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昆虫の闘争行動(収束先は体の大型化)対して観念動物の人間は?

Posted By seibutusi On 2020年9月18日 @ 10:10 AM In ⑧科学ニュースより | No Comments

多くの昆虫はメスの方が大きいが、人間及び多くの哺乳類はオスのほうが大きくなっている。これは同類闘争に勝つ為に進化したと考えられているが、この事を「昆虫の闘争行動」の研究で調べた記事が有りましたので紹介します。

同様に、近年の草食男子(精子半減)が増えている原因の一つは、個人間の肉体的同類闘争(70年代以降、貧困の消滅により直接個人の本能に訴える事が少なくなっている)が減少し、観念闘争(肉体能力<観念力)の時代を迎えた事と考えられるのでは・・(SF小説で良く出て来る未来人間の姿)

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昆虫の闘争行動 [1]

闘争は餌や配偶相手の獲得・維持に役立ちます。しかし、それと同時に、闘争にはケガのリスクや体力の消費などのコストが伴います。つまり闘争性が高ければ高いほど適応度を上げられるというわけではないのです。場合によっては(たとえば相手が明らかに自分より強そうなときなど)闘わずに逃げたほうがよいこともありえます。実際、昆虫を含めて多くの動物は状況に応じて闘うか逃げるかの戦術を使い分けていることが知られています。このような行動戦術の切り替えはどのような神経系の働きで実現されているのでしょうか。また、どのような遺伝子によって「ちょうどよい」レベルの闘争性が進化したのでしょうか。このような疑問に応えるため、私たちはテナガショウジョウバエ Drosophila prolongata を用いて研究を行っています。

多くのショウジョウバエは(そもそも多くの昆虫がそうなのですが)メスのほうが大きな体をしています。普通に繁殖するためには、オスの体は小さくてもかまわない、いやむしろ小さいほうが有利なんですね(少しの餌で成虫になれるから)。ところが、オス同士が闘う昆虫では(たとえばカブトムシなど)オスの体のほうが大きくなっています。闘いに勝たないと繁殖に参加できないため、コストをかけているんですね。つまり、どれだけオスのほうが大きいかということから、どれだけ闘争がその種にとって重要であるかを推し量ることができます。さて、テナガショウジョウバエのオスもメスよりずいぶん大きな体をしています。実際、立ち上がって組み合い、まるで相撲のように激しく闘う場面が頻繁に観察できます。どうやらなわばり行動のようです。餌の表面を占領して、そこに飛来するメスと交尾しようということのようですが、本当になわばりの維持のために闘っているのか、闘いに勝つことで実際に交尾確率が上がるのか、といった行動生態学的な問題についてはこれからの研究によって実証していかねばなりません。

キイロショウジョウバエと比べても、あるいは近縁種と比べてもテナガショウジョウバエの闘争性はずいぶん高いのですが、実はテナガショウジョウバエの種内でも闘争性に遺伝的な変異があり、ほとんど争わない系統がいるかと思えば、何十分も闘い続ける系統もいます。これらの系統を比較することで、闘争性を制御する神経系や遺伝子が明らかになるのではないかと期待しています。

また、テナガショウジョウバエの体サイズは栄養状態に大きく影響を受けます。餌を制限するととても小さなオスができるのですが、これらのオスは自分が小さいことを認識しているのでしょうか?つまり、小さいオスも他のオスに出会うまでは闘争性が高いのか、それとも生まれつき闘いを避ける傾向があるのか・・・これはすなわち、体サイズを決定する栄養状態の分子センサー機構と闘争性を制御する神経伝達物質の間にクロストークが存在するか?という問題として設定しなおすことができますが、これについてもまだ何もわかっていません。キイロショウジョウバエでは体サイズを制御するメカニズムがずいぶん明らかになっていますので、体サイズを制御する遺伝子をテナガショウジョウバエで操作して、闘争性がどう変わるかを見ることにより、闘争性と体サイズの進化を統合的に論じることができるのではないかと期待しています。

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オスの存在理由、実験で証明される [2]

(前略)

研究者たちは10年にわたり、さまざまなゴミムシダマシ科の甲虫の集団を異なるレベルでの交配実験を行った。

いくつかの集団では、生殖サイクルごとに、90匹のオスが10匹のメスと交配するために互いに競争した。一方、別の集団では、オス・メスの数の割合をより小さくした。そうして7年間の経過を観察したあとで、研究者たちは、ストレスのかかる出来事に対する集団の抵抗力における、実験のさまざまな条件の影響を評価した。

グループ毎の遺伝的状態を評価するために、研究者たちは同系交配を利用した。つまり、互いに血縁関係にあるサンプル同士を交配させたのだ。子孫に害のある遺伝変異が発現しやすくなる状態で、このプロセスを何世代も繰り返した。

オスは役立たずではなかった!

強い性淘汰にかけられた集団は、強い耐性を示して、有害な変異が過度に蓄積して絶滅するまでに、20世代もの間、同系交配によって生み出されて生き延びた。これに対して、性淘汰がより弱かった、あるいはまったくその影響がなかったグループはより耐性がなく、10世代の間にすべて絶滅した。

したがって、オスは役立たずな存在などではなく、彼らが伴侶を見付けるための競争は、種の遺伝的優位性を保つために必要不可欠なのだ。

「これらの結果は、性淘汰がどれだけ重要であるかを示しています。なぜなら、性淘汰はネガティヴな遺伝的変異をなくし、遺伝子プールのなかにポジティヴな遺伝的変異を維持することに役立つからです」と、ゲイジは説明した。

「自身のライヴァルを効果的に打ち負かし、争いのなかで生殖のパートナーを見つけるためには、個体はあらゆる分野で優秀でなくてはなりません。このため、性淘汰は種の遺伝的優位性を維持・改善する、重要で効果的なフィルターとなります。

わたしたちが導き出した結果は、性が支配的な生殖システムであり続けているのは、性選択がこの重要な遺伝的利益を与えることを可能にするからだ、という考えを支持する重要な証拠です」

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[1] 昆虫の闘争行動: https://sites.google.com/a/utlae.org/jp/research/prolongata/aggression

[2] オスの存在理由、実験で証明される: http://seibutu-no-rekishi.cocolog-nifty.com/blog/2018/12/post-5487.html

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