2023-02-17

驚きの地球気候史を読み解く(2)~温暖化は産業革命からでは無く、人類誕生の歴史から始まっている

前回の、現代の温暖化は例外的な時代!地球規模で見ると寒冷期に突入中!??に引き続き、地球の歴史から気候を読み解いていきたいと思います。

これまでの気象予測をする際の予測モデルは、結局は計算(数式)を用いたものでしかなく、自然のふるまいを数式に記述することは、あまりに複雑すぎて人間の手には負えるはずもありません。

そして、歴史を見るにも年代測定する方法のうち、主流な測定方法は「放射性炭素年代法」ですが、これも結局、炭素の放射性同位体C14の【半減期(=分解スピード)が一定】が大前提でないと成り立たないという点に限界があります。

年代測定は本当に正しいのか。】で指摘したように、半減期とは、実験室の中で算定したものであり、その他自然の影響を無視した分裂スピードであることや、微生物の存在などによる分解促進など、放射性元素の分解スピードは変化しないとは限りません。

仮に「半減期が一定が正しい」としても、どこかの基準となるC14の存在比の年代の正確さが無いと、放射性炭素年代法は精度を保てない。だから、その基準となる年代までは「木の年輪測定法」で基準年代を調べ、その後を放射性炭素年代法で組み合わせによる測定をしているのが年代測定の現状です。

 

だから、歴史を正確に刻んだ「試料」を取り出しその正確な抽出が重要になります。

 

日本の福井県にある水月湖には、自然の外乱の影響を受けずに、当時の情報が詰まった堆積物が縞模様のように湖の底に沈んでいます。その年縞から試料を得ることができればより正確な気象データの歴史情報を抽出することができます。

 

>福井県の水月湖でみられる「年稿」は、気候変動の歴史や当時の自然環境を知る上で重要な手がかりとなっており、年稿を解析する研究が国内外で進められています。

※参考

水月湖の年縞から太古の気候変動が見えてくる

気候変動の歴史を知るための重要な手がかりが日本にある!?福井県水月湖の「年稿」とは

なぜ水月湖の「年稿」は、過去の気候変動を読み解く重要な手がかりなのか

 

ではその水月湖の年縞から割り出した15万年の気象の歴史はどうだったのでしょうか?

 

 にほんブログ村 科学ブログへ

 

★ ★ ★ 水月湖の15万年前からの気象の歴史

人類の気候の10万年史/BLUE BACKSより

上記から分かることは

・約2万3000年の周期で平均気温が振動している。これはミランコビッチサイクルの歳差運動周期であり、地球の自転軸によって太陽との距離の変化が地球に及ぼす影響度が大きいことを示している。

・最近の1万年および12万~11万年あたりで温暖のピークがあり、反対に今からおよそ2万年前は氷期の一番寒い時代だった。(寒暖差は約10℃程度)

・これから本格的な氷期を迎える1万年前あたりから急激に平均温度が上昇傾向になっている。それは現代にかけて、それまでの周期とは別の自然の傾向から逸脱した温暖化が見られる。⇒これは一体何か?

 

 

★ ★ ★ 産業革命では無く、人類誕生そのものが「氷期」を遅らせている?

水月湖で見られた、1万年あたりの温度変化の詳細を見ていくにあたって、【温暖化が人為的なものであるか?】ということについてだが、ミランコビッチ理論によると、温室効果ガスは最近1万年までは下がっているということらしい。

しかし、グリーンランドの氷床から取り出したCO2とメタンガスの濃度を測定すると、実際のところCO2は8000年前あたり、メタンは5000年前あたりから増加しているようだ。この点について、バージニア大学のウィリアム・ラジマン教授は、これは水田農耕の普及(→メタンの放出)、森林伐採による生体系の光合成速度を低下(→CO2の増加)が原因だという学説を唱えたのだった。

 

多くの学者が「産業革命の後、人間が大量に化石燃料を使用することになった」ことが原因だと(CO2温暖化説の根源)言われていたが、ラジマン教授が主張するのは、人間が気候を左右するようになった歴史は、100年前では無く8000年前にさかのぼるということを意味している。

 

本来、地球全体の大きな傾向として、「とっくに来ていた」はずの氷期を人類の活動による「温室効果ガス」の放出によって「回避している」のだとしたら、産業革命以降の温暖化をめぐる善悪の根底が揺らぐのではないでしょうか。

 

今回はここまで。次回はさらに読み解いていきましょう。

List    投稿者 tuti-nor | 2023-02-17 | Posted in ①進化・適応の原理No Comments » 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.seibutsushi.net/blog/2023/02/8612.html/trackback


Comment



Comment