2020-12-10

日本は「まわりじゅう食べものだらけ」~人間の身体と大地は繋がっている

最近の報道で「コロナ禍の世界 飢餓の拡大を止めたい:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)」「今、世界では「飢餓パンデミック」と流されている。

前回の記事で、数百年続く日本企業は「共同体の和と自然との和生物原理」を持っている と記載しました

その中で自然との和を生かす「日本料理」】を紹介しましたが、

今回は、日本の食材について 記載した記事を紹介します

日本人は、日本列島で採れる豊かな食材に合った身体を発達させてきた

「まわりじゅう食べものだらけ(我々の先祖は、代々、この恵まれた自然の中で得られる食べ物で生活していました。3里四方で採れる食材だけで栄養は十分でした。)」

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人間の身体と大地は繋がっている~「身土不二(しんどふじ)」の思想 (リンク

■1.「身土不二」の思想「身土不二」という言葉を聞かれたことがあるでしょうか。

「身」すなわち人間の身体と、その人間が生まれ育った「土」つまり大地は「不二」、二つではなく一体だという思想です。

考えて見れば、私たちの身体は食べたものを分解し、そこから得られた栄養素から形成されています。そして、すべての食物はもともと、大地から育った植物か、それを食べて育った動物でした。

したがって、我々の身体は食べ物を通じて大地と繋がっているのです。

この認識の上で、身土不二は、生まれた場所から歩いて行ける範囲、3里(12km)ないし4里(16km)の範囲で育った食物を食べるのが良いという思想です。

タイの養殖エビ、カリフォルニアのオレンジ、オーストラリアの牛肉を日常的に食べている我々の現代の生活から見れば、とんでもない暴論に聞こえます。 しかし、この説には科学的根拠がないわけではありません。たとえば、日本人には牛乳を飲むとお腹を壊す人が少なくありません。これは牛乳が、もともと日本の土地で生み出された飲み物ではないからです。

■2.牛乳でお腹を壊さない方が少数派

インドから独立したバングラデシュがたび重なる洪水と飢餓で苦しんでいるため、フランス政府が救援物資として粉ミルクを贈ったことがありました。ところが、それを飲んだバングラデシュの人たちが下痢と腹痛を訴え、死者まで出る騒ぎになったそうです。

(中略)

調査の結果、驚くべき発見がありました。

まず、すべての人類は、生まれてから7歳ぐらいまでは乳に含まれる乳糖(ラクトーゼ)を消化吸収する酵素(ラクターゼ)をもっています。これがないと母乳を飲んでも下痢してしまうのです。

ところが一部の人々では、7歳を過ぎるとラクターゼが消滅する事が判りました。バングラデシュの人たちもブラジルの人も、ラクターゼをもっていなかったことが症状の原因だったのです。

当初、このラクターゼ欠乏症は一部の人々とみられていました。しかし、調査が進むにつれて、じつはそれが世界の多数派で、むしろ7歳以降もラクターゼを持っている人々の方が、世界全体で20%程度の少数派であるという事実が判明しました。

■3.ヨーロッパの自然環境の貧しさから生まれた牛乳を飲む習慣

成人してもラクターゼを持っているのは、スウェーデンやノルウェーでほぼ90%と、ヨーロッパ北部が中心でした。 ヨーロッパ北部は寒冷のため濃緑色の葉物野菜は育たず、不足するカルシウムを摂取するために、6千年ほど前に牛や羊の家畜化を始めてから、その乳を飲むようになったのです。その過程で、離乳期が終わってもラクターゼを分泌し続ける体質が突然変異で現れ、適者生存でヨーロッパ人の主流となりました。

したがって、ヨーロッパ人が牛乳を飲むのは、厳しい気候のもとで野菜に恵まれない風土に、やむなく適応した結果なのです。言わば、彼らなりの「身土不二」の実践でした。

明治時代に医学や栄養学の指導者としてやってきたのは、北ヨーロッパに住むドイツ人が中心でしたので、牛乳を飲むことを「文明的」な食事として推奨しました。この誤解が今も続いているようです。

ヨーロッパ人のような体質の突然変異を経験せず、自然の豊かな国土に住む日本人は、わざわざ牛乳をカルシウム源として飲む必要はありませんでした。小松菜や大根の葉など濃緑色の葉物野菜、および味噌、豆腐、納豆など大豆を使った食品で十分にカルシウムを採れるからです。特に大根の葉は同じ重量の牛乳に比べて、2倍のカルシウムを含んでいます。

■4.「まわりじゅう食べものだらけ」

ヨーロッパに比べれば、日本列島の自然の豊かさは歴然としています。鹿児島に住んでいるあるアメリカ人女性は「日本の田舎の人は、食べものに囲まれて暮らしている」と言って、こう続けたそうです。

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海に出れば魚、貝類、海草、山へ行けば木の実、草の実、山菜。季節ごとにいろんな食べものがとれる.こんな豊かな自然はほかにないわ。まわりじゅう食べものだらけ。

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我々の先祖は、代々、この恵まれた自然の中で得られる食べ物で生活していました。3里四方で採れる食材だけで栄養は十分でした。 上の発言に「海草」が出てきますが、最近の研究では海草を分解できる腸内細菌を持っているのは、世界の中でも日本人だけだそうです。多くの外国人は寿司は好きでも、海苔は「ブラック・ペーパー」と言って嫌います。海苔の食物繊維を消化できず、そのまま排泄してしまうのですね。日本人は海草類を食べ続けた過程で、それに適した細菌を腸内に取り込んだようです。[大腸]  日本の伝統食に関して、島田博士はこう結論づけています。

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私たちの先祖が大事にしてきた米、粟、麦、ソバなどは、澱粉の供給源として非常に優れたものである。これで十分な炭水化物と若干の蛋白質は確保できるから、あとは蛋白質と脂肪の供給源があれば三大栄養素は大丈夫である。大豆はこの両方を満足させる食品である。日本人が穀類(米とは限らない)と大豆を核とした食生活を営んできたことは理にかなったことであった。他にいくらかの野菜があればビタミンもミネラルも必要な量は確保できる。

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■5.欧米人を驚かせた、かつての日本人の体力

戦国時代に日本に上陸した最初のキリシタン宣教師フランシスコ・ザビエルは、日本人を観察して「彼らは時々魚を食膳に供し米や麦も食べるが少量である。ただし野菜や山菜は豊富だ。それでいてこの国の人達は不思議なほど達者であり、まれに高齢に達するものも多数いる」と書き残しています。 明治初年に日本で動物学・生理学を教えたアメリカ人のエドワード・モースは、人力車の「車夫たちは長休みもしないで、三十哩(今でいうおよそ50km)を殆ど継続的に走った」と驚きを語っています。[アグリコ日記]

これに比べれば、現代日本人は、かつてのご先祖様よりはるかに豊かな栄養をとっているのに、これほどの体力はありません。逆に国民病とも言われるスギ花粉症などに悩まされています。

和歌山県の山村に住む医師の報告によれば、山林労働者は大量にスギ花粉を吸っているはずなのに、スギ花粉症の人はほとんどいないとの事です。原因を調べてみると、山林労働者の朝食は米飯が95%であるのに、スギ花粉症の人々は60%がパン食でした。そこでスギ花粉症の人々の朝食をパンから米飯に変えると、ほとんどの人の症状が楽になったそうです。 この原因として、麦は米に比べるとほとんどが輸入のため収穫したあとに農薬をかける(ポストハーベスト農薬)ので残留農薬が多い、パンは米に比べ食品添加物が多い、などが考えられています。[山下、p210]

■6.「米を食べるとバカになる」

(中略)

米飯食からパン食に変わったのは、それを促進した一大キャンペーンがあったからです。昭和30年代、日本は高度経済成長のためにアメリカへの工業製品輸出を増やす必要がありました。そのためには輸出入のバランスから、アメリカからの食料輸入を増やすことが求められました。食料輸入を増やせば、農村の労働力を大量に都市部に移して、工業化を促進することができます。 アメリカとしても、農産物の対日輸出を増やすことは大歓迎です。こうして日本人の米飯食をやめさせ、パン食に切り替えることは、当時としては一石三鳥の政策だったのです。 そこで日本人にパンを食べさせようというキャンペーンが大々的になされました。当時、大脳生理学の専門学者が米食を否定し、それをもとに製粉・製パン業界が「米を食べるとバカになる」というパンフレットを何十万部もばら撒きました。朝日新聞も昭和32年9月3日の『天声人語』で、こう述べています。

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List    投稿者 seibutusi | 2020-12-10 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2020-12-10

「日本文化に学ぶサステナビリティ」~江戸時代の循環型社会から学ぶ~

「持続可能な社会」の実現態、それが江戸時代 リンク

“和”のパワーを原動力にした日本企業が世界で活躍している。リンク

コロナ禍で世界経済が急下降し、世界が大転換期に直面している今。その突破口は「和のパワー」にあるのかも知れません。

今こそ、現代人が「日本文化」、中でも「江戸時代」に学ぶべき点は何か。

江戸時代の循環型社会について今年6月に開催されたイベントのレポートより、考えていきたいと思います。

以下、「IDEAS FOR GOOD」の【イベントレポート】2020.8.17. より。

「日本文化に学ぶサステナビリティ」
江戸時代の循環型社会から学ぶサーキュラーエドノミー

欧州を中心に発展したサーキュラーエコノミー(循環型経済)の概念は、今や中国や東南アジア、南米・アフリカなどでも広がりを見せている。

日本でも、特に江戸時代に循環型社会が確立していたとよくいわれる。一体、具体的にどのような点が「循環型」だったのか、そして現代に適用できるものはないのか。

そんな問いを探るオンラインセミナー「日本文化に学ぶサステナビリティ」が2020年6月8日に一般社団法人サステナブル・ビジネス・ハブ(以下、SBH)と世界のソーシャルグッドなアイデアマガジン「IDEAS FOR GOOD」の共催で開催された。第一回のテーマは「サーキュラーエドノミー~江戸時代の循環型社会を学ぼう~」だ。

今回は、イベントの中から特に印象に残った部分をご紹介する。

・登壇者

北林功さん(一般社団法人サステナブル・ビジネス・ハブ 理事、リサーチャー/COS KYOTO株式会社 代表取締役、コーディネーター/一般社団法人Design Week Kyoto実行委員会 代表理事)

沼野利和さん(一般社団法人サステナブル・ビジネス・ハブ理事、事務局長/グロービス経営大学院准教授/公益財団法人小笠原流煎茶道 教授・評議員)

加藤遼さん(一般社団法人サステナブル・ビジネス・ハブ 理事、プロデューサー/IDEAS FOR GOOD Business Design Lab. 所長/内閣官房シェアリングエコノミー 伝道師)

・ファシリテーター

加藤佑(ハーチ株式会社 代表取締役/IDEAS FOR GOOD 編集長)

なぜ、江戸時代は循環型社会を実現していたといわれるのか

まず、ファシリテーターの加藤による、世界におけるサーキュラーエコノミーの動きの共有からイベントはスタート。英国サーキュラーエコノミーの推進機関エレン・マッカーサー財団の「サーキュラーエコノミーの3原則」や「取って使って捨てる」リニア型モデルからの転換、経済的利益と環境負荷の分離など、世界のサーキュラーエコノミーの考え方や潮流が説明された。

続いて、このような海外の動きを踏まえつつ、江戸時代の日本の循環型社会はどのようなものだったか北林さんより解説された。

最盛期の江戸の人口は100万人を超えていたといわれ、世界最大級の都市であった。さらに、江戸時代後期の日本の人口は約3,300万人で安定していた。「発展や変化を抑えることで安定を作ったのが江戸幕府だったのです」と、北林さんは言う。“安定”が循環型社会を実現するうえでキーワードになってくるということだろう。

さらに、北林さんは「江戸という世界最大級の都市は、エネルギーや農業、商品がすべてオーガニックで循環していた」と説明した。具体的にはどんな点が循環型だったのか、下記で紹介された事例のいくつかをご紹介しよう。

● 下肥(しもごえ)

江戸の循環型社会を構成する要素は多くあるが、なかでも肥料として使う人糞尿を表す「下肥(しもごえ)」は重要なポイントだという。大都市である江戸から排出された下肥は農村に買い取られ、肥料として利用されていた。すなわち、江戸は消費地でもあったが、肥料の一大産地としても機能していたということである。「下肥を買うための競争入札まで行われていたほど貴重でした」と、北林さんは言う。

これはサーキュラーエコノミーと食の観点において重要なポイントとなる。都市を単なる一大消費地ではなく、資源やエネルギーが集まる生産地にもしていく方策は、近郊(都市)農業・廃棄物の資源化というサーキュラーエコノミーの文脈で、世界中で採用されている。

● 5R

江戸時代では5R(Reuse, Reuse, Repair, Recycle+Return)が実現されていた。「Return(還す)」について北林さんは次のように説明する。「基本的に製品は有機物で成り立っていて、土に還る原料でできていたため、Returnが江戸時代の一つのポイントでした」

さらに江戸時代には、「Repair(修理)」や「Recycle(リサイクル)」の要でもある静脈産業が発展していたのも特徴だ。紙屑広い・紙屑買い・古着屋・古傘買い・灰買い・空樽買い・ホウキ買いなど、あらゆる製品に修理やリサイクルが実践されていたという。資源が限られていたからこそ、ダウンサイクルしながらも最後まで使い切り、土に戻そうという文化があった。

● 時間の概念

江戸の循環型社会の前提となるのは、何世代にもわたって大きく生活や産業が変わらないと当時の人々が認識していたことだと北林さんは指摘する。「今植えた木は孫の時代に使えるようになるので、『孫のために植える』といった思考がありました。超低成長で変化がゆっくりな時代であったからこそ、子孫のことまで考える持続可能な思考に至ったのです」江戸時代は世代間を超えて、長い目でモノを作ることが意識されていた。長い目でモノを見るからこそ、「長期間製品を維持し、修理しよう」というマインドが生まれていたのだろう。

北林さんからは他にも、衣食住それぞれの循環の仕組みや修理が前提にあるデザインなどが共有された。

生物多様性のなかで育まれた日本文化

沼野さんは、文化や文明と自然環境の関係を紐解いた。自然環境から「文明」が生まれ、文明が長く続き「文化」が生まれる。したがって、文明は自然環境あっての文明で、文化は文明あっての文化であるという。

実は日本には約5,600種の維管束植物が生息し、そのうち1,950種が日本固有のものだという。日本の27倍の土地の広さを有するヨーロッパに生息する維管束植物は約2,000種だ。日本がいかに生物多様な国であることがわかるだろう。

自然との接点が多く存在し、複雑な生物多様性のなかで生きている日本人だからこそ、「自然をコントロールする」方向ではなく、「自然と共に生きる」方向に進んでいったのではないかと沼野さんは指摘する。例えば、昔から人間と植物との接点を表すものとして、「やまとことば」が挙げられる。「“はな”は花・鼻」、「“は”は葉・歯」など、人と植物(自然)の一体感が示されている。江戸の循環型社会を考えるうえで、日本人の自然との一体感は重要なカギになるだろう。

働き方とサーキュラーエコノミー

加藤遼さんは、働き方の視点からサーキュラーエコノミーにアプローチした。「働くとは、『はたを楽にする』という近くの人たちを楽しませ、楽にするといった意味があります。労働・対価・消費するという一方通行ではなく、周りの人を楽にし、人と自然の関係性のなかで生活が成り立っていくということではないでしょうか。コロナ禍がまさにこの傾向を加速させると考えています。そのため、『働く』の語源に立ち返ることも重要ではないかと思います」

「人間の技術の進化によって、ご近所さんとの付き合いが増えたり、家庭菜園ができたり、自分でモノを作れたりと、地域との関係が強くなり、生産者と消費者の垣根がなくなっていくのではないかと考えています。職住近接は今後のテーマになっていくでしょう」

職住近接や地域コミュニティの強固なつながりがあり中央集権的ではない分散型社会は、まさに江戸時代が実現していたことである。

結果、現代にどう適用するのか

では、私たちは江戸時代の循環型な社会のしくみをどう活かせばいいのか。

加藤は、効率性とレジリエンスを軸に、「効率性は低いが、レジリエンスが高かった江戸時代」と「効率性は高いが、レジリエンスは低い現代」を融合させていくには、テクノロジーの力が重要になると話す。グローバル経済(現代)とローカル経済(江戸時代)をテクノロジーの力で組み合わせた分散型のグローカル経済を実現することが、これからの目指すべき方向ではないだろうか。

~以下略~

(以上)

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List    投稿者 seibutusi | 2020-12-10 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2020-12-03

数百年続く日本企業は「共同体の和と自然との和≒生物原理」を持っています

生物史から観て「持続可能な開発目標 (SDGs)社会」は正しいか?(リスト)の続きです

現在、世界共通目標になろうとしている認識

自然との循環共生社会

持続可能な開発目標 (SDGs)社会

が有りますが、SDGsの中の「持続可能な開発の三側面、経済・社会・環境を調和させる。:古来、日本においては老舗企業(数百年に及び長寿企業)は「三方よし」を経営哲学としている」

最先端を行っている日本企業にスポットを当てた投稿が有りましたので転載します

国際派日本人養成講座「和」のパワーでグローバルに活躍する日本企業

> 三方よしとは、結局、従業員、顧客、社会への貢献を目的として、和を以て働く事ですが、その和には二種類あります。共同体の和と自然との和です

★千年以上の老舗企業が今も発展している

★企業間の和の力を発揮している「自動車産業」

★自然との和を生かす「電子部品産業」、「日本料理」

 

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“和”のパワーを原動力にした日本企業が世界で活躍している。

■1.千年以上の老舗企業が今も発展している

ヨーロッパには創業200年以上の長寿企業を会員とするエノキアン協会がありますが、欧州企業の最古参は1502年創業のドイツの”The Coating Company”です。近年は日本企業も入会を始め、現在のトップは石川県の温泉旅館「法師」です。717年創業ですから、欧州最古参よりもさらに800年も古いのです。 しかし、日本では「法師」よりもさらに古い企業がいくつもあります。578年創業の金剛組(大阪、社寺建設)、587年池坊華道会(京都、華道茶道教授)を筆頭に千年以上の会社が10社ほどもあるのです。

■2.三方よし経営が長寿企業を生んだ なぜ、これほど我が国には長寿企業が多いのでしょうか?

「三方よし」がその秘密だと考えます。何百年という間には、従業員、顧客、世間のニーズは不断に変化していきますが、売り手よし、買い手よし、世間よしを心がけていれば、変化を機敏に把握して、現時点で何をすることが、売り手・買い手・世間のためになるかをよく考え、時代と共に変化していくことができます。

たとえば、羊羹(ようかん)などで有名な虎屋は室町時代後期の創業との由で、500年ほどの長寿企業ですが、求められる甘さも時代によって変わっていくといいます。同じ甘味でも、戦争直後、甘いものが不足している時代に感じる甘さと、現代のように和洋菓子が豊富にある中での甘さは感じ方が違うそうです。したがって、甘みも時代によって変えていかなければなりません。 虎屋17代当主・黒川光博氏は「伝統は革新を連続させることにある」と言われています。何百年もの間の絶え間ない革新の連続が積み重なって、長寿企業の伝統が形成されていくのです。そういう革新を続けていく原動力が、三方よしの精神なのです。

(中略)

■5.和の力を発揮している自動車産業

三方よしとは、結局、従業員、顧客、社会への貢献を目的として、和を以て働く事ですが、その和には二種類あります。共同体の和と自然との和です。 自動車分野は日本企業がまだまだ強く、2019年の販売台数ランキングで見ると、1位はフォルクスワーゲンの1097万台ですが、2位はわずか23万台差でトヨタ自動車、3位はルノー・日産・三菱自動車連合で、日系メーカーとは言いがたいですが、旧日系企業分が過半を占めています。7位にはホンダが入っています。 スマホやパソコンでは日系企業の影が薄くなってしまいましたが、なぜ自動車では日系企業がこれほど頑張っているのでしょうか?

この点は東京大学ものづくり経営研究センターの藤本隆宏教授が主張されている「擦り合わせ」という言葉で説明できます。 車のボンネットを開けてみれば、多くの部品がぎっしりと詰め込まれています。それらは自動車メーカーを中心に多くの部品メーカーが、互いの機能の連携や空間の取り合いに関して「擦り合わせ」をしながら、車全体の信頼性や性能、コストを追求しているのです。「擦り合わせ」ができるのは、企業間に「和」があるからです。 これに比べると、スマホやパソコンは標準部品を市場から購入して、組み立てることで製品ができます。個別製品のために開発しなければならない部品はそうありません。ほとんど組立メーカーの単独の力だけで、製品を作れるのです。 自動車産業ではまさしく、日本の人々の「和」の力を原動力として、日系企業が世界市場で活躍しているのです。

■6.自然との和を生かす電子部品産業

スマホやパソコンでは日系企業の影が薄くなりましたが、実はそれらの中には、日系企業が作っている電子部品がたくさん使われています。アップルのiPhoneや、中国のファーウェイなどのスマホの中を見れば、日本製の電子部品がたくさん見つかります。 電子部品の世界生産額は25兆円、そこで日本企業は約40%のシェアを持っています。

上位は日本電産、村田製作所、TDK、京セラ、等々、日本企業が独占しています。電子部品は、物質の特性を引き出す開発、製造プロセスでも高度な素材管理、清浄度管理、設備管理などが必要であり、中国や韓国では一朝一夕に真似のできない分野なのです。 なぜ電子部品では、これほど日系企業が強いのでしょうか?

たとえば多くのスマホでは受信するとブルブルと震える機能がついていますが、そこでは大きさ4ミリほどの超小型モーターが使われています。そのブラシは直径0.01ミリ、髪の毛の細さの1/8ほどの金の極細線で作られています。 世界に金の極細線を供給しているのが、田中貴金属工業です。同社は明治18(1885)年に東京日本橋で両替商「田中商店」として出発しました。金は錆びず、熱や薬品にも強く、導電性も高く、さらに薄く長く伸ばせます。1グラムの純金を、太さ0.05ミリの線にすると、3千メートルにもなります。そうした貴金属の特長を、長年磨いてきた加工技術で引き出しているのです。 同社ではさらに、プラチナでガン細胞の成長を抑えるとか、銀にカドミウムを加えて接点としての性能をあげる、など、貴金属の新しい特性を引き出す革新的な研究開発を続けています。同社の技術開発部門長の本郷茂人(まさひと)氏はこう語っています。

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貴金属のほうから、そういう特性を世に出してくれ、出してくれって言っているような気がするんですよ。われわれが特性を探し出すんじゃなくてね。世の中に出してくれ、出してくれと言っているものを出してやるように努力するのが、われわれの仕事じゃないかと思うんです。[野村,p46]

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すべてのものは「神の分け命」です。それぞれの「神の分け命」の声を聞いて、その可能性を最大限に引き出し、処を得られるようにしていくことは、まさに自然との和の協同作業です。

エレクトロニクス化が進む自動車分野や医療分野でも電子部品のニーズは高まりつつあり、一層の高精密部品が求められていきますから、日本企業の活躍の場はさらに広がっていくでしょう。

■7.ミシュラン星付き店、東京はパリの2倍。 製造業以外にも、日本人が「和」の力をフルに発揮して、世界で存在感を示している分野があります。日本料理がその一つです。世界の一流レストランを国別や都市別にガイドブックにしている『ミシュランガイド』では、東京版が星付きレストラン226軒で、従来に引き続き世界一となりました。本場パリが113軒、ニューヨークが77軒に比べると、独走状態です。 東京ばかりでなく、京都106軒、大阪98軒も、ニューヨーク以上ですね。日本版のガイドを発行している日本ミシュランタイヤのポール・ペリニオ社長は次のように語っています。

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驚くのが、日本のどこに行ってもその地方だけで1冊のレストランガイドを作るだけのコンテンツがあるということです。・・・これまで、(北は北海道から南は九州まで)色々なエリアを取り上げたガイドブックを発行してきましたが、どこに行っても本として成立することに感動します。 日本各地のガイドブックを積み重ねると、何十センチもの高さになる。フランスのミシュランガイドは全国をカバーする1冊だけです。(JOG注: 日本は)飲食店の数が多く、平均レベルがとても高いんですね。[グルメクラブ]

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日本料理の特質は、素材の味を最大限に引き出すことです。日本列島の多種多様な自然の恵みを生かして、各地域でその土地ならではの料理が発達しています。それはまさに自然との「和」の産物なのです。

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List    投稿者 seibutusi | 2020-12-03 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2020-12-03

脳内の死細胞を掃除する新たなメカニズム~ミクログリアの機能低下を「アストロサイト」がバックアップする~

>グリア細胞は主に3種類ある。アストロサイト、オリゴデンドロサイト、ミクログリアだ。アストロサイト、オリゴデンドロサイトはじめ脳内の他の細胞は神経外胚葉に由来であるのに、ミクログリアだけは骨髄系の白血球由来だ。<
>つまりマクロファージは脳を除く全ての体細胞に備わっているが、ただ唯一、脳はその防御システムである脳血液関門でその侵入を防いでいる。その為に脳専用に備わった免疫物質がミクログリアである。<

以上、ミクログリアは「脳内のマクロファージ」 より。

グリア細胞の内、「ミクログリア」は「脳内の掃除屋」と言われていますが、死細胞を貪食し除去する機能が低下したときに別のグリア細胞「アストロサイト」がその機能を補っていることが、研究により分かったようです。

脳内ではグリア細胞(ミクログリア、アストロサイト他)らの細胞群が、各々の役割(機能)を超えて柔軟に補い合いながら、脳内の状況(外圧)に適応しているのではないか と考えられます。

以下、academistJournal(名古屋大学の教授らによる記事) より。

脳内の死細胞を掃除する新たなメカニズムとは? – 脳内環境維持のためのバックアップシステム

脳内の死細胞はどのように掃除されるか?

私たちの脳内では健康な状態でも毎日少しずつ細胞が死んでいます。また、脳梗塞や脊髄損傷などの神経損傷時には非常に多くの細胞が死にます。死細胞の蓄積は炎症などさまざまな悪影響を脳内にもたらすため、死細胞の速やかな除去は脳内環境の維持にとって重要であると考えられています。

脳に存在するマクロファージ類縁細胞「ミクログリア」は、マクロファージと同様に強い貪食能力(細胞外の不要物を細胞内に取り込み分解する能力)を持ち、死細胞を貪食し除去する「脳内の掃除屋」として知られています。

しかし、加齢に伴い脳内で細胞死は加速する一方で、ミクログリアの貪食能力は低下すると考えられています。また、神経損傷時には非常に多くの細胞が一度に死ぬため、すべての死細胞をミクログリアだけで貪食し除去しているとは考えにくく、ミクログリアには依存しない別の死細胞除去システムが脳内に存在することが示唆されてきました。

画像1

—脳内において死細胞除去を担うのはミクログリアであると考えられているが、ミクログリアに依存しない死細胞除去システムも存在すると考えられる。

ミクログリアが不在のとき、別の「脳内の掃除屋」は現れるか?

私たちは、「脳の掃除屋であるミクログリアを人工的に死滅させたとき、その残骸はどのように掃除されるのか?」を観察することにより、別の死細胞除去システムが現れるのではないかと予想しました。そこで、近年私たちが確立したマウス実験系を用いてミクログリア特異的に細胞死を引き起こし、その後ミクログリアの残骸がどのような経緯をたどるのか観察しました。

すると予想通り、ミクログリアが不在の状態でもミクログリア残骸は脳内から速やかに除去されたことから、ミクログリアに依存しない死細胞除去システムが脳内に実在することが示されました。

ミクログリアの機能低下を「アストロサイト」がバックアップする

ミクログリア以外のどの細胞が脳内の掃除に関与しているのかヒントを得るために、脳の分子発現解析を行いました。その結果、「アストロサイト」(血液脳関門の形成やシナプス伝達などに関わることが知られている細胞)の細胞活性化の指標となる分子の発現が上昇していることがわかりました。

そこで私たちは、アストロサイトの関与を考え、アストロサイトとミクログリア残骸の位置関係を脳切片上で観察した結果、活性化したアストロサイトがミクログリア残骸を貪食していることが明らかになりました。

さらに、私たちはアストロサイトがミクログリア残骸を貪食するときに用いる分子群を同定しました。それらの貪食関連分子群は、アストロサイトがミクログリア残骸を貪食しているときだけでなく、通常時においてもアストロサイトに発現していたことから、アストロサイトは通常状態から貪食細胞としての機能を備えていることが示されました。

以上で示されたアストロサイトの貪食作用は、ミクログリアを死滅させるという通常では起こり得ない環境下で観察された現象です。そこで、ミクログリアの貪食機能が低下するという自然に起こり得る環境下においても、アストロサイトは貪食能力を発揮するか検証しました。

通常状態のマウス脳を観察していると、稀ながらも自然死した細胞が見つかります。その自然死した細胞は、野生型マウスでは100%の確率でミクログリアに貪食されていたことから、従来から言われてきたように、ミクログリアは脳内の主要な貪食細胞であることが確認されました。

それに対し、ミクログリアの機能低下が起こる遺伝子欠損マウス(IRF8欠損マウス: ミクログリアが正常に分化せず本来の細胞機能を発揮できない)では、死細胞の約半数がミクログリアではなくアストロサイトに貪食されていました。これらの結果から、アストロサイトの貪食作用はミクログリアの機能低下により現れるバックアップシステムであることが示されました。

画像4

—自然死した細胞(青)は、野生型マウス(図左)ではミクログリア(赤)に取り囲まれていたが、ミクログリアの機能低下が起こるIRF8欠損マウス(図右)ではアストロサイト(緑)に取り囲まれていた。

アストロサイトのさらなる理解を目指して

アストロサイトの貪食能力の有無やその意義、さらにミクログリア貪食能力との相違点については、これまで謎が多い状態でした。本研究から、通常時からアストロサイトは貪食能力を備えていること、また、その貪食能力はミクログリアが機能低下を起こしたときに発揮されることが明らかとなりました。

画像5

—ミクログリア不在または機能不全のときにアストロサイトは貪食機能を発揮する。

今後、ミクログリアとアストロサイトの両細胞が持つ貪食作用を相互制御することにより、加齢や神経損傷時の脳内から異物や死細胞を効率的に除去し、脳内環境を整えることが可能になると期待されます。そのためには、「アストロサイトがミクログリアの機能低下を、どのように認識し貪食機能を発動するのか?」という疑問をまず解決する必要があると考え、現在研究を進めています。

(以上)

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List    投稿者 seibutusi | 2020-12-03 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2020-11-27

生物史から観て「持続可能な開発目標 (SDGs)社会」は正しいか?

生物史から混迷を深める世界を読み解くと、世界支配を目論む人は人類の未来をどう考えて居るのか?

世界的には。2000年頃から国連を中心にミレニアム開発目標 (MDGs)が採択され2015年からMDGsが達成できなかったものを実現することを目指す持続可能な開発目標 (SDGs)が採択され実行に移されている。

ここ最近のTVは、コロナ禍に続いて、持続可能な開発目標 (SDGs)が取り上げ、世論形成を図っている様である。

★現在、世界共通目標になろうとしている認識

自然との循環共生社会

持続可能な開発目標 (SDGs)社会

今回は持続可能な開発目標 (SDGs)社会について生物史から考察する

注)(ウィキペヂアより)SDGsは持続可能な開発目標( Sustainable Development Goals: SDGs)とは国連の持続可能な開発のための国際目標であり、2015年9月の国連総会で採択された『我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ』(Transforming our world: the 2030 Agenda for Sustainable Development)を目指す

持続可能な開発目標 (SDGs) は以下の項目を実行する為の世界の指導者の契約書

【主要には貧困の消滅及び先進国との格差是正:人類特有の私権(私有財産確保)の問題で自然界には存在しない】

  • すべての人々の人権を実現し、ジェンダー平等と全ての女性と女児の能力強化を達成することを目指す。

【生物は進化するにつれて役割分化を進めている(メス:安定と充足 オス:外敵闘争)】進化の法則に反する

  • 統合され、不可分のもので、持続可能な開発の三側面、経済・社会・環境を調和させる。

【古来、日本においては老舗企業(持続可能では実現されて来た。売り手よし、買い手よし、世間よし。いわゆる「三方よし」が経営哲学となっている】

日本国内では、地方創生SDGs・「環境未来都市」構想(地方創生推進事務局)が発表されています。

「三方よし」のビジネスモデル 未来に永続する事業の必須条件

を参照にして纏めました

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現代の資本主義の企業は

【初期】

利益第一「企業体は「株主価値の最大化」を経営目標とし、株主価値は、企業価値と等価であり、その最大化こそが経営の目的とされる。」

【1970年頃】・・先進国で豊かさ実現(環境問題のクローズUP)

社会存在としてCSR(企業の社会的責任 / Corporate Social Responsibility)が問われ始める

【2000年以降】

社会起業やCSV(Creating Shared Value:共有価値の創出)などが求められている。

【近い将来】・・「社会的意義」と「創造する未来」を目指す

日本の老舗をモデルとするを企業≒永続する企業

(近江商人の哲学「三方(売り手・買い手・世間)よし」を旨とする)

「買い手よし」は、「顧客セグメント」と「顧客価値」で定義され、どのような顧客に、どのような「価値」を提供するかを考える。これはあらゆる事業の基本的な要素である。「売り手よし」は、「収益の流れ」と「自組織への意義」で定義される。売り手にとってどのような収益をもたらすのかという直接的な便益と事業が組織にうみ出す便益、たとえば、受け継がれている経営理念の実現に寄与する、自組織の社会的認知度が向上する、自組織の構成員の動機づけにつながるなどが想定される。

最後の「世間よし」は「社会的意義」と「創造する未来」によって表現される。ここでいう社会的意義とは事業の全体が社会に対してどのような貢献を果たしているかということである。事業体と社会を分離して考えるのではなく、社会の一部、社会の公器として事業が果たしている役割である。たとえば「価値提案」では、顧客の欲求に対して何を提供するのかという提案がなされるが、「社会的意義」では、それらを越えて社会に対してなしうる貢献を明記すべきである。

もとより事業が存続することで、雇用をうみだす、事業パートナーの活性化に繋がる、地域の経済に貢献する、社会の課題解決につながるなどさまざまなかたちで社会に貢献することが可能である。社会的意義とは、いわゆる社会起業のように、社会課題の解決に特化することだけでうまれるものではなく、事業運営をしていく上で重要な資源である「ヒト」「モノ」「カネ」を適切に活用すること自体が、既に大きな社会的意義を含んでいるのである。

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List    投稿者 seibutusi | 2020-11-27 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2020-11-20

人類奴隷化計画は「人類の家畜化≒人類の幼児化」なのか?

前回の記事

「世界支配を考えている人間は、「本能(右脳)を封鎖し、従順な人を創る(人類奴隷化計画)生物の多様性原理に反する」事を目指しているのか?」と記載しましたが

人類奴隷化計画は、西洋では度々登場(選民思想他)しており、その起源は、遊牧民の生産手段の一つ「動物の家畜化(犬・ヤギ・豚他)」から「オスの去勢(闘争本能を削除し従順なメス化)→宦官(西アジアおよび中国の帝国)」そして「本能(右脳)を封鎖し、従順な人を創る」と考えられる。

西洋文明では現在でも「人の理性こそが人の本能(≒自然)を制御することが出来る」そして「子供は獣と一緒であるので幼児から躾が大切」などが常識となっている。

世界の先進国の中で日本のみが、上記の思想に染まってない可能性が高い。

日本人の特質「最もネオテニー化した民族自然との循環共生社会創出」】参照

一方で、動物の家畜化≒人類のネオテニー化の危険性についての記事も有りましたので転載します。

注1「家畜化」とは Wikipediaに書いてある内容

一般的に、家畜化によって、動物には以下のような変化が生じる。

・気性がおとなしくなり、人間に服従しやすくなる。

・脳が縮小する。

・人間にとって有用な部位が肥大化する。

……このような現象は、人間の保護下にあることで、自然選択の圧力かがかからなくなるために引き起こされるものと考えられる。

同様の傾向がヒトにも見られ、これを自己家畜化と言う。

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農耕はなぜ幼児化なのか (

【農耕のはじまりとともに、人間は人間の家畜となった。】

なぜか。

農耕社会が私有財産を生んだからだ。

ひとびとは定住するようになったので、食べ物や住居を持ち運ぶ必要がなくなった。そして穀物は保存が効く(おもしろいことに、タロイモを主食とする部族は比較的平等社会である。これはタロイモがすぐ腐るからである)。このことが何を可能にしたか。他人の労働によって食べていく権力者である。

狩猟採集社会にはこういった権力者はありえなかった。たとえばキリンを一頭しとめても、それを独り占めすることはできない。すぐに腐ってしまうし、重たくて持ち運ぶのは困難だ。富は重荷である。人々は自然に食料を分け与えた。

農耕の広がりとともに、階級社会が始まったといえる。

【奴隷道徳のはじまり】

階級社会では、ひとびとは支配者と被支配に分断される。すべての階級社会はピラミッド構造。支配されるものの方が多い。つまり、農耕社会(=文明社会)は大多数の奴隷と少数の主人で構成される。

支配階級は農民が雌牛を飼育するように、農民を「飼って」いた。つまり支配階級は農民を家畜化していったのである。

【支配者にとって望ましい被支配者】

支配者は「利益」と「統制」の最大化を求める。

では、支配者にとって望ましい被支配者とはなにか? 従順で、言うことを聞き、臆病で脅しに容易に屈し、我慢強く、信じ込みやすく、意志や知能が低く、力が弱く、しかし体力がある健康な人間である。これらは……幼児的である。

こういった人間は支配者を喜ばせたので、何千年もの間繁栄していった。

【支配者にとって望ましくない被支配者】

逆に支配者にとって望ましくない被支配者とはなにか? 反抗的で命令に従わず、独立的で階級に反発をいだき、利己的で集団の和を乱し、自由を求め、反権威主義的な人物である。

こういった人間は、何千年もの歴史の間何度も「除去」された。その繰り返しは、農耕が始まって1万年。300世代くらい繰りかえされただろう。

――もっとも、支配は双方向的である。

被支配者たちもまた「よりよく支配されること」を望んでいた。配偶者としては自営業者よりサラリーマンの方が好まれるものだ。親は子どもを従順な人間に育てる。その方が幸福に生きられるからである。

自発的隷従によって被支配的な人々が再生産される。言ってしまえば、ニーチェの言う「奴隷道徳」は農耕のはじまりとともに存在するのである。

【野生の人間と養殖の人間】

私たちは「養殖の人間」である。これは比喩的な表現だけど。

「天然の人類」たち――農耕を知らない(あるいはJames C. Scottによれば農耕を拒絶してきた人々)は容易に権力に屈服しない。ピクォート戦争で捕らえられたインディアンのように。

また、彼らは非常に単純というか、衝動的に生きる。ブッシュマンに牧畜を教えようとしたが、彼らは与えられたヤギをすぐさま食べてしまったという。 まあ、野蛮というか素直というか。

【人類は一万年前とは違う】

人類は農耕が始まってから変わった。

それは単に「文化」にとどまらない。遺伝子レベルで人間は変わったのである。

オーストラリアの原住民たちは「野生の人間」の性質を保持していると言われる。

インディアン、アボリジニー、アイヌ民族、ハワイ人。

彼らは単に「先にそこにいた」から虐殺されたのではなかった。彼らは容易に家畜化されなかったから殺されたのである。反逆した者は殺され、服従する者は生き延びた。それだけの話だ。

なんて残酷なんだろう! と思われるかもしれない。しかしこれは歴史上常に行われてきたことだ。

適応性の高い者が子孫を繁栄させる。それが生物の法則である。

私たちの社会では、攻撃性や独立心は生存に不要だ。「よりよく支配される」者の方が繁栄する。従順な労働者(会社員)の方が、ホームレスやフリーターより子孫を持つ。

【まとめ 人間は変わる必要があるのだろうか】

「農耕を採用したことは人類最大の誤りだった」と主張する人がいる

たしかに農耕によって国家が生まれた。階級が生まれた。ひとびとは土地に縛られ、税金を奪われ、自由を失った。過酷な労働や過剰な人口密度、伝染病に苦しめられることになった。

人類のネオテニー化は初期人類に見られるとも言われる。つまり25万年前から家畜化されている。だから、人類から家畜化の傾向はなくなることはないのかもしれない。

しかし、農耕の始まりによって人類は急激に家畜化されたこともまた事実だろう。それは人間が、イヌ、ネコなどと同じように人間を支配するようになったからである。

現在も人間の家畜化は進んでいる。支配関係はますます巧妙に、強力になっている。

しかしそれでも、人間というのはおもしろい。支配されることに我慢ならない人――自由を求める人はつねに存在する。かっこよくいえば、ネコの中の獅子、イヌの中の狼である。

私たちは家畜であることを続けるべきなのだろうか。それとも、「野生の人間」に戻るべきなのか。それはまだ結論がつけられないが。

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List    投稿者 seibutusi | 2020-11-20 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2020-11-13

マスク社会の危険性「それは表情を学ぶ機会を失った赤ちゃんたちによる『人の感情を理解しない人々の社会』の出現」

先の実現塾(リンク)にて、 コロナ禍による重大な影響の一つ「人の最重要なコミュニケ―ション方法は、相手の表情を読み取り、理解し合うことであり、マスクはそれを阻害する。」との話があった。

世界支配を考えている人間は、「本能(右脳)を封鎖し、従順な人を創る(人類奴隷化計画)≒生物の多様性原理に反する」事を目指しているのか?

同様な問題指摘をしている記事がありますので以下に転載します。

リンク

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マスク社会の本当の危険性がわかってしまった

(要約しました)

>生まれたばかりの赤ちゃんたちは表情を理解していないことがわかった.

>最初、人間は、「人の感情と表情というものに関しての見識がない状態で生まれる」のです。

しかし、どんどん赤ちゃんたちは人の表情を理解し始める。

論文などを見ますと、 1歳までに赤ちゃんが人の顔を見ることがいかに重要か」ということを突きつけられます。

このような事実がある中で、

「人類史上初めてとなる、数カ月あるいは数年にわたる顔の見えない社会」

が、今、展開されています。

【感情がわからない人間集団による社会。】

(エピソードー1)

私の仕事上のお客さんに、今年の2月に赤ちゃんが生まれたご夫婦がいます。2月といえばコロナが騒がれ始めた頃で、その頃から人々のマスク率がだんだん上がりました。そのご夫婦もいつもマスク姿です。そして、半年以上が過ぎたのですが、その赤ちゃんは何となく表情が乏しいのです。ふつう赤ちゃんは話しかけたり笑いかけると、こちらを見て、ほや~と微笑むと思うのですが、その赤ちゃんはあまり目を合わせないし、微笑みが少ないような気がします。考えてみれば、当然かもしれません。だって、そのご夫婦は家の中ではマスクは外すでしょうが、外に出ると、その赤ちゃんから見ればお父さんもお母さんも、周りの人々もほとんどマスクしているのですから。

そして、ソーシャルディスタンスのせいで、人と人が距離を取るようになり、本来なら色々な人が赤ちゃんのそばに来て、笑顔で話しかけたり、頭を撫でたり、ほっぺたをさわったりするはずなのに、周りの人も遠慮してあまり赤ちゃんに近寄らないのではないでしょうか。コロナ騒動はすべての年代の人々に影響を与えていると思いますが、生まれたばかりの赤ちゃんに与える影響は計り知れないような気がします。

赤ちゃんはいつ表情を理解する?

研究によれば、人間は比較的小さな段階で、「幸せ、悲しみ、怒り」の表情を区別することを学ぶようだが、「驚き、恐怖、嫌悪感」などの、より微妙な表情を習得するのはもう少し成長してからになることがわかってきている。

新生児は「周囲の顔」で感じている

赤ちゃんたちは、生まれた瞬間から、周囲の人々の顔を探している。児童発達研究協会(50か国以上の研究者による非営利の学際団体)の調査によると、生後 1ヵ月未満の赤ちゃんでさえ、スクランブル加工した(画像を撹乱した)顔の画像ではなく、鮮明な顔の画像を見る方を好むことが示されている。

また、1989年の研究では、生まれたばかりの乳幼児は、母親の顔と見知らぬ女性たちの顔を見せると、数時間後には、母親の画像を他の画像よりも長く見つめ、母親の顔と見知らぬ女性たちの顔を区別できることが研究で示されている。

しかし、顔の「表情」を認識することについての議論は、1800年代後半から続けられており、現代の科学者たちも議論を続けている。

2007年に発表された「新生児の表情の知覚」という論文では、生まれて 24時間以内の 17人の健康な新生児たちに、表情の知覚についてのテストを行ったが、新生児たちは、怖い顔と中立の顔を区別することもできず、好みを示すこともまったくできないことがわかった。

つまり、生まれたばかりの時には、赤ちゃんたちは表情を理解していないことがわかったのだ。しかし彼らは、生まれてから、わずか数日のうちに、表情に対しての認識をつけていく。

その後、赤ちゃんたちの感情的知性は急激に上昇する。科学誌サイエンスに掲載された 1982年の大規模な研究(論文「新生児の表情の差別と模倣」)では、生後5ヵ月目の子どもたちは、「悲しい顔」に対して「悲しい声」で合わせることができ、2008年に行われた研究では、 1歳の子どもが人の表情から社会的な手がかりを掴んでいることがわかった。

たとえば、登ると危険かもしれない斜面と遭遇する。その時、母親を見て「母親が笑っているなら、そこを登る」という判断をおこなっていた。

人の顔の表情への反応は、赤ちゃんの年齢が高くなるにつれて、さらに上昇する。また、別の研究では、赤ちゃんたちは、新しいオモチャがあっても、母親が元気づけて微笑まない限り、そのオモチャに近づくことを避けることがわかった。

十代までに、驚き、恐れ、嫌悪感を学ぶ

2015年に研究者たちは英国の 478人の子どもたちと青年を調査し、表情の理解が年代とともにどのように進展するかを追跡する最初の強力な研究を発表した。

研究では、子どもたちに、「幸せ、悲しい、怒っている、恐怖、嫌悪感、驚いている」の 6つの感情の顔の 60枚の写真を見せた。

子どもたちは顔を見るたびに、その表情が、「幸せ、悲しい、怒っている、恐怖、嫌悪感、驚いている」のどれに相当するかを答えた。

子どもたちのすべての年齢で、「幸せ、悲しい、怒っている」は認識された。

しかし、8歳以下の子どもたちの中で「驚き」の顔を正確に検知した子どもはほとんどいなかった。また、14歳以下では「嫌悪感」の表情を検出できず、16歳以下は「恐怖」の感情を検出できなかった。

喜びや悲しみのような「根源的」な感情の表現よりも、驚き、嫌悪感、恐怖などの感情を子どもたちが識別することに、なぜ多くの時間がかかるのかは今のところわかっていない。

__________________

以上です

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List    投稿者 seibutusi | 2020-11-13 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2020-11-12

縄文人が感染していた古代ウイルスから、縄文人の生活実態を探る

縄文体質とは何か?」6つのキーワードで見てきました。
“自然”・“職人気質”・“仲間意識”・“はたらく”・“性”・“信仰”リンク
縄文体質を濃厚に持っている日本人。縄文人とはどんな人々だったのか?様々な追求がされています。

また、>我々は陸地だけでなく海水も含めて、膨大な数のウイルスに囲まれて生きているリンク
ウイルスについても、その実態が明らかにされてきています。

今回は、縄文人の歯髄から得られたDNAに含まれるウイルスのゲノム配列を解析して、縄文人の生活様式やウイルスの進化過程を探ろうという研究 を紹介します。

縄文人の時代においても、人類はウイルスと共に生きていたことが分かります。

 

国立遺伝学研究所プレスリリース(2020年9月28日) より。

縄文人が感染していた古代ウイルスのゲノム配列を特定
~縄文人ウイルスから解き明かすウイルス進化過程~

概要

過去に日本列島で生活していた縄文人(1)のゲノム配列(2)を調べることにより、縄文人のルーツや目の色、お酒に強いかなど、さまざまなことがわかってきました。一方で、縄文人がどのようなウイルスに感染していたのかをはじめとしてわからないことも種々残されています。

情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所の西村瑠佳さん (総研大遺伝学専攻大学院生) と井ノ上逸朗教授らの研究グループは、縄文人の歯髄から得られた DNA を用い、そこに含まれるウイルスのゲノム配列を決定し、解析を行いました。その結果、11 種類のウイルスのゲノム配列が見つかりました。

中でも Siphovirus contig89 (CT89) (3)と呼ばれるヒトの口腔内に生息するウイルスについては完全長のゲノム配列データを得ることができました。さらに現代の CT89 ウイルスとゲノム配列を比較した結果、本研究で見つかった CT89 のゲノム配列は、CT89 の祖先型ゲノム配列を反映していることが示唆されました。

今後は、CT89 ウイルスがどれくらいの速さで進化してきたのか、どのような進化過程を辿ったのかなどを詳細に解析するとともに、糞石をはじめとする縄文人化石の他の部位にも注目し、縄文人に感染していたと思われる古代ウイルスを多く見つけていく予定です。

縄文

 図 1:古代 DNA からわかるさまざまなことの今と未來

 古代人骨の化石に残存する DNA を抽出し、そのゲノム配列を調べることで、どの生物由来の DNA か推定できる。多くの DNA は古代人に由来し、それらの情報によって古代人のルーツや表現型などの解析が盛んに行われてきた。
一方で、古代人骨から DNA を採取すると、古代人に感染していた細菌やウイルスに由来する DNA も含まれていることがわかってきた。細菌やウイルスのゲノム情報に注目することで、古代人の生活様式や病気、ウイルス進化について推定できる

 研究の背景

古代人骨の化石には DNA が残存しています。この DNA を採取すると、古代人由来の DNA だけではなく、古代人に感染していたと考えられる細菌やウイルスの DNA も一緒に採取されてくることがわかっています。

このウイルス DNA に注目し、古代から現代にかけて起こった塩基配列の変化を調べることによって、ウイルスがどのような進化を遂げたのかを考察することができます。すなわち、このように古代人骨の化石から採取したウイルスの塩基配列を現代のウイルスの塩基配列と比較することで、現代のウイルスの塩基配列のみに注目した際に生じる時間的なバイアスを排除した進化過程の推定が可能になるのです。

しかしながら、日本列島で過去に生活していた縄文人に感染していたウイルスをはじめとする微生物の研究は進んでいませんでした。そこで、本研究チームは、縄文人にどのようなウイルスが感染していて、そのウイルスはどのように進化してきたのかを解き明かすことに挑戦しました。

本研究の成果

縄文人骨の歯髄に含まれる全ての DNA の塩基配列を次世代シークエンサー(4)で決定しました。その中で現代のウイルスと類似の塩基配列を持つゲノム配列を探索したところ、11 種類のウイルスのゲノム配列を見つけることができました。中でも約 3800 年前の北海道船泊遺跡の縄文人骨から見つかった  Siphovirus contig89

(CT89) というウイルスはほぼ完全なゲノム配列が復元できました。この CT89 はヒト口腔内の細菌に感染するファージ(5)であることがわかっています。3800 年前の人骨から完全長のファージ配列を再構成した例は世界で初めてです。さらに、現生の CT89 のゲノムは部分配列しかデータベース上に登録されていませんでしたが、今回の解析により、未知の領域の配列も明らかにすることができたのです(図 2)。

図2

 図 2:縄文時代の CT89 とデータベース上の CT89 のゲノム構造

 上段に縄文時代の CT89 のゲノム構造を、下段にデータベース上の CT89 のゲノム構造を示した。矢印はそれぞれのゲノム上に存在する遺伝子を示している。中でも機能を持つと推定されたものは色をつけて示してあり、遺伝子名が記されている。どの遺伝子もウイルスに特徴的な遺伝子であることがわかっている。灰色の矢印は推定タンパク質である。また、左上の領域はデータベース上には登録のない、新たに同定された領域である。

~以下略~

用語解説

(1). 縄文人
約 2900~16000 年前に日本列島で生活していたとされる古代人。古代人化石の年代は年代測定技術を用いることで推定が可能である。

(2). ゲノム配列
ある生物の持つ全てのDNA 塩基配列を指す。

(3). Siphovirus contig89 (CT89)
健康な現代人の口腔内から見つかったウイルスの一種。

(4). 次世代シーケンサー
数億に及ぶDNA の断片を高速に配列決定できる装置の総称であり、この装置を用いることによって大量のゲノム配列を決定することが可能となる。

(5). ファージ
ウイルスの中でも細菌を宿主とするウイルス。]

(以上)

 

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List    投稿者 seibutusi | 2020-11-12 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2020-11-06

日本人の特質「最もネオテニー化した民族≒自然との循環共生社会創出」

ユーラシア大陸の東端の島国日本と西端の島国イギリスは地勢的に似通った海洋国と言われていたが、国民性は大きく異なっている。

日本は、協調性(母系集団)、イギリスは武力と観念(父系集団)による統一国家。

両国とも、古代の原住民は多神教でアニミズムで原始共同体を維持していたが、

大きな相違点は、日本は大陸の侵攻による戦闘が殆どなく、「自然との循環共生社会≒周りは味方」で、一方のイギリスは大陸からの異民族の侵攻で王朝(支配する民族)が度々変わり、「武力と近代観念≒自民族以外は敵」で統合されている。

現在でもイギリスはユナイテッドキングダムと言われ4つの民族の集合体であり、反目しあっている。(イングランド⇔ウェールズ⇔スコットランド⇔アイルランド)

改めて次世代のモデルとなる日本人「最もネオテニー化(子どもの状態を保ったまま大人になる)した民族」の特質を記載します。

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ネオテニー進化論

19世紀までの世界は白人優越の人種差別の時代であった。有色人種は人間とみなされず白人の奴隷とされていた。

この世界観を打ち破ったのは日露戦争に勝利した黄色人種の日本であった。日露戦争の意義は「白人優越という世界史の流れを変えた」ことである。さらに敗れたとはいえ大東亜戦争により白人優越の人種差別の息の根を止めたのも日本なのである。これを可能にしたのはなんであったか?そこにはあまり知られていない必然性がある。その必然性の一つにネオテニーがある。

(中略)

人間にはネグロイド(黒人)、コーカソイド(白人)、モンゴロイド(黄色人種)の三つの人種がある。ネオテニーに関してこの三種族を見ていくと興味深いことが分ってくる。ネオテニーの期間の長さはモンゴロイドが最も長く、次いでコーカソイド、最も短いのがネグロイドである。

幼児化は大人社会に極めて高い社交性を要求する。幼児化しないチンパンジーはオス間の競争が激しく、相互協力の集団は小さくて一時的になる。アフリカで乾燥した新しい住環境を生き延びたのは、固く結束した大集団で生活していける人類の祖先だったわけだ。

黒人や西洋人に比べてモンゴロイドの幼児化レベルが高いのは、モンゴロイドが寒さの厳しい環境で生き残るためだった。幼児を保護(幼児化維持)するためには大人たちが社交性や協調性を高め大きな集団を作ることが必要条件であった。そのため東洋人(黄色人種)は平等主義で社会主義的であり、西洋人は競争的で自由市場経済を志向する傾向にあるというわけだ。

(中略)

国際優生学会も初めは白人優位を研究するものだったが、研究すればするほど動物に近いのは黄色人種より白人であることが分ってきてしまった。ヒトはサルから進化して動物的な特徴を失ってきたと優生学でいうが、日本人に比べ白人は体毛が濃く、汗腺なども動物に近く体臭が強く、白人優位説には都合の悪い研究結果が出てきて学会も尻つぼみとなってしまった。

西洋文明の悪しき影響をあまり受けなかった明治の初めころ、来日した西欧人が等しく感心したのは「日本は子供の国だ、子供がとても大事にされている」ということだった。当時、西欧では子供は労働力として小さい頃から酷使されるのが普通で、西欧人にとって日本は子供の天国に見えたのであろう。これこそまさに日本がネオテニーだったことを証明しているのではないか。この日本の優れた環境(特に子供にとって)は急速に破壊され今日に至っている。

子供を育てる環境で大事なことは男女の役割分担である。男と女はそれぞれに得手不得手があり、自然にそれに従うのが子供にとって一番良いことなのである。浅薄で野蛮な西欧文明ではこの真理が分らず男女平等などと子供にとって最悪の環境を良しとしている。それを真に受ける西欧かぶれの学者や知識人が嘘を発表する。男女平等で子供は社会が育てる、女性はどんどん社会進出すべし、政治家も半分は女でなければならない等々。マスコミもこれを垂れ流し一般の人はそれを真に受ける悪しき構図となっている。

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なぜ日本人は幼児的なのか~日本文化のネオテニー的性格~

https://nogatera.hatenablog.com/entry/2020/09/06/001634

「どの文化でも、家族という集団は、利益追求のための機能的集団(ゲゼルシャフト)ではなくて、愛の共同体(ゲマインシャフト)である。ただ、多くの文化では、子供たちは、ゲマインシャフトから追い出されて、ゲゼルシャフトの中で大人として成熟していくのに対して、日本人は、いつまでもゲマインシャフトの温情主義的なぬくもりの中に留まろうとする。戦前の日本政府は、国“家”を、天皇を家長とする家族に喩えた。戦後、国家のイデオロギーが崩壊すると、日本人は、会社に家庭的なゲマインシャフトを求めた。そして、人見知りする幼児のように、日本人は、共同体内部では親密な人間関係を築きながら、よそ者に対しては、引っ込み思案な態度を示す。」

「周りが色白のお嬢さんばかりなら、一人だけガングロ・ヤマンバでいることは恥ずかしいことだし、周りが不良少女ばかりならば、一人だけ良い子ぶりっ子でいることは恥ずかしい。このように、恥は、鏡像的な他者との相対的な関係で決まる、浮き上がることを恐れる感情に過ぎない。」

「これに対して、罪は、超越的で普遍的な規範に違反したときの意識である。罪の文化の人は、もし自分が正しいことをしていると確信しているならば、周囲から笑われても、恥ずかしいとは思わずに、むしろ周囲が無知なのだと考える。日本人には、唯一神から与えられた、超越的で普遍的な規範はない。だから、しばしば主義主張に節操がない。かつて鬼畜米英を叫んでいた日本人が、一転して親米的になったのを見て、マッカーサーは、日本人の精神年齢が12歳だと言ったが、このように、罪の文化から見れば、恥の文化は幼児的に見える。アリストテレスも、『ニコマコス倫理学』の中で、恥は『若年者にふさわしい感情』だと書いている。」

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List    投稿者 seibutusi | 2020-11-06 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2020-11-05

ストレス耐性は親から子へ継承される ~腸-生殖腺の組織間コミュニケーション~

しかもこのメチル化やアセチル化のパターンは次世代にも継承されることがある。獲得形質の遺伝である。リンク

親の獲得した形質はいかにして子世代に継承されるのか? その仕組みに関する研究が進められています。

今回は、個体のストレス耐性の上昇が子世代へ継承される ことを明らかにした研究を見ていきます。

 

理化学研究所プレスリリース(2020年3月11日)  より。

ストレス耐性は親から子へ継承される
 -腸-生殖腺で起こるエピジェネティック情報の組織間伝達-

理化学研究所(理研)生命機能科学研究センター老化分子生物学研究チームの農野将功リサーチアソシエイト、宇野雅晴研究員、西田栄介チームリーダーらの共同研究チームは、親世代が獲得したストレス耐性能力が、エピジェネティック情報[1]の組織間伝達を介して次世代に継承されることを発見しました。

本研究成果は、さまざまな環境に適応する能力を速やかに子孫にのこす生物の生存戦略の一つ として、重要な知見となることが期待できます。

今回、共同研究チームは、モデル生物である線虫[2]を用いて、個体のストレス耐性制御において、各組織・臓器がどのように連携するのかについて解析しました。その結果、腸組織でのエピジェネティック変化が生殖腺におけるエピジェネティック変化を誘導し、この組織間コミュニケーションによって、個体のストレス耐性が上昇する ことを見いだしました。さらに、この腸-生殖腺の組織間コミュニケーションを介して、ストレス耐性の上昇が子世代へ継承されることを明らかにしました。

本研究は、科学雑誌『Cell Reports』(3月10日付:日本時間3月11日)にオンライン掲載されます。

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ストレス耐性上昇を子世代に継承させる腸-生殖腺の組織間コミュニケーション

背景

生物は、生体防御機構であるストレス応答[3]を活性化させることで、外界からのさまざまなストレスに適応している と考えられています。近年の研究によって、エピジェネティクス[1]の制御機構が個体のストレス応答において重要な役割を担う ことが明らかになりつつあります。エピジェネティクスとは、DNAやヒストン[4]への後天的な化学修飾を通して、塩基配列の変化を伴わずに遺伝子発現が制御される仕組みのことです。個体は環境刺激に対してエピジェネティック修飾を変化させ、遺伝子発現を調節することで、恒常性を維持していると考えられています。

ストレス応答とエピジェネティクス制御については、二つの興味深い現象が知られています。一つは、ある臓器で生じたストレス応答が、個体全身の統合的なストレス応答を誘導すること、もう一つは、環境刺激によって生じたエピジェネティック修飾が世代を超えて伝わる ことです。これらは、エピジェネティック修飾による個体のストレス耐性制御に、組織・臓器間コミュニケーションと世代間継承の仕組みが備わっていることを示唆しています。

しかし、どの組織・臓器で生じるエピジェネティック修飾がきっかけとなって、個体のストレス耐性を制御するのか、また、そうして獲得されたストレス耐性がどのように次世代に受け継がれるのか という点については、まだ多くのことが明らかになっていません。そこで共同研究グループは、エピジェネティック修飾因子による個体のストレス耐性を制御する組織間コミュニケーションと、世代を超えたストレス耐性の制御メカニズムの解明に迫りました。

研究手法と成果

本研究では、モデル生物である線虫を実験対象に用いました。線虫では、酸化ストレス[3]などのストレス応答に関わるエピジェネティック修飾として、ヒストンのメチル化[5]が知られています。

共同研究チームはまず、このヒストンメチル化を触媒するエピジェネティック修飾因子の中で、酸化ストレス耐性に関わるものを探索しました。その結果、ヒストンH3リジン4トリメチル化(H3K4me3)修飾因子のASH-2タンパク質[5]をコードするash-2遺伝子を全身でノックダウン[6]すると、個体のストレス耐性が大きく上昇することを見いだしました。これは、ヒストンのメチル化が減少すると、ストレス耐性が上昇することを示しています。事実、ヒストンの脱メチル化を触媒する酵素のRBR-2タンパク質[5]をコードするrbr-2遺伝子をノックダウンしてヒストンメチル化の減少を抑制すると、ash-2遺伝子のノックダウンによるストレス耐性上昇の効果は見られなくなりました(図1)。

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図1 ストレス耐性に関わる因子ASH-2とRBR-2

酸化ストレスである過酸化水素にさらした線虫の生存率を調べた。ash-2遺伝子をノックダウンした個体(赤丸)では、実験開始5時間目からの生存率が、コントロール個体(黒丸)よりも上昇した。この上昇効果は、rbr-2遺伝子を同時にノックダウン(赤三角)するとなくなった。

次に、ash-2遺伝子の欠損によるストレス応答に関わる組織を特定するため、組織ごとにash-2遺伝子をノックダウンする実験を行いました。その結果、腸組織あるいは生殖腺のどちらかでash-2遺伝子をノックダウンすると、個体のストレス耐性が上昇すること、そしてこの効果にはそれぞれの組織でのRBR-2タンパク質の機能(脱メチル化)が必要であることが分かりました。

そこで、腸組織と生殖腺の関係性について明らかにするため、これらの組織が個体のストレス応答に独立に関与するのか、それとも連携して機能を発揮するのかを、腸組織で特異的にash-2遺伝子を欠損させた変異体を用いて解析しました。その結果、腸組織でash-2遺伝子を欠損したときのストレス耐性の上昇に、腸組織だけではなく生殖腺のRBR-2タンパク質も必要であることを見いだしました。また、腸組織で特異的にash-2遺伝子を欠損した線虫は、生殖腺におけるASH-2タンパク質の機能(メチル化)が正常であるにもかかわらず、生殖腺でのヒストンメチル化レベルが減少することを明らかにしました。

これらの結果から、腸組織におけるヒストンメチル化の減少が、生殖腺のヒストンメチル化の減少を誘導するというエピジェネティック情報の伝達機構が存在し、この組織間コミュニケーションによって個体のストレス耐性が上昇する ことが分かりました。(図2)

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図2 エピジェネティック情報を伝達する腸-生殖腺間コミュニケーションのモデル図

ゲノム編集の手法を用いて腸組織特異的にash-2遺伝子を欠損させると、ASH-2タンパク質の機能欠損によるヒストンメチル化減少の情報が、腸組織から生殖腺へと伝達され、生殖腺において脱メチル化酵素RBR-2の働きによりヒストンH3K4me3の脱メチル化が生じることで、個体のストレス耐性が上昇する。

~中略~

以上の結果より、腸-生殖腺間におけるエピジェネティック情報の伝達を介して、生存力の向上が子孫へと継承される ことが示されました。

今後の期待

本研究成果は、腸組織のエピジェネティック変化が生殖腺のエピジェネティック変化を誘導することで、酸化ストレスに耐性を持つという生存優位性が次世代へと継承されることを初めて明らかにしました。消化器官は、外界から摂取したさまざま物質が集積する場所であり、このような環境変化に晒される腸組織から生殖腺へと情報が伝達されることで、親と子の生存力を向上させるという、生物の生存戦略の一部として機能する可能性が考えられます。

また近年、環境ストレスにより獲得した形質が遺伝する例がさまざまな生物種で報告されつつありますが、そのメカニズムについては未解明な部分が多く、本研究成果で示したエピジェネティック情報の組織間伝達による形質の継承メカニズムは、当該分野において重要な知見となると期待できます。

補足説明

1. エピジェネティクス、エピジェネティック情報
DNAの塩基配列に依存しない遺伝子の調節機構をエピジェネティクスと呼ぶ。エピジェネティクスの分子基盤は、DNAのメチル化やヒストンのメチル化/アセチル化によりゲノムの特定領域に可逆的につけられた「目印」であり、このメチル化やアセチル化の情報をエピジェネティック情報と呼ぶ。

2 .線虫
線形動物門に属する体長1mmほどの土壌動物。学名Caenorhabditis elegans。体が無色透明であることから、生きたまま細胞の中を顕微鏡で観察できることや、動物では初めて全ゲノム配列が解読されたこと、発生時の細胞分裂パターン(細胞系譜)が全て分かっていること、遺伝学的な実験手法、遺伝子機能の操作が容易であることなどから、モデル生物として広く利用されている。

3. ストレス応答、酸化ストレス
熱ショック、活性酸素、高浸透圧、紫外線、放射線など、環境からのストレスに対して生体が示す反応。酸化ストレスは、活性酸素によって引き起こされ、脂質やタンパク質が酸化されることによる分子機能の低下、DNAの損傷による遺伝子変異などを招く。本研究では、過酸化水素に晒した線虫の生存率をストレス応答(酸化ストレス耐性)の指標とした。

4. ヒストン
DNAを巻き付けることで、長大なDNAを核内に納める役割を担うタンパク質。代表的なヒストンはH1、H2A、H2B、H3、H4の5種類があり、H2A、H2B、H3、H4の4種類(コアヒストン)が二つずつ集まってヒストン8量体を形成する。

5. ヒストンのメチル化、ASH-2タンパク質、RBR-2タンパク質
ヒストンはメチル化、アセチル化などさまざまな化学修飾を受け、これらがエピジェネティック情報として機能することが知られている。ヒストンのリジン残基またはアルギニン残基に生じるメチル化修飾は、ヒストンメチル化酵素と脱メチル化酵素によって可逆的に制御されており、遺伝子発現を促進または抑制する役割を持つ。ASH-2タンパク質は、ヒストンH3リジン4のメチル化修飾に働くタンパク質複合体の構成因子であり、遺伝子発現(メチル化)を促進することが知られている。逆にRBR-2タンパク質は、ヒストンH3リジン4のメチル基を特異的に脱メチル化する。

6. ノックダウン
mRNAの分解や翻訳抑制などの操作により、遺伝子機能の発現を大幅に低下させること。本研究では、線虫で一般的に用いられるRNA干渉(RNAi)と呼ばれる手法を用いた。

 

(以上)

 

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List    投稿者 seibutusi | 2020-11-05 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments »