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感情って、どうやって生まれるの?

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嬉しい、悲しい、楽しい…
…人間には様々な感情がありますが、これって一体、どんなメカニズムで生まれてくるものなのでしょうか。

・怒ると、頭に血が昇る
・緊張して心拍数が上がると更に緊張が加速される
など、感情と身体の状況は連動しています。
より詳しく言うと身体の状態の変化を認識する「内識」と、感覚機能がとらえた外部情報=外織とを突き合わせることで感情は生まれてくるのです。では、どの器官が、外識を突き合わす役目を果たしてくれているのでしょうか?

それが、脳の「島皮質」という場所なのです。島皮質は大脳の前頭葉と側頭葉に包み込まれるような形で位置しており、脳幹部にある扁桃体と神経が繋がっています。
先ほどの「怒る」例で言えば、人の言葉を聞いてまず脈拍数や血圧が上がり、それが自律神経を通じて、島皮質に情報が送り込まれる。さらに前頭葉に送られ過去の記憶と照らし合わせられて再度島皮質に送り込まれる。その内部情報と外部情報がさらに総合され扁桃体に送り込まれ扁桃体が駆動物質(この場合はアドレナリンなどの情報伝達ホルモ)を分泌し、怒りの感情が生まれ、島皮質と自律神経を通じてさらに血流を上げ筋肉を緊張(収縮される)。筋肉が収縮し(欠陥が圧迫された場所は体温が上がる。これらの一連の流れによって「頭に血が上る」という状態が作り出されているのです。

「怒り」だけではなく、「悲しみ」や「喜び」などの感情にも同様のことが言えます。ただし血流が上がる場所は、生じる感情によって異なります。外部情報によって得られた体の変化が、感情を作り出しているのです。
よく感情は「内側から湧き出るもの」と認識されていますが、実は外部情報に大きく規定されているのです。
赤ん坊のころは感情は未分化で、感情によって血流が変化し体温が変化する箇所に大きな違いはありません。そして成長するにつれて体温の変化する箇所が違いが生じてきます。つまり感情が分化します。

「相手の気持ちを考えなさい!」
という言葉はよく聞きますが、上記のメカニズムと照らし合わせると、どうでしょう。本当に相手の気持ちがわかるようになるためには、どんな行動をするのが相応しいのでしょうか。

ここで紹介したいのが、赤ちゃんの事例。
例えば、赤ちゃんが転んだ時。赤ちゃんは転んだことや、転んで痛いから泣いているのではなく、転んだことによる周りの反応を見て驚いて泣いているのです。こういった経験を経て感情は形成されていくともいえます。

だから、実は、相手の痛みを知るためにも、実は「悲しんでいる相手の行動や表情をよく見て真似してみる」ということが有効なのではないでしょうか?
サルや人にはミラーニューロンという相手の行動を見て、あたかも自分が行動しているかのような気持ちが生じるという役割を持っている、神経回路が存在します。
相手の感情を理解するためには、相手をよく見て相手の表情やしぐさを真似することで、相手の感情が自分にも転写され、感情が喚起されることの方が効果的なのではないでしょうか。

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