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“超有機体”としての、ヒトと腸内細菌叢の関係

Posted By seibutusi On 2015年6月18日 @ 8:36 PM In ①進化・適応の原理,⑩微生物の世界 | No Comments

私たちの腸管は「チクワの穴」。つまり、始まり(口)と終わり(虹門)で外界と通じている消化管で、その全表面積はテニスコート1面分に相当し、体表の100倍以上の広さを持つといわれます。

消化器官内は皮膚と同じく外側。なので、内壁を構成している腸管粘膜は常に、飲食物などを介して細菌・ウイルス・寄生虫・化学物質といった種々の異物に曝され続けています。これらの外来者から身を守りつつ、栄養物質という外来の異物を効率よく摂取する必要性から、腸管は身体の中でも特別な免疫機構を築き上げています。それゆえ、腸管は、食物を消化・吸収する器官であると同時に“巨大な免疫器官”だともいわれれます。

その腸管免疫の構築に大きな影響を与えているのが、腸管の中に棲みついている“腸内細菌”という存在です。腸内環境は嫌気性で、腸内細菌の99%以上が嫌気性生物です。彼らは身体の外へ出すと酸素に触れてしまい死んでしまうので正確な数は分かりませんが、その数およそ100兆~200兆個もいると推定されています。この多種多様な腸内細菌たちは、“腸内フローラ”ともいわれる安定な細菌叢を形成して腸管に生息しています。

腸内フローラ [1]

写真はコチラ [2]からお借りしました

では、彼らは私たちの身体に「寄生」しているのでしょうか?

「寄生」とは、ある生物が他の生物から栄養やサービスを持続的かつ一方的に収奪する場合。腸内細菌は,我われが摂取した食物を生命維持や増殖のための栄養源としているのでこのこれだけみると確かに寄生。しかし、そのお返しとばかりに、腸内細菌は代謝の過程で、私たちが苦手とする多糖類の消化を助けたり、ビタミンBやKを産生してくれたりします。つまり、宿主であるヒトとの聞で一種の共生関係を保ちながら生存していです。

それだけではありません、腸内細菌叢が腸管の免疫系などを常に刺激し、免疫応答能力やそれに基づく感染抵抗力を発揮することで、腸内の常在細菌以外の、病原性微生物など外部からの異物侵略を防いでいることも明らかになっています。

腸管免疫と腸内細菌叢との間で、ダイナミックな平衡関係が保たれることで、私たちの健康が成り立っています。「腸内細菌のバランスを保つことが健康保持の秘訣のひとつ」といわれるのは、こうした理由によるものです。

ヒトと腸内細菌は、ヒトのもつ機能と腸内細菌叢の機能が合わさった“超有機体”として、「共生」を超えたもっと密接な関係にあるようです。


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[2] コチラ: http://snalime.com/health/gut-flora/

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