2023-02-25

現代病:アルツハイマー型認知症の本当の原因に迫る②~神経を破壊するカルパイン~

現代病:アルツハイマー型認知症の本当の原因に迫る①では、アミロイドβの増加・蓄積を発生させるものとして、近年増加する人工物質の影響があることを明らかにしました。

しかし、アミロイドβの増加・蓄積だけであれば老人斑として誰でも起こる状況とも言えます。アルツハイマーの特徴でもある、徘徊・妄想・健忘など、明らかに通常の高齢化とは異なる症状は、何によって引き起こされているのでしょうか。

●カルパインが引き起こす、2つの事象

人工物質の増加により、アミロイドβが増加すると、具体的に脳内では、どのようなことが起こっているのでしょうか。

 

増加したアミロイドβは、通常、ネプライシンによって分解され、脳内から排出されていきます。しかし、人工物質等によって、アミロイドβが異常増加すると、ネプライシンを破壊する物質が増えてしまいます。それが『カルパイン』です。アミロイドβ増加により増えた脳内カルシウムを餌に、カルパインは過剰活性化していきます。

 

カルパインの過剰活性化により、引き起こされるのが『アミロイドβの蓄積』『神経損傷の促進』です。

 にほんブログ村 科学ブログへ

 

●あらゆる神経障害を引き起こす、カルパイン

カルパインは、タンパク質分解酵素です。

人間の体は、タンパク質で構成されているため、これが過剰活性化すれば、必要以上にタンパク質が分解され、あらゆる異常が引き起こされます。

アルツハイマーでいえば、それが、『アミロイドβの蓄積』『神経損傷の促進』です。

 

上述のように、カルパインは、アミロイドβを分解するネプライシンを破壊します。

これにより、脳内に分解→排出されないアミロイドβが大量に残ることになり、通常よりも早い年齢での、大量の老人斑が形成されていくことになります。

 

また、ネプライシンは、シナプスに多く存在するため、ネプライシンが破壊されると同時にシナプスも傷ついていくのです。

人間の脳では、生涯、神経細胞が新たに生まれ、新たな繋がりが生まれ続けています(神経新生)。しかし、アルツハイマー患者の脳内では、神経新生が元気な高齢者の脳よりも低下していることが分かっています。

既存のシナプスは傷つき、新しいシナプスも生まれにくい状況が、カルパインによって起こっているのです。大量の神経が張り巡らされている脳内で、神経ネットワークが切断され、減っていけば、脳がスカスカとなり、委縮が加速していきます。

通常の高齢化では、ゆるやかに起こっていくこれらの変化が、異常スピード且つ大量に起こっているのがアルツハイマー患者の脳というわけです。アルツハイマーが、老化現象の物忘れとは異なる、異常な行動を引き起こすのも、こういった脳内の急激な変化がもたらしているというわけです。

 

実は、カルパインは、筋ジストロフィーや、ALS(筋委縮性側索硬化症)のような体が徐々に動かなくなっていく神経障害でも、その活性化がみられています。特にALSは1975年→2014年で患者数40倍と、アルツハイマー同様、人工物質増加のような時代の変化がもたらした現代病の1つと言えます。

 

アミロイドβにしろ、カルパインにしろ、本来は、私たちの体にとって重要な役割をする欠かせない物質です。それを、異常化させているのは、私たちが、自然環境・人体の循環を、自ら壊しているからに他なりません。

 

 

(参考サイト)

国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構 アルツハイマー病の新たな発症メカニズムを解明-治療薬開発とその評価法にも新手段を提唱-

List    投稿者 kasi-si | 2023-02-25 | Posted in ④脳と適応No Comments » 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.seibutsushi.net/blog/2023/02/8618.html/trackback


Comment



Comment