2023-02-17

驚きの地球気候史を読み解く(2)~温暖化は産業革命からでは無く、人類誕生の歴史から始まっている

前回の、現代の温暖化は例外的な時代!地球規模で見ると寒冷期に突入中!??に引き続き、地球の歴史から気候を読み解いていきたいと思います。

これまでの気象予測をする際の予測モデルは、結局は計算(数式)を用いたものでしかなく、自然のふるまいを数式に記述することは、あまりに複雑すぎて人間の手には負えるはずもありません。

そして、歴史を見るにも年代測定する方法のうち、主流な測定方法は「放射性炭素年代法」ですが、これも結局、炭素の放射性同位体C14の【半減期(=分解スピード)が一定】が大前提でないと成り立たないという点に限界があります。

年代測定は本当に正しいのか。】で指摘したように、半減期とは、実験室の中で算定したものであり、その他自然の影響を無視した分裂スピードであることや、微生物の存在などによる分解促進など、放射性元素の分解スピードは変化しないとは限りません。

仮に「半減期が一定が正しい」としても、どこかの基準となるC14の存在比の年代の正確さが無いと、放射性炭素年代法は精度を保てない。だから、その基準となる年代までは「木の年輪測定法」で基準年代を調べ、その後を放射性炭素年代法で組み合わせによる測定をしているのが年代測定の現状です。

 

だから、歴史を正確に刻んだ「試料」を取り出しその正確な抽出が重要になります。

 

日本の福井県にある水月湖には、自然の外乱の影響を受けずに、当時の情報が詰まった堆積物が縞模様のように湖の底に沈んでいます。その年縞から試料を得ることができればより正確な気象データの歴史情報を抽出することができます。

 

>福井県の水月湖でみられる「年稿」は、気候変動の歴史や当時の自然環境を知る上で重要な手がかりとなっており、年稿を解析する研究が国内外で進められています。

※参考

水月湖の年縞から太古の気候変動が見えてくる

気候変動の歴史を知るための重要な手がかりが日本にある!?福井県水月湖の「年稿」とは

なぜ水月湖の「年稿」は、過去の気候変動を読み解く重要な手がかりなのか

 

ではその水月湖の年縞から割り出した15万年の気象の歴史はどうだったのでしょうか?

 

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List    投稿者 tuti-nor | 2023-02-17 | Posted in ①進化・適応の原理No Comments » 
2023-02-07

昆虫のドロドロの正体は何なのか?

昆虫を英語でなんて言う?いろいろな昆虫の英語名や英語例文も紹介! | 語学をもっと身近に「ECCフォリラン!」公式サイト

昆虫は現在の地球上で繁栄を極めており、500万種以上の種類があると言われている。

なぜ昆虫はこれほどまでに繁栄し得たのか。その1つの戦略として、完全変態をする昆虫が生まれることになるが、例えば蝶では、卵からイモムシが生まれてきて、それがサナギとなり、サナギから成長した蛾や蝶に姿が変わる。しかし、この変化は並大抵のことではない。
例えば、ある一定の時にサナギを開いてみると、虫の体内はドロドロに溶けたスープ状の状態になっている。一体、どういう仕組みになっているのか。

イモムシは卵から生まれてくる前、すでに大人の体の部位が育ち始めた状態で生まれてくる。その「成虫原基」と呼ばれる、とても小さな細胞の塊は彼らの体中に広がっていて、変態の間にそれぞれの原基が成虫の蝶や蛾のさまざまな体の部位として発達するとされている。

イモムシがサナギになる時、酵素を放出するので、ほとんどの細胞組織を溶かしてしまう。成虫原基と、特定の筋肉と神経システムの部分しか残らない。そして、体の残りはすべてドロドロに溶けてしまう。
このたんぱく質豊富な廃物液は新たな細胞分裂の急増を促進する助けとなり、成虫原基が成虫の羽根,目,そして脚と変化する。
つまり、生存上最低必要な呼吸や一部の神経系を除き、幼虫時代に用いられていた細胞は自死して分解される。それに代えて、成虫時代に必要な器官のもととなる幹細胞が休眠状態から作動し、成虫の身体を作り上げる。このことから、昆虫は幹細胞からもう一度生まれ変わっているとされている。

 

では、ドロドロに溶けるのはなぜなのか?また、その際に「幹細胞」に生まれ変わるのはなぜなのか?これはまだ誰しもが解明していない超難問である。

そもそも、細胞がすべて溶かされ、それがドロドロになる,つまり、DNAやRNA,そして核までもがドロドロに溶けると仮定すると、昆虫そのものの再生は難しいはずである。
ここで一旦の仮説を提示すると、このドロドロの正体は実は「血液」が主成分なのではないか?という点。
例えば、人間。ドロドロ状態になっているものは何か?それは「血液」である。以前、実験の際にウサギの腱の骨髄を切断した経験があるが、その際の血液はまさにドロドロ状態。

血液が主成分という仮説を考えるときに、「千島学説」を考える。千島学説においては、「細胞は赤血球から作られている」と提唱されている。

千島の研究によれば 血液(赤血球)は白血球(リンパ球その他)を経て健康体では体のすべての細胞に分化し、体の組織に変化すると言われている。そもそも既成の医学では、赤血球は骨髄で造られるとされているが、千島学説では赤血球は骨髄で造られるのではなく、消化された食べ物が腸の絨毛で変化したものであるという腸管造血説なるものが提唱されている。

以上の説をもとに考えると、ドロドロの正体は、細胞が再度血液の状態に戻っているのではないか?という仮説に行き着く。ところが、血液は赤色ではあるが、実際の研究ではカブトムシの蛹の中を観察すると、白っぽいクリーム色をしているとされている。よって、ドロドロになるのは血液に加え、何か別な物質も含まれている可能性が高い。

 

次回は、ドロドロの正体をさらに深堀りし、解明していく。

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List    投稿者 takada | 2023-02-07 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2023-01-21

現代病:アルツハイマー型認知症の本当の原因に迫る①

睡眠と進化(2) 睡眠が脳の循環を生み出しているでは、睡眠によって、脳内に循環が生まれること。その循環の滞りによる不調の1つが、アルツハイマー型認知症であることを明らかにしました。

「脳内に、老廃物であるアミロイドβが長年かけて蓄積し、脳が萎縮することで引き起こされる」とされているアルツハイマー。しかし、アミロイドβの蓄積は、高齢になれば誰でもみられます。

ではアルツハイマーの本当の原因は何なのでしょうか。

それには、まず「アミロイドβの正体」を紐解いていきましょう。

 

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List    投稿者 kasi-si | 2023-01-21 | Posted in ④脳と適応No Comments » 
2023-01-16

感情って、どうやって生まれるの?


嬉しい、悲しい、楽しい…
…人間には様々な感情がありますが、これって一体、どんなメカニズムで生まれてくるものなのでしょうか。

・怒ると、頭に血が昇る
・緊張して心拍数が上がると更に緊張が加速される
など、感情と身体の状況は連動しています。
より詳しく言うと身体の状態の変化を認識する「内識」と、感覚機能がとらえた外部情報=外織とを突き合わせることで感情は生まれてくるのです。では、どの器官が、外識を突き合わす役目を果たしてくれているのでしょうか?

それが、脳の「島皮質」という場所なのです。島皮質は大脳の前頭葉と側頭葉に包み込まれるような形で位置しており、脳幹部にある扁桃体と神経が繋がっています。
先ほどの「怒る」例で言えば、人の言葉を聞いてまず脈拍数や血圧が上がり、それが自律神経を通じて、島皮質に情報が送り込まれる。さらに前頭葉に送られ過去の記憶と照らし合わせられて再度島皮質に送り込まれる。その内部情報と外部情報がさらに総合され扁桃体に送り込まれ扁桃体が駆動物質(この場合はアドレナリンなどの情報伝達ホルモ)を分泌し、怒りの感情が生まれ、島皮質と自律神経を通じてさらに血流を上げ筋肉を緊張(収縮される)。筋肉が収縮し(欠陥が圧迫された場所は体温が上がる。これらの一連の流れによって「頭に血が上る」という状態が作り出されているのです。

「怒り」だけではなく、「悲しみ」や「喜び」などの感情にも同様のことが言えます。ただし血流が上がる場所は、生じる感情によって異なります。外部情報によって得られた体の変化が、感情を作り出しているのです。
よく感情は「内側から湧き出るもの」と認識されていますが、実は外部情報に大きく規定されているのです。
赤ん坊のころは感情は未分化で、感情によって血流が変化し体温が変化する箇所に大きな違いはありません。そして成長するにつれて体温の変化する箇所が違いが生じてきます。つまり感情が分化します。

「相手の気持ちを考えなさい!」
という言葉はよく聞きますが、上記のメカニズムと照らし合わせると、どうでしょう。本当に相手の気持ちがわかるようになるためには、どんな行動をするのが相応しいのでしょうか。

ここで紹介したいのが、赤ちゃんの事例。
例えば、赤ちゃんが転んだ時。赤ちゃんは転んだことや、転んで痛いから泣いているのではなく、転んだことによる周りの反応を見て驚いて泣いているのです。こういった経験を経て感情は形成されていくともいえます。

だから、実は、相手の痛みを知るためにも、実は「悲しんでいる相手の行動や表情をよく見て真似してみる」ということが有効なのではないでしょうか?
サルや人にはミラーニューロンという相手の行動を見て、あたかも自分が行動しているかのような気持ちが生じるという役割を持っている、神経回路が存在します。
相手の感情を理解するためには、相手をよく見て相手の表情やしぐさを真似することで、相手の感情が自分にも転写され、感情が喚起されることの方が効果的なのではないでしょうか。

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List    投稿者 f-miho | 2023-01-16 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2023-01-06

年代測定は本当に正しいのか。

過去の歴史や物の価値を調べる際、「何万年前の遺跡」など年代を示すことがよくあります。
そうした年代を測定する方法として、放射性同位体の半減期を利用したものがありますが、この測定方法は本当に正しいのでしょうか?
今回は、年代測定の仕組みを深堀りすることで、本当に正確な値なのか考えてみたいと思います。

■放射性同位体の半減期を利用した測定法のしくみ

例えば地球の年代を測定する際は、火山からのマグマが海底で急激に冷え固まった玄武岩や、地表付近までゆっくり冷え固まった花崗岩を取り出し、その岩石や鉱物の中に含まれる微量の放射性核種の比率を調査します。

放射性同位元素は、α(アルファ)線、β(ベータ)線、γ(ガンマ)線などの放射線を放射して別な元素に変わっていきます。
例えば、238U(ウラン238)は途中経過はいろいろありますが、最終的には206Pb(鉛206)になっていきます。このときの238Uを親元素といい、親元素が壊変(崩壊)してできた236Pbを娘元素といいます。

親元素の数が半分になるまでの時間は一定であると言われ、それを半減期と言います。238Uの半減期は44.68億年であり、この長さはいかなる熱や圧力によっても変えることはできないと言われています。そのため、こうした放射性同位元素の壊変(崩壊)は、きわめて正確に時を刻んでいるということになり、同位体の比率の変化量をもとに年代が測定されます。

[ 放射年代測定法 ]         [ 半減期 ]
炭素14 - 窒素 法         5730年
カリウム - アルゴン 法      12億6千万年
ウラン - 鉛 法          45億1千万年
ルビジウム-ストロンチウム 法    468億年

■年代測定の問題点

年代測定の問題点は、「親元素の数が半分になるまでの時間は一定である」という大前提の部分にあります。
当然ながら何千万年とか何億年もかけて実際に崩壊した現象事実を確認したわけでは無く、核種の崩壊速度は一定であるという前提のもと、限定した環境・要素の実験室での数値をもとに計算によって導き出したに過ぎません。

そして実験室での算定は、現実の自然界にある崩壊速度を変える要素として考えられる、熱、圧力、電磁場などの影響まで反映しているわけではありません。

放射性同位体の半減期に基づいて算出している絶対年代は正しいのでしょうか?

■半減期が一定という前提をくつがえす事例

人類史上初の「原爆(原子爆弾)」が広島に落とされたあと、広島にはぺんぺん草も生えないと言われました。
(※マンハッタン計画に関わったハロルド・ジェイコブ博士「75年は草木も生えぬ」言説)。
しかし、翌年には植物が生え人が生活できる街に再生されていきました。
このことは、限られた条件を使い実験室で得られた一面の答を“教条”とする近代科学は、現実と乖離があることを如実に物語っています。
現実は様々な要素が影響し合って成り立っています。広島の原爆も、土壌の中で微生物が(近代科学が否定している)常温核融合を行い放射能を処理したと考えられています。
つまり、放射性同位体の崩壊速度は、微生物やその他あらゆる環境要素の影響を受けているわけで、半減期が一定であるという前提は極めて怪しいと考えられるのです。

 

では、より正確な年代測定方法はあるのでしょうか、次回はそのあたりを深掘りしたいと思います。

 

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List    投稿者 kubota-t | 2023-01-06 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2022-12-28

睡眠と進化(2) 睡眠が脳の循環を生み出している

『哺乳類は、睡眠を高度化し脳を休息させることで、種としての成長を促進してきた』では、脳を進化させることを勝ち筋としてきた人類が、脳の休息のために睡眠を高度化してきたことを明らかにしました。

 

そもそも、「睡眠で脳が休まる・疲れが取れる」は、どういうことなのでしょうか?

人間の体は、約60%が水分です。細胞内外・血液等、この水分が体内を循環することでバランスが保てています。これは、脳内も同じです。

首より下は、筋肉によるポンプ機能が働いています(この低下が“むくみ”状態)。では筋肉のない脳は、どのように循環しているのでしょうか?

その秘密が、睡眠にあります。

脳を休息させる役割のノンレム睡眠時、脳内では、脳内を埋め尽くすグリア細胞が縮みます。これにより、脳細胞間に隙間が生まれ、日中、脳細胞から排出され細胞間を満たしていた水分が、流れていくのです。

大脳新皮質が大きくなればなるほど、脳内の細胞間に多くの水分が存在します。また、ポンプによって押し流す身体と違い、隙間が広がることで流れていく脳内の水分の流れは時間がかかると思われます。

これも、人類が長い睡眠を必要とする理由の1つと言えます。

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List    投稿者 kasi-si | 2022-12-28 | Posted in ④脳と適応No Comments » 
2022-12-24

乳酸菌は本当に生きて腸に届いているの?

乳酸菌は本当に胃を通過できるの?

 

皆さん「生きて届く乳酸菌」という言葉をきいたことがありませんか。

ある乳酸菌飲料を飲むと、乳酸菌が腸にまで届き、腸内環境をととのえてくれるというものです。

 

しかし、体の構造を考えてみてください。

腸の前には胃がありますよね?胃には胃酸がありますが、乳酸菌は胃酸に耐え本当に生きて腸にまで届くのでしょうか?

 

私たちの体液濃度はpH7程度の弱アルカリ性、胃酸はpH2~pH4程度の強酸性と言われています。

その中で生きて腸に届く乳酸菌の数はおよそ1/2万程度と言われています。

ヤクルト1本(100ml)あたりには1000億個の乳酸菌を含んでいますので、生きて届く乳酸菌は約500万個程度になります。

また腸内の細菌は乳酸菌だけではありません。乳酸菌の他に約60兆個あります。

そのうちのたった500万個(1000万分の一)ほどの乳酸菌で本当に腸内環境は変化するのでしょうか。

 

ちなみに乳酸菌には2種類あります。

・植物性乳酸菌・・・ぬか漬けや味噌など植物質に棲息する乳酸菌

・動物性乳酸菌・・・ヨーグルトやチーズなどの動物質に棲息する乳酸菌

 

どちらもご家庭でよく目にする発酵食品に乳酸菌は含まれています。

 

動物性乳酸器の代表例はヨーグルトです。その製造過程をイメージしてみてください。

60度程度の温度を維持して、発酵させていきますよね。このような管理された環境で育った菌は弱です。

 

一方、植物乳酸菌のぬか漬けは、作製過程で大量の塩を使います。菌(=生物)にとって大量の塩はかなりの悪環境です。しかし、ぬか漬けに乳酸菌が含まれているということは、この悪環境を耐え抜いた強い乳酸菌がいるということです。

 

つまり胃酸という悪環境でも耐え抜く力があるのは植物性乳酸菌なのです。

我々日本人日本人には味噌汁や漬物等が体にとって一番いいのではないでしょうか。

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List    投稿者 naoe | 2022-12-24 | Posted in ⑩微生物の世界No Comments » 
2022-12-19

驚きの地球気候史を読み解く(1) 現代の温暖化は例外的な時代!地球規模で見ると寒冷期に突入中!??

地球温暖化による気候変動によるニュースが年々増えてきている。

確かに、ここ100年のデータで切り取ってみると、北半球の気温はおよそ1℃上昇している。
平均気温が1℃上昇するとは、大した事の無いように感じるが、東京と宮崎の平均気温差が約1℃なので、東京が宮崎になったと思えば、肌感としてもその大きさが分かる。

スーパーコンピューターの予測では、今後100年で数℃から最大5℃の気温上昇が読まれている。
5℃差といえば、東京が奄美大島になるという事でもある。
農業だったら、1℃も変わったら取れる作物や時期も変わってくるので、5℃も変わったら大問題だ。

ただ、地球46億年の歴史の時間軸で切り取ってみると、どうなるのか?

 

過去の地球には、地球上の氷河が全て消滅してしまった温暖な時代もあれば、反対に、地表が全て氷河で覆われてしまった極寒の時代もあった。
人類が登場した後でも、海面の高さが100m以上も変動するような事が繰り返し発生していたのだ!
それくらい祖先たちは過酷な状況を生き抜いてきていた。
これからの気候変動を予測し、私たちも備えていくためには、過去から現在までの地球でどの様な変化が起こってきたのか、みていく必要がある。

地球にとって何にが「正常」なのか?
そこで、今回は、地質学的な観点からそれを読み解いていきたい。


●「年稿」から過去の気候変動を読み解く

過去の気候変動を明らかにしてくれるのが、福井県にある三方五湖の一つ水月湖の湖底から採掘された「年縞」

年縞とは、湖底などの堆積物によってできた縞模様のこと。
縞模様は季節ごとに異なるものが堆積することにより形成される。
春から秋にかけては土やプランクトンの死がいなどの有機物による暗い層が、晩秋から冬にかけては、湖水からでる鉄分や大陸からの黄砂などの粘土鉱物等によりできた明るい層が1年をかけ平均0.7mmの厚さで形成される。

この「年縞」採取したのが、立命館大学古気候学研究センター長を務める中川毅氏だ。
これまでの調査で、95m、約20万年分に相当する堆積物を湖底から採集している。
2012年には、この完璧な年縞が、国際的な研究グループによって地質的・歴史的な遺物の年代を決める世界標準「IntCal(イントカル)」に採用されている。
詳しくはこちら→(https://satoyama.pref.fukui.lg.jp/feature/varve)

そんな「年縞」によって読み解かれた、気候変動の歴史を見てみよう!


●5億年の気候史

過去5億年の気候変動を観てみると、温暖時期と寒冷の時期を繰り返してきている。

変動幅はおよそ10℃。このタイムスケールでみると地球の気候は変化し続けいることが分かる。
「正常」と表現される定常状態が背景にあって、そこから時々逸脱するといったパターンは見えない。
とにかく、たえず変化し続ける。
そして、このタイムスケールでみると、現代が大きな傾向の中では、むしろ寒冷な時代であることも見て取れる。今から1億年前、地球は今よりもはるかに暖かく、北極・南極にも氷床は存在しなかった。

 

●今は寒冷期!?
では、直近500万年のタイムスケールで見てみると、どうなるのか?

現在の第一の傾向は、およそ300万年前頃から地球上では徐々に寒冷化が進行していることが分かる。
第二の傾向は、気候の振幅が増大してきているという点だ。
つまり、寒冷化と連動して、不安定性も同時に増してきている


●現代は例外的な時代

では、さらに直近80万年で見てみると、どうなるのか?

このタイムスケールで見てみると、増大する不安定性の中では、もっとも温暖な時代に当たっている。
しかも、現代は例外的な温暖な時代であることが分かる。現代と同等あるいはそれより暖かい時代は、全体の中の1割ほどしかない、残りのすべては、「氷期」である。
数十万年のスケールで見た場合でも正常な状態とは氷期のことであり、現代のような温暖な時代は、氷期と氷期の間に挟まっている例外的な時代に過ぎないという事である

上記の様に、気候はほとんど常にに変動していることが分かった。
では、その変動にパターンや法則性はあるのだろうか?

次回はそれを紐解いていきたい。

参考文献:人類と気候の10万年史
中川毅著 講談社 ブルーバックス
2017年発行

 

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List    投稿者 mi-ayu | 2022-12-19 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2022-12-10

哺乳類は、睡眠を高度化し脳を休息させることで、種としての成長を促進してきた

前回ブログでは、「睡眠とは種の成長を促進させるための1つの戦略」と定義しました。そこで今回は、睡眠の起源を遡る上で欠かせない脳との関係について追求していきます。

生物の進化とともに、脳も進化してきました。その際、脳は基本構造を変化させるのではなく、新しい機能を付け加える形で進化してきました。特に大脳を著しく発達させた鳥類・哺乳類は大脳新皮質を大幅に拡大し、視覚野や聴覚野といった感覚を司る『感覚野』や、運動機能を司る『運動野』を誕生させました。また霊長類になると、新皮質のさらなる発達で『連合野』が出現し、より高度な認知や行動も可能にしました。これらの情報処理機能を土台として、後にヒトの脳は誕生するのです。

 

このように、哺乳類は大脳を発達させてきましたが、その背景には、発達しないと適応できない外圧状況があったはずです。

 

①「恒温化」:鳥類・哺乳類は恒温動物です。外気温が低くなると活動できなくなる変温動物に比べ、自らの体温を一定に保つことができる恒温動物は、環境に対する適応力を大幅に上昇させました。しかし体温を維持するには調節機能が不可欠で、そのために脳は大量のエネルギーを消費します。

②「性闘争の激化で身体を自在に動かす必要性」:哺乳類は胎内保育により成体への淘汰圧力が掛からなくなるので、生まれてから同類同士を争わせる性闘争を激化させました。そこでは内外からの情報をキャッチし、身体をより上手く働かせることが求められました。また性闘争のために、後天的な能力形成も必要だったので、子育て期間を長期化しました。その結果、断続的な栄養供給が可能となり、それが大脳を爆発的に発達させる要因にもなりました。

こうした外圧に対して、哺乳類は大脳を著しく進化させ、様々な機能を獲得して乗り越えてきました。

 

脳を進化の武器とした哺乳類ですが、長時間身体を動かすには膨大なエネルギーを必要としました。そこで必要になったのが、休息=睡眠なのです。特にエネルギー消費量の大きい恒温動物(鳥類・哺乳類)は休息=睡眠を高度化して、レムとノンレムに分化した睡眠をつくり出しました。鳥類・哺乳類は、脳幹にある睡眠中枢が、能動的にレム睡眠・ノンレム睡眠をつくり出しています。

レム睡眠で筋肉を動観させることで、体を休養させながら脳を活動させ、生活で得た情報を整理する働きがあります。

ノンレム睡眠では、脳そのものが疲弊しないように休息させます。同時に成長ホルモンを分泌し、生体機能を整える効果もあります(ex寝る子は育つ)。睡眠を取り脳を休息しているから、普段膨大なエネルギーを消費しても、覚醒時には疲弊せず最大限に活動できるのです。

 

つまり哺乳類は脳を進化させることで、種としての成長を実現してきました。その際、脳を休息させる必要があったので、睡眠を高度化してきたのです。それが、睡眠が種の成長を促進させる戦略の1つといえる所以なのです。

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List    投稿者 oku-ken | 2022-12-10 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2022-12-04

「気象の原因構造」「人体と微生物の関係」から、激動の時代を生き抜く切り口を解明する

コロナ禍も終息しつつある今、日本人は未だにマスクで顔を隠す生活を善としていますが、それで本当の健康(肉体的にも、精神的にも)を取り戻せるのでしょうか?

さらに世界では、とっくにコロナに対する認識が改まり、それ以上に問題・課題となっているのが異常気象の実態。アメリカの長期干ばつ等により小麦の史上最悪の不作。加えてヨーロッパ、中国、インド、東アフリカは長期の干ばつが現在も進行中で来年食糧不足の可能性も忍び寄ってきています。

このような、激動の時代に【”本当の意味で”生き残っていくにはどうする?】ということを、潜在的に感じている人も多いのではないでしょうか?

そこで、今後以下のテーマをシリーズで追求し、定期的に発信していこうと考えています。

テーマ1:異常気象が目に付く現代。「気象の原因構造」を解明することで、どう生き抜いていけば良いのか?

テーマ2:「人体と微生物の関係」から、本当に生き抜いていく為の健康・身体づくり・食とは何か?

 

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List    投稿者 tuti-nor | 2022-12-04 | Posted in ①進化・適応の原理, ⑩微生物の世界No Comments »