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健康・医療分野における微生物の可能性を追求する 10 ~沢山の生きた微生物の共生による恵み ケフィア~

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画像はこちら [1]からお借りしました。

前回記事では、日本で古くからつくられる発酵食品のうち、麹が原料で甘くておいしい「麹甘酒」の栄養効果と美容効果について探索しました。
今回記事では、沢山の生きた有用菌が生息し、さまざまな効用をもつケフィアについて、共生発酵・発酵メカニズム健康・整腸効果栄養効果などを主にとりあげたいと思います。

なお、ケフィアとはコーカサス地方を誕生の地とし、何千年も前から常食されてきた発酵食品です。ケフィアには乳酸菌のほかに酢酸菌酵母という微生物が共生してます。そこがケフィアの特徴であり、ヨーグルトと異なるところです。

実際に仲間たちでケフィアを造って食べてみましたが、プレーンヨーグルトの様な味で、後味すっきりでした!しかし、時間が経つと少し酸味が増すので、シュガーシロップや蜂蜜等をお好みでいれることで非常に美味しく食べられます♪実験結果については次回の記事でUPする予定です★

なお本ブログはこちら [2]こちら [3]を参考にさせて頂きました。ご協力有難うございます。

◆様々な菌との共生発酵・発酵メカニズム

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画像はこちら [5]からお借りしました。

ケフィアもヨーグルトも同じく発酵によってつくられる食品ですが、最も大きな違いは発酵に関わる微生物にあります。ヨーグルトは乳酸菌のみの働きによって発酵するのに対し(単独発酵と呼ばれています)、ケフィアは複数の乳酸菌に加えて酵母による発酵も伴う(共生発酵とか、複合発酵と呼ばれています)という相違点があります。ケフィアは乳酸発酵と、酵母によるアルコール発酵という二大作用によってつくられる共生発酵乳なのです。

ケフィアの場合は、主として乳酸菌と酵母による発酵がクローズアップされがちですが、それ以外にも「酢酸菌」も発酵の一翼を担っています。つまり、乳酸菌、酵母、酢酸菌といった細菌(乳酸菌で30種類近く、酵母で25種類近くの菌種が含まれているといわれています)が複合的に発酵するところに特徴があります。

乳酸菌が生乳を分解することによって生み出された乳酸は、酵母や酢酸菌のエサとなります。酵母は、その発酵の過程でアルコール(エタノール)と有機酸類()を、酢酸菌はアルコールを酢酸()へ変える働きをします。こうして得られた代謝物のうち、の有機酸類は乳酸菌の、の酢酸は酵母のエサとなり、さらに効率的に発酵が進んでいきます。このような複雑なメカニズム(発酵)によって、菌類が増殖し、原料となる生乳の栄養成分がより一層分解されることになります。この結果、ケフィアは単独発酵のヨーグルトと比べ消化吸収性に優れるという特徴を示すようになります。

 しかし、伝統的なケフィアには、様々な微生物が複合的に発酵に働くわけですから、その発酵のメカニズムも完全に究明されたわけではありません。ただはっきりとわかっているのは、絶妙なバランスを保ちながら発酵に関わり、ケフィアという繊細な味の食品をつくりだすということです。

 

◆健康・整腸効果

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画像はこちら [7]からお借りしました。

ケフィアには30種以上乳酸菌25種以上酵母菌など、多種多様な有用菌が含まれています。
特に乳酸菌は大腸に存在する善玉菌のエサとなります。また、悪玉菌には、耐酸性が低いというウイークポイントがあります。そのため、乳酸菌が作り出す乳酸の力に弱いのです。これらの理由から、ケフィアを摂取することで悪玉菌優勢となった腸内環境を内部から改善することができます。

腸内環境が整うと、便秘や下痢などの腸内トラブルを改善できるほか、腸内の老廃物を排出し、口臭や体臭、便臭などの発生を未然に予防することができます。

また、ケフィアでは複数の乳酸菌酵母が共存しており、乳酸発酵やアルコール発酵が行われていることは先ほど述べましたが、中でもアルコール発酵には胃液の分泌を促すはたらきがあり、消化機能が促進し、食欲を増進させることができます。
また、ケフィアには胃粘膜の抵抗力を高めるビタミンAやB2、カゼインなどの栄養素が含まれており、荒れた胃粘膜にはたらきかけて正常な状態を取り戻します。

ケフィアに含まれている乳酸菌のほとんどは胃を通過する際に死滅してしまいます。しかし、その残骸は、腸管(十二指腸)のなかで胆汁酸を吸着し、体外へと排出する働きを持っています。胆汁酸とは、脂肪分の消化・吸収を助ける消化液の成分のことです。通常、その役割を終えた胆汁酸は再び肝臓へと戻りますが、乳酸菌に吸着されて便とともに排泄されてしまうためと、不足分を補うために肝臓は胆汁酸をつくろうとします。胆汁酸はコレステロールを原料としてつくられるため、それに応じて体内のコレステロールが消費されることになります。こうした仕組みによって、血中のコレステロール値が低下すると説明されています。

 

◆栄養効果

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画像はこちら [2]からお借りしました。

・美容に役立つ豊富なビタミン

美容が気になる女性にとって欠かせないのが“美容のビタミン”とも呼ばれるビタミンB2です。

この美容に役立つビタミンB2は、レバー、卵、ほうれん草、大豆、乳製品などに多く含まれています。牛乳にもたくさん含まれていますが、微生物たちのはたらきによって生まれたケフィアのほうがより多くのビタミンB2を含んでいるそうです。

このほか、ケフィアには、ビタミンB1・B6・B12、葉酸などのビタミンB群も含まれているので、美容が気になる方要チェックです。

・強い体にはカルシウム

最近、カルシウム不足による健康トラブルが増えています。カルシウムは丈夫な体のためには欠かせない栄養素です。しかし現在、日本人の摂取量は不足する傾向にあります。国民栄養調査でも、エネルギー、たんぱく質、鉄、ビタミンなどの栄養素は足りていますが、カルシウムだけは足りていないのが現状です。

また、カルシウムは、体内に吸収されにくいという、やっかいな性質をもっている成分でもあります。ただ、牛乳に含まれているカルシウムは、量的にリンとのバランスも良く、吸収率が高いといわれています。さらに、その牛乳を乳酸発酵させたケフィアやヨーグルトの中では、乳酸がカルシウムと結びつき「乳酸カルシウム」という形になっているため、牛乳よりもさらに吸収されやすくなっているそうです。

 

今後も微生物の共生発酵には、多くの健康効果が期待できそうですね!

次回は、私たちでケフィアを実際に食べ続けた健康効果に焦点を当ててみます★

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