以上、カナダ産ではほぼすべてと呼べる水準でグリホサートが検出される」と判明しまた。グリーンホサートは長年使われている除草剤ですが、発がん性などが疑われており、アメリカでは使用禁止を求めてさかんに訴訟が起こされています。

■3.大規模農業の非効率性

国際的な大規模農業に比べれば、家族農業の資源効率の良さは圧倒的です。家族農業は世界の農業資源(土地、水、化石燃料)の25%を利用するだけで世界の食料の70%以上を生産するのに対し、大規模農業は資源の75%を浪費しながら、30%の食料しか提供していません。

しかも生産された食料の3分の1が長距離長期間の流通や消費の過程で有効利用されずに、廃棄されています。世界では8億人が慢性的な飢餓状態におかれる事を考えれば、巨大なムダを発生させています。

土地の生産性も段違いです。日本の農地1ヘクタールが約10人を養えるのに、欧州随一の農業国フランスで2.5人、アメリカでは0.9人、オーストラリアに至っては0.1人です。これは日本の土地の肥沃さ、雨の多さ、水田の活用などの要因もありますが、国土の狭い我が国ではアメリカやオーストラリアのような大規模粗放農業は適さない、ということです。

■4.83歳の母が50種類以上の自給野菜を作っています

家族農業の実態を見てみましょう。たとえば、福島県二本松市で農民民宿を営む菅野正寿さんは、次のように記しています。

__________

83歳になる私の母は、毎日畑に行き、さやえんどう、ネギ、キャベツ、里いも、白菜、シソの葉、玉ねぎなど年間で50種類以上の自給野菜をつくっています。さらに梅干し、たくあん、白菜漬け、わらび漬けなどを手作りし、4年前に開業した農家民宿のお客さんに好評です。[農民、p75]

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50種類もの作物を作っていれば、干ばつ、洪水、台風、害虫、病害などの被害を受けるのも、特定の作物でしょう。作物の多様性が、食料供給の安定性を大きく向上させるのです。土壌や水資源など周辺環境への影響も無視できるほどでしょう。もともと自然は多様性、分散性を本質としていますから、それに沿った農業形態なのです。 農園で採れた作物を自分たちや民宿のお客さんが食べるわけですから、フードマイルはせいぜい数十メートルでしょう。しかも旬の時期に採れたてを食べられるのです。農薬もほとんど要らないでしょうし、長距離輸送のための箱詰めや取引業務も不要です。

なにより、高齢者が元気に社会のお役に立っている、という姿は長寿社会の理想です。また家族農業は田舎で就業機会を生み出せるのです。

■5.都市住民も「マイ田んぼ」でお米の自給

すでに国内外で、家族農業の形態をさらに広げる試みがなされています。

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農家民宿でつながった都市住民が、「マイ田んぼ」として米づくりをしています。埼玉のご夫婦、市民団体、学生、福島大の先生など5組が、それぞれ150坪くらいの我が家の田んぼを耕し、田植え、草取り、稲刈り、脱穀などに関わっています。私は、苗代、草刈、水管理、有機肥料などの経費と管理料をいただいています。[農民、p76]

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「マイ田んぼ」を持つ人々は「自分の家族が食べる米は自分で作りたい」と話しているそうです。都市住民も兼業農家となって、自分で作ったお米を食べられる時代になってきました。

奈良県大和郡山市では市内小学校の父兄と農民団体が協力して、親子農業体験のイベントを開催し、そこで採れた作物を学校給食に提供しています。令和元年にはタマネギ、ジャガイモ、ニンジン、カボチャなど5品目2130キロを供給しました。 子供たちの健康を増進し、農業を体験学習できるだけでなく、農民の方も高齢で離農を考えていた人々がお役に立てることで元気になったり、新規就農した青年が安定した収入を得られるなど、大きなメリットが生まれています。

■6.「消費者が食べているのは流通経費とサービス料」

都市近郊の農地で採れた作物を、近くで直売することも広がっています。農民作家の山下惣一氏はその価値をこう語っています。

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私の所属するJA唐津市の共販の露地ミカンの一○キロ一箱のセリ値は、加重平均で七○○円であった。ところが、集出荷、ダンボール代、運送費などの出荷経費が一箱につき六五○円かかる。つまり、ミカン一○キロ一箱の流通経費六五○円、農家手取り五○円である。リンゴも同様だった。消費者が食べているのはミカンやリンゴや野菜の姿をした流通経費とサービス料なのだ。[山下、p197]

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これが産地近くの直売所では、こうなります。

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私たちが村はずれの国道沿いに農水産物の直売所を開いてから八年がたった。一三○名の農家で組織し、店員二人をおいて、盆、正月に数日間閉める以外は毎日やっているが、じつによく売れる。新鮮な農水産物が、生産者の受け取り額は高く、消費者の支払う額はより少なく喜ばれている。・・・農家がやっている無人、有人、農産加工、レストラン等の販売所は九州七県で一九三二か所ある。私の近くでも山村である七山村(ななやまむら)の「鳴神の庄」のように、年商二億円を超え、法人化して村活性化の中核になっている例もある。[山下、p197]

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これが地産地消の効率性です。前号では、「身土不二」すなわち人間と大地は繋がっており、人は生まれた場所から3里(12キロ)ないし4里(16キロ)の歩ける範囲内で採れた作物を食べるのが良い、という伝統的思想を紹介しました。自給、地産地消はまさしくこの「身土不二」を実現する生活スタイルなのです。

■7.広がる都市農業

(略)

■8.自然の力を利用して収穫をあげるアグロエコロジー

家族農業は環境保全にも役立ちます。特にアグロエコロジーと呼ばれる農法は、農薬や化学肥料など人為的な外部からの投入物を減らし、微生物など生物多様性の力を最大限に活用します。自然の恵みを最大限に生かして、食べ物をいただく農法です。

大規模農業では単一種の作物を広範囲に作る、という不自然なことをしています。単一作物の栽培によって、生物の食物連鎖のバランスが崩れ、雑草や害虫がはびこりやすくなります。それを農薬で抑えようとすると、土壌が酸性化して土壌微生物が生息できなくなり、枯れ葉や死んだミミズなどを分解して栄養素を作物に供給することができなくなるのです。

大規模農業で土地が痩せ、収率が低下していくのは、自然の生命の循環を破壊しているからです。それを自然の循環に即して、恵みをいただこう、とするのが、アグロエコロジーです。

我が国で古くから行われていた合鴨(あいがも)農法とは、水田に放し飼いされた合鴨が雑草や虫を食べ、その排泄物が稲の養分となることで、無農薬で収穫を格段に上げるアグロエコロジーの一手法です。水田で魚を飼う農法も同様の効果を生みます。

思えば、国際的な大規模農業は近代物質文明の産物でした。英国の産業革命では、北米大陸南部で黒人奴隷を使った大規模プランテーションを作り、そこで栽培した綿花を輸入し、機械式の織機で作った織物を輸出する体制が作られました。この時点ですでに大規模農業が現れています。

それは人間が自然を思うままに改変し、搾取してよしとする「不自然」な農法でした。自然を破壊し、人間の健康も脅かし、なおかつ生産性も低い、というのも当然でしょう。その過ちに気がついた所から「国連家族農業の10年」は始まりました。

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List    投稿者 seibutusi | 2020-12-25 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2020-12-24

「微生物燃料電池」の可能性 ~汚水や廃水を燃料にして微生物が発電~

環境破壊阻止の観点から、脱化石燃料⇒自然エネルギー(太陽光や風力など)への 転換の試みが各国で進められています。コロナ禍を受けて、この流れはますます加速されると考えられます。その中で、微生物の力で発電する「微生物燃料電池」の開発も進められているようです。

 「微生物燃料電池」の可能性とは? 現状の開発状況を解説する記事から紹介します。

Gigazine 2020年12月24日 より。

汚水や廃水を燃料にして微生物の働きで発電する「微生物燃料電池」が秘める可能性とは?

気候変動の緩和が世界的な課題になっている中で、各国は太陽光や風力といった再生可能エネルギーを用いた発電の導入を進めています。近年では広く知られている太陽光発電や風力発電に加え、微生物を利用して廃水などから電力を作り出す「microbial fuel cells(微生物燃料電池)」 が注目されているとのことで、ウェストミンスター大学で生体触媒テクノロジーについて研究するGodfrey Kyazze氏が、微生物燃料電池の仕組みや応用について解説しています。

Four ways microbial fuel cells might revolutionise electricity production in the future

燃料電池には外部回路へ電子が流れ出すアノード(マイナス極)と外部回路から電子が流れ込むカソード(+極)が存在し、両電極間に与えられた燃料を消費して発電を行います。微生物燃料電池では電極で燃料から電子を取り出す反応を、「有機物を分解して電子を取り出す微生物」が担っている点が特徴です。

一般的な微生物燃料電池はアノード室とカソード室が膜で隔てられており、触媒となる微生物はアノードで成長し、燃料中の有機物を分解して電子と水素イオンに変換します。この反応で生成された電子は外部回路を通じてカソード室へ流れ込み、水素イオンも膜を通ってカソード室へ移動するため、カソード室では水素イオンと電子が反応して水が生成されます。継続的に燃料中の有機物が微生物によって分解され、電子が外部回路を通ってカソード室へ送られることにより電流が発生するという仕組みです。

記事作成時点では、すでに小型のファンやLEDライトを稼働させられる微生物燃料電池が開発されています。また、微生物燃料電池には「塩分への耐性が強い」「室温でも動作する」「さまざまな物質を燃料にできる」という利点もあることから、将来的に発電システムを大きく変える可能性もあるとのこと。

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Kyazze氏は、微生物燃料電池の応用が有望とみられている4つの事例について説明しています。

◆1:糞尿を使った発電
糞便や尿に含まれる生分解性の有機物は、微生物燃料電池が電気を生み出す燃料として注目されています。実際にガーナではトイレに微生物燃料電池を実装する(PDFファイル)研究が行われており、トイレが発電所になる可能性が示唆されたとのこと。

この実験ではおよそ2年間にわたり微生物燃料電池を装備したトイレが使用され、尿から窒素を除去して糞便を堆肥にしながら、トイレ内のLEDライトへ電力を供給するのに十分な電力が生成されたそうです。電力網が整備されていない遠隔地や難民キャンプにおいて、トイレ内の糞尿を燃料にして発電できるこの仕組みが非常に役立つ可能性があるとKyazze氏は述べています。

◆2:植物を使った発電
微生物燃料電池を応用することにより、生きた植物を使って発電を行うこともできるとのこと。以下のムービーでは、どのようにして植物を使って発電できるのかが説明されています。

Plant-e animation [EN] – YouTube

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◆3:低電力な脱塩システム
微生物燃料電池の少し変わったバリエーションとして注目されているのが、微生物を使用した「脱塩システム」です。このシステムでは、微生物燃料電池のアノード室側に陰イオン交換膜を、カソード室側に陽イオン交換膜を設置し、2つの膜の内部に脱塩したい水を入れます。

微生物が反応してアノード室側で水素イオンが発生した場合、水素イオンは陰イオン交換膜を通過して脱塩したい水の方へ移動できません。そのため、脱塩したい水から陰イオン交換膜を通って陰イオンがアノード室側へと流れ込みます。一方、外部回路を通って電子がカソード室側へ移動すると反応で水素イオンが消費されるため、陽イオン交換膜を通って脱塩したい水から陽イオンがカソード室側へ流れ込みます。

このやり取りを繰り返すことで、2つの膜に囲まれた水が脱塩されるとのこと。既存の海水を淡水に変えるシステムは非常に大きなエネルギーを消費するため、発電しながら大規模な淡水化を達成する方法は革命的だとKyazze氏は述べています。

◆4:メタン発酵法の効率改善
メタン発酵法(嫌気性発酵法)は廃水に含まれる有機物を微生物に分解させ、天然ガスとして利用可能なメタンガスを主成分とするバイオガスを取り出す方法です。一般的にメタン発酵法は非効率的だそうですが、Kyazze氏によるとメタン発酵法と微生物燃料電池のシステムを組み合わせたelectromethanogenesisという手法を用いることで、メタン発酵法の効率を改善できるそうです。

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記事作成時点では複数のスタートアップが微生物燃料電池の商品化に向けた研究を行っているそうで、将来的には微生物燃料電池が宇宙空間における発電に使用され、長期的な宇宙ミッションで電力を供給する可能性もあるとKyazze氏は述べました。

 

(以上)

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List    投稿者 seibutusi | 2020-12-24 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
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