2014-12-01

【脳のメカニズムと可能性Vol.3】日本語の母音主義がもたらす表現の豊かさと脳の関係

鳥獣戯画7

 

今日は日本語と日本人の脳の関係について見ていきます。

全ての日本語は子音+母音からなりたっています。必ず母音が入ります。一方英語ならびにその他の言語では、それほど母音は重視されません。

この違いが、日本人に独特の感性を育んできたと考えられます。

http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=298165 より引用
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医学博士である角田忠信氏はその著「日本人の脳—–脳の働きと東西文化」で、
西欧人の脳が、言語脳である左脳でロゴス(理性=言語や計算)、右脳でパトス(感性)を認知するのに対して、日本人の脳は、左脳で情緒や自然をも認知し、しかもロゴスとパトスを分け隔てずに認知する、としている。

(内田樹氏は、こうした日本人の脳を「マンガ脳」と言っている。
 そしてブログ記事リンクで、

 「欧米語話者は失読症になると、まったく文字が読めなくなる。しかるに、日本語話者は二種類の病態をとる。漢字が読めなくなって、かなだけが読める症状と、かなが読めなくなって、漢字だけが読める症状である。それから、漢字を読んでいるところと、かなを読んでいるところが、別の脳内部位であることが知れるのである」

 と述べて、これが和漢洋の混交遣いと関係していることを解説している。

この認知形式は、日本語の特殊性によるもので、日本人以外は、同じ母音主義のポリネシア人しか持ち合わせない。

日本人の場合、母音も子音も左脳で認知表現している。
一方、西洋人の場合、子音が有意味音とみなされ左脳で認知されるが、母音だけだと、自然音と同じく無意味音とみなされて雑音としてやり過ごされる。
日本人の場合、虫の声などの自然の音も母音と同様に左脳で認知していることが注目される。

それは日本人がベースに温存してきた<部族人的な心性>の中核であるアニミズムに由来するのではないか。八百万に神を見出すという信仰は、自然の八百万に意味を見出す、つまりは森羅万象を言葉として認知するということになるからだ。
またこのことは、日本語ならではの擬音語や擬態語が豊かにあり現代人の私たちもそれを多用していることに繋がる。

日本語の動物の鳴き声と外国語のそれを比べると、まず前者が母音主義ゆえに母音表現、後者が子音主義ゆえに子音表現であることに気づく。日本人も外国人もその言語脳の働きによって、自分たちの鳴き声の方がそっくりで他者のそれが似ても似つかないと感じている。

だからひいき目ということにはなるのだが、どう考えても動物が人間の口や舌や唇だからできるfやv、sやthを発声している訳はなく、母音主義の方が動物的と言える。
それは、人類が言葉を得る前段階として、動物の物真似をすることで「音楽する脳」を発達させたこととも符号している。たとえば子音主義の欧米人の歌でもリズムや音程や感情移入は母音を活用している。また、感情のうちの情動(emotion)は、無意識的な即座の身体反応を伴うもので、プリミティブなものは人間だけでなく動物も展開する。その人間による言語表現には、驚きがa、u、e、oであるなど普遍的に母音主義がみとめられる。

角田教授はこう述べている。
「日本人の脳だけが、母音に対して特殊な反応形式を示すと考えられます。
 ですから面白いですよ。いろいろ実験してみますと、動物の声のようなものはみんな左側にいってしまうんです。
 けれども楽器の音のように整然としたものは右側へいきます。
 これはどうも脳幹にあるスイッチのような機能の作用らしくて、日本人以外は、そのスイッチの作用の仕方が違う」

日本人とポリネシア人だけが、その他の世界の人々と異なり、石器時代の人類の認知形式を言語形式として、そしてその発展系である音楽を根幹的要素とする祝祭や文化として温存してきてしまっている。
なぜ、「音楽する脳」が<動物の物真似段階→歌い踊る段階→楽器を奏でる段階=言葉が生まれる段階>と進化する過程で、日本人とポリネシア人だけが母音主義にとどまり、その他大勢が子音主義に移行したのか?

子音主義への移行については寒冷や乾燥などの気候との関連を言う諸説があるのだが、私は、日本人は、あくまで石器時代のアニミズム的世界観を母音主義を一貫することで守ろうとしたのではないか、と仮説する。そう考えないと、文明化した後の一貫を説明できないからだ。
そしてそう考えると、中国から漢字を導入する際のあの世界に類例のないウルトラC的なやりかた(音読み・訓読み/和漢混合遣い)がはじめて理解できる。日本人は母音に宿ると信じた言霊を守ろうとしたのではなかろうか。
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引用終わり  

日本人は虫の声など自然の音も言語野で捉えることができる。これがアニミズムや八百万信仰など、日本人特有の感覚の原点にあるのかもしれません。

日本語の母音が心情に与える効果・影響については、黒川伊保子氏が、『日本語はなぜ美しいのか』という本の中で、次のように述べています。

http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=298447 より引用

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いままで問題にされてきた、聴覚レベルの「音韻」は、顕在意識の話にすぎない。ほんとうは、全身で感じる「発音体感」すなわち発音がもつ潜在意識のレベルを明らかにしないと、言葉の本質はわからない。

この「発音体感」論を支える論拠は、「共鳴動作」である。共鳴動作とは、「人が生まれながらにもっている、目の前の動作に共鳴する[→真似する]能力」のことで、赤ちゃんはこの能力によって母語を覚えるという。

「共鳴動作」によって幼いときに身につけた、音と意味のつながりの感覚すなわち「発音体感」が、「意識・所作・情景」という人間の基礎感覚をつくるし、その言語の特徴にもなる。

発音体感は、意識と所作と情景を結ぶものだ。辞書的な意味によって発音体感の意味を語ろうとすると、美しい関係性モデルはでき上がらない。なぜなら、意味は記号であり、慣習的に使われているうちに、ことばが生み出されたときの意識や情景とは乖離してしまうからである
==========================
引用終わり

>発音体感は、意識と所作と情景を結ぶものだ。
日本語のもっている語感は、「意識・所作・情景」といった日本人の感覚に深く結びついているとすれば、日本語の特性を理解することが、私達にとって有用な脳の使い方につながるかもしれません。

次回、脳と言葉の関係について、さらに深めていく予定です。

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List    投稿者 seibutusi | 2014-12-01 | Posted in ④脳と適応No Comments » 
2014-11-30

【放射性物質を無害化する微生物vol.4】~放射性物質による被害~

【放射性物質を無害化する微生物vol.1】~放射性物質を吸収する微生物編~
【放射性物質を無害化する微生物vol.2】~放射性物質を分解する微生物編~
【放射性物質を無害化する微生物vol.3】~原爆と原発の違いと放射能耐性微生物の効果~

このシリーズでは、地球の誕生から環境の変化に大きく微生物関わっている点、そして広島・長崎の原爆とチェルノブイリと福島の原発の違いと、その放射性物質を吸収・分解・除去し環境改善に活躍している微生物たちの特色を見てきました。今回は、人間にとって有害である放射性物質によって、どのような被害があるのか、改めて一度押さえなおそうと思います。

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日本列島の海岸沿いに原子力発電所は点在しています。戦後50年で癌による死亡率が急激に増えている日本の実態を、原発等による影響と考えておられる方も多いようです。原発の影響について警鐘を鳴らすスターングラス博士のお話を紹介します。彼は、原子力の本場アメリカで、60年代から、核実験や原子力発電による低レベル放射能の影響を訴えて続けて来た、数少ない科学者の一人です。

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List    投稿者 yidaki | 2014-11-30 | Posted in ⑩微生物の世界, ⑪福島原発問題No Comments » 
2014-11-29

生物学的元素転換・・・その2

前回は、「常温核融合実験」の紹介をさせて頂きましたが、今回は植物と動物の「生物学的元素転換」と思われる事例を紹介し、仮設を提起します。

●スギナ

ツクシが成長しスギナになります。この植物は、やせたケイ酸塩土壌を好んで生育します。ケイ酸塩土質には極度にカルシウムという元素が少ないのですが、成長したスギナの全草、また地上部の茎葉には100g中1000㎎の途方もないカルシウムが含有されています。これは、ケイ素がカルシウムに元素転換したものと考えられます。鶏にカルシウムの含まない餌を与え続けても、カリウムさえ与えれば硬い殻をもった卵を産み続けます。これは、カリウムがカルシウムに元素転換したものと考えられます。スギナ

 

 

●「鶏卵」と「ひよこ」

鶏ー2

「スギナ」や「鶏と卵」は、色々なブログや書籍に登場するのですが、これ以外にもっと身近な事例で自ら検証できるものが無いかを考えていました。閃いたのが「鶏卵とひよこ」の関係で*ひよこの骨格は、親鶏より鳥に近い(骨格)と考えられるので、鳥の5%を採用します。

○ひよこの体重

・40~50g程度

調べている途中で

「ひよこに含まれる骨重量の約80%が殻に由来する」

を発見。ちょっとがっかりして「だめかな!」との思いに。気を取り直して、殻も含めて検討します。

 

○鶏卵の重量・比率

・白身:60%、黄身:30%、殻:約10%

・鶏卵のLサイズの重量:約70g

→それぞれの重量は

・白身:42g

・黄身:21g

・殻 : 7g

 

○100g当たりのカルシウム重量:ウィキベディアより

・白身:100g当たり:  7mg

・黄身:100g当たり:129mg

・殻

 

以上より

○鶏卵に含まれるカルシウム重量

・白身:42/100*7/1000  =0.003g

・黄身:21/100*129/1000=0.03g

・殻 :殻の重量そのままを使用    =7g    → 合計:7.033g

 

○ひよこのカルシウム重量

・50*5/100*0.7=1.75g

*「カルシウム重量は、約70~80%×骨重量」なので、70%を採用しています。

 

○結果

鶏卵に含まれるカルシウムの重量:7.033g>ひよこのカルシウム重量1.75g

「だめか!」、しかし、殻のカルシウムがひよこの骨に移動しているのであれば、殻はぺらぺらになるはずだが、そんなことは聞いたことも見たこともは無い。続けて調べてみると

 

○2013.08.07 殻を割った(取り除いた)卵の中身からふ化させる実験に成功

殻を割ったニワトリの卵の中身を透明な容器に入れてひよこにふ化させる実験に千葉市の高校教諭が成功。

殻を割った(取り除いた)卵の中身を通気性のよいラップフィルムやプラスチック製のコップで作った容器に入れ温度や湿度をある条件に保つことでふ化させることに成功しました。

この方法で、去年6月に初めて誕生したひなは順調に成長しています。

殻

殻ー2

【殻が無くてもひよこの骨格が形成される】

○見直しの結果

『ひよこに含まれる骨重量の約80%が殻に由来する』といわれていたのは、これまでも鶏卵に含まれるカルシウム重量とひよこに含まれるカルシウム重量の辻褄が合わないので、卵の殻も算入していたのだと思われます。

そこで、殻の重量7gを差し引くと

 【卵に含まれるカルシウムの重量:0.033g<ひよこのカルシウム重量1.75g】

 に。この鶏卵とひよこのカルシウム重量の差は、どこから来たのでしょう。

 【鶏卵に含まれるカルシウム以外の元素がカルシウムに元素転換】

 したとしか考えられないのではないでしょうか。

 

 

●考察

○周期

前回の常温核融合実験では、全て同一周期内でしたが、今回、紹介させて頂いたスギナは、同一周期内ではありません。

 

○陽子数

前回の常温核融合実験では、陽子数の増加は全て偶数ですが、今回、紹介させて頂いた「ニワトリと卵」は奇数(1)も存在しています。

 

○常温核融合と生物学的元素転換の相違点

・前回の常温核融合実験では、ガンマー線(電磁波)・粒子が検出されています。温度については記載されていませんでしたが、他の多くの実験では放射線や発熱も観測されることが多いようです。

・今回の「スギナ」、「ニワトリと卵」に関しては、当然、電磁波・放射線や発熱は観測されていません。(観測できないほど微量である可能性は否定できませんが)

 

 

●仮説

常温核融合実験では、ガンマー線や放射線が観測されています。例えば、軽い原子同士の核融合ならば、質量の差分がアインシュタインの特殊相対性理論:質量とエネルギーの等価性(E=mc2)に従って、エネルギーとなって放出されます。核融合の結果発生するエネルギーは、高エネルギーの粒子(陽子、中性子など)やガンマー線、ニュートリノなどの形で放出されます。

核融合

ここで注目すべきは、融合前と融合後の陽子と中性子が変化していることです。

融合前:重水素=陽子1+中性子1   三重水素=陽子2+中性子1

→合計=陽子3+中性子2   核子数合計=5

 

融合後:ヘリウム:陽子2+中性子2  中性子1   エネルギー(放出)

→合計=陽子2+中性子3+エネルギー  核子数合計=5

 

それに対して、

生物学的元素転換は、ガンマー線も放射線もエネルギーも放出されていません。もし、高エネルギー量のガンマー線や粒子が放出されているのであれば、植物や動物は死滅しますし、近くに惣菜している人間等にも影響があるはずですが、そのような事実は認められません。

 ということは、生物学的元素転換は

 【陽子や中性子数は変化していない】

 と考えられます。

 

 

仮説に

○前述の事例を当てはめると

・「スギナ」の事例、ケイ素→カルシウムに転換

ケイ素:陽子14+中性子14 が カルシウム:陽子20+中性子20に転換するためには、

炭 素:陽子04+中性子04 とケイ素が結合すれば、カルシウムに転換できることになります。

 

・「鶏と卵」の事例、カリウム→カルシウムに転換

カリウム:陽子19+中性子20 が  カルシウム:陽子20+中性子20に転換するためには、

水  素:陽子01(水素イオン) と カリウムが結合すればカルシウムに転換できることになります。

 

・「鶏卵とひよこ」の事例

黄身の成分、卵白の成分はウィキペディアを参照してください。鶏卵に含まれる成分から元素転換を考えて見ました。

カルシウム:陽子20+中性子20に転換するには

→カリウム:陽子19+中性子20と水素:陽子01(水素イオン)

→マグネシウム:陽子12+中性子12と酸素:陽子8と中性子8

さらに

→炭素:陽子6+中性子6 が 二つ結合すればマグネシウム:陽子12+中性子12に。

そのマグネシウムに酸素が結合すればカルシウムに転換されます。

→ 上記以外にもあるかもしれません。

 

最後に

○放射能除去について:セシウム→バリウム

原子炉から放出されるセシウムは、陽子数55で核子数が137です。

一方、バリウムの安定同位体は、陽子数56で核子数が130、132、134、136、137、138です。

 

上記から考えて

セシウム137に陽子(水素イオン)を結合させれば、セシウム138に元素転換することがわかります。

 

生物学的元素転換「陽子・中性子数の変化なしに二つの元素を結合させている」の仕組みに関しては、今後、追求していこうと思っています。

 

 

 

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List    投稿者 seibutusi | 2014-11-29 | Posted in ①進化・適応の原理, ⑩微生物の世界1 Comment » 
2014-11-25

健康・医療分野における微生物の可能性を追求する 10 ~沢山の生きた微生物の共生による恵み ケフィア~

dessert_kefir_36 

画像はこちらからお借りしました。

前回記事では、日本で古くからつくられる発酵食品のうち、麹が原料で甘くておいしい「麹甘酒」の栄養効果と美容効果について探索しました。
今回記事では、沢山の生きた有用菌が生息し、さまざまな効用をもつケフィアについて、共生発酵・発酵メカニズム健康・整腸効果栄養効果などを主にとりあげたいと思います。

なお、ケフィアとはコーカサス地方を誕生の地とし、何千年も前から常食されてきた発酵食品です。ケフィアには乳酸菌のほかに酢酸菌酵母という微生物が共生してます。そこがケフィアの特徴であり、ヨーグルトと異なるところです。

実際に仲間たちでケフィアを造って食べてみましたが、プレーンヨーグルトの様な味で、後味すっきりでした!しかし、時間が経つと少し酸味が増すので、シュガーシロップや蜂蜜等をお好みでいれることで非常に美味しく食べられます♪実験結果については次回の記事でUPする予定です★

なお本ブログはこちらこちらを参考にさせて頂きました。ご協力有難うございます。

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List    投稿者 seibutusi | 2014-11-25 | Posted in ⑩微生物の世界No Comments » 
2014-11-16

健康・医療分野における微生物の可能性を追求する 09 ~自然由来の飲む点滴 甘酒~


dsc08803画像はこちらからお借りしました
前回記事では、日本の発酵食品の源泉とも言える麹(こうじ)について、その発酵メカニズムや効用について紹介しました。
今回は、麹からつくられ、日本で古くから栄養豊かな発酵食品として嗜まれてきた甘酒のもつポテンシャルを探ります。

甘酒には、酒粕に砂糖などで甘みをつける酒粕甘酒と、麹と米を発酵させて麹の消化酵素がでんぷんをブドウ糖に分解することで甘みとなる麹甘酒の2種類があります。
本記事では、発酵作用により高い栄養価をもつとされる後者の麹甘酒を取り上げ、栄養効果と美容効果を中心に見ていきます。

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List    投稿者 seibutusi | 2014-11-16 | Posted in ⑩微生物の世界No Comments » 
2014-11-15

栄養学の嘘2~ドイツの飢饉が実証した近代栄養学の嘘

 

前回『栄養学の嘘1:「北緯50度の栄養学」を導入した明治政府の誤り』に引き続き、近代栄養学の基礎理論や登場した時代背景などから、その限界と誤りを明らかにしてみようと思います。

18~19世紀にドイツで誕生し発展した近代栄養学は、西欧諸国に広がり、明治時代には日本にも政府主導もと導入されます。世界中で認められた近代栄養学ですが、皮肉にも発祥の地である当のドイツで「近代栄養学の嘘」を実証する出来事が第一次対戦時に発生します。

第一次世界大戦中、ドイツとデンマークは、イギリスの海上封鎖により穀物の輸入が途絶え、さらに国内の農作物生産も低下して、絶対的な食料不足が起こります。

食料危機が深まり、ついに「豚殺し」が始まります。豚の飼料消費は実に人間の2倍以上。その飼料を人間の食料に回すことで、食料を確保しようとしました。

ドイツ、デンマークとも、この食糧危機対策が実施されましたが、それぞれの国の“近代栄養学”に対する考え方の違いから、一方では“飢饉”、もう一方では“健康増進”という、全く逆の結果が生じます。

Berlin 1918.

ベルリン(1818年)~ジャガイモの配給を待つ人々

(写真はコチラからお借りしました)

 

 

 

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List    投稿者 seibutusi | 2014-11-15 | Posted in ①進化・適応の原理, ⑩微生物の世界No Comments » 
2014-11-11

栄養学の嘘1~「北緯50度の栄養学」を導入した明治政府の誤り

日本では江戸時代までに、米を主食に、季節ごとの野菜・魚介類を副食とした伝統的な食文化が形成されました。この食文化の歴史は途方もなく古く、その始まりはなんと縄文時代にまで遡ります。

玄米和食

以前は縄文人の食事は動物性タンパク質中心だったと考えられていましたが、実は炭水化物もたくさん食べていたことが最近の研究成果から明らかになってきています。炭水化物源としては、イモ類やクリやドングリ、トチの実などの堅果類がよく食べられたようです。そして、この食生活は、実に江戸時代まで基本的には大きくは変わっていません。

写真はこちらからお借りしました。

ところが、この日本人が築き上げてきた伝統的な食生活の体系は、「明治時代」「第二次世界大戦後」に起こったある出来事により、いわば“壊滅”“断絶”ともいえるような大転換を余儀なくされます。その出来事とは、政府主導により導入された西欧発の「近代栄養学」とそれも基づく食料政策の実施です。

まず、明治時代にヨーロッパ、主としてドイツで誕生し発展した「栄養学」が、そして第二次世界大戦後に、そのドイツで誕生した「栄養学」をベースに発展したアメリカの「栄養学」が導入されます。いずれも現代の栄養学に繋がる「カロリーと栄養素を中心にして考える栄養学」でした。簡単にいえば「肉や牛乳など“栄養豊富”な食べ物を、バランスよく沢山食べると健康になる」という考え方です。

この栄養学については、

『現代栄養学に代わる、腸内細菌と共生関係を組み込んだ“新しい栄養学”の構築に向けて』腸内細菌の働きの解明が進んでいますが、現代栄養学は、その成果を反映することがないにも関わらず、未だ健康管理の基礎として君臨し続けています。この状況には大きな問題を感じます。これを変えるには、まず、現代栄養学の基礎理論や登場した時代背景などを把握し、その限界と誤りを明確にしておく必要だと思われます。

『少食のしくみ-2』

では、まず明治時代の「ドイツで誕生した栄養学」から見ていきます。

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List    投稿者 seibutusi | 2014-11-11 | Posted in ①進化・適応の原理, ⑩微生物の世界1 Comment » 
2014-11-04

【脳のメカニズムと可能性Vol.2】記憶において重要な2つの機能

人間の脳は、なぜ多くの情報を蓄えることができるのでしょうか。そしてどうすれば、効率的にものごとを覚えることができるのでしょうか。その答えを、本ブログでは、脳のメカニズムから探っていきたいと思います。

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■どうして多くのものを記憶できるのか

それは、人間の脳は見たこと、感じたこと、考えたことを、「言葉」に圧縮することができる機能を持ってるからです。

例えば、具体的な事例として、次の記事を引用したいと思います。

リンク
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●言葉や文章は、すべての現象を表現しきれない
人間の脳により「言葉」は日々生み出されます。言葉は脳と脳の外界を含めたすべての情報を言葉により表現・記述しようとします。しかし言語では、現実(外界)の膨大な情報を「完全に」描写・蓄積することができません。言葉により記述される内容は必ず不完全な情報になります。なぜなら脳は外界よりも(空間的に)遥かに小さく、そもそも脳の能力自体にも限界があるからです。よってそこには必ず不要な(=重要ではない)情報を切り捨てる、つまりモデル化するという作業が必要になります。もっとも着目した情報に焦点を合わせて、モデル化はなされていきます。

具体的に考えられるように例を出しましょう。下に私がインドで撮ってきた二枚の写真を載せました。
インド1 インド2

 

 

 

 

 

 

 

これらをあなたが隣人に伝える時、どのように表現するでしょうか? その表現は、他人と比べて同一でしょうか? まず同じにはなりません。着眼点が異なることもあるでしょう。同じ点に注目していても表現が違うこともあるでしょう。実際問題、あなたがどれほどこの写真の情報を他者に伝えきることが出来るでしょうか。人物の服装・性別・年齢、または背景などすべての情報を言葉で表現しきることはかなり困難で、なおかつ着目すらしなかった点が必ずあったはずです。そのような情報も含めてすべてを伝えるといことがいかに難しいことであるかはお分かりいただけると思います。

中略

このジレンマに対して、ヒトは表現を変えて様々に形容してみたり、身振り手振りを加えたりして情報量を増すことで補おうとします。しかし多く場合これでもすべてを伝えきることは困難なことであることはご理解いただけると思います。このような「つたえきれない」というジレンマは、モデル化の作業、主要でない情報を「切り捨てる作業」により必然的に生まれるものなのです。

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引用記事に書かれているように、私達は五感で感じたことを、部分的に集約することで、言葉として他者に伝えています。そのような機能を、ものに意味を与えることから、「観念機能」と呼ぶことにしましょう。人類は、この観念機能を巧みに使うことで、世の中の現象やモノに対して意味を与え、その原理や知識を蓄積することで進化してきたのです。

つまり、人間の脳には、何かを感じる感覚機能と、言葉に置き換える観念機能の2つが備わっていると言えます。

それでは、この観念機能は「記憶」どのように関わっているのでしょうか。
るいネットより

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>観念が記憶力の向上に重要な役割を果たします。例えば、りんごのような赤色の物体をみて、『赤』という『色』を記憶するには、りんごの様々な特徴から、赤という特徴(膨大な情報量がある)のみ取り出し『赤』という観念(非常に小さな情報量になる)に置き換えて記憶します。

>そして、赤に関する何かを考えるとき、データ量の多い実態の赤を呼び起こさないで、小さなデータ量の『赤』という観念のみを呼び出し、その他の観念とつなげて統合することが可能です。そして、結果が実態のデータ量の多い赤にまつわる諸事実と整合していることを、最終過程で確認すれすむようになっています。
%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%

このように、「記憶」とは、感覚機能と観念機能という2つの機能が同時に働くことによって行われる作業であると言うことができます。

もちろん自転車の乗り方や、泳ぎ方など、感覚機能だけで覚えるものもあるし、丸暗記のように観念機能だけで覚えるという、例外もあるかもしれません。

しかしながら、最も重要なのは、この感覚的な機能と、観念的な機能を同時に動かすことです。それはより忘れにくく、生きていく上で使える脳みその使い方となるからです。

例えば…

・何か覚えるとき、声に出したり、手を動かした方が早く覚えられなかったか?あるいは友人と問題の出し合いをした時の方がよく記憶に残っていなかったか?

・鉄道の車掌や工事現場の作業員が腕を動かして点検作業を行っているのはどうして?

・英語で「赤い」はredであり、そこには音にしか意味がないが、日本語の「赤い」は「明ける」から来ている。日本語には、このように情景が言葉へと対応したものが多く存在する。そこには日本人特有の、言葉のイメージと言語能力の結びつきがあるのでは?

これらの疑問の答えは、感覚機能と観念機能の関係にありそうです。

この2つの機能の結びつきを明らかにしていけば、脳の使い方も変わってくるかもしれません。次回は、この関わりをさらに掘り下げていきたいと思います。

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List    投稿者 seibutusi | 2014-11-04 | Posted in ④脳と適応No Comments » 
2014-10-26

【乳酸菌はどのようにしてヒトの免疫機能を正常化するのか?】-5.ガンとは免疫機能の一種である

さて、これからはガンと腸内細菌の関係性について見ていこうと思いますが、その前に、そもそも「ガンとは何か?」「なぜガンができるのか?」などガンそのものについて追求していこうと思います。

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(画像引用元:www.karadakara.com)

1、ガンとは何か

◆ガンは「血液の汚れ」

ガンの正体を一言でいうと、「血液の汚れ」である。 血液に中にガンウイルスやその他のウイルスが入り込んで汚してしまっている、それ自体がガンなのです。 すなわち、本当のガンは、一般にガンと呼ばれているオデキを体の中につくらせた「バックグランド」である、というふうに私は考えている。 血液が汚れてきた時、その人の体の中の一番敏感なウィークポイントに、ガンというオデキができるということなのである。本人も要求しないのに、ウイルスが体の外からいきなり入ってきてガンができる、などということはあり得ない。 ガンというオデキができるのは、目的があってのことだ。すなわち、血液が汚れてきたのを浄化する(排毒する)、という目的である。

◆ガン腫は浄血(排毒)装置である

そうなると、ガンというオデキは一種の浄血作用をするものである、と解釈しなければならなくなる。 悪魔の創造物であるというのは、考え違いもいいとこで、本当は、ガンというオデキは、その人にとって、まさに救いの女神なのだ。つまり、血液が汚れてしまって、このままではどうしようもないという時に、ガン腫ができて血液をきれいにする働きをしてくれるわけである。

最近、フランスの学者が、ガンのオデキの中に「抗毒素」が生産され、血液の中に分泌されているということを発見した。 今までは悪魔の創造物だから、切り取るとか、放射線をかけて火傷をさせるとかして、やっつけなければならないと思っていたものが、最近の研究で、ガン細胞は抗毒素を分泌して毒素を中和するばかりか、血液の中に抗毒素を送りこんでいることがわかったわけだから、ヨーロッパのガン学会はあわて始めた。 この問題を解決するためには、ガン腫は浄血装置である、という私の理論をもってこなければならない。

そうでなければ、ガンのオデキの中から抗毒素が分泌されているという事実を、説明することはできない。浄血装置なら、そのような働きがあって当然だ。血液の汚れは、毒素が血液の中に入りこむことであって、その毒素は腸の中でつくられる、ということについては前述したが、その結果できるガンというオデキは浄血装置なのだ。体というものはまったくうまくできている。ガンができたということは、むしろ喜ぶべきことなのである。そこのところをよく理解し、くれぐれも考え違いをしないように頭を切りかえなければならない。

(引用:http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&t=6&k=2&m=259586

 

2、ガン細胞は私達の味方である

◆通常の免疫システム

ヒトの免疫システムは体外から侵入した異物である病原ウイルスや病原菌やそれらに罹患された細胞を見つけると、自然免疫で活躍する樹状細胞やマクロファージや顆粒球がまず駆けつけて貪食したり、酵素を噴射してやっつけると、樹状細胞はその食べた一部を抗原として提示しリンパ球であるT細胞へと異物侵入のサインを送ります。T細胞はサインを受けとるとそれをB細胞へと伝達しB細胞はその異物に適応した抗体を産生します。またT細胞は樹状細胞に刺激されそれぞれヘルパーT細胞やキラーT細胞に分化し異物を分解したり、アポトーシス誘導をして獲得免疫の役割を発揮します。

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大量に産生された抗体とT細胞やNK細胞らの活躍もありここにおいて異物処理は完了します。こうして体外からの侵入者は普通は完璧に消化分解されている。 もしもこの免疫システムをかいくぐり細胞内にウイルスらが入りこんだ場合には細胞内オートファジーという原始的な分解浄化機構がはたらいてリソソームという細胞内の胃袋にある分解酵素によって消化されます。これが免疫の全容なのです。

※オートファジー (Autophagy) は、細胞が持っている、細胞内のタンパク質を分解するための仕組みの一つ。自食(じしょく)とも呼ばれる。酵母からヒトにいたるまでの真核生物に見られる機構であり、細胞内での異常なタンパク質の蓄積を防いだり、過剰にタンパク質合成したときや栄養環境が悪化したときにタンパク質のリサイクルを行ったり、細胞質内に侵入した病原微生物を排除することで生体の恒常性維持に関与している。

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◆ガンを広げる「案内人」は免疫細胞である

「ガン細胞も免疫システムにより破壊されている」、という常識であるが、果たしてこの常識がこれからも常識として通用するかどうかが少し疑わしくなってきました。

がん細胞がまわりにじわじわと広がっていく「浸潤」現象を起こすカギとなるのは、「未分化骨髄球」という免疫系の細胞であることを、京都大大学院の武藤(たけとう)誠教授(遺伝薬理学)と湊長博教授(免疫学)らのグループが見つけ、18日付の米科学誌「ネイチャー・ジェネティクス」電子版に発表する。がんを攻撃する「味方」と思われていた免疫系の細胞が、がんと協力する「敵」だったことになり、がん治療の考え方を変えかねない発見といえそうだ。武藤教授らは遺伝子操作で大腸がんを起こすネズミを開発し、観察する中で、がん細胞を包むようにくっついている細胞群に気が付いた。

調べると、骨髄にだけあるとされていた「未分化骨髄球」という未熟な免疫系細胞だった。この細胞群はたんぱく質分解酵素を作り、がん細胞の固まりを包んでいる膜を溶かし、がん細胞が外へ広がっていきやすくしていることがわかった。さらに大腸がんの細胞表面に免疫系細胞を呼び寄せる働きを持つたんぱく質があることを発見。これを認識してくっつくCCR1というたんぱく質を未分化骨髄球が持っていることもわかった。大腸がんを起こすネズミに、このCCR1ができなくなるようにさらに遺伝子操作すると、がん細胞のまわりに未分化骨髄球は集まらず、浸潤の程度も低くなった。湊教授は「免疫系細胞ががんの周辺に集まることは知られていたが、それはがんを攻撃するためと考えられていた。しかし、実は、がん細胞に呼び寄せられ、がん細胞がまわりに広がっていく浸潤現象の『水先案内人』のような役割をしていた」と話す。

(引用:http://blog.goo.ne.jp/shinjo_mitsuroku/e/3d916720d3858eeeb5c029c65fe22d7d

 

さらに、ガン細胞は腫瘍関連マクロファージ(TAM)を味方につけます。つまり本来ならば異物を認識し破壊する役目のマクロファージの一種を手なづけてしまいガン陣営の参謀に迎えるのです。また抑制性T細胞(Treg)が増えて樹状細胞に接着すると樹状細胞の抗原提示能力が無力化されてしまいます。これを機に樹状細胞に取りついたTregからは免疫抑制分子が分泌されてガン細胞が増殖するのに都合の良い免疫抑制環境が出来上がります。マクロファージもT細胞も本来ならば体内に発生した異物であるガン細胞を抗原として認識し攻撃し分解破壊するのが役目なのですが、こうしてガン細胞にとって都合良く使役されるタイプのものさえいるのです。

もしもガンが悪者であり絶対に存在してはならないものであるのなら、このような事は絶対に起こりません。こうして少しだけ注意深く観察しただけでも免疫システムはむしろガン増殖に貢献すらしているという現実が確かに存在するのです。いったいこれはどうしたわけなのでしょうか? ガンはいったん陣地を構えるとそこに腫瘍間質と呼ばれるバリケードを築きます。そうして新生血管を誘導してグルコースを取りこむルートを確保します。この間質からも免疫抑制因子が放出されてガン細胞は増殖環境を堅固にしていきます。ガンはリン酸化酵素(mTOR)を活性化しオートファジーを駆動する事でグルコースを取りこみ大量の乳酸を生み出します。本来なら細胞質内を浄化するオートファジーという機構を使いガンはエネルギーを得て細胞質内をゴミである乳酸で充満させてしまうのです。オートファジーすらも味方につけるガン細胞。

 

◆ヒートショックプロテインも味方につける

ヒートショックプロテインはガン消滅の鍵を握る重要なタンパク質ですが、善玉免疫サイドがヒートショックプロテインを支配できずに、癌サイドがヒートショックプロテインを操作しガン増殖に有利に働く物質とヒートショックプロテインが接着するとヒートショックプロテインは癌を助けてしまうのです。マクロファージもT細胞もオートファジーもヒートショックプロテインすらもガン細胞は自身の生き残りのために取りこみます。免疫システムも自然治癒物質もガン細胞にとっては味方なのです。つまりガンとは自分自身なのであり敵ではなかったということなのです。

(引用:http://kouhakudou.blog.fc2.com/blog-entry-541.html)

※ヒートショックプロテイン(HSP)とは?

傷んだ細胞を修復する働きを持つタンパク質のこと。また、免疫細胞の働きを強化したり、乳酸の発生を遅らせるなどの力も持っています。

※ATPとは?

筋肉はATP(アデノシン三リン酸)という物質を持っています。このATPが分解して無機リン酸を放出し、ADP(アデノシン二リン酸)に変わる時に発生するエネルギーを使って筋肉を動かします。動物、植物、微生物(細菌)などには、必ずATPが含まれています。この過程中に3個の<三カルボン酸>を生じるので、三カルボン酸回路(TCAサイクル)とも称されています。

 

●ガンは血液の汚れを集めてくれる味方である

●免疫細胞は、ガン細胞を広げる手助けをしている

以上のことを踏まえると、ガンそのものが、浄血(排毒)作用を備えた免疫機能の一種と言えるのではないでしょうか。

次回は、もう少し深くガン発生のメカニズムについて見ていきたいと思います。

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List    投稿者 seibutusi | 2014-10-26 | Posted in ⑤免疫機能の不思議, ⑥病気の起源、正体, ⑩微生物の世界No Comments » 
2014-10-24

健康・医療分野における微生物の可能性を追求する 08~日本の発酵食品の王様、麹(コウジ)

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前回のブログ記事で、自家製発酵食品で健康効果を検証すること、その候補として甘酒とケフィアを取り上げることを報告しました。今回はその一つ、甘酒を作り出す麹について学びます。

日本には麹を使った発酵食品が数多くあり、日本で発酵食品といえば麹と言っても間違いないぐらいです。具体的には、味噌、醤油、甘酒、清酒、焼酎、泡盛、食酢、漬け物、鰹節など。同じ麹を使いながら多様な食品が出来ているのに驚きます。

麹による発酵は日本を始め東南アジアに特有の技法です。中でも日本の麹は特別で、長い年月をかけて、有効性の高いコウジカビを選別することで作り出されてきた、日本特有の文化と言えます。日本では1000年前(平安時代末)には何億種類ものカビの中から有用なコウジカビだけを抽出する技術を開発し、鎌倉時代には蒸し米の上でカビを育て、どこにでも運べる「カビの種」を作る種麹屋(たねこうじや)が現れました。種麹屋はいわば、「世界最古のバイオビジネス」。この登場で、コウジカビは全国に広まり今に至ります。

日本の食文化を支えている麹ですが、そもそも麹とはどんな生き物なのしょうか。そして、このように多様な食品を作り出す仕組みはどうなっているのか、なぜ麹による発酵食品ななぜ健康に良いのか、今回はここを追及します。

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List    投稿者 seibutusi | 2014-10-24 | Posted in ⑩微生物の世界No Comments »