シリーズ 人類と病気 アレルギー(2) アレルギーの原因は人工物質
食べ物や花粉が原因ではない
日本において、アレルギー関連の症状は1960年代後半から急増しています。
(NPO日本健康増進支援機構より)
食べ物(タンパク質)や花粉自体が犯人で原因であるなら、もっと昔からあるはずだし、花粉症などは花粉の多い山間部で多くなるはずです。しかし、実際は都市部で多くなっています。つまり、食べ物や花粉自体が原因(犯人)ではなく、媒体に過ぎないということです。
では真犯人は?
アレルギーは先進国で多い
〇アトピーは欧米でも増えている。
日本全国の児童生徒約1,280万人の調査結果(平成16年)によると、アトピー性皮膚炎の罹患率は5.5%となっています。世界の 子どもたちのアトピー性皮膚炎の罹患率を見てみると、日本より高いのはイギリス、スウェーデン、ニュージーランド、フランス、ドイツといった先進国です。一方、イランやメキシコやギリシャといった途上国では低くなっています。
アトピーの罹患率(千葉県HP)
〇喘息(ぜんそく)は北米・南米で多く、アフリカや中央アジアでは少ない。
喘息は喉に起こっているアレルギーといえます。世界でも一般的な疾患になっていますが、その有病率は、北米・南米・豪州で多く、アフリカ、中央アジアなどの途上国地域では低いという傾向があります。日本の場合は、先に紹介した調査で5.7%ですので、下図では中間の黄色ということになります。
喘息(ぜんそく)の罹患率 リンク
〇花粉症は、日本、イギリス、アメリカで多い。
世界三大花粉症と呼ばれているのが、日本のスギ花粉症、ヨーロッパのイネ科花粉症、アメリカのブタクサ花粉症です。有病率は日本のスギ花粉症が26.5%、イギリスのイネ科花粉症が22.9%、アメリカのブタクサ花粉症が15.0%となっています。
(日本:鼻アレルギー診療ガイドライン2009年版、イギリス:BBCニュース、アメリカ:the quest diagnostics health trends report allergies across america)
真犯人は人工物質
最近の研究で、排ガス粒子や農薬など、様々な人工物質とタンパク質を同時に投与するとアレルギーが悪化するという結果が発表されています。また、タンパク質だけではアレルギー症状を起こさないことも明らかにされました。
〇アレルギーはタンパク質に何らかの毒性物質が加わって起こる。
(東京大学物療内科の研究グループの実験)
ネズミにスギ花粉だけを注射してもアレルギーを引き起こすIgE抗体は全くできなかった。ところがスギ花粉にディーゼル車の排気ガスの微粒子を混ぜて注射をすると、スギ花粉に対するIgE抗体ができた。つまり、スギ花粉だけでは花粉症は発生しないが、そこに排ガス粒子という人工物質が加わると花粉症が発生する。(引用元)
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〇花粉量が同じでも自動車の多い地域で花粉症の人が多い
(1987年 古河日光総合病院の疫学調査)
栃木県日光・今市地区における調査によると、スギが密集している主要道路沿い(日光杉並木沿い)での花粉症患者数は、同等のスギ花粉が存在する街周辺のスギ林近くの地域や花粉の少ない道路沿道、スギのない山間部の患者数に比べて多い。
(1987年 東海大学医学部 逢坂文夫氏調査)
東京都杉並区の小学校の学童766 名を対象としたスギIgE 抗体測定を含む調査では、幹線道路からの距離別にスギ抗体陽性率をみると、0-50m 群では23.2%、50-100m 群では15.0%、100m 以上群では17.3%であり、沿道に近い群で陽性率が高い傾向がある。(引用元)
〇排ガスと一緒になると症状が悪化する
(国立環境研究所の小林研究員の実験)
雄のモルモットを使い、一方は清浄空気中で、もう一方はディーゼル排ガスを含んだ空気中で実験を行った。両方のモルモットに抗原である卵白アルブミンを点鼻や点眼(1回/週×5週)した。すると鼻も目もアレルギー症状はディーゼル排ガス中で症状が悪化した。これはスギ花粉でも同様の傾向が現われた。(国立環境研究所)
〇反応量以下のアレルゲンでも農薬と併せると症状が出る
(1993年 北里大学眼科医難波氏の実験)
スギ花粉症エキスを点眼すると激しい結膜炎を起こすモルモットを使った実験。このエキスを薄めていくと反応しなくなるが、そのような低い濃度(半数致死量の100万分の1以下)でも、2日前にスミチオン(殺虫剤)を皮下注射してから点眼すると激しい結膜炎が再燃した。同様のことが、他の殺虫剤でも確認された。(参照サイト:長谷川クリニック)
〇無農薬ならアレルギーの人でも食べられる
リンゴを食べると発作が起きてしまう“リンゴアレルギー”の人がいました。怖がって躊躇されたのですが、ある時、肥料を入れないで育てた無農薬のリンゴを「ちょっとだけでも食べてみて」と薦めたところ、食べなくても口に含むくらいはチャレンジして欲しいと説得し、その方は恐る恐る口に運んだのです。その時の様子は手がブルブル震えて、明らかに極度の緊張状態なのですね。口に入れ覚悟を決めて噛んでみる、すると食べられることに気づき、涙を流して喜んでくれました。「私がリンゴを食べられた!」、よかった、嬉しいと。(引用元:河名秀郎オフィシャルサイト)
〇抗生物質を使わない鶏の卵ならアレルギーの人でも食べられる
数十年前の四十代に、卵と鶏肉のアレルギーを体験しました。食べると発熱、嘔吐などの症状が出るので、かなり長い年月食べませんでした。あるとき、放し飼いのようにして飼育された鶏の卵を頂きました。生卵の状態があまりに良い匂いなので、何年ぶりかで恐る恐る卵かけ御飯に挑戦しましたが、これが全く問題なし。治った、、と喜んだのでしたが、これが大きな勘違い。スーパーなどの卵では、やはり下痢や嘔吐がありました。(引用元:河野爺の何でも講座)
なお、日本における抗生物質の使用量(2012 年度)は、ヒト医療用517トン、家畜医療用727トン、家畜飼料添加物175トン、水産182トン、ペット医療1トン、農薬91トン、計1,693トン。驚きです。
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以上で、アレルギーを起こさせる真犯人は人工物質(ex.排ガス粒子、農薬など)であるという状況証拠はそろいました。ただし、それを断定するには、その原因構造の特定が必要です。
次回は、人工物質がアレルギーを引き起こす原因構造を追求します。
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