2015-08-06

食品の「乳化剤」が腸炎とメタボ招く~ここでも腸内細菌が密接に関わっている

食品に添加された乳化剤は、マウスの腸内細菌叢に影響して腸炎やメタボリックシンドロームを促進する、という論文がネイチャー誌オンライン版に掲載された。

乳化剤は腸の内側を守っている粘液層を破壊するが、その乳化剤の効果は直接的に粘液を壊しているのではなく、腸内細菌に働きかけた結果として間接的に起こっているようだ。

ここでも腸内細菌の深い関わりが見て取れる。腸内細菌も体の一部、つまり「多くの多細胞生物は微生物との共生によって生きている“微生物共同体”」なのだということを再認識する。

以下、「ネイチャー誌が警告、食品の乳化剤が腸炎とメタボ招く、ここでも腸内細菌の影響を確認」リンク からの転載。

  にほんブログ村 科学ブログへ

続きを読む "食品の「乳化剤」が腸炎とメタボ招く~ここでも腸内細菌が密接に関わっている"

List    投稿者 seibutusi | 2015-08-06 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2015-08-02

地球史と生命誕生仮説の不整合点

生命は、38億年前頃、大気中の放電現象により有機物が生まれ、それが海中で、分子の結合、巨大化を繰り返しながら生まれたというのが、一般的な仮説だ。それは現在と同じような穏やかな海という暗黙の前提の下にある。

そしてこの仮説は、今も教科書に書かれているほど有名なため、最新の地球環境分析からすると、論理不整合であるにもかかわらず、その影響に縛られたままだ。(一部の論理を除く:『生命誕生 地球史から読み解く新しい生命像・中沢弘基著』など)。

どこまでが整合しているのか?

  にほんブログ村 科学ブログへ

続きを読む "地球史と生命誕生仮説の不整合点"

List    投稿者 seibutusi | 2015-08-02 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2015-07-16

免疫:3つの未解明の迷宮~1.免疫記憶

2,500年前に「二度なし」現象(一度感染症に罹患した人は次に同じ感染症にはならないという事象)の記録があるように、人類が経験的に免疫の存在を知ってから随分時間が経過しているが、実は、免疫について詳しく分かり初めてのは20世紀になってからだっだ。それ以後、20世紀の終わりから21世紀にかけて、免疫学の世界では、いくつかのブレークスルーがあり、最近でも、従来の免疫のイメージを覆す新発見が相次いでいる。

しかし、それでも未解明な領域がまだ多く残されているのが現状だ。その中でも「未解明の迷宮」とも呼ばれる、次の3つの免疫機能について考えてみたい。

  1. 免疫記憶
  2. 経口免疫寛容
  3. 腸内細菌と免疫の関係

 

今回は、獲得免疫特有の機能である『免疫記憶』を取り上げる。

mom021_02.jpg

ウイルス、細菌などの招かれざる訪問者を排除する分子の番犬「抗体」

(写真はコチラからおかりしました)

ワクチンの有効性の原理でもある「 抗原投与による免疫記憶によって抗原排除に有利な抗体を作るという現象」の根幹をなす『免疫記憶』だが、実は、分かっていないことだらけ、というのが現状のようだ。

  にほんブログ村 科学ブログへ

続きを読む "免疫:3つの未解明の迷宮~1.免疫記憶"

List    投稿者 seibutusi | 2015-07-16 | Posted in ⑧科学ニュースより1 Comment » 
2015-07-15

熱力学第二法則に抗する生命活動と生物進化 

生命活動の根本原理は、秩序が崩れて無秩序化するとされる自然現象に抗して、秩序を高めていくことにある。例えば、生物は、生きている状態は、同じ物質でも腐敗しないが(常に秩序化されている)、死ぬとすぐに腐敗する(無秩序化する)。

energy

 画像はコチラからお借りしました

また、進化は巨大化と特殊化によって実現されてきが、巨大化とは構成分子の極端な増大であり、それ自体が高度な秩序化になる。それは、自由で無秩序に動いていた分子を、複雑な組織の中に取り込んで秩序化する物理現象だからである。

つまり、生命活動や生物進化は秩序化のエネルギーに貫かれている。だから、常に無秩序化に向かう熱力学第二法則が支配する従来の物理学では説明できない。よって、生命の起源の探究には、なぜ、秩序化できるのか?を含めて説明できる物理理論が必要になる。

そのヒントが、佐野博士の、『熱とは何か?温度とは何か?現代熱力学の誤りを正す(リンク)』にある。

  にほんブログ村 科学ブログへ

続きを読む "熱力学第二法則に抗する生命活動と生物進化 "

List    投稿者 seibutusi | 2015-07-15 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2015-07-09

単細胞生物と多細胞生物の適応戦略

単細胞生物と多細胞生物の適応戦略

「単細胞生物」というと“一個の細胞”で完結した生命体というイメージがあるが、実際は一匹で生きているわけではなく“群”として生きている。
では、多数の細胞で構成される「多細胞生物」とは何が違うのだろうか?
その違いを、“集団性と適応戦”という視点で考えてみる。

 

cyanobacteria

シアノバクテリア

光合成によって酸素を生み出すという特徴を持つ。

単細胞で浮遊するもの、少数細胞の集団を作るもの、糸状に細胞が並んだ構造を持つものなどがある。

(写真はコチラからお借上しました)

 

  にほんブログ村 科学ブログへ

続きを読む "単細胞生物と多細胞生物の適応戦略"

List    投稿者 seibutusi | 2015-07-09 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2015-07-06

腸内細菌のバランスが崩れると何が起こるのか?

ヒトの腸は食べ物や外界からの病原菌などの異物に常にさらされています。しかし、腸管免疫はこのような宿主にとって排除するべきものと許容するべきものを選択しながら、500~1000種類、約100兆個といわれる腸内細菌ともバランスを保っています。

腸内細菌叢

「酵母と桿菌が共存」(写真はコチラから)

腸管免疫と腸内細菌叢との間で、ダイナミックな平衡関係が保たれることで、私たちの健康が成り立っています。「腸内細菌のバランスを保つことが健康保持の秘訣のひとつ」といわれるのは、こうした理由によるものです。

では、安定的に形成されていた腸内細菌のバランスが崩れるようなことがあったら、何がおこるのでしょうか?また、バランスが崩れるとは具体的にどのような現象なのでしょうか?。

  にほんブログ村 科学ブログへ

続きを読む "腸内細菌のバランスが崩れると何が起こるのか?"

List    投稿者 seibutusi | 2015-07-06 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2015-06-25

なぜ食物繊維は必要なのか?~食物繊維は6番目の栄養素~

「食物繊維が豊富な野菜をしっかり食べなさい」と以前からよく言われてきましたが、最近の研究で食物繊維由来の何が身体に良いのか?どのような現象が消化器内で起きているのか?が次第に分かってきました。

例えば、アレルギー根本治療の“鍵”として注目を集める「制御性T細胞」(参照:リンク)。この制御性T細胞の分化誘導に必要なのが「酪酸」です。そして「酪酸」は 豊富な食物繊維をエサに腸内細菌が作り出します。

つまり、“食物繊維”の多い食事を摂ることで“腸内細菌”(クロストリジウム目)の活動が高まり、その結果多量の“酪酸”が作られ、この酪酸が炎症抑制作用のある“制御性T細胞”を増やし、大腸炎が抑制されるのです。
(参照:腸内細菌が作る酪酸が制御性T細胞への分化誘導のカギリンク

セルロース

セウロースの顕微鏡写真

写真はコチラからお借りしました

  にほんブログ村 科学ブログへ

続きを読む "なぜ食物繊維は必要なのか?~食物繊維は6番目の栄養素~"

List    投稿者 seibutusi | 2015-06-25 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2015-06-18

“超有機体”としての、ヒトと腸内細菌叢の関係

私たちの腸管は「チクワの穴」。つまり、始まり(口)と終わり(虹門)で外界と通じている消化管で、その全表面積はテニスコート1面分に相当し、体表の100倍以上の広さを持つといわれます。

消化器官内は皮膚と同じく外側。なので、内壁を構成している腸管粘膜は常に、飲食物などを介して細菌・ウイルス・寄生虫・化学物質といった種々の異物に曝され続けています。これらの外来者から身を守りつつ、栄養物質という外来の異物を効率よく摂取する必要性から、腸管は身体の中でも特別な免疫機構を築き上げています。それゆえ、腸管は、食物を消化・吸収する器官であると同時に“巨大な免疫器官”だともいわれれます。

その腸管免疫の構築に大きな影響を与えているのが、腸管の中に棲みついている“腸内細菌”という存在です。腸内環境は嫌気性で、腸内細菌の99%以上が嫌気性生物です。彼らは身体の外へ出すと酸素に触れてしまい死んでしまうので正確な数は分かりませんが、その数およそ100兆~200兆個もいると推定されています。この多種多様な腸内細菌たちは、“腸内フローラ”ともいわれる安定な細菌叢を形成して腸管に生息しています。

腸内フローラ

写真はコチラからお借りしました

では、彼らは私たちの身体に「寄生」しているのでしょうか?

  にほんブログ村 科学ブログへ

続きを読む "“超有機体”としての、ヒトと腸内細菌叢の関係"

List    投稿者 seibutusi | 2015-06-18 | Posted in ①進化・適応の原理, ⑩微生物の世界No Comments » 
2015-06-14

生命誕生時の痕跡 海底下生命圏に生息するハイパースライム

ハイパースライム:超高熱性地殻内独立栄養微生物生態系の英語の頭文字をとった略称(HyperSLiME:Hyperthermophilic Subsurface Lithoautotrophic Microbial Ecosystem)300度近い高熱で生息し、光合成生物などの栄養を摂取しなくても自力で栄養を作れる微生物の生態系。】

今まで生物は生存できないと思われていた数千メートルの海洋底から1Kmくらいのところを掘削して土砂を採集したところ、1立方cmあたり1万を超える細菌が発見された。

これは、従来海底の熱水噴出口生態系といわれる、地中から噴出す熱水とそれに含まれる硫黄などの成分を、『海にいた生物』が利用した生態系と異なり、海洋底から1kmも入った地中から、高熱菌が噴出口経由で海底に噴出しているというものだ。

そのため、海底火山が噴火すると、その周りに多数の高熱菌がばら撒かれる。また、メタンハイドレードやメタンそのものの生成もこれらの菌が担っている。

「ハイパースライム」説を支える微生物たち(1)

360℃以上の高温でも存在する超好熱メタン菌「メタノカルドコッカス」

写真はコチラからお借りしました

  にほんブログ村 科学ブログへ

続きを読む "生命誕生時の痕跡 海底下生命圏に生息するハイパースライム"

List    投稿者 seibutusi | 2015-06-14 | Posted in ①進化・適応の原理, ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2015-06-11

生命は、単なる化学反応だけでは生じず、秩序化エネルギーの受信から生まれる?

生物の誕生として確実なのは約35億年前で、原核単細胞生物微化石の証拠がある。それ以前の約40億年前頃に生物は誕生したと推定されているが、大きく捉 えるとほとんど推測の域を出ていない。その推定方法は、当時の地球生成期の大気、大陸、海の形成、大気や地中の温度、宇宙からの放射線の状態をもとに行っ ている。

その段階に、生命がいかに誕生したかの謎がある。しかし、現在の研究は、近代科学に基づいた因果関係のみの自然現象にその根拠を置いている。そのため、エ ントロピーの法則に代表される、エントロピーが増大する拡散のベクトルの中で、同じ原理を用いて生命のようなエントロピーの増大を防止し、秩序化や統合に 向かう反応を説明するという論理矛盾に陥っている。

宇宙とDNA画像はコチラからお借りました

  にほんブログ村 科学ブログへ

続きを読む "生命は、単なる化学反応だけでは生じず、秩序化エネルギーの受信から生まれる?"

List    投稿者 seibutusi | 2015-06-11 | Posted in ①進化・適応の原理, ⑧科学ニュースよりNo Comments »