2020-09-24

昆虫の闘争行動(収束先は体の大型化)対して観念動物の人間は?その2

近年の草食男子(男性ホルモンの減少→精子減少)が増えている原因の一つは、

肉体的同類闘争(70年代以降、貧困の消滅により直接個人の本能に訴える事が少なくなっている)が減少し、観念闘争(肉体能力<観念力)の時代を迎え、現代男性の男性ホルモン(テストステロン)の変化(低下?)がみられるとの研究発表があった。

しかし、生物史を通して、性(オスとメス)分化は「進化の原動力であり、多様な環境に適応できるシステム」そして「共に生きるという生命の大原則」であり、

観念力の時代では「男性の存在理由」は物理的な闘争力でなく、追求力を原点としたものであると考えられるので、男の男たる由縁の男性ホルモンはテストステロン以外にも有ると思われる。

以下の投稿を転載します。

人類はなぜ文化的に進化したのか。カギは「男性ホルモンの低下」にあり:研究結果

 〇「戦争は人類の本能」説は事実か

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人類はなぜ文化的に進化したのか。カギは「男性ホルモンの低下」にあり:研究結果

人類が文化的に発展するには、協力的であることが必要だった。そして、人類が協力的であるためには、男性ホルモンが大きく関わっている。

太古の昔、とある時期を境に、人類は学問、道徳、信仰などで社会を纏めることを覚え、彫刻や壁画のような芸術を嗜むようになった。

このような文化的開花の鍵となったのは、社会がより女性的に、協力的になることで、そのため男性ホルモンの一種であるテストステロン値の低い個体が選ばれてきたのではないか──。そんな驚くべき研究結果が、米ユタ大学デューク大学により発表された。

化石が伝える歴史をみると、現生人類(ホモ・サピエンス)が現れたのは約20万年前のこと。しかし、熱処理をほどこされた骨角製品、火打ち道具、飛び道具、砥石、釣り道具に鳥の罠など、洗練された道具や芸術品の制作が突如として広まりだしたのは、ほんの5万年前のことである。その間の15万年間、人類は化石に残るだけの文化を持ち得なかったのだろうか。

今回、ジャーナル誌「Current Anthropology」で発表された論文には、20万年前から5万年前までの間に、人類が経験してきたであろう“進化”と、それゆえの“文化的空白”の理由がシンプルに説明されている。

人類が長らく存在してきたにもかかわらず文化的創造性の開花が遅れた理由には、いくつかの仮説がある。そのなかでも支持されつつあるのが、「文化交易が起こるには、人類の人口密度の増加と生息場所の拡大が重要な要素だった」というものだ。

文化交易に至るには、何らかのイノヴェイションが起こり、それを他に伝えようとする「現代的行動の発現」が不可欠だ。さらにこのプロセスは、各集団の人数が多く、集団間の繋がりが強いほど、文化的革命が起こりやすく、維持しやすく、広まりやすいことがわかっている。

では、約5万年前に起こった文化的開花に至るにあたり、大人数の集団を纏めるためには、いったいどんな種が蒔かれなくてはならなかったのか?

頭蓋骨の分析。

論文の筆頭者となったユタ大学の大学院生であるロバート・シエリ氏に言わせると、それは人類が「親切で忍耐強く、協力的になること」だ。

「技術的なイノヴェイションや、アートの制作、迅速な文化交易などに対する現代的行動がみられるようになったのは、ヒトの気性が和らぎ協力的になったのと、おそらく同時期でしょう」

そう話すシエリは、デューク大学の学生時代から、古代人と現代人あわせて1,400もの頭蓋骨を分析してきた。彼は8万年以前の化石から13の頭蓋骨を、3.8~1万年前からは41の頭蓋骨を、そして20世紀の現代人からは30の異なる民族1367の頭蓋骨サンプルを比較した。

すると興味深いことに、古代人と比べて現代人の眉弓は平たくなり、顔は縦に縮まり丸みを帯びるといった、テストステロンの低下によるものと思われる解剖学的変化が起こっていた。

一般的に、男性ホルモンの一種であるテストステロンの低下は、人間の闘争本能や孤独願望を下げ、親切で協力的になることと関連している。

「ヒトの化石をみると、現代的行動を取るようになったあとの時代は、女性的な顔つきをもつ個体が多くみられるんです。平均的な古代人と現代人の頭蓋骨の違いは、テストステロン値の強い人と弱い人の違いに似ています」と、シエリは話す。ただし、頭蓋骨から男性ホルモンの量やレセプターを推し測ることは不可能なので、こういった議論は動物の研究を参考にすることとなる。

デューク大学の動物認知学の研究者であるブライアン・ヘアとジングズィ・タン両氏によると、テストステロン値と頭蓋骨の変化の関係は、動物ではよくみられる現象だという。

例えば、シベリアキツネの選抜育種の例がある。人間の好みで、気短かではなく、攻撃的ではない個体を選んで交配させていくうちに、シベリアキツネは20~40世代であどけない風貌をもつようになり、幼いふるまいをするようになった。

変化が起こったのはシベリアキツネの性質だけではない。世代を重ねるにつれ、オスとメスの犬歯の性差が小さくなり、オスの頭蓋骨が縦に短く横に広く変化した。つまり、気性の激しい個体を除外し交配することで、オスの顔立ちはメスのように変わっていったのだ。

また、霊長類の中でもヒトに最も近縁である好戦的なチンパンジーと平和主義のボノボをみても、同様の変化が認められるという。

チンパンジーはオスが主導権を握る力社会で、テストステロン値が高く、喧嘩が多い。

一方、メスの方が優位にあるボノボは、社会関係に何らかの緊張が加わった場合、老若男女問わず性器を擦り合わせることで“和解”し、穏やかに解決してしまう。社会的摩擦の少ないボノボは、テストステロン値が低く、雌雄の性差も小さいそうだ。

両者には、社会的なものの他にも違いはある。チンパンジーのオスは年頃になるとテストステロン値が上昇するが、ボノボのオスにはそれがない。また、ストレスを感じると、チンパンジーのテストステロン値は上がるのに対し、ボノボの場合はストレスホルモンであるコルチゾールが生成されるのだという。

そして、やはりチンパンジーとボノボの間には、眉弓において決定的な差がある。研究者によると、「眼窩上隆起のあるボノボは滅多にいない」のだそうだ。

「人間とは、自分の複雑な考えを相手に伝えられ、赤の他人とすら協力し合うことができる、といった点で、とてもユニークな動物です」と、シエリは話す。「ヨーロッパ、アフリカ、近東の石器時代の化石をみると、これらの人間的性質が約5万年前に出現したことがわかります。ヒトの現代的行動は、その後に起こった文化的発達と関連しているのです」。

人間社会というものは、甚大なるストレスを生み出す場所でもある。ヒトもまた、理想の社会を形成するにあたり、何万年もかけてテストステロン値の低い、より協力的で忍耐力のある個体を選んできたのだろうか。しかしもしそうだったとしても、これが文化的イノヴェイションを促すのなら、男性が“女性化”を悲嘆することはないだろう。

シエラも最後にこう締めくくっている。「かつて古代人たちが共に生活するようになり、新たな技術を誰かに伝えようとしたとき、互いに対する辛抱強さがなくてはならなかったはずです。人類の文化的成功の鍵は、協力的で仲良くでき、相手から学び取れる能力なのです」。

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「戦争は人類の本能」説は事実か

日本学術会議フォーラムにおける山極壽一会長の挨拶

「戦争は最初から人類にあらわれたものではない。人類進化の歴史700万年のうち、たかだか最後の1万年、農耕が始まった頃からあらわれたものでしかない。それは化石標本からも、歴史の事実からも、私の霊長類の研究からも明らかになっている。戦争は人間の本性でもなく、社会を維持する原動力でもない。平和や調和を求めるのが人間の本性であるという前提に立って考えねばならない」

(略)

人類学の見地からみた真実

山極氏は『ゴリラからの警告--人間社会、ここがおかしい』(毎日新聞出版)で、オバマのノーベル平和賞授賞式の演説について、戦争は人類とともにあったとして「平和を維持するうえで戦争は必要であり、道徳的にも正当化できる場合があることを強調した」ものであり、その言葉通り、アフガンへの武力介入を強め、11年にはアルカイダの指導者ウサマ・ビンラディンを殺害した必然性を明らかにしている。

そして、「なぜオバマ前大統領は戦争という暴力が平和の正当な手段であると言いきるのか。なぜノーベル平和賞は暴力を用いて戦争を抑止しようとする活動にあたえられるのか。そこには、戦争につながる暴力は人間の本性であり、それを抑えるためにはより強い暴力を用いなければならないという誤った考えが息づいているように思う」と記している。

政治国家出現で戦争始まる 日本では弥生以降

山極氏はさらに、こうした「戦争が人間の原罪であり、暴力は最初から人間とともにあった」とする考えが広がったのは第2次世界大戦直後からであることを強調している。それは、南アフリカで人類の古い化石を発見したレイモンド・ダートがうち出した「人類は長い進化の歴史の中で狩猟者として、獲物を捕らえるために用いた武器を人間へ向けることによって戦いの幕を開けた」という仮説を根拠にしたものであった。

その後、人類学、考古学で明らかになった科学的事実は、ことごとくこの学説の誤りを証明するものとなった。ダートが主張した人類化石の頭骨についた傷は、人類によるものではなく、ヒョウに殺された痕だと判明した。それらによって「人類は狩猟者ではなく、つい最近まで肉食獣に狩られる存在だったし、人間に近縁な霊長類が群れをつくる理由は、食物を効率よく採取するためと捕食者から身を守るためだったということがわかってきたのだ」。

ちなみに、『日経サイエンス』は、12月号の特集「新・人類学」のなかで、アメリカの人類学者、R・B・ファーガソン(ラトガーズ大学教授)の論文「戦争は人間の本能か」を掲載している。

ファーガソンは、戦争が人間の本能から来るという論の影響として、政治学者フランシス・フクヤマの「近年の戦争と虐殺の起源は数十万から数百万年前の祖先である狩猟採集民、さらにはチンパンジーとの共通祖先にまで遡る」という記述や、国際政治学者セイヤーの「自分の部族を守ろうとする本能的な傾向が、時を経つうちになぜ、国際関係におけるよそ者嫌いや自民族中心主義に変容していくのか、進化論によって説明できる」という説をあげている。

そして、「ヒトの本性に部外者を集団で侵す傾向がある」から、人間は戦争を我慢できないという論には、なんら科学的根拠がないことを明確にしている。人間の歴史において、集団的殺戮が登場するのは、狩猟採集社会が規模と複雑さを増し農耕が始まったころである。この歴史的段階は「政治国家を形作る基礎」となり、このころから人間はしばしば戦争を引き起こすようになった。

ファーガソンは考古学や民族誌の記録を詳細に検討した結果、戦争が起きやすくなる前提条件として「定住性への移行、地域人口の増加、家畜など貴重な資源の集中、階層性や社会的複雑さの増大、貴重な品々の取引、集団の境界および集団的アイデンティティの確立」などをあげている。

そして、文化人類学者ミードが1940年に著した論文のタイトル「戦争は発明にすぎず、生物学的必然ではない」が持つ普遍性を明らかにしている。

ファーガソンは日本で発見された縄文・弥生時代の受傷人骨も、そのことを裏付けるとしている。それに関連して、中尾央・南山大学人文学部人類文化学科准教授(自然哲学)が「日本で戦争が始まったのはいつか」と題するコラムで、縄文時代(狩猟採集社会)の遺骨や遺物から「明確な戦争の確証が得られていない」が、弥生時代(農耕が主体)では、戦争があったことを証拠立てる埋蔵物が明らかに増えていることを明らかにしている。

山極氏は別のところで、「人間はその本性からして暴力的な動物なのか、あるいは穏やかで温和で平和を愛する動物だったのに、どこかで暴力的な行為を始めたのか。自分たちに都合よく“必要な戦争だ”という政治家に対して、科学者は証拠をあげて、それが正しい判断なのかどうか、答えなくてはいけない」と語っている。それは、次のような指摘とつながっている。

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2020-09-24

製鉄が野生動物に与えた影響は? ~生物と遺跡の地理的分布より~

今日、人間活動は地球に対して地質学的なレベルでの影響を与えうるほどに拡大し、「人新世」という新たな地質年代区分が提案されるに至っています。リンク

現在のところ、我が国で見つかった最も古い鉄器は、縄文時代晩期、つまり紀元前3~4世紀のものリンク

 人類の「製鉄」技術の発展は、野生動物にどのような影響を与えたのか?これから人類は自然といかに共生していくのか?考えていきたい。

国立環境研究所 より。

製鉄が野生動物に与えた影響は千年紀を超えて残る

  -生物と遺跡の地理的分布から見えたこと-

1. 背景

1997年に公開された映画『もののけ姫』では、たたら製鉄(写真1)をめぐる人間と自然生態系との関係が主題として取り上げられ、多くの人々が太古からの人間と自然環境との関係性を意識するきっかけとなりました。日本における古式の製鉄技術は古墳時代に普及し、江戸時代にそのピークを迎えました。その結果、各地で集約的な資源利用に伴う大規模な環境改変が生じました。

近年、最終氷期(~15000年前)以降の人間活動の拡大に伴って、世界各地の哺乳類の地理的分布が大幅に縮小したことが明らかになってきました。このことから、現在の生物多様性の成り立ちを理解する上で、歴史的な人間活動の影響を理解することの重要性が認識されてきています。

過去のどのような形態の人間活動が、生物多様性に長期的な影響を与え、現在の生物多様性の地域性をもたらしたのかをデータに基づいて明らかにすることは、人間と自然生態系との長期的な関係を理解するにあたってとても重要なことです。

しかし、今まで、製鉄のような特定の人間活動の形態が哺乳類の地理的分布に与えた影響についての研究はなされていませんでした。そこで本研究では、現代の哺乳類の地理的分布と、縄文時代以降の複数の時代区分や複数の土地利用形態の遺跡分布との関係を統計的に解析することにより、それらのうちどれが哺乳類の地理的分布にとって重要な要因であるか、またその影響が分類群ごとでどのように異なるかを明らかにしました。

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写真1.たたら製鉄の様子(『先大津阿川村山砂鉄洗取之図 鉄ヲフク図』、
東京大学 工学・情報理工学図書館 工3号館図書室 所蔵)。
ふいごを踏む人、鉄鉱石や木炭を見ることができる。

2. 方法

現代の哺乳類の地理的分布データとして、環境省「第5回自然環境保全基礎調査(1993-1998)」において作成された約10km×10kmのメッシュ(※1)単位の分布図を用いました。分布が確認されているメッシュが30以上の在来種31属を解析対象としました。また、動物の体サイズの情報を図鑑から収集しました。

遺跡の地理的分布データとして、独立行政法人国立文化財機構 奈良文化財研究所が整備・公開している「遺跡データベース(mokuren.nabunken.go.jp/Iseki/index.html【外部サイトへ接続します】)」を用いました。このデータベースは、40万件を超える全国の遺跡の緯度経度・時代区分等の情報を有しています。

本研究では、哺乳類の地理的分布に影響を与えた可能性がある過去の人間活動の変数として、定住が開始されたと考えられている縄文時代以降の6つの時代区分、縄文・弥生・古墳・古代(飛鳥~平安時代)・中世(鎌倉~室町・戦国時代)・近世(安土桃山~江戸時代)、における3つの遺跡種別(集落・製鉄・窯)を考えました(表1)。

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3. 結果と考察

十分な推定精度が確保できた29属のうち、21属で少なくとも1つの時代における製鉄の影響が検出され、約1300年前まで続いた古墳時代でも13属で統計学的に明瞭な影響が確認されました(図1)。特に、ジネズミ・コウモリ・モモンガ・ヤマネ等、小型の哺乳類では、近世と古墳時代の両方で製鉄による負の影響が確認されました。このことは、過去に製鉄が行われていた地域においては、現在においてもなお小型哺乳類の多様性が低いことを意味します。製陶についても複数の時代で小型哺乳類に対する明瞭な負の影響が検出されました。

一方で、ウサギ・キツネ・タヌキ・イノシシなどの中大型の哺乳類は小型哺乳類とは逆の傾向が見られ、近世に製鉄を行っていた地域では中大型哺乳類の多様性が現在も高いことがわかりました。全体としては、中大型哺乳類よりも小型哺乳類の方が過去の人間活動の変数の相対的な重要性が高いことが明らかになりました。
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図1.近世と古墳時代の製鉄による明瞭な影響が確認された属の数。
より上位の分類単位である「目」の単位で集計した。

製鉄や製陶は、その生産過程で多量の薪や炭を必要とし、周辺の山が禿山になることもありました。製鉄ではそれに加えて、鉱石の採掘に伴う表土の剥ぎ取りや土壌流出が生じたことが知られています。その結果、地域全体から原生林がほぼ失われ、二次林や草原が広がる景観が形成されました。

本研究で現在の哺乳類の地理的分布から検出された約1300年前の影響は、一連の大規模な土地改変により長期間にわたって森林植生の回復が阻害されたことや、地域個体群の絶滅後に残存個体群からの距離が遠すぎて再移入できなかったこと等に起因すると考えられます。

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写真2.長期間にわたる製鉄の負の影響が検出されたモモンガ
(撮影:帯広畜産大学 栁川久氏)

モモンガ(写真2)やヤマネ等の小型の哺乳類で負の影響がより強く検出されたことは、体サイズが小さい種は分散距離や生息可能な環境の幅が小さい、という動物一般に当てはまる傾向によって説明できると考えられます。生息可能な環境の幅の小ささの例として、モモンガや一部のコウモリが繁殖や休息に樹洞を必要とするため、大径木がある成熟した森林の存在が重要であることなどが挙げられます。

近世の製鉄が行われていた地域で出現確率がより高かったノウサギ・キツネ・タヌキ・イノシシなどの中大型の属は、里山に広く生息しているものです。これらは人間活動によって形成された草原・二次林・農地からなる不均一な景観にうまく適応し、勢力を拡大したものと考えられます。

地域によって異なる過去の人間活動は分類群によって異なる影響をもたらし、我が国における現在の哺乳類相の地域性を形作ったと考えられます。特に、中国山地や阿武隈山地等の製鉄が盛んにおこなわれた地域では、現在も里山に特徴的な種が多く生息すると考えられます。

さて今日、人間活動は地球に対して地質学的なレベルでの影響を与えうるほどに拡大し、「人新世」という新たな地質年代区分が提案されるに至っています。日本における製鉄は輸入した鉄鉱石と化石燃料によるものにほぼ置き換わり、森林面積は拡大傾向にあるものの、今度は管理放棄などの自然に対する働きかけの縮小が生物多様性に対する脅威となっています。その一方で、海外では過剰な樹木利用や鉱石の採掘による生態系の劣化が現在進行形で進んでおり、グローバル化の時代において、このような国内外の対照的な傾向は表裏一体のものと言えます。

本研究の成果は、日本における哺乳類相の地域性の背後にある歴史の理解はもとより、人新世において生物多様性に長期的に回復不可能な影響を与えないような持続可能な社会づくりの方策を考えることにつながると考えられます。例えば、長期間回復困難な影響が想定される分類群を特定できれば、それが多様な場所では資源開発の優先順位を下げることや、開発の影響を緩和するための保護区を適切に設定するなどの方策を取ることが可能になると考えられます。

~以下略~

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List    投稿者 seibutusi | 2020-09-24 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2020-09-18

昆虫の闘争行動(収束先は体の大型化)対して観念動物の人間は?

多くの昆虫はメスの方が大きいが、人間及び多くの哺乳類はオスのほうが大きくなっている。これは同類闘争に勝つ為に進化したと考えられているが、この事を「昆虫の闘争行動」の研究で調べた記事が有りましたので紹介します。

同様に、近年の草食男子(精子半減)が増えている原因の一つは、個人間の肉体的同類闘争(70年代以降、貧困の消滅により直接個人の本能に訴える事が少なくなっている)が減少し、観念闘争(肉体能力<観念力)の時代を迎えた事と考えられるのでは・・(SF小説で良く出て来る未来人間の姿)

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昆虫の闘争行動

闘争は餌や配偶相手の獲得・維持に役立ちます。しかし、それと同時に、闘争にはケガのリスクや体力の消費などのコストが伴います。つまり闘争性が高ければ高いほど適応度を上げられるというわけではないのです。場合によっては(たとえば相手が明らかに自分より強そうなときなど)闘わずに逃げたほうがよいこともありえます。実際、昆虫を含めて多くの動物は状況に応じて闘うか逃げるかの戦術を使い分けていることが知られています。このような行動戦術の切り替えはどのような神経系の働きで実現されているのでしょうか。また、どのような遺伝子によって「ちょうどよい」レベルの闘争性が進化したのでしょうか。このような疑問に応えるため、私たちはテナガショウジョウバエ Drosophila prolongata を用いて研究を行っています。

多くのショウジョウバエは(そもそも多くの昆虫がそうなのですが)メスのほうが大きな体をしています。普通に繁殖するためには、オスの体は小さくてもかまわない、いやむしろ小さいほうが有利なんですね(少しの餌で成虫になれるから)。ところが、オス同士が闘う昆虫では(たとえばカブトムシなど)オスの体のほうが大きくなっています。闘いに勝たないと繁殖に参加できないため、コストをかけているんですね。つまり、どれだけオスのほうが大きいかということから、どれだけ闘争がその種にとって重要であるかを推し量ることができます。さて、テナガショウジョウバエのオスもメスよりずいぶん大きな体をしています。実際、立ち上がって組み合い、まるで相撲のように激しく闘う場面が頻繁に観察できます。どうやらなわばり行動のようです。餌の表面を占領して、そこに飛来するメスと交尾しようということのようですが、本当になわばりの維持のために闘っているのか、闘いに勝つことで実際に交尾確率が上がるのか、といった行動生態学的な問題についてはこれからの研究によって実証していかねばなりません。

キイロショウジョウバエと比べても、あるいは近縁種と比べてもテナガショウジョウバエの闘争性はずいぶん高いのですが、実はテナガショウジョウバエの種内でも闘争性に遺伝的な変異があり、ほとんど争わない系統がいるかと思えば、何十分も闘い続ける系統もいます。これらの系統を比較することで、闘争性を制御する神経系や遺伝子が明らかになるのではないかと期待しています。

また、テナガショウジョウバエの体サイズは栄養状態に大きく影響を受けます。餌を制限するととても小さなオスができるのですが、これらのオスは自分が小さいことを認識しているのでしょうか?つまり、小さいオスも他のオスに出会うまでは闘争性が高いのか、それとも生まれつき闘いを避ける傾向があるのか・・・これはすなわち、体サイズを決定する栄養状態の分子センサー機構と闘争性を制御する神経伝達物質の間にクロストークが存在するか?という問題として設定しなおすことができますが、これについてもまだ何もわかっていません。キイロショウジョウバエでは体サイズを制御するメカニズムがずいぶん明らかになっていますので、体サイズを制御する遺伝子をテナガショウジョウバエで操作して、闘争性がどう変わるかを見ることにより、闘争性と体サイズの進化を統合的に論じることができるのではないかと期待しています。

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オスの存在理由、実験で証明される

(前略)

研究者たちは10年にわたり、さまざまなゴミムシダマシ科の甲虫の集団を異なるレベルでの交配実験を行った。

いくつかの集団では、生殖サイクルごとに、90匹のオスが10匹のメスと交配するために互いに競争した。一方、別の集団では、オス・メスの数の割合をより小さくした。そうして7年間の経過を観察したあとで、研究者たちは、ストレスのかかる出来事に対する集団の抵抗力における、実験のさまざまな条件の影響を評価した。

グループ毎の遺伝的状態を評価するために、研究者たちは同系交配を利用した。つまり、互いに血縁関係にあるサンプル同士を交配させたのだ。子孫に害のある遺伝変異が発現しやすくなる状態で、このプロセスを何世代も繰り返した。

オスは役立たずではなかった!

強い性淘汰にかけられた集団は、強い耐性を示して、有害な変異が過度に蓄積して絶滅するまでに、20世代もの間、同系交配によって生み出されて生き延びた。これに対して、性淘汰がより弱かった、あるいはまったくその影響がなかったグループはより耐性がなく、10世代の間にすべて絶滅した。

したがって、オスは役立たずな存在などではなく、彼らが伴侶を見付けるための競争は、種の遺伝的優位性を保つために必要不可欠なのだ。

「これらの結果は、性淘汰がどれだけ重要であるかを示しています。なぜなら、性淘汰はネガティヴな遺伝的変異をなくし、遺伝子プールのなかにポジティヴな遺伝的変異を維持することに役立つからです」と、ゲイジは説明した。

「自身のライヴァルを効果的に打ち負かし、争いのなかで生殖のパートナーを見つけるためには、個体はあらゆる分野で優秀でなくてはなりません。このため、性淘汰は種の遺伝的優位性を維持・改善する、重要で効果的なフィルターとなります。

わたしたちが導き出した結果は、性が支配的な生殖システムであり続けているのは、性選択がこの重要な遺伝的利益を与えることを可能にするからだ、という考えを支持する重要な証拠です」

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List    投稿者 seibutusi | 2020-09-18 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2020-09-17

いまヒトの染色体で何が起きているのか? ~『性の進化史』より~

生物が雌雄に分化したのはかなり古く、生物史の初期段階とも言える藻類の段階である(補:原初的にはもっと古く、単細胞生物の「接合」の辺りから雌雄分化への歩みは始まっている)。実現論

性(オスとメス)を観ると「進化の原動力であり、多様な環境に適応できるシステム」そして「共に生きるという生命の大原則」 リンク

生物進化の原動力の「性」はどのように進化してきたのか? そして現在、「ヒトのY染色体が退化している」と警告する論文が発表されたり(2002年)、進行するヒトの世界的な精子数の減少・・・と、いまヒトの染色体で何が起きているのか?

書籍『性の進化史』 (松田洋一 2018.05.25.)より見ていきます。

ミルパパの読書日記 2019年01月27日 より。

性の進化史 松田洋一 染色体を中心に生物の性の進化の歩みをたどる

 

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 「性の進化史 いまヒトの染色体で何が起きているのか」松田洋一 2018.05.25.進化生物学の懇切なテキスト

 

~前略~

それにしても性染色体の研究が近年、これほど大きく進んでいるとは知らなかった。本書のキーワードは副題にある「いまヒトの染色体で何が起きているのか」。染色体の中でも性染色体のひとつY染色体を中心に話が進んでいく。雌雄(メスとオス)がいる個体ではXとYという性染色体が存在する。このうちY染色体は男性となることを決める性染色体だ。ヒトの染色体は全部で46本あるが、44本は22の対になっているので残る2本が性染色体となる。男性の場合、XYの組み合わせで、女性はXXの組み合わせ。Y染色体があることで男性性が獲得されるわけだ。

Y染色体が退化していると警告する論文が2002年2月、英科学誌ネイチャーに掲載された。「性の未来」と題したもので、「『ヒトのY染色体は退化の一途をたどり、やがてY染色体は消失してしまう』という衝撃的な内容でした。Y染色体とは男性だけが持つ、まさしく男性を作る染色体ですから、Y染色体が消えるということは、すなわちこの世から男性が消えてしまうことを意味します」。

論文を発表したのはオーストラリア国立大学のジェニファー・グレイブス博士。性染色体進化研究の世界的権威だ。ヒトのX染色体には現在、1500個くらいの遺伝子が存在しているが、Y染色体にあるのはわずか50個程度。哺乳類の共通祖先が誕生したときにはY染色体にもX染色体と同数の遺伝子があったと考えられるので、「かつてのY染色体に存在したほとんどの遺伝子は傷つき、そして修復されることなく壊れ、その働きが失われていったと考えられています」。

遺伝子が失われた速度を計算すると100万年に5個程度、このままでは約1000万年後、すべての遺伝子が消失してしまうという。グレイブス博士は「ヒトのY染色体中の遺伝子がすべて消えるのは500~600万年後と見積りました」 。当然ながら、この論文は大きな衝撃を与えた。筆者もそうした論文が発表されたことはかすかに記憶しているが、日本でその後、大きな反響を呼ぶことはなかったと思う。

その少し前、精子数の減少が世界中のメディアに大きく取り上げられていた。デンマーク・コペンハーゲン大学の研究者は1938年から91年にかけて男性の精子数を調べた世界中の61の研究を分析、1992年に、1940年から90年までの50年間に、平均的な精子の総数が3億8400万から1億8200万にまで減少したと発表した。これは記事にしたおぼろげな記憶がある。ただ精子の数は個人差や地域差が大きく、条件をそろえるのが難しいため、全体的には減少傾向にはあるものの、その原因ははっきりしないという趣旨の論文だったような気がする。

精子数についての研究はその後も続き、最近ではイスラエルやアメリカなどの国際研究チームが北米、ヨーロッパとオーストラリア、ニュージーランドでは1973年から2011年にかけて精子数が50%以上低下しているという研究結果をまとめ、2017年に専門誌に発表している。

世界的な精子数の減少傾向とその原因については今も議論が続く。さまざまな食品添加物、農薬などの化学物質、喫煙、電磁波が影響しているという指摘もあるそうだ。いずれも明確な科学的裏付けはなく、まだ結論は出ていない。日本国内でも環境ホルモンと呼ばれる「内分泌かく乱物質」が原因ではないか、とメディアをにぎわせた時代もあった。だが、筆者は「それを裏付ける疫学的なデータはまだほとんど得られていません。また、西欧諸国、つまり高所得の国々で強い傾向がみられることから、肥満やストレス、様々な生活要因が関係している可能性も考えられます」と述べる。

~中略~

第6章は「『性』はどのようにして決まるのか」。ここでは性を決定する仕組みについての内外の研究が紹介される。「哺乳類の場合、雌が基本形(デフォルト=本来のプログラム)であり、雄化する仕組みが働かなければ、雌になる ことがわかっています。雄と雌の違いはY染色体上のたったひとつの雄性(精巣)決定遺伝子であるSRYの有無によって決まります」。男性優位社会と言うが、デフォルトは女性なのだ。

6章から10章では日本人の研究も詳しく紹介されている。第7章「性染色体の進化過程」の冒頭にはアメリカで活躍した世界的な進化生物学者・大野乾(すすむ)博士(2000年没)の写真も掲げられている。博士は「性染色体はもともと常染色体に由来し、一方の染色体が退化あるいは矮小化して異型の性染色体に分化したと考えました」。この仮説はその後、正しいことが証明された。

「哺乳類のX染色体は、ゲノム全体の5%くらいを占めるといわれています。この特徴は、X染色体を持つ哺乳類のほとんどの種において共通にみられ、この共通性は、このことを見つけた故・大野乾博士の名にちなんで、『Ohnoの法則』と呼ばれています。(中略)ヒト、マウス、ネコ、ウマなど多くの哺乳類でX染色体に連鎖する遺伝子を比較すると、哺乳類のX染色体は種の違いを超えて遺伝的に同じである ことがわかっています」。同じ哺乳類の共通の祖先から進化していった結果だろう。こうした研究から、哺乳類の祖先が鳥類や爬虫類の祖先と別れたのは約3億2000万年前、SRY遺伝子が出現したのは約1億7000万年前から1億3000万年前と考えられている。

~中略~

第10章「進化の大きな分かれ道」では哺乳類がいかに胎盤を獲得したかが説明される。「他の脊椎動物には見られず、哺乳類だけが持つ特徴の一つに胎盤(子宮の内壁にでき、赤ちゃんに栄養を送る器官)があります」。恐竜全盛時代、「細々と生き延びてきたネズミのような小さな哺乳類の祖先は、その生き残り戦略の一つとして、胎盤を獲得することに成功しました。彼らは胎盤を持つことによって子供を体内にかかえ、いつでも安全な場所に移動することで、(中略)恐竜の全盛時代を生き延びることができたと考えられています」。

胎盤を生み出す遺伝子の研究で、胎盤を作るのには父親から受け継いだ遺伝子の働きが重要で、母親から受け継いだ遺伝子は胎児を形成するのに重要だということがわかってきた。つまり、哺乳類には父親と母親の両方の遺伝子が不可欠で、両者の遺伝子が互いの機能を補い合ってバランスよく働くというわけだ。これはゲノムインプリンティング(ゲノム刷り込み)という哺乳類特有の遺伝子発現調整機構という。こうした仕組みがあるため、哺乳類の場合は両性の存在が必須になる

こうしたことから、「精子の関与なしに卵子だけで発生して個体をつくりあげる、いわゆる単為発生は哺乳類では起こらない ことになります。一方、鳥類や爬虫類は、このゲノムインプリンティングの機構をもたないため、単為発生ができることになるわけです」。ゲノムインプリンティングというのもまったく聞いたことがなかった。

「こうしたDNAの塩基配列の変化をともなわない個体発生の多様な生命現象と、その遺伝子発現制御のメカニズムを探求する研究分野を『エピジェネティクス』(後成遺伝学)と呼んでいます。各種生物のゲノムの解読が進んだ2000年代以降、新たな研究分野として注目されるようになりました」。ゲノム解読が進んだことで誕生したまったく新しい研究分野のようだ。

~以下略~

(以上)

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List    投稿者 seibutusi | 2020-09-17 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2020-09-11

性(オス・メス)は、進化の原動力であり、多様な環境に適応できるシステム

生物史から観ると「細胞の誕生,真核細胞の誕生、そして単細胞から多細胞への変化は、進化の上で画期的なできごとと言われています。又多細胞生物というのは,構成細胞1つ1つが機能的にも形態的にも分化し,役割り分担していて,細胞集団全体(個体)として一定の形態的特徴をもち,個体としての機能的な統合がある,という特徴をもっています」参照:【実現塾】多細胞化から雌雄分化へ

その進化の中で

性(オスとメス)を観ると「進化の原動力であり、多様な環境に適応できるシステム」そして「共に生きるという生命の大原則」と言えます。

以下に

奇跡のシステム・性】について生物史からまとめている記事を転載します。

___________________________________

【奇跡のシステム・性】

オスとメスという性のシステムは、いつどのようにして生まれたか?

(前略)

単細胞生物を襲った絶滅の危機、これが性の誕生に関係があるのでは無いか?と東京大学の黒岩博士は考えています。博士が注目しているのは、クラミドモナス(直径10マイクロメートル(mm)の双鞭毛の単細胞緑藻の一種で、池、湿った土壌、排水路によく見らる)という僅か数十分の一ミリの単細胞生物です。太古の生物と同じように、普段は単純に分裂して増えます。このクラミドモナス、が、栄養不足になるとどうなるか?栄養分の全く含まれていない水の中に入れてみると、バラバラに動いていたクラミドモナスが所々で集まり始めました。よく見ると二つの細胞が震えながら近づいていきます。やがてお互いに結びつき、一つになったのです。

クラミドモナスは栄養不足に陥った時、二つの細胞が合体し一つの細胞として生き始めたのです。今度は合体した細胞を栄養のある所に戻してみます。一週間後、合体した細胞は再び分裂を始め、増えていました。しかし、分裂する前の細胞とは、大きさや色が微妙に変わっているものがありました。分裂する時に、これまでとは違う何かが起こったのです。

性の始まり

二つの異なる細胞の合体、それが性の始まりではないか?と考えられています。太古の海で絶滅の危機に直面した時、あるものは生き延びる為に隣の細胞と助け合い、お互い足りない栄養を補い合おうとしました。二つの細胞が一つになって、共に生き始めたのです。その結果、この単細胞生物は遺伝子DNAを体の中に2組持つようになりました。やがて合体した細胞は、これまでと違う分裂の仕方を始めました。まず2組のDNAがそれぞれコピーされ、4組のDNAが作られます。そして、厳しい環境にも生き残れる可能性を求めるかのように、DNA同士が近づき1部を相手のものと入れ替えます。

次に、それぞれ違う組み合わせを持った4組の遺伝子は、一つ一つの細胞に分かれてゆきます。この細胞が同じようにして出来た細胞と出合い、再び一つの細胞になります。親と違う新しい生命の誕生です。合体と分裂、そして、その度に起こる遺伝子の組替え、そのサイクルこそが性なのです。こうして性は、子供を生む度に生命の新しい可能性を広げていったのです。

オスとメスという性のシステムの完成

14億年前、長い間続いた単細胞の世界に大きな飛躍が訪れました。多細胞生物の誕生です。最初はニハイチュウのように僅か30個足らずの細胞で出来た生き物でした。しかし、バラバラだった細胞が一つになって生き始めた事は、生命の歴史の中で画期的な事でした。

大阪市立大学の団まりな博士は、性を持ちはじめた生物が多細胞生物への進化につながったと考えています。団博士は、性を持ちはじめた細胞の互いに協力し合う性質が、多細胞生物を生んだと考えています。細胞は2組の遺伝子をコピーして分裂していきました。そして、細胞同士がつながり一つの体を作っていきました。互いに協力することで、様々な環境の変化に適応できる複雑な体を作っていったのです。

子供を作る時には、一部の細胞が他の細胞とは違う分裂をはじめます。遺伝子DNAの組換えを行いDNAを1組だけ持つ細胞を作り出します。これが子孫を残す為に特別に作られた細胞、生殖細胞です。そして、新しい体を作るために他の生殖細胞との出合いを求めて離れてゆきます。多細胞生物は、単純なものからより複雑なものへと進化していきました。

様々な個性が作り出すMHCが種の絶滅の危機を乗り越える

1859年、オーストラリアがイギリスの植民地であった頃、ハンティングを楽しむ為に本国から僅かなウサギが持ち込まれました。このウサギは1年で平均12頭もの子供を産みます。オーストラリアには天敵のキツネがいないこともあって、急激に増えていきました。ウサギの大繁殖は、作物や牧草に大きな被害を与えました。様々な撲滅作戦が行われましたが、いづれもうまくいきませんでした。

そこで、オーストラリアの化学産業省は、アメリカからあるウイルスを輸入しました。それはウサギだけに感染し、やがて死をもたらすというものでした。撒かれたウイルスは、瞬く間に広まり次々とウサギは死んでいきました。2,3年でウサギは絶滅したかに見えました。しかし、この作戦は失敗でした。確実に感染すると考えられていたこのウイルスに対して、一部のウサギは、抵抗力を持っていたのです。

体の中の細胞には、免疫の働きに重要な役割を持つ組織があります。それはMHCと呼ばれ病原菌を異物と認識するいわば門番の働きをしています。このMHCの構造を見ると上の部分に独特のくぼみがあります。侵入してきた病原菌を異物と認識すると、それをこのくぼみで捕らえます。このMHCには多くのタイプがあります。くぼみの違いによって、捕らえる事のできる病原菌の種類も違ってきます。この違いが、様々な病原菌に対して抵抗力のあるなしを決めるのです。

そして、どんなMHCを持っているかは、人の場合、主にABCなど6種類の遺伝子です。しかも、6つの遺伝子のそれぞれに様々な種類がある事が知られています。例えば、Aでは20種類以上、Bでは50種類以上というように実に多くの種類があります。両親からどのような遺伝子を受け継ぐかによって、その人のMHCのタイプが決まるわけですが、それらの組み合わせの数は、何と数十億通りになるといわれています。性によって遺伝子の組換えが行われるたびに、様々なMHCの組み合わせが作り出されます。オーストラリアのウサギも、多様な種類のMHCを持っていました。その事が、予測できないウイルスの脅威から生き残る事を可能にしたと考えられています。

(中略)

生命が多様性を確保する為の不思議で巧妙な仕組み

生命にとって、どれだけ広い多様性を持てるか?どれだけ多くの個性を持てるのか?それは、生き残る為に重要な意味がありました。性のシステムの中には、その多様性を限りなく広げようとする不思議な仕組みがある事がわかってきました。アメリカ・カルフォルニア大学のスコフィールド博士は、生命が多様性を獲得する仕組みについて興味深い研究を行っています。スコフィールド博士はが注目している生物は、ヨットハーバーなどに棲むホヤの仲間です。

ホヤは、集まって群れを作って生きています。僅か1ミリほどの小さな個体が集まって管で結ばれ、栄養をやり取りするなど強く結びついています。白いグループと茶色の部ループの同じ種類のホヤ、この2つは持っている遺伝子が大きく違っています。その違うもの同士を近付けてみます。すると、管が通じ合うこともなく離れてゆきます。異物と判断して拒絶してしまったのです。本来自分と遠い遺伝子と結びつく事はないのです。しかし、子孫を残す時には、先ほどと全く逆の現象が起こります。

遺伝子の近い同じグループから、精子と卵子を取り出して受精させてみます。精子が近づいても受精は起こりません。卵子は、遺伝子の近いものを拒絶するのです。続いて、互いに異物として拒絶した2つのグループから精子と卵子を取り出し、遺伝子の遠いもの同士で受精させてみます。今度は卵子は精子を受け入れて分裂が始まりました。性のシステムが働く時には、自分となるべく異質なものと結び合う性質があるのです。

受精はいつも違う遺伝子を持っているもの同士で、行われるようになっているのです。同じもの同士で受精すると、同じ遺伝子が蓄積することになるからです。生命は可能な限り多様性を広げる為に、出来るだけ自分と違うものと結びつこうとするのです。子宮に入った精子は、女性にとって異物です。異物は本来免疫細胞によって排除されます。しかし、精子は例外です。性のシステムが働く時、異物の精子がなぜか受け入れられるのです。この不思議で巧妙な仕組みも全て、多様な生命を生み出す為にあるのです。

精子と卵子、オスとメスの出会いを確実にする為の方法の進化

(前略)

オスとメスの出合いも大きく変わりました。精子や卵子は、空気中に出されると乾燥して死んでしまいます。そこで、精子を直接メスの体内に送り込む体内受精が始まりました。そして、オスとメスが互いに引き合い仲良くする事が、必要になったのです。互いに引き合う為に体の形を変え、また様々な求愛行動も生まれました。オスとメスがいる事が、生命の世界をより豊かにしているのです。

共に生きるという生命の大原則

性のシステムは、オスとメス、男と女を作り多様な生命の世界をもたらしてくれました。そして、性のあり方が進化する中で、ボノボのように単に子孫を残すだけでなく、今を生きるもの達にとっても大きな意味を持つようになったのです。私達人間も、まさにそのような生き方をしているとも言えるのではないでしょうか?性は、実に不思議なものです。性のシステムは、違うもの同士が結びつくことから始まりました。男と女、オスとメスがいて、そして出合い、寄り添い、協力し合う、ここにも共に生きるという生命の大原則があるように思えます。

進化の原動力、性のシステム

太古の海で2つの細胞が協力する事で始まった性のシステムは、豊かで多様な生命を地球にもたらしてくれました。まさに性こそが、内に秘めた進化の原動力だったのです。子宮の中を精子が行きます。2億もの精子は、それぞれ違う遺伝子DNAを持っています。その中のたった一つが、卵子と結びつく事ができるのです。

精子は卵子にとって異質な細胞です。しかし、精子が卵子の表面に達すると、卵子を守っていた壁が開き、精子を迎え入れるのです。これがすなわち、受精です。精子のDNAが卵子の細胞の中に入ってゆき、精子と卵子、2つのDNAが寄り添うように近づいていきます。そして一つの細胞の中で共に息づき始めるのです。太古の昔、異なるもの同士が共に新しい生命を作り出した性のシステムは、今、私達にも絶えることなく受け継がれているのです。

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List    投稿者 seibutusi | 2020-09-11 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2020-09-10

海洋巨大ウイルスの生存戦略 ~全球規模の地理的分布とその特異性~

 「巨大ウイルスが持つ“免疫”の仕組みは、バクテリアのシステムに似ている」・・・
「こういった“生物的な”巨大ウイルスの活動を考えるともう、ウイルスを生き物の仲間に入れてあげてもいいんじゃないか と思いますね」
(神戸大学中屋敷教授)リンク

海洋に生息する「巨大ウイルス」について、最近の調査研究により明らかになってきたポイント

・宿主生物に感染して海洋深部へ進出
・真核微生物を宿主として海洋地域ごとにコミュニティーを形成
・地球規模の物質循環に寄与している可能性

京都大学プレスリリース より。

海洋巨大ウイルスの地理的分布を全球規模で解明
   ―海域による特異性が明らかに―

 

20200908122701 図 1.  本研究で推測された真核生物-巨大ウイルス群集間の相互作用  (左)  と、中深層への巨大ウイルスの輸送機構モデルの概略図 (右)。

1.背景

今世紀に入り、様々な環境から、粒子サイズとゲノム長で一部の単細胞生物を凌ぐほど大きなウイルスの発見が相次いでいます。冷却塔、池、温泉などから分離されたミミウイルス、パンドラウイルス、メドゥーサウイルスなどが代表するこうした「巨大ウイルス」は、生命の起源と進化に新たな謎をもたらし、構造生物学や進化学の観点から多くの研究が行われています。しかし、彼らが現在の地球上でどのような役割を担っているのか定かではありません。こうした生態学的理解には大規模な調査が必要です。

2.研究手法・成果

本研究では、国際海洋調査船タラ号により全球規模で採取した海水サンプル由来のメタゲノムデータを計算機により解析し、そこに存在する巨大ウイルスの系統を解析しました。その結果、巨大ウイルスの様々な系統がどの海域にも存在している ことが明らかになりました。また、巨大ウイルスの系統組成が、海域や大きさ(サイズ画分)により大きく異なる ことが分かりました。

特に、北極海では、巨大ウイルスはその多様性が低い一方、北極海固有の系統が多数見出されることが明らかになりました(図 2)。具体的には、北極海で観察された巨大ウイルスの 22%は他の海域では見つかりませんでした。北極海では現在、気候変動による生態系構造の変化が顕在化しており、今後巨大ウイルス群集がどのように環境変化に応答するのかに注目する必要があります。

20200908122737

図 2.  (左)  各海域で出現した巨大ウイルスの全系統数、固有の系統数、および海域間で共通に見られた系統の数。(右)  各海域におけるメタゲノムサンプル数と全出現系統数および固有系統数との関係。

また、太陽光が届く有光層(表層および亜表層クロロフィル極大層、深度 2 m~200 m)太陽光が届かない中深層(深度 200  m~1000  m)の比較でも、観察される巨大ウイルスの系統組成が顕著に異なりました。このような海域や深度による巨大ウイルスの系統分布の変動は、そこに生息する真核微生物  植物プランクトンや従属栄養原生生物)の分布と強く相関している ことを研究チームは発見しました(図 1)。

一方、不思議なことに、観察される巨大ウイルスの系統を全有光層サンプル対全中深層サンプルとで比較すると、中深層に観察される巨大ウイルスの系統はほぼ全て  99%)有光層にも存在している ことが分かりました  逆に、有光層で観察された系統の 71%が深層にも存在していました)。このことは、この二つの深度での巨大ウイルス組成が大きく異なることと対照的です。このことを説明するために、研究チームは表層と中深層で巨大ウイルスの組成を詳細に比較し、両深度での巨大ウイルス系統組成の類似度が例外的に高い場所があることを発見しました (図 3)。

さらに、こうした場所では、表層における植物プランクトンによる基礎生産(生物が二酸化炭素から有機物を生産すること)が高く、中深層で巨大ウイルスの多様性が上昇している ことまで突き止めました。研究チームは、このような現象が起こるのは、特定の海域 環境で巨大ウイルスが表層から沈降しているためであると考えています。つまり、海洋微生物生態系は有光層と中深層で一部繋がっており、個々の粒子では自重による沈降が不可能な巨大ウイルスは、真核生物に感染あるいは付着することで中深層へ輸送されている 可能性があります。

3.波及効果、今後の予定

これらの研究結果は、広い海洋において巨大ウイルスが様々な真核微生物を宿主として地域ごとにコミュニティーを形成している ことを示しています。一部の巨大ウイルスは植物プランクトンに感染することでその個体群を死滅させることがすでに報告されており、今回観察された巨大ウイルスの多様性と遍在性は、この死滅効果が全海洋の多様な生物群に及んでいることを示しています。

このことから、巨大ウイルスが真核微生物の局所的な群集動態や粒子沈降に影響を与え、その結果、地球規模の物質循環に寄与している可能性 が示唆されます。巨大ウイルスも含めてウイルス全体が海洋での物質循環にどのように関わっているのか、さらなる研究が期待されます。今回明らかになった巨大ウイルス地理分布は、そうした今後の研究の基盤になると期待されます。

 

(以上)

 

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List    投稿者 seibutusi | 2020-09-10 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2020-09-04

細菌の本当の科学:ウイルスが病気を引き起こすのか? その2

細菌の本当の科学:ウイルスが病気を引き起こすのか? その2

「新型コロナのワクチンが世界中で求められている」のマスコミ報道は、正に30年前に指摘された内容(下記の記事】である。

世界医薬産業の犯罪 化学・医学・動物実験コンビナート ハンス・リューシュ 太田龍訳】

>今日の医学は偽りの教義にすぎない。それは、化学工業界とがっちり手を組んだ医学権力が、大衆に無理強いしてくる教義である。アメリカに限らず、すべての先進工業国において状況は同じなのであるが、・・・

その上、この権力グループの目標とするものは、国民の健康などではない。健康は国民から多額の金を絞り取る口実として使われるにすぎず、真の目標は自分たちの富と力の増大なのである。

・・・

また現代医学が立脚する主な理論の一つ「細菌理論」が致命的誤謬であると指摘されており、

予防接種は果たして有効か? (予防接種が免疫低下を招く理由:抗体=免疫という嘘」との記事もある。

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わたしんちの医学革命と雑多な情報より

現代医学は宗教だ】 というロバートメンデルソン医博の説から言うと、科学ではなく宗教でコロナ感染を解決しようとしていた・・・

日本では昭和初期から岡田茂吉医学論、そして千島博士、森下博士などが同様な事を言ってきたのですが、いかんせん、トンデモ妄想論に陥れられてシマッタ日本の医学界では無視されて来ました。

ところが、ここに来て同じような話をする海外の医師らしい方の論が出てきたので、「ようやく」という思いです。

日本の先駆者たちはどういう意味で感染症を捉えていたか?

体内の汚染、血液の汚濁、霊体(エネルギー)のマイナス状態など、表現は異なるのですが、同じ事の別表現だと思います。

そして、その状態を修復、回復、修正、浄化ということを自分自身の体が行うのですが、そこに細菌やウイルスが手伝っているというような話です。

細菌やウイルスは原因ではなく、結果なのだという。

だから、現代医学は逆の説であるから、解決出来ないというのです。

病原微生物説 (細菌理論 =ウイルス理論も含まれる)は間違っている。

体内の状態が悪化している時に細菌やウイルスを使って(協力してもらって)修復する過程が病状なのである。

まあ岡田茂吉医学論では昭和の初期からいくつも論文が残っているし、千島森下氏もたくさんの論を残していると思いますので、詳しくはそちらをどうぞ。

結局、現代医学の根本の間違いがある限り、コロナどころかこれから登場するかも知れない新種の感染症には役立たずだという、ちょっと信じられない話ですね。

下記は、字幕大王様サイトからの貼り付けです。

細菌理論の致死的誤謬~ドーン・レスター

2020年5月4日2020年7月25日

ドーン・レスターによる記事「The Germ Theory: A Deadly Fallacy」の訳です。

世界中の大部分の人々は信じていることだろう、大衆の健康に責任を持つ機関の推進するヘルスケアが、例えばWHOだが、確実に「正当な科学」に基づくものであると。このシステムは「現代医療」として知られるが、科学の中でも「エリート」部署とみなされている。この示唆するところは、いかなる他のヘルスケア及び治療アプローチであっても、それはエセ科学かホラ吹きに間違いないということである。しかし、これは真実からは程遠い。

このエリート主義の態度が、その訓練中に医大学生に叩き込まれるのだ。ドクター・キャロライン・ディーンは、その著書「Death by Modern Medicine」の中でこう説明している。

事実として、我々は何度も言われるのです、我々が医大で習わないことは、ホラに違いないと。

(中略)

「現代医療」が立脚するの主な理論の一つとして、「細菌理論」がある。この理論は、バクテリアやウイルス等の微生物が身体を侵略し、病気を発生するというものだ。この理論は、1860年代早期におけるルイ・パスツールによるものとされる。そしてこれは、医療行為のうちの、大きくそして非常に重要な割合を支えているものだ。これなしでは、現代医療は不要になってしまうだろう。だから、医学界は、この致命的欠陥を認めるのを拒否するのである。

理論を唱えたものに、それを証明する責任があるのが基本的原理である。が、「細菌理論」の場合には「証明」が存在しない。元々の科学的証明が無いのである。つまり、何らかの「細菌」が、特定の感染病を起こすことの確実な証明が無い。

ドクター・M・L・レバーソンの1911/5、ロンドンにおけるレクチャーである。そこで彼が論じたことは、彼の調査によって結論に至ったという。つまり、

病気における細菌理論の全体構造は、複数の仮定に立脚しているが、これは証明されていないどころか、証明不能であり、その多くについて逆が真であることが証明されているのである。その未証明の仮定の基本的なものの一つは、完全にパスツールによるものであるが、これはいわゆる感染性伝染性のすべてが細菌によって起こされるという仮説である。

ドクター M.Beddow Baylyもまた、「細菌理論」には何らの科学的基盤も無いことを暴露している、1928年のLondon Medical Worldにおいてだ。彼は言う、

私は科学的に確立した事実を支持する準備ができている。決定的に証明された事例が一つも無いのである、何らかの微生物が特定の病気の原因であることのだ。

これは明らかであるが、「細菌理論」を裏付ける証拠というのは、その非存在によって目立ったままである。ルイ・パスツールによって提案された後何十年もだ。しかし、この状況は修正されなかった。病気の細菌理論は未証明のままであり、さらに圧倒的な証拠によって示されていることは、これが誤謬のままであることだ。

医学界による「細菌」が病気を引き起こすという宣言の権威的な本質にも関わらず、何の説明も存在しない。微生物が様々な種類の症状を起こすメカニズムである。これは人が「感染」した時に起こると主張される様々な異なる強度度合いである。ここには巨大な知識ギャップが存在する、しかし、そのどれ一つとして発見されてはいない。

(中略)

オンラインドイツ紙Faktuellによる、2005年に行われたインタビューで、ドクターStefan Lankaは、彼の分子生物学研究について述べており、力強く主張している。

私の研究では、私も他の者も病気を起こすウイルスの存在の証明をどこにも見つけることができなかった。

この記事を書いている2020/4の時点で、世界はウイルスによって起こされた「致死的」なパンデミックに見舞われていると報道されている。しかし、この記事及び我々の本が明確に示すように、このような主張を立証する証拠は存在しない。

本記事の中心的目的としては、これは強調しすぎることが無いのだが、害をなすと証明されたことが一度も無い何かに人々が脅かされていることを示すことである。この理由により、皆さんには、本記事を読むことを推奨するものである。「細菌理論」には何のリアルな科学の基盤も無いことを理解してほしい。今こそ真実と「細菌理論」が致死的誤謬であることを広めるときである。これは歴史のゴミ箱に消えなければならないのだ。

ドーン・レスター 2020/4/19

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参考までに下記の記事を付けておきます。

予防接種は果たして有効か? トレバー・ガン  ホメオパシー講義録 ホメオパシー出版 より、

【予防接種が免疫低下を招く理由(抗体=免疫という嘘)】

 

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List    投稿者 seibutusi | 2020-09-04 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2020-09-03

共生細菌が宿主昆虫の幼虫と成虫で異なる機能を担う ~昆虫の変態、暮らし方の変化、体内微生物の関係~

生物と細菌との関係を場面ごとに切り取れば「与える」「助ける」「殺す」「無関係」などさまざまで、なかには環境によって有害から有益へと変化するものもあるが、その多様な関係を「共生」という概念のもとに位置づけてゆくことで、自然界の仕組みを体系的に読み解いてゆくことができる。リンク

昆虫と細菌の様々な共生関係。今回は、同じ共生細菌が宿主昆虫の幼虫と成虫で異なる機能を担う 例を見ていきます。

 

産業技術総合研究所プレスリリース より。

共生細菌が宿主昆虫の幼虫と成虫で異なる機能を担う
   -昆虫の変態、暮らし方の変化、体内微生物の関係を解明-

ポイント

•水草を餌とする特異な生態のネクイハムシ類の共生細菌のゲノムと機能を解明
•水中で根から汁を吸う幼虫には栄養素を供給、陸上で葉を食べる成虫では酵素で消化を助ける
•昆虫の変態に伴う暮らし方の変化に体内の共生細菌がどのように関わるかを解明

概要

ドイツ ヨハネスグーテンベルク大学、マックスプランク化学生態学研究所、ハンブルク大学は、国立研究開発法人 産業技術総合研究所【理事長 石村 和彦】(以下「産総研」という)生物プロセス研究部門【研究部門長 鈴木 馨】深津 武馬 首席研究員、生物共生進化機構研究グループ 福森 香代子 元日本学術振興会特別研究員(現 国立環境研究所 博士研究員)と協力して、湿地に生息し、幼虫は水中で植物の根から汁を吸い、成虫は陸上で葉を食べるという特異な生態をもつネクイハムシ類の消化管やマルピーギ管にいる共生細菌マクロプレイコーラのゲノム解読と機能解析を行った。その結果、多くの遺伝子を失って著しく小さくなった共生細菌ゲノムの機能は、植物の汁に不足しているタンパク質の合成に必要な必須アミノ酸などの栄養素供給と、ハムシ自身は持っておらず植物の細胞壁の消化に必要なペクチン分解酵素の生産に特殊化していることを解明した。

fig

キアシネクイハムシの成虫(左)と幼虫(右)

今回、1種類の共生細菌が同じ宿主昆虫の幼虫と成虫で全く異なる機能を果たしうることを初めて明らかにした。共生進化の過程を理解するうえで興味深い新知見であるとともに、ネクイハムシ類の中には、稲やレンコンを加害するイネネクイハムシのような害虫が含まれることから、共生細菌を標的とした新たな害虫防除法の開発につながる可能性も期待される。

研究の社会的背景

微生物の高度な生物機能の理解や利用は、バイオテクノロジーなどさまざまな形で人間社会に役立っている。近年、農業害虫や衛生害虫の蔓延や病害に体内微生物が重要な役割を果たしていることや、人類の健康や疾病に腸内微生物が大きく影響することが判明し、共生微生物の重要性が基礎的、応用的、医学的に一段と大きな注目を集めるようになってきた。

昆虫類は地球上の生物多様性を代表するグループであり、多くの害虫種や有用種を含み、人間社会にも重要な関わりがある。このような昆虫類の多様性の基盤の1つとなっているのが、卵、幼虫、蛹、成虫を経る「変態」である。例えば、チョウやガの幼虫は植物の葉を食べ、成虫は花の蜜や樹液を吸うなど、同じ種であるにも関わらず、発生段階に応じて異なる食物や環境を利用できる。さまざまな昆虫類で共生微生物が重要な働きをしていることは知られていたが、共生微生物と昆虫の変態との関わりについてはよくわかっていなかった。

(中略)

研究の内容

ネクイハムシ類は湿地にみられる体長5-12 mmほどの小さな甲虫で、幼虫は水中に生息する(図1)。幼虫の尾端に1対の大きなかぎ爪があり、水草の根に差し込んで体を固定し、口から植物の根の汁を吸う(図2A, B)。消化管の前方を取り巻くように共生器官がある(図2C, D)。成虫になると、本来は排出器官であるマルピーギ管のうち2本が発達し、共生器官として機能する(図3A)。共生細菌に特異的なプローブを用いた蛍光in situハイブリダイゼーション法により、幼虫の消化管前部の共生器官と、雌成虫の肥大したマルピーギ管に共生細菌が局在することを確認した(図2E, F;図3B, C)。

fig2

図2 キアシネクイハムシ幼虫の体内構造と共生細菌の局在
(A)外観背側。(B)外観腹側。(C)内部器官背側。かぎ爪の基部から太い気管が全身にのびる。(D)内部器官腹側。消化管前部に共生器官が見える。(E)摘出した消化管における共生細菌の特異的検出。共生器官への局在がわかる。(F)摘出した共生器官における共生細菌とDNAの可視化。赤色が共生細菌、青色が核DNA。

fig3

図3 キアシネクイハムシ雌成虫の体内構造と共生細菌の局在
(A)摘出内部器官。マルピーギ管のうち2本が着色、発達している。(B)摘出内部器官における共生細菌の特異的検出。肥大したマルピーギ管に局在する。(C)マルピーギ管内の共生細菌の可視化。赤色が共生細菌、青色が核DNA。細胞内のみならず管腔内にも共生細菌が充満している。

(中略)

これらの結果から、ネクイハムシ類の共生細菌はゲノムが大幅に縮小し、必須アミノ酸などの栄養素合成と、ペクチン分解酵素の生産という、2つの機能に特殊化していることが明らかになった。植物の汁のみを吸う幼虫では欠乏しているタンパク質の合成に必要な必須アミノ酸を、植物の葉を食べる成虫では細胞壁の消化に必要なペクチン分解酵素を、それぞれ共生細菌が供給していると考えられる(図5)。

 

fig5

図5 ネクイハムシ幼虫と成虫における共生細菌の異なる機能

昆虫が幼虫から成虫に変態する過程では、形態のみならず生理や生態も大きく変化する。今回、1種類の共生細菌が同じ宿主昆虫の幼虫と成虫で全く異なる生理機能を担うことが示された。共生進化の過程で多くの遺伝子を失い、ゲノム縮小していくなかで、幼虫および成虫段階それぞれで必須な機能遺伝子が維持されてきたものと推定される。昆虫の変態に伴う暮らし方の変化に共生細菌がどのように関わりうるかを解明した成果であり、共生進化の過程を理解するうえで興味深い。

(以下略)

 

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List    投稿者 seibutusi | 2020-09-03 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2020-09-03

【実現塾】哺乳類の性闘争本能・・・強すぎる性闘争本能が作り出す限界や矛盾を乗り越えての進化

Microsoft Word - ⑤191102哺乳類の性闘争本能-01 哺乳類とは、乳を飲ませて育てる動物の総称であるが、脊椎動物に分類される哺乳綱と呼ばれる動物のことを指す。哺乳類に属する動物の種の数は、おおむね4,300から4,600ほどであり、脊索動物門の約10%、広義の動物界の約0.4%程度で、比率としては極めて小さい。

また、ヒトは哺乳綱の中の霊長目ヒト科ヒト属に分類されるので、哺乳類であり、その比率はさらに低くなる。また、ヒトやサルも含めて上記写真のような動物はすべて哺乳類である。よって、哺乳類に共通する自然の摂理を読み解くことは、今後人類がどこに向かうのかを考える上での一つの基盤となる。

そして、前回両生類→爬虫類・哺乳類への進化・・・卵生から胎生への進化を捉え直すで、酸素濃度低下で子を産み落とすまで体内で酸素を供給し続ける胎生機能と、生み落とした後も栄養を与えながら子育てを行う授乳機能を獲得し、その後、大型爬虫類から逃げて、寒冷地に向かい恒温機能をも獲得した哺乳類の進化を見てきた。

このように、哺乳類以外の、卵を産み落とすだけの動物に比べ、はるかに確実に子孫を残す機能を獲得した哺乳類だが、それゆえの弱点があった。それは、適者だけ生き残ることによって種としてより秀れた適応を実現してゆく淘汰適応の原理が働き難くなることである。

この弱点を乗り越えるために、哺乳類がとった方法は、性闘争本能の強化であった。 両生類→爬虫類・哺乳類への進化・・・卵生から胎生への進化を捉え直すの進化史を、哺乳類の生闘争本能という切り口で追求したものが以下の実現論前史ハ.哺乳類(原モグラ)時代の性闘争本能である。

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List    投稿者 sinsin | 2020-09-03 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2020-08-28

世界が驚く日本文明(最もネオテニー化した民族の文明)その2

 

前投稿に続き

>混迷を深める世界で、日本文明が注目されており、世界の共通認識になろうとしている「(日本文明≒)自然との循環共生社会」があり、「石の文明(西洋文明)から木の文明(日本文明)」、そして文化面でも「アニメ文化やマンガ文化」が世界を席巻している。

その理由として「68 日本人はネオテニー度が高いから脳が成熟する」が上げられます。

同時に脳に関する記事「右脳(先祖脳)の活用」と「母性を生み出す脳回路」も記載します

コラム 大坪信之のワンポイント徳育アドバイスより

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子どもの状態を保ったまま大人になる、ネオテニー(幼形成熟)という生物現象があります。身近な例ではイヌがそうです。オオカミの子どもの形と性質を保ったまま、大人に進化した動物がイヌだということです。

知育を考える際には、ネオテニーを考慮する必要があります。というのも私たちヒトも、実はネオテニーによって進化してきたからなのです。

ネオテニーというのは、幼少期が長くなり、かつ、大人になっても未熟だということです。未熟化というのは一見、退化のように思えるかもしれませんが、そんなことはありません。

特に脳の場合、未熟ということは、様々な知識や経験を柔軟に吸収・学習できることを意味しますよね。

私たち日本人を含むモンゴロイドは、ネオテニー度が最も進んでいます。日本人の頭が大きい、顔が平べったい、体毛が薄い、肌がすべすべしている、手足が短い点は、まさにネオテニーの特徴です。

日本人は、幼少期が比較的長く成人しても未熟である傾向が強いので、脳としては成長する時間が長くなり、より進化して成熟しているということになるわけです。

サルの幼児期が延長され、胎児のまま一生を終えるような生き物が、人類だと言うのです。そして、幼児期は知能が発達する時期ですから、幼児期が延長されたことにより、人間は今の知能を得ることができたと言うのです。

モンゴロイドとは、日本人のように赤ちゃんのときにおしりの青さが残っている人種のことです。白人や黒人も胎児期には、おしりにあざがありますが、生まれてくる前に無くなってしまいます。

日本人は、そのあざが7~8歳くらいまで残りますね。人類の中でもさらに幼児期が延長されているのです。

そして、そのモンゴロイドが最もネオテニー化が進んでおり、知的能力が大きくなる可能性があるとされているのです。

日本人が“禅”や“茶道”、“華道”といった精神的な世界観を持っていることも脳の状態から説明がつきます

モンゴロイドは、幼児期が延長されているため、論理脳が感性脳にふたをしてしまう前に、両方をバランスよく使えるような精神的な人間性能力が発達する期間が残されているのです。

(中略)

もともと日本人は人間性の高い文化を持っており、明治時代の小学校教育は、授業時間の約3割が人間性教育だったそうです。

61 右脳のイメージ記憶を活用した記憶力の向上法とは

人間が覚えやすいのは、テキスト(文章)とイメージ(画像)のどちらであるかご存知でしょうか。

正解はイメージ記憶です。文章の情報よりはるかに、大量に覚えられます。

イメージと文章の”情報量の違い”を理解するために、例えば今、あなたがいる部屋を文章で説明することを考えてみて下さい。

「ドアの色は何色で、材質はこうで、家具はこんな形をしていて・・・」といくら書いても、その部屋の写真一枚のほうが、正確に理解してもらえますよね!

覚えるときも、イメージを活用した方が、何倍も楽に覚えることができます。

これには右脳の力が関係しています。左脳の何倍もの情報処理能力を持つ右脳。その右脳が得意とするのが、イメージ記憶なのです。

ただ残念なことに、日本人の多くの人が、文章型の記憶を使っています。その分、右脳を使ったイメージ型の記憶には慣れていないのです。

実は、世の中の「記憶力に自信のある人」は、文字や言葉を「瞬間」かつ「無意識」にイメージに変換して理解しています。

そして逆に、文章を書いたり人に説明をするときは、頭に浮かんだイメージを、これまた「瞬間」かつ「無意識」に文字に変換して、脳から出力しています。

この光景を、記憶に自信のない人間が見ると、「やっぱり頭のいい人は、ドンドン頭の中に文字が吸収されているんだなぁ~」と誤解してしまいます。

そして、記憶するために、文字をたくさん書いたりして、更に記憶することを難しくしてしまいます。

人間が外部から受ける情報は、まず右脳に入ります。右脳は、別名「イメージ脳」といわれ、聴いたり見たりした情報などを、イメージを含めて、丸ごと受け取ることになります。

そして、左脳の仕事は、この情報やイメージを整理、整頓するため、さまざまなラベルをつけて、脳の引き出しにしまっておくこととなります。

つまり、右脳が受けたイメージや情報を、左脳が論理化して脳におさめておくということです。

この右脳と左脳との協力によって、頭の中に外部からの情報が蓄積されていくことになり、これが「覚える」ということになるのです。

一方で、左脳の力のみに頼るのは、単なる「暗記」となり、「思い出す」ことは困難になります。

情報をイメージ抜きで覚えるということは、言葉や数字を単なる記号として、脳にしまいこむことを意味しています。つまり「思い出す」ことが大変難しい作業となるのです。

一方、右脳のイメージ力と左脳の言語、論理作業力をバランスよく働かせるのが「記憶」であり、これにより、人間の脳は「覚える」ことと「思い出す」の2つを完璧にできるようになります。

 

 母性を生み出す脳内回路の不思議

女性の脳は、妊娠や出産を経て大きく変化するといわれています。そのひとつが「母性回路」と呼ばれる脳内の神経系。この「母性回路」が、妊娠時に分泌されるホルモンによって活性化すると考えられているのです。

女性の脳内を機能MRIという装置で調べた結果、女性が男性に対して抱く恋愛感情と自分の子どもに対して抱く愛情は、ほぼ同質のものだということもわかりました。これはつまり、 恋愛感情を作り出すホルモンには中毒性があることから、母親の子どもに対する愛にも中毒性があるという意味になります。女性の脳には、子どもの世話をして愛情を注ぐことに対し中毒になってしまうくらい心地いいと感じてしまうシステムが備わっているのです。

なぜ女性の脳には、そのようなシステムがあるのでしょうか。それは太古の昔より、子どもを育て、子孫を残していくという仕事が人生でもっとも困難な仕事だったからです。成し遂げ難い仕事だからこそ、進化の過程で子育てに喜びが感じられるような報酬システムが女性の脳に構築され、困難を乗り越えてでも子育てが達成されるように遺伝的にプログラムされたというわけなのです。それだけ子育てとは重大で尊い作業だといえるでしょう。

また、子育てによって母親の脳機能も高まっていきます。女性は妊娠すると、妊娠前に比べて五感が鋭くなることがわかっています。

たとえば嗅覚。妊娠すると嗅覚が鋭くなり、妊娠以前は気にもならなかったような些細な臭いの違いにも敏感になります。なぜこのような変化が起こるのかというと、胎児に悪影響をおよぼす危険性の ある食物を嗅ぎ分けて避けるため。ちなみに食べ物に対する鋭い嗅覚は、出産後にはなくなってしまうのだといいます。

また、ほとんどの母親が自分の赤ちゃんの声を聞き分けることができたり、泣き声に即座に反応したりすることから、母親になると聴覚も敏感になるといわれています。

同様に、子どもを危険にさらさないよう周囲への注意力が高まるという意味から、妊娠している女性は妊娠していない女性に比べて格段に視覚能力が高まることもわかっています。

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List    投稿者 seibutusi | 2020-08-28 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments »