- 生物史から、自然の摂理を読み解く - http://www.seibutsushi.net/blog -

■微生物と次代を生き抜く③~肥満の原因は腸内細菌が大きく関係している~

 

現代はかつてなかった自己免疫疾患や、消化器系の不全、心の病、アレルギーが増えています。(http://www.seibutsushi.net/blog/ [1])それに伴い目立つようになってきたものが、肥満です。

1950年代に、アメリカで突如体重増加が顕在化し、現在では、成人の1/3が過体重、1/9が肥満となっている。ヨーロッパでも、過去50年において平均して20%も体重が増えており、肥満はここ数十年における人類史上の大きな変化となっています。肥満の増加に伴って、糖尿病や心臓病も増加しています。

[2]

肥満の主な原因は、一般的には食べ過ぎと運動不足と言われているが、最近の研究によると、腸内細菌バランスが肥満と大きく関係してることが分かってきました。肥満の人と痩せている人の腸内環境を比べると、ある特定の腸内細菌のバランスが大きく異なる事が分かってきました。

[3]

もう一つは「アッカーマンシア・ムシニフィラ」という細菌。痩せた人では腸内微生物全体の4%を占めるが、太った人にはほとんどいないことが分かった。アッカーマンシア・ムシニフィラは、腸壁を覆う厚い粘膜層の表面にいる細菌で、腸壁細胞に働きかけて粘液の分泌を促している。この細菌が少ないと、粘液の層が薄くなり、リポ多糖が血液に入り込みやすくなり、肥満につながってしまう。つまり、アッカーマンシア・ムシニフィラは吸収を抑えてくれます

 

まず一つは、「フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィ」という細菌。日本人で肥満の人と痩せている人、10人ずつの腸内細菌を検査したところ、やせている人のフィーカリバクテリウム・プラウスニッツィの割合の平均は5.9%に対して、肥満の人は3.9%と少ないという結果が報告されている。この腸内細菌は「短鎖脂肪酸」をつくり、腸からGLP-1などさまざまなホルモンの分泌を促進することで、胃腸の動きをゆるやかにします。食べたものが胃腸をゆっくり通過すると、満腹感を得やすくなって食事量が減り、肥満が抑制されるのです。つまりフィーカリバクテリウム・プラウスニッツィは「もっと食べたい!」という欲を抑えてくれるのです。

 

ただし、肥満の人でも、腸内細菌に短鎖脂肪酸を多くつくらせることが可能です。 その方法の1つが、食物繊維を多く摂取することです。食物繊維は、腸内細菌によって短鎖脂肪酸につくり変えられるためです。食物繊維は、根菜類、豆類、きのこ類、海藻類などに多く含まれています。

また、最近の研究では、イモ類や寒天などに含まれる多糖という物質の一種が、腸内細菌によって、より短鎖脂肪酸につくり変えられやすいこともわかってきました。

肥満にならないために食べる量を抑える傾向がありますが、腸内細菌の働きや仕組みを知り、それを活かした食生活を整えることが健康への第一歩ですね!

[4]

[5] [6] [7]