2019-09-20

人工細胞はシンギュラリティを越えられるか!? – 現代の錬金術で生命の創発に挑む

生命とは自己と外界との境界」「エネルギーと物質の代謝」「自己複製」「恒常性

と言われています。その生命を人工的に作ろうとする研究発表がありました。

多分、実現できると思いますが、まさに、原子力発電と同じで、造った後の影響は考えない所業です。

なぜ「生命とは?」を追求する為に人工生命作成が必要かなのか説得性がなく、非常に危険であると普通考えられると思うのですが・・・・

 

人工細胞はシンギュラリティを越えられるか!?現代の錬金術で生命の創発に挑む

https://academist-cf.com/journal/?p=11629より

注)シンギュラリティ:人工知能(AI)が人類の知能を超える転換点(技術的特異点)。

趣旨:普遍的な人工生命を現実世界でつくるために有力な手法が、現代の錬金術である「化学」です

>脂質に変換される脂質の元(エサ)を合成し、これをそのベシクルに添加することで、エサを食べて肥大・分裂する“連続性”もったベシクル(=化学的に自己増殖する分子システム)をつくることに、世界で初めて成功しました。

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【現代のホムンクルス】

注)ホムンクルス:ヨーロッパ錬金術師が作り出す人造人間、及び作り出す技術のことである。

ホムンクルスの現代版ともいえる研究が存在します。20世紀中ごろ、DNAに遺伝情報があり、その発現機構であるセントラルドグマの大筋が解明されたことで、生物由来の物質をうたかた(水面の泡)に入れ、混ぜ合わせ、単細胞レベルではありますが、生物の興味深い性質を再構築した研究成果が次々と報告されています。このように生物の一部の性質を模倣したうたかたを私は“人工細胞”と呼んでいます。ルイージらが1994年に報告した、うたかた内での酵素反応にはじまり、最近では、このacademist Journalでも紹介された、車兪澈さんの光エネルギーをつかってタンパク質を発現する人工細胞が報告されています。

これらの研究には、「ベシクル」を“うたかた”に用いているという共通点があります。ベシクルとは、細胞膜の構成物質でもある脂質分子を水中に添加することで自発的に形成される、水中に漂う袋状の構造物(うたかた:泡沫)です。

注)ベシクル:水中で親水性と疎水性をもち合わせる両親媒性分子が隙間なく並び、脂質二重層を形成した袋状の自己集合体。生体膜と同じ構造をとる

 

筆者がつくった多様なベシクル(左)と球状ベシクル(右)大きさは0.001〜0.1 mm程度。つくり方や組成などによって、形は大きく変化する。

先述の人工細胞の研究は、生物の再現という文脈において、非常に優れた成果です。また、2010年、ベンターらはある最小生物の遺伝情報を簡略化したDNAを合成し、他の最小生物のDNAを抜き取った器に合成DNAを入れなおすことで、”永続性“をもったうたかたの再構築に成功しています。

【Life as it could be – 自己増殖する人工のうたかた】

宇宙(universe)を見渡したとき、太陽系外の惑星に存在する(かもしれない)生物が地球の生物のように核酸やアミノ酸をベースにしているとは限りません。つまり、生命とは何かという普遍的(universal)な問いに迫るためには、パーツをばらして再構成するだけではなく、”あり得る生命”を別のパーツを使って、一から構築する必要があります。

このような普遍的な人工生命を現実世界でつくるために有力な手法が、現代の錬金術である「化学」です。“うたかた”やそれが織りなす“永続性”を化学的に合成したさまざまな分子で実現することで、”あり得る生命”の創製に迫ることができます。日本は、この分野で世界をリードしています。最初の成果は、國武豊喜先生が1977年に報告した、有機合成した脂質によるベシクル形成でした。

合成ベシクルの報告の後、30年が経った2007年。さらに、菅原正先生のグループが、ベシクルによって脂質に変換される脂質の元(エサ)を合成し、これをそのベシクルに添加することで、エサを食べて肥大・分裂する“連続性”もったベシクル(=化学的に自己増殖する分子システム)をつくることに、世界で初めて成功しました。

さて、皆さんは、この“自己増殖する人工のうたかた”を生命だと思うでしょうか? 実はここは人によって、意見がわかれるポイントです。私の友人のほとんどは、「それ、もう生命じゃん!」と言ってくれますが、多くの研究者は「生命ではない」と断言します。では、何が足りないのでしょう?

【うたかたがシンギュラリティを越えるために】

生物(または原始的細胞)は、太古の昔、内包していた何がしかの分子が遺伝情報をもったことで、変異と淘汰による進化を可能とし、シンギュラリティを越えることで“永続性”を手に入れました。人工のうたかたがシンギュラリティを越えるためには、この情報分子をもつことが肝となります。今回、私たちはこの進化に必要な情報をもった自己増殖するうたかたの構築に世界ではじめて成功しました。

2011年に菅原グループで構築されたものをベースに今回つくった人工細胞人工細胞は、内部でDNAを増幅させた後に、エサを食べて分裂する。DNAの長さを認識する人工細胞の能力を助けるはたらきをする高分子(ポリエチレングリコール)の鎖を膜から生やした。

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/////2011年に菅原グループで構築されたものをベースに今回つくった人工細胞
人工細胞は、内部でDNAを増幅させた後に、エサを食べて分裂する。DNAの長さを認識する人工細胞の能力を助けるはたらきをする高分子(ポリエチレングリコール)の鎖を膜から生やした。

【“情報をもった自己増殖うたかた】

内部でDNAを複製しながら自己増殖するベシクルが、2011年に菅原グループでつくられました。今回、私たちはそのベシクル膜から高分子の鎖を生やすことで、DNAの「長さ」がベシクルの増殖を制御する「情報」になることを突き止めました。長さが異なるDNAをもったベシクルにエサを与えてみたところ、短いDNA(1164塩基対)をもったベシクルは速い分裂でより多く増殖し、長いDNA(3200塩基対)の場合はゆっくりした変形であまり増殖しないことが判明しました。

この増殖挙動がDNAの長さによって異なる現象は、DNAが膜中の脂質と形成する複合体にその原因がありました。まず、私たちは、DNAが脂質と複合体を形成し、その複合体がエサから膜をつくる化学反応を促進する、超分子触媒になっていることを顕微鏡観測と反応解析で明らかにしました。さらに、超分子触媒の形成度合いがDNAの長さにより変化することを分光学的な手法で明らかにしました。つまり、DNAの長さによって、膜分子生産を活性化する超分子触媒形成に差が生じるため、ベシクルの分裂挙動にも差が出たと考えられます。

長さの異なるDNAを内包した人工細胞にエサを与えた際の分裂挙動の違い DNAの長さによって、超分子触媒(緑色の楕円)の形成度合いに差が生じる。その結果、膜をつくる速度と分裂挙動にも差が生じる。(顕微鏡写真中の白線は0.01 mm)

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///長さの異なるDNAを内包した人工細胞にエサを与えた際の分裂挙動の違い
DNAの長さによって、超分子触媒(緑色の楕円)の形成度合いに差が生じる。その結果、膜をつくる速度と分裂挙動にも差が生じる。(顕微鏡写真中の白線は0.01 mm)

 

今回得られた結果は「太古の地球の原始細胞を含む自己増殖ベシクルにおいて、ポリマーが形成する複合体が分裂挙動に直接的に影響を与える触媒(酵素)として機能することで、ポリマーの長さを情報とする生物学的な情報の流れが生じる」ことを意味しています。今後、このような情報の流れをもった人工のうたかたが変異と淘汰を経験し、シンギュラリティを越える日もそう遠くないのかもしれません。

 

 

 

 

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List    投稿者 seibutusi | 2019-09-20 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2019-09-19

植物の驚異的な再生能力の秘密 ~傷を受ける前に再生準備を整える~

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植物には動物にはない驚異的な再生能力があります。
>根を切られた植物はできるだけ早く根を再生しようとする性質があります。 「根を切るともっと根が出る仕組みを解明 」
>葉や枝などが折れても再生する能力があります。何千年も生きる種や、接ぎ木や挿し木で茎の一部から元の木と同じ大きさまで育てることができる種が少なくないのも、植物が持つ強力な再生能力のおかげです。

なぜ植物はこのような、動物よりずっと強力な再生能力を発揮できるのか?その秘密を明らかにした研究があります。

以下、東京理科大学プレスリリースhttps://www.tus.ac.jp/today/2019041701.pdfより。

植物の驚異的な再生能力の秘密を解明
―「備えあれば憂いなし」、傷を受ける前に再生準備を整える 植物再生の新しいメカニズムを発見―

【研究の要旨とポイント】
● 植物は葉や枝が折れてもなぜすぐに生えてくるのか?接ぎ木や挿し木はなぜ元の木のように大きく育つのか? 動物と比べて強力な、植物の再生能力の秘密が明らかになりました。
● 再生能力を支える酵素LDL3は、再生に必要となる遺伝子を、ONになる直前の状態で待機させていることがわかりました。
● 遺伝子が待機状態に置かれることで、植物は再生が必要となる事態に備え、いざというときに素早い再生を果たせることがわかりました。

東京理科大学理工学部応用生物学科の松永幸大教授らの研究グループは、米国カリフォルニア工科大学のエリオット・マイロビッツ教授らの研究グループと共同で、植物の再生能力を支える新たなメカニズムを発見しました。

植物には、葉や枝などが折れても再生する能力があります。何千年も生きる種や、接ぎ木や挿し木で茎の一部から元の木と同じ大きさまで育てることができる種が少なくないのも、植物が持つ強力な再生能力のおかげです。しかし何故、植物はこのような、動物よりもずっと強力な再生能力を発揮することができるのでしょうか。その秘密はこれまで不明のままでした。

松永教授らのグループは、アブラナ科の一年草シロイヌナズナの持つ酵素LDL3(ヒストン脱メチル化酵素)が植物の再生に重要な役割を果たしていることを今回新たに見つけました。LDL3は、動物にがんを引き起こす酵素として知られるLSD1と同じ活性(酵素のはたらきや、効果の強さ)を持っており、シロイヌナズナからこの酵素をなくすと、葉や茎が再生しなくなりました。

植物の再生について、これまでの常識では、組織の切断や植物ホルモンの投与など、再生を促す刺激が与えられた場合に酵素活性が上昇し、再生に必要な遺伝子群がONになると考えられてきました。しかし驚くべきことに、LDL3は、再生の刺激が与えられる前から活性が高い状態にありました。シロイヌナズナは全部で26,000個の遺伝子を持ちますが、そのうち再生に必要な約3,000個が、LDL3のはたらきにより、ONになる直前の状態で待機していました。

【研究の背景】
鹿児島県屋久島に生育し、樹齢数千年と言われる縄文杉。この長寿を支えているのは、風雨で枝が折れても再生を繰り返すことができる、植物特有の高い再生能力です。園芸や農業では、ある植物の根に別の植物の茎を繋いで一個体として育てる接ぎ木や、茎や葉を直接土に植える挿し木もよく行われており、庭木や街路樹を剪定しても、すぐに葉や茎が出てくることもよく知られています。これらもすべて、植物の強靭な再生能力のおかげです。しかし、植物の再生能力のメカニズムは長年、不明なままでした。

【研究成果の詳細】
多細胞生物は、全てひとつの受精卵から始まります。受精卵はその成長と共に細胞分裂して、動物であれば脳や心臓といった臓器、植物であれば根・花・茎・葉など、それぞれの組織に合った形と機能を持った細胞が作られていきます。ひとつの受精卵が複数種類の細胞に分かれていく過程を「分化」と呼んでいます。

植物の組織は傷ついたり、植物ホルモンによる刺激を受けると、それぞれの細胞が持つ形や機能といった情報を失って(脱分化)、特定の機能を持たない未分化の細胞の塊「カルス」を作ります。このカルスに適切な植物ホルモンを与えて刺激すると、細胞は再び分化(再分化)して、根や茎、葉などの組織を作ります。しかし、カルスの段階では、細胞は未分化なので将来どのような組織に分化するのかはわかりません。したがって、再生の刺激があって初めて酵素が働いて、再生のための遺伝子群のスイッチがON(遺伝子発現がON)になり、再分化が開始されると考えられてきました。

(中略)

LDL3はカルスの中で、シロイヌナズナの全遺伝子26,000個の中から、葉や茎をつくる遺伝子群3,000個だけを選び出し、その遺伝子群だけを待機状態にする酵素でした。
遺伝子を待機状態にすることを、「遺伝子プライミング」と呼びます。この遺伝子プライミングにより、植物はいつ再生の刺激が来ても、直ちに茎や葉を再生させる遺伝子群をONにできることがわかりました。これが植物の強力な再生能力の秘密です。動物は捕食者が来れば逃げれば良いし、環境変動が起こっても移住できますが、植物はそうはいきません。植物は瞬時に動くことができない代わりに、捕食者に食べられて傷ついても、風雨で枝が折れても、すぐに再生できるメカニズムとして遺伝子プライミングを備えていたのです。

(後略)

【写真】

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1. LDL3の再生における役割の証明実験
(左)正常なシロイヌナズナの根から作成したカルスからは茎や葉が再生する。
(右)LDL3を欠損したカルス。根は再生しているが、葉や茎は全く再生しない。

 

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2. LDL3の発現部位
LDL3はカルスから葉が再生する細胞群に集中的に存在する。緑色部分がLDL3の存在箇所、紫はカルスの細胞を示している。

(以上)

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List    投稿者 seibutusi | 2019-09-19 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2019-09-12

オス駆動進化説

生物学者は「雌雄の現象面の差異」の調査そして「差異の原因」を追究テーマとしており、普通に思う疑問「生物はなぜ雌雄分化しているのか?」に答えてくれない。

その疑問の答えについては実現論前史「雌雄の役割分化」(http://www.rui.jp/ruinet.html?i=100&c=1&t=2)の記載されていますので参照してください

今回は生物学会での「オス駆動進化説」を紹介します。

・進化の原動力は突然変異≒DNAを傷つける放射能とDNAの複製エラーによる

・生殖細胞の分裂数になぜ雌雄差が有るのか

・雌雄差からオス駆動進化説(オスが進化を牽引する)の成立

オスの起源はたかりと利己性にあり、一方メスは、自身のDNAを残すという点では利己的だが、子供の無事な成長を願った慈愛に満ちた利他性に起源している

なんとも情けない結論ですね

宮田隆の進化の話より

https://www.brh.co.jp/research/formerlab/miyata/2005/post_000005.html

【オスは進化の牽引役: Male-Driven Evolution Theory (オス駆動進化説)】

 

雌雄差の起源

 

卵と精子の話から始めよう。われわれ人間では、どの国でも平均すると男性は女性より体が大きいが、これは動物全体でいえる特徴ではない。

チョウチンアンコウのオスのように極端に体を小さくしてメスに寄生し、もはや生殖器官化してしまっているような例もある。

さまざまな雌雄間の違いのうちで、動物界を通じてオスとメスを明瞭に区別する基本的特徴がある。

それは配偶子(卵と精子)、すなわち生殖細胞の雌雄差である。

オスの配偶子(精子)はメスの配偶子(卵)に比べてサイズが極端に小さく、ヒトの場合、卵は直径0.15mmほどだが、精子は長さにして0.06mm程しかない。形態的にも明瞭な違いがある。

卵は球形で、将来の胚の発生に必須の養分が詰まっている。

精子は頭部にエネルギー変換装置のミトコンドリアをぎっしり詰め込み、鞭毛まで備えることで高い運動能力を獲得している。

こうした運動性は、精子間の競争を勝ち抜き、卵を見つけて速やかに結合する上で有利な形質である。

配偶子の生産様式も雌雄間でだいぶ違っている。

ヒトの場合、発生の比較的早い時期に600万個ほどの卵が一斉に作られる。

その後は卵の生産はなく、生殖年齢に達すると1つずつ排卵する。一方、精子は生殖年齢に達した時点で作り始められ、その後連続的に作られる。一回の射精で億の単位の精子が放出される。

なぜ配偶子間でサイズも数もこれほどまで違うのであろうか。

これには現在もっともらしい説明がある。どの生物も配偶子が極端に違っているわけではない。

カビの仲間では同形配偶(isogamy)といって、有性生殖は見られるものの、配偶子の雌雄差は見られないものがある。

おそらく配偶子の原始的形態はこんなものであったと想像される。

雌雄の区別のない同形の配偶子の一つに突然変異が起き、平均よりわずかに大きな配偶子が現れたとしよう。

この変異は平均的なサイズの配偶子に比べて子孫を残す上で有利に働いたと思われる。

なぜなら大型配偶子に由来する胚は平均よりも十分な食物の供給が得られるからである。

こうして大型の配偶子が広まり、より大型の配偶子へと進化していったと考えられる。

こうした大型の独立栄養的配偶子が進化していく状況下で、平均よりわずかにサイズが小さい配偶子が現れる。

サイズを節約した分、数を増やすことが可能になる。

この配偶子が取った戦略は大型の配偶子とうまく合体して食物供給の豊富な胚へと分化することで、自身のDNAを首尾よく残していこうという、いわばたかり的戦略である。

その結果、無駄を省いてより小型になり、配偶子の数もますます増加していったであろう。

精子の数が増えると精子間競争が激化し、速やかに卵と合体するために運動性を高める方向へと進化していったと考えられる。こうして精子は従属栄養的配偶子への進化の道を突き進んだのだ。

将来の胚が正常に発育するための十分な栄養を貯めこんだ大型で独立栄養的な配偶子への進化という卵の戦略と、卵との合体を高める方向への従属栄養的な配偶子への進化という精子の戦略とが、配偶子の形態と生産様式に著しい雌雄差をもたらしたのである。

オスの起源はたかりと利己性にあり、一方メスは、自身のDNAを残すという点では利己的だが、子供の無事な成長を願った慈愛に満ちた利他性に起源している。偶然とはいえ、この最初の戦略が尾を引き、「三つ子の魂百までも」のことわざ通り、その後の形態と行動の雌雄差全般に色濃く反映するに至った。

(後略)

 

 
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List    投稿者 seibutusi | 2019-09-12 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2019-09-12

藻類から陸上植物への進化を遺伝子レベルで解明

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植物は少なくとも約5億年前には陸上に進出していたと考えられています。それまで植物が生活していた水中とは異なり、陸上は乾燥や強い紫外線、大きな温度変化、重力、栄養の欠乏など極めて厳しい環境であったと考えられます。そんな外圧の中、植物がどのようにして水中で生活していた藻類から進化し陸上環境に適応していったのか?

藻類と陸上植物の中間的な存在である車軸藻植物門「クレブソルミディウム」のゲノムを解析し、藻類から陸上植物に至る遺伝子の進化過程を、日本のグループが解明。

東工大ニュースhttps://www.titech.ac.jp/news/2014/027778.htmlより。

藻類から陸上植物への進化をつなぐ車軸藻植物のゲノム配列を解読

■ 要点

・藻類と陸上植物の中間的な存在である車軸藻植物門クレブソルミディウムのゲノムを解読し、藻類から陸上植物に至る遺伝子の進化過程を解明
・クレブソルミディウムは、藻類でありながら、植物ホルモンや強い光に適応するための遺伝子など、植物の陸上進出に重要と考えられるシステムの一部をすでに獲得していることを示した

■ 概要

東京工業大学バイオ研究基盤支援総合センターの堀孝一CREST研究員、地球生命研究所/生命理工学研究科の黒川顕教授、バイオ研究基盤支援総合センター/地球生命研究所の太田 啓之教授、かずさDNA研究所、理化学研究所を含む研究グループは、藻類と陸上植物の中間的な存在である車軸藻植物門「クレブソルミディウム」に着目してゲノム解読を行い、藻類から陸上植物に至る遺伝子の進化過程を解明した。

それを他の藻類や陸上植物と比較して、藻類から陸上植物に至る過程でどのように遺伝子が多様化したのかを明らかにした。またクレブソルミディウムの祖先が陸上環境に適応するための原始的なストレス応答システムを獲得していたことを突き止めた。

解読したゲノム情報は生命が陸上に進出し発展を遂げた過程を詳細に解明するための重要な基盤となる。また、クレブソルミディウムは藻類と陸上植物の中間的な性質を持つため、両方の架け橋として、その遺伝子情報を藻類の培養技術、物質生産技術に応用することも期待される。

この研究はかずさDNA研究所、国立遺伝学研究所、理化学研究所、東京大学などと共同で行った。成果は、2014年5月28日付で英国科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載される。

■ 研究成果

植物の陸上への進出は、生命の進化において、陸上での十分な酸素や栄養分の提供のために必須の過程であったと考えられている。そこで、同研究グループは植物が陸上に進出した初期の要因を遺伝子のレベルで明らかにし、陸上植物が地球の生態系において重要な位置を占めるようになった過程を解明することを目指した。

まず、クレブソルミディウムのゲノム配列のほぼ全域を解読し、そのゲノム情報から、約1万6千遺伝子を推定した。次に、ゲノム解析が完了している他の藻類や陸上植物と比較した。その結果、クレブソルミディウムは単純な藻類の形態を持つにもかかわらず、これまで陸上植物に特有と考えられてきた遺伝子やタンパク質ドメイン(注1)を数多く保有していることがわかった(図1)。このように遺伝子全体を比較することで、藻類からクレブソルミディウムの祖先が生まれ、原始的な陸上植物、さらには陸上環境に高度に適応した種子植物が形成された過程で陸上植物に特徴的な遺伝子がどのように増えていったかについて、次のような過程が明らかとなってきた。

(1)より単純な藻類では遺伝子の数が多いほど、多くの種類の遺伝子を持っており、緑藻からクレブソルミディウムの祖先が生まれる際に、新たな陸上植物に特徴的な遺伝子やドメインを獲得した
(2)コケ、シダ植物のように陸上環境により適応し、組織や器官の分化が形成されるには同じ遺伝子種内のバリエーションを増加させ、細かな機能調節や発現調節を可能にした
(3)最終的に現在の種子植物のような高度な陸上環境への適応と組織分化を可能にするには、すでに獲得したタンパク質ドメイン同志の組み合わせによって新しい組み合わせを生み出し、より新しい機能をもつ遺伝子を生み出したことが重要であった-と考えられる(図2)。

次に研究グループは、この過程の中で、緑藻からクレブソルミディウムの祖先が生まれる際に、どのような遺伝子が獲得されたのかを解析した。比較した生物種の中で陸上植物とクレブソルミディウムのみがもつ1238遺伝子(7.7%)の機能を予測すると、転写因子、情報伝達、ストレス応答、細胞壁、植物ホルモンに関連する遺伝子が多く含まれていることが分かった。

中でも植物ホルモンは現在の陸上植物において成長の制御や環境変化への応答に関わる重要な物質である。実際にクレブソルミディウムに存在しているかどうか測定した結果、陸上植物で、成長に関係するオーキシンや、乾燥などのストレスに応答するアブシシン酸などの植物ホルモンが検出された。

これらの植物ホルモンがクレブソルミディウムにおいてどのような作用をもっているかは、まだ明らかではないが、その情報伝達経路が部分的ながら既に存在しており、クレブソルミディウムが現在の陸上植物につながる原始的な植物ホルモン応答のシステムを持っていることが予測された。

その他にも多細胞化に繋がる遺伝子や、陸上植物に特異的な光合成の環境応答に関わる遺伝子を持っていることも明らかになった。以上のことから、クレブソルミディウムはシンプルな形態でありながら、陸上の様々なストレスに適応するための始原的なシステムを備えていることが分かった。陸上植物の祖先は、そのようなストレス応答システムを複雑に進化させて行くことで厳しい陸上環境に適応していったと考えられる。

■ 背景

46億年の地球の歴史において、地球環境と植物は常に密接な関係の基に発展してきた。植物は生産者として生態系を支えるだけではなく、酸素の発生や二酸化炭素の消費や土壌の形成など、地球環境や生物多様性に大きな影響を与えている。その歴史の中で植物の陸上進出は陸上を様々な生命が活動できるようになった原動力のひとつであり、現在の生物多様性をもたらす礎となったと考えられている。

植物は胞子の化石などから少なくとも約5億年前には陸上に進出していたと考えられている。しかしながら、それまで植物が生活していた水中とは異なり、陸上は乾燥や強い紫外線、大きな温度変化、重力、栄養の欠乏など極めて厳しい環境であり、植物がどのようにして水の中で生活していた藻類から進化し陸上環境に適応していったのかは大きな謎である。

東工大の太田教授をリーダーとする研究グループは、藻類の中で、陸上植物の祖先に最も近いグループである車軸藻植物門の遺伝子を調べることで、植物の陸上進出の謎を解明できると考えた(図3)。車軸藻植物門にも様々な藻類が存在するが、研究グループは糸状性の単純な形態をしたクレブソルミディウム(Klebsormidium flaccidum NIES-2285)に着目した(図4)。クレブソルミディウムは車軸藻植物門の中でも、進化の比較的早い段階で分かれたグループだ。またクレブソルミディウムは湿ったコンクリート壁などにも見られる、陸上でも生育できる気生藻類の一種である。よって陸上進出が起きる前の準備段階にある原始的な植物の特性を備えていることを期待し、ゲノム解析(注2)を開始した。

 

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図1. 15生物種の遺伝子を、藻類特有な遺伝子、陸上植物特有な遺伝子、共通している遺伝子、その生物種にしかない遺伝子に分類しグラフ化した。
クレブソルミディウムは他の藻類と異なり、陸上植物に特有と考えられていた遺伝子をすでに数多く持っていることが分かる。(1238遺伝子,7.7%)

 

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図2.  他生物とのゲノム比較から推定される遺伝子の多様性の獲得
植物が陸上化し、遺伝子の多様性が獲得される過程を示した。クレブソルミディウムの祖先が生まれた段階で、陸上環境に適応するために必要であろう基本的な遺伝子パーツの多くをすでに獲得しており、陸上に進出する原動力となった事が推定された。

 

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図3 植物の陸上進出と車軸藻植物の関係
緑藻から車軸藻植物が進化し、車軸藻植物の中で厳しい陸上環境に適応した藻類が現在の陸上植物の起源となったと考えられている。

 

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図4 (左)クレブソルミディウムの顕微鏡写真、(右)コンクリート片に生育させたクレブソルミディウム

(以上)

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List    投稿者 seibutusi | 2019-09-12 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2019-09-05

生物の基本要素の反エンタルピー増大(秩序化・統合化)過程をになう微生物

前回に続き、生物の基本要素の反エンタルピー増大(秩序化・統合化)過程をになう始原生物(微生物)について

外部エネルギーを利用して二酸化炭素から糖やアミノ酸をつくる微生物

光合成生物(太陽光をエネルギー)と化学合成生物(水素や硫黄などの化学物質をエネルギー)及び電気合成物(電気をエネルギー)があり、そのうち有益な微生物を紹介します。

 

http://sciencejournal.livedoor.biz/archives/5664054.html より

CO2を吸収し有機物に変える微生物や、H2を生成する微生物。

知っての通りCO2は地球温暖化の原因となる。H2は次世代に期待されているエネルギー源である。そんなに都合のよい微生物が存在するのだろうか?しかし、CO2を吸収するのは植物が行っていることであるし、そういう微生物もたくさん存在する。水素生産菌も決して特殊な菌ではなく、土壌やシロアリなどの体内にも普通に存在している。嫌気性の細菌だ。

CO2から石油を合成する細菌】

人類が放出した二酸化炭素を逆に石油に変え、生態系のバランスを取り戻す微生物が、静岡の油田のまっ黒なタールの中にいた。それが、大阪大学が発見した、廃液処理などに活躍しているシュードモナス属の細菌の仲間である。

この細菌は、エネルギー源としての石油が豊富にあるときはそれを取り込み、石油がない環境では二酸化炭素を還元し、石油を合成してため込む。今後、遺伝子解析を進め、遺伝子操作で石油生産能力の高い新種ができれば、と考えている。

酸素も光も必要とせず、二酸化炭素と水素を利用する生物が、進化のなかでどのような位置づけになるのか興味深い。

【水素細菌】

水素細菌(Hydrogen-oxidizing bacteria)とは、遊離の水素を酸化し、その反応によって生じるエネルギーを利用して、炭酸同化を行う化学合成細菌の総称である。

土壌や海洋などの自然環境中に存在する。Alcaligenes属やPseudomonas属、Bacillus属、あるいは好熱性のHydrogenobacter属など、多様な分類群に属する細菌が含まれる。

光合成細菌を用いた水素生産は、太陽光を利用可能なこと、基質に未利用資源である有機性廃水やバイオマスなどを利用可能なことから、環境浄化とクリーンエネルギー生産を同時に行うシステムの構築が可能である。

水素生産菌】

水素生産菌は決して特殊な菌ではなく、普遍的に存在していると考えられる。土壌やシロアリなどの体内にいる。嫌気性の細菌とされる。

発酵条件で鍵となるのはメタン生成菌など、他菌種の活動を抑え、水素生産菌に適したpH値、温度等の培養条件を維持することにある。

一般的に下水消化汚泥を水素発酵の種菌として用いる場合には生成した水素は速やかに水素資化性のメタン生成菌によって消費されることから水素回収は困難であるといわれ、このような水素資化菌の活動を抑制する方法として熱処理や酸処理などの改質法による水素資化性メタン生成菌の死滅が有効であるとの知見があるが、未改質の下水消化汚泥を用いて水素発酵を行っても発酵槽内のpH値を制御することによりメタン発酵反応を抑制することで水素生成汚泥として利用できるとの知見もある。

メタン生成菌の増殖に適するpH6.8∼7.5よりも低い4.0∼6.8が水素生産菌の活動には望ましいとされる。温度条件は他の菌種が活動しにくい50℃でも活動が確認される。

極限環境生物を発見!地球最深部マリアナ海溝で新種の細菌・南極の昭和基地で新種の菌類2種】

http://sciencejournal.livedoor.biz/archives/5320729.html より

常識では考えられない生物たち

地球では常識では考えられない環境でも、まだまだ未発見の生物が多数存在する。 実際に、さまざまな環境で生物が成育している。例えば深さ10000mの深海にある、海底堆積物内にこれまでは数が少ないと考えられてきたアーキア(古細菌)が大量に生息していることが発見されている。

地球の上空、高度12000mの成層圏からも航空機を用いた採集標品から、1立方メートルあたり約1個の細菌が検出されている。その菌を調べたところ、これまでに知られている中でもっとも高い紫外線耐性を示した。

インド洋の深海、水深2450mの熱水噴出口からは122℃の高温、200〜400気圧もの高圧で生育できる微生物が見つかった。

【電気で生きる微生物】

http://www.riken.jp/pr/press/2015/20150925_1/ より

-微生物が持つ微小電力の利用戦略

太陽光が届かない深海熱水環境に電気を非常によく通す岩石が豊富に存在することを見出しました。そして、電気を流す岩石が触媒となり、海底下から噴き出る熱水が岩石と接触することで電流が生じることを発見しました注1),注2)。これらを踏まえ、海底に生息する生物の一部は光と化学物質に代わる第3のエネルギーとして電気を利用して生きている。

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List    投稿者 seibutusi | 2019-09-05 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2019-09-05

植物は動物とまったく違った音を出して会話をしている!

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植物も動物と同じように外圧に適応して進化してきた生物であることは言うまでもありません。植物にも人間と同じように五感がすべて備わっており、人の「知性」のようなものが存在しているといいます。>「植物の外識機能から、「知性」とは何か?を考える」

そして、なんと、植物も音や化学物質を使ってコミュニケーションを取っているという。そんなことが研究結果より分かってきました。

以下、ディスカバリーチャンネル http://news.line.me/issue/oa-dnews/483b672d5f3a より、植物の会話について紹介します。

植物は動物とまったく違った音を出して会話をしている

植物も音や化学物質を使ってコミュニケーションを取っているそうだ。にわかに言われても信じがたいかもしれないが、人間には聞こえない、見えない方法で、植物は日々仲間に危険を知らせたり、栄養素をやり取りしているらしいことが数多くの研究結果からわかってきている。
ここでは「音」「地下茎ネットワーク」に焦点を当てて、植物の会話に聞き耳を立ててみようと思う。

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●まったく別の進化

植物と動物はおよそ15億年前に共通の祖先から分岐して別々の進化の道を歩んできたと考えられている。光合成の能力を手に入れた植物は、定住して自給自足の生き方を選んだ結果、地球上のあらゆる環境に適応して繁栄し続けている。New Yorkerの記事によれば、陸上のバイオマスのじつに99%を植物が占めているそうで、植物の生き方がいかに理にかなったものかを立証しているといえるだろう。

地に根を下ろして動かない植物は、一見受け身で無反応のように見える。しかし、動けないからこそ、植物は自分が置かれた環境に対して能動的にはたらきかけていることが徐々にわかってきている。その感覚機能は15にものぼるそうだ。それは私たち人間にも備わっている嗅覚、味覚(空気中、あるいは自分の葉についた化学物質に反応する)、視覚、触覚、聴覚に加えて、光、水、重力、温度、土壌、栄養分、毒素、微生物、草食動物(敵)や、仲間の植物からのメッセージを感知できるそうだ。

たとえば、マメ科のつる植物はほかの植物に巻きひげを絡ませて成長する。支えになりそうな樹木がどの方角にどのぐらい離れて立っているかを正確に把握し、無駄な動きを一切省いてまっしぐらにそちらに延びていくという。「目」という器官を持たない植物が、一体どのように支柱を探しているのだろうか?

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●植物は音を出し、音を聞ける

こんな仮説がある。植物はその頂部から、あるいは根の先端部分から音を出し、その反響を頼りに周りのものの位置関係を探っているというもの。コウモリも使うエコーロケーションだ。イタリアの植物学者、ステファノ・マンクーゾ氏によれば、植物の細胞は成長する際に低い「カチッ」という音を出す。この音の反響を使ってエコーロケーションを行っているとも考えられるという。

別の植物学者、モニカ・ガリアーノ氏は、精密機械を傾けてトウモロコシの根から220ヘルツの小さな「ハミング音」を確認した。さらに、同じ周波数の音をトウモロコシに聞かせると、根が音の方向へ近づいてきたそうだ。根の出す音は地中でかき消され、人の耳には聞こえないものの、植物同士のコミュニケーションに使われているのではないかと推測される。

また、こんな研究もある。甘い香りのハーブとして親しまれているフェンネルだが、じつはとてもしたたかな植物で、まわりに生える他の種類の植物に対して成長を弱める化学物質攻撃をしかけるそうだ。そんな強気のフェンネルに箱をかぶせて化学物質を遮断したうえで、そのとなりにトウガラシの苗を置いた実験では、結果的にトウガラシの成長が早まったとされる。研究者の分析では、フェンネルが出す特定の音を聞きわけたトウガラシの苗が、自分を守るために成長を早めたのではないかとみられている。

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●根っこのネットワーク

さらに驚くことに、植物は根っこのネットワークを使って地中で他の植物とコミュニケーションをとっているという。それはあたかも人間が開発したインターネットの世界のように地下茎でつながり、化学物質による情報のやりとりや、栄養素の貸し借りまでが行われているとされる。そしてその情報のやりとりに役立っているのが、植物の根に宿って栄養素の分解を助ける菌類ではないかといわれている。

森林生態学者、スザンヌ・シマード氏は、森の中のモミの木に炭素の放射性同位体を注入し、ガイガーカウンター片手に炭素がどのように広がるかを観察した。数日の間に炭素は森中に広まり、30メートル離れた木にも確認された。古い木はハブのような役割をもっており、多い場合は1本の木が47本もの植物につながっていたそうだ。

このワールドワイドウェブならぬ「ウッドワイドウェブ」により、森の一部が害虫に襲われた場合でもいち早く仲間に危険を知らせたり、炭素、窒素、水など植物に必要な要素をシェアしたりするのに活用されていると考えられる。ネットワークを通じて森全体が健康になれる仕組みは、明らかに植物同士の意図的なコミュニケーションを意味している。

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●偉大な植物たち

植物が動物に先駆けて上陸したのがおよそ5億年前と言われている。そのころの地球の大気は温暖化ガスの二酸化炭素に満ち、とても生物が上陸したところで生き残れる環境ではなかった。

陸に上がった最初の植物は地表を緑で覆いつくし、光合成の活動によって徐々に大気を酸素に変えて、地球冷却化を引き起こした。こうしてようやく動物の上陸が可能となったのだ。

人間は、そして動物すべては、いまも植物に依存して生きている。植物なしでは衣食住はおろか、毎秒吸い込む酸素さえも充分に確保できないだろう。そう思うと、植物に敬意を感じる。そしていずれ植物と人間とで会話できるとしたら、この感謝をうまく伝えられる日も来るだろうか。

(以上)

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List    投稿者 seibutusi | 2019-09-05 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2019-09-05

タンパク質合成も、中心体による核内DNA配置に依存している

20130128_24624771953年の「DNAの二重らせんモデル」の発見を境に、それまでの研究されていた数々の生物学の所見は見向きもされず、DNAのみが遺伝情報を司る、全生物を貫く基本原理であるとした考え方一色になった。

これは、生物は物質であるDNAを起点とした機械であり、それだけで生物を説明できるという単純で大柄な論理として世に広まった。

他方、これ以前の研究は、生物の複雑性を真正面からとらえた、生きた細胞全体が遺伝の秘密をもっているという理論も多く存在していた。

現在でもその一つとして、DNAによらないエピジェネティクス理論と呼ばれる細胞質遺伝も事実として確認されている。

この2つの論理からいえるのは、DNAだけで生物が形成されるのであれば、進化はほぼ突然変異でしか成立しないが、細胞質遺伝であれば、絶え間ない外圧に適応し、それを次世代の子孫に伝えることが可能な、外圧適応体としての生物の姿を論理的に説明できることである。

また、それ以外にも、生体内では変異しやすいRNA(及びその構成物質であるリボ核酸)が決定的な役割を持っていおり、固定的なDNAはそれに従属した物質でしかないという視点も重要だ。

これからも、DNAだけでは不可能な外圧適応体としての生物の可能性が見えてくる。

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List    投稿者 sinsin | 2019-09-05 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2019-08-29

反エントロピー増大の方向(統合化=秩序化)の古細菌類

近年、微生物によるフリーエネルギー、環境浄化の記事が多くあり、その中で、

生物界では、

古細菌類の光合成菌が【光+CO2+H2O→炭水化物(グリコース)+O2】:反エントロピー増大の方向(統合化=秩序化)。

一方、乳酸菌、酵母菌が炭水化物→アルコール+エネルギー→CO2+H2O+エネルギーにする=エントロピー増大の方向(分散化)

以上の2サイクルで自然界は釣り合いが取れている。

又乳酸菌等の働きは、化学反応(電子のやり取り)で説明できるが、光合成菌による炭水化物生成は理論化できてなく(工業的に作ることができない)曖昧模糊となっていた。

本ブログでは、反エントロピー増大の方向(統合化=秩序化)の古細菌類を調べてみます。

★古細菌は進化系統樹では我々の祖先ではないとされていますが、私たちの祖先に近い事がわかった。

光を感じる物質は古細菌から人間まで共通」(http://www.nature-sr.com/index.php?Page=11&Item=92

オーストラリアやケニアなどの非常に塩の濃度が高い湖には、古細菌と呼ばれる生物が住んでいます。この生物は、細菌(バクテリア)よりも私たちの祖先に近いことがわかってきました。

私たち動物の眼には、光の信号を受けとるロドプシンと呼ばれるタンパク質があり、「ロッド(棒状)」と「コーン(円錐形)」という二つの変わった部分が外側に出て、光の刺激によりダイナミックに構造が変化します。

古細菌は、ロドプシンに比べシンプルな構造の「古細菌型ロドプシン」を細胞膜に持ち、光エネルギーで動くタンパク質であることが分かりました。古細菌は私たちのような複雑な「眼」の構造を持たなくても、光受容物質「古細菌型ロドプシン」により、光を感じているのです。】

CO2から石油を合成する細菌http://www.brh.co.jp/seimeishi/journal/007/st_2.html

人類が放出した二酸化炭素を逆に石油に変え、生態系のバランスを取り戻す微生物が、静岡の油田のまっ黒なタールの中にいた。それが、私たちが発見した、廃液処理などに活躍しているシュードモナス属の細菌の仲間である。

(中略)

静岡の油田は、つねに石油が土壌中にわいているが、そばの小川には油が浮いてこない。ということは、土壌のどこかに酸素なしで石油を分解する細菌が含まれているのではなかろうか。

油田から採取したサンプルを石油培地に加え、無酸素ガス (CO2、H2、N2の混合気体) を吹き込んでみた。2週間ほどで、この培地で安定して生育する細菌が1株得られた。

シュードモナス属の新種と判断され、シュードモナス・アナエロオレオフィラHD-1株 (無酸素条件で石油を好むの意) と命名した。

その後、この細菌の生育には二酸化炭素が不可欠であることがわかり、石油以外に二酸化酸素も炭素源として利用している可能性が出てきた。そこで先の培地から石油を抜き、二酸化炭素と水素を主体とした無酸素ガスを吹き込んで生育させた。すると乾燥菌体から石油成分が抽出され、石油を合成する能力もあることがわかったのである。

この細菌は、エネルギー源としての石油が豊富にあるときはそれを取り込み (①)、石油がない環境では二酸化炭素を還元し、石油を合成してため込む (②)。今後、遺伝子解析を進め、遺伝子操作で石油生産能力の高い新種ができれば、と考えている。

酸素も光も必要とせず、二酸化炭素と水素を利用する生物が、進化のなかでどのような位置づけになるのか興味深い。だがそれ以上に、これからの人類にとっても、環境問題にとどまらない大きな可能性を秘めている。地球上でこそHD-1の性質は奇妙にうつるが、それは地球の大気には生物が40億年かかって蓄えた酸素が20.9%もあるからである。宇宙では二酸化炭素や水素のほうが一般的なのだ。

火星の大気は95.3%が二酸化炭素であるのに対し、酸素はわずか0.3%。木星は水素が89%で、酸素はほとんどない。人類が宇宙に進出する上で、この細菌は重要なパートナーとなる資質をもっている。

(いまなか・ただゆき/大阪大学工学部応用生物工学科教授)

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List    投稿者 seibutusi | 2019-08-29 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2019-08-29

「スマホ使用で思春期の脳が壊れていく」 脳トレ開発者の警告は黙殺された!

スマホ」から日々膨大な量の情報が脳に入ることで、記憶中枢にオーバーフローが生じて、いわゆる「脳過労」となって情報の処理能力が低下し、その結果、日常生活で「もの忘れ」や「うっかりミス」が多発するようになる。脳がそのまま侵され続ければ、やがてうつ病を招いた挙句、本物の認知症(スマホ認知症)に至るという。

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注目すべきは心身共に未発達の状態にある子どもたちへの影響。働き盛り世代だけではない。「スマホ使用で思春期の脳が壊れていく」その警告が昨年7月に東北大のプレスリリースとして発表されたが、新聞やテレビが大々的に報じることはなかった。

以下、デイリー新潮より。

「スマホ使用で思春期の脳が壊れていく」 脳トレ開発者の警告は黙殺された!

■「スマホ」が危ない! 高齢者と子どもを蝕む「脳の病」(1/2)

茹(う)だるような夏、子どもたちはクーラーの利く部屋でスマートフォンの虜になってはいなかったか。中学生の2人に1人が持つ「スマホ」が実は「脳の病」を招くという。高齢者をはじめ大人にも決して無縁ではないこの病気。斯界の専門家による最新の処方箋をお届けする。

***

現代人の“魔法の小箱”といえる「スマホ」は、普及し始めてからまだ10年弱。数多(あまた)の恩恵を被れど、そのデメリットについて我々はどこまで知っているだろうか。

実は過度な使用が脳への負担となり、深刻な「スマホ認知症」を引き起こすことは「働き盛り世代を襲う『スマホ認知症』の恐怖」「スマホを捨てよ、旅へ出よう! SNSを“断食”する『デジタルデトックス』のすすめ」記事でお伝えしたとおり。おさらいすれば、「スマホ」から日々膨大な量の情報が脳に入ることで、記憶中枢にオーバーフローが生じ、いわゆる「脳過労」となって情報の処理能力が低下した結果、日常生活で「もの忘れ」や「うっかりミス」が多発。脳がそのまま侵され続ければ、やがてうつ病を招いた挙句、本物の認知症に至るというのだ。そのリスクは、アルツハイマー型認知症の発症率が高い高齢者ほど高まるが、今回注目するのは心身共に未発達の状態にある子どもたちへの影響である。夏休みで我が子や孫を塾や予備校に通わせる機会も増えようが、せっかく高い受講料を払っても、その効果がスマホによって台無しになる恐れもあるのだ。

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■使うアプリの数が多いほど

それが決して大袈裟でないことは、掲載のグラフを見れば明白である。これらは宮城県仙台市で、スマホを所有する小学校5年生から中学3年生までの児童・生徒を対象に、追跡調査した結果をまとめたもの。結論から言えば、勉強中にスマホを使えば使うほど、彼らの学力は低下してしまったのだ。

「大人が安直に、子どもたちにスマホを使わせるのは、罪でしかありません」

と話すのは、東北大学加齢医学研究所の川島隆太所長。ニンテンドーDSの「脳トレ」監修者としても知られる川島氏は、仙台市教育委員会との9年にも及ぶ追跡調査で、スマホが子どもの脳に与える影響を分析した。

「スマホを使う子どもの成績が悪いと聞けば、勉強しなくなったり睡眠不足になるからだ、と思われるかもしれませんが、それは違います。いくら勉強しても、きちんと睡眠時間をとっても、スマホを使う子の学力は上がらない。長時間使えば使うほど、脳の発達そのものに悪影響を及ぼすことが分かってきました」(同)

一旦スマホを手にすれば、これまでの努力は水の泡になると川島氏は続ける。

「1日の睡眠時間が平均7~8時間、家庭での勉強時間が3時間以上という生徒で比較してみたところ、スマホ使用が1日1時間未満だった子どもたちの偏差値が57・2だったのに対し、1時間以上使うグループは52・6でした。他方、家庭での勉強時間が30分未満でも、スマホ使用が1時間未満という子どもたちは偏差値が50を超えたのです」

せっかく勉強に3時間以上費やしても、スマホを長く使ったら学習時間が30分未満の生徒と同じ成績になってしまうのだ。

特に悪影響を及ぼすのは、SNSの「LINE」や、「動画」「ゲーム」などのアプリだという。掲載のグラフを見て欲しい。勉強中に使うアプリの数が多いほど、偏差値が下がるのが一目瞭然。恐ろしいのは、平日の学習時間が2時間以上のグループと、30分未満しか勉強しないグループとの比較である。

使うアプリの数が増えるのに比例して、両者の偏差値は45前後まで低下するのだ。

「アプリについては、LINEなどのSNSが要注意です。メッセージのやり取りを行うことで人と繋がり合う、同時双方向性のあるものを長時間使うのはよろしくない。勉強したくても、できるような状態に脳がならないのです。心理学者たちは、SNSをひっきりなしに使ってしまうことで脳がマルチタスキング(複数の物事を同時に行うこと)となり、集中力が途切れてしまうと指摘しています」

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■「脳の発達が止まった」

川島氏は、より憂慮すべき子どもの脳の実態を明かしてくれた。

平均年齢約11歳の224名を、3年間追跡調査したところ、頻繁にスマホでネットを使う習慣のある子どもたちの、脳の発達が止まっていたことが分かりました。例えば、調査を始めた時に小学校6年生だった生徒なら、中学2年生になっても頭の中は小学生のままだったということです。小学生がいきなり中学校の授業を受けても理解できず、成績が良くならないのはあたり前でしょう」

掲載図は、子どもたちの脳をMRIで解析した画像と、脳部位の発達的増加を表すグラフである。ネットを毎日のように使った子どもは、脳の「灰白質」や「白質」と呼ばれる部位の容積が増加していないことが判明した。

「『灰白質』とは、大脳や小脳の神経細胞層。大脳は思考や記憶、小脳は運動の制御を司っています。発達期にあるはずの子どもの『灰白質』が増えていないとなれば、脳の中であらゆる命令を出す神経細胞そのものが発達していないことになります。『白質』は、神経線維といって、神経細胞から情報を送る電線のようなもの。これが増えなければ、脳の神経細胞を繋ぐ電線が発達せずネットワークが劣化してしまいます。スマホの長時間使用における学力低下の原因は、脳の未発達であることがハッキリしたんです」(同)

この分析結果を川島氏が脳画像研究の米学術誌「Human Brain Mapping」に投稿したところ、従来にない研究成果として採択された。昨年7月には東北大のプレスリリースとして発表したが、新聞やテレビが大々的に報じることはなかった。

「もの凄く深刻な結果なのに、メディアの方々に黙殺されてしまいました。日本以外では非常に有名なデータなので、スマホ関連の業界に遠慮したのではと勘繰られても仕方ない。現在は東北大の学生を対象に、まったく同じ調査を行っていますが、大人でもスマホを使いすぎると白質量の劣化が進む ことが分かってきた。論文を作成中なので具体的なデータをお見せできる段階ではありませんが、子どもたちへの調査における結果が、我々大人にもあてはまる可能性が高いのです」(同)

(以上)

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List    投稿者 seibutusi | 2019-08-29 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 
2019-08-23

人類は進化ではなく退化する道へ向かっている ? その2

 

前回の続きです。(http://www.seibutsushi.net/blog/2019/08/4699.html/trackback

今回は

るいネットhttp://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_340479

及び

【人類の第2次低脳化現象 (2)あなたも今リアルタイムで “低脳化” している?】

ザウルスでござる(https://blog.goo.ne.jp/zaurus13/e/9b51b84ac793ecde27754bb5ffc7b8f2)

から引用します。

要約すると

2次低脳化の原因

1)脳への負担の、コンピュータ・人工知能による劇的な低減

2)言語思考からイメージ反応への移行による言語運用能力の低下

3)電磁波による脳へのダメージの増大

1)、2)は将来共、進んでいくと思われるが 3)の電磁波に関しては、特定の人は、すでに

>「電磁放射線に対して十分に防護した環境に暮らし、自分達のDNAを損傷から守りながら、健康な生活と明晰な頭脳を維持しているはず」

そして

生き残れる集団は

>「人類史上初めてのグローバルかつ不可視の急激な災禍を理解し、“論理的思考≒事実の追求(事象の図解化)” が出来る集団

_______________________________________

“第1次低脳化” が起きたのは、今から1万年ほど前のいわゆる農業革命のときである。“農耕生活” に移行して、安定した食糧生産が可能になり、“食べる心配” が大幅に減ったために、人間の脳は “仕事が減り”、縮小した。

“人類の第2次低脳化” はいつ起きたのか?

実は “人類の第2次低脳化” はほぼ西暦2000年を境に始まり、この今現在、リアルタイムで進行中 である。

農業革命から約1万年経った21世紀に入って、インターネットという情報インフラネットワークが地球をおおった。さらに畳みかけるように携帯基地局のアンテナが爆発的に増え、スマホなどのモバイル通信のための電磁波圏が地球をおおった。

それでは、“第2次低脳化” の原因は何なのか?

この原因は大きく3つに分けて考えられる。

1)脳への負担の、コンピュータ・人工知能による劇的な低減

2)言語思考からイメージ反応への移行による言語運用能力の低下

3)電磁波による脳へのダメージの増大

以下に、順を追って説明しよう。

1)脳への負担の、コンピュータ・人工知能による劇的な低減

(前略)

長いこと人間にはあるがコンピュータには無い特徴の一つに “独創性” が挙げられてきたものだ。しかし、皮肉なことに 今や “独創性” があるのがコンピュータの特徴 になっており、どうやら独創性の乏しい類型的な手を打つほうが人間 なのだ。従来 「独創的」 と思われていた手は、単に類型的な手の中でも “比較的” 非類型的な手のことに過ぎなかったのである。人間の考える 「独創性」 というものは、それほどまでに人間中心の狭いものに過ぎなかったのである。

人工知能、ブロックチェーン、ロボット、IoT (Internet of Things: 物のインターネット) などの発達は、人間労働の欠点、弱点、限界を楽々と克服し、多くの産業セクターにおける人間の労働力への依存を減らしてコスト削減を進め、大きく効率を高めることが予想されている。

人間の労働力の一部である人間の知能も、より信頼性のある人工知能に置きかえられれば、人間の知能は “失業” する。今日ただでさえ見劣りのするその能力は人工知能にさらに水をあけられ、利用価値も低下することになる。そして、使わなければ衰えるのだ。

● 人工知能の登場は、文字の発明に匹敵する。

“文字”、つまり、“書くこと” の発明によって、人間の “脳内記憶” の限界が越えられて、“脳外記憶” つまり、外在的な “記録” の、自律的な世界が切り拓かれた。

2)“言語思考” から “イメージ反応” への移行による言語運用能力の低下

若い世代の言語運用能力の低下は、古代ギリシャ以来いつの時代でも嘆かれてきたが、昨今のインターネット、ケータイ、スマホといった伝達手段の急速な発達はこれに拍車をかけた。言語が最も理想的な伝達方法かどうかはたしかに議論の余地がある。

しかし、今までの人類の歴史においては、言語が最も重要で、最も信頼性のある情報伝達手段であったことは間違いない。

一方、言語以上に イメージが “雄弁” に語ることがある のも事実である。たしかに 「百聞は一見にしかず」 である。

しかし、言葉なしのイメージだけで会話が成立するだろうか?コンピュータが動かせるだろうか?現時点では人を動かし、世の中を動かし、コンピュータを動かすことができるのはやはり言語である。

イメージでは人工知能のプログラムは書けない。その意味でも “言語優先主義” は今後も簡単には崩れない と言える。

言語の持つ、規則的体系性、肯定と否定の二値性、デジタル的発展性は比類がない。何といっても “テキスト” が “本文” であり、“イメージ” はしょせん、“挿絵” の地位でしかないのだ。

そもそも、“イメージ反応” は “言語思考” とは根本的に異なる。“イメージ反応” は、言語や論理を媒介しないという意味では非常に “原始的” な反応である。チンパンジーも羊もトンボもみなイメージで判断して反射的に行動する。

“言語” はまるで “人工知能” のために人間が長い時間をかけて用意したようなものである。そして、当の人間は原始的な “イメージ反応” に退化して “低脳化” しつつある。

そう考えると、“言語思考” を軽んじ、“イメージ反応” 優先で生きているスマホゾンビーという低脳層 は、高度資本主義社会に跋扈する無数の企業の 誘惑的戦略に原始的に反応して飛びつくカモになっている とも言える。

逆に言うと、こうした低脳層は高度資本主義のシステムによって不断に “家畜化” されているのである。

3)電磁波による脳へのダメージの増大

(中略)

● “血液脳関門”

さて、マイクロ波が脳に及ぼす一番重大な影響は、 “血液脳関門” を開いてしまう ことが定説となっている。

脳への血流は、つねに “血液脳関門 Blood Brain Barrier”というフィルターで濾(こ)されて脳へ流れていく。脳は人体の中で最も重要で、しかも最も傷つきやすい臓器 だからである。

そのため、有害物質や毒素、体外から侵入した病原菌や重金属などは “血液脳関門というフィルター” にかけられて、脳にまで達しないしくみになっている。

人体において最も重要なこのバリアーが、“電磁放射線の曝露” によって開いてしまうことは、もう43年前から知られている現象である。「血液脳関門がマイクロ波によって開けることができる」 ことは、1975年 にアメリカの神経科学者、アラン・フレイによって公表されている。この事実を否定する科学者はいない。

脳への電磁放射線の曝露 によって、有害物質や病原菌がノーチェックで大手を振って人体の、そして精神の中枢である、最も神聖ともいうべき脳の領域に土足で上がり込んでいくことになるのだ。脳腫瘍ができるばかりではなく、重金属が脳に蓄積して、若年性認知症が発症する可能性もある。

実際、携帯電話が普及し始めた頃から “自閉症児が増加” したのは、母体内の胎児の “血液脳関門” が電磁波によって開いて、さまざまな有害物質が胎児の脳内に流れ込むためではないかとも言われている。

一つの国が電磁波浸けになっていけば、その国民の遺伝子は損傷が蓄積して、どんどん劣化していく。こうした劣化は不可逆であり、次の世代へとさらに蓄積されていく。

(中略)

● スマホのグローバルな問題 

“携帯電話・スマホによる電磁波問題”はおそらく最も喫緊な“グローバルな問題”である。地球の表面に暮らす人々の毎日の生活と健康に直接かかわる重大な問題である。なぜならば、

1) 先進国、発展途上国を問わず、ここ30年ほどの間に世界中にみるみる拡がったテクノロジーでありながら、その安全性がまったく証明されていない。

2) むしろ、危険で有害である疑いを裏付ける報告、データ、証言、論文が年々積み上がってきている。

3) 「おそらく世界中でこれほど速く、これほど多くの人に広まったものは前例がない」 ・・・・ ハワード・ラインゴールド(米国のデジタルジャーナリズムの教授)

そのために 「取り返しのつかない史上最大の生物実験の可能性がある」 ・・・・レイフ・サルフォード(スウェーデンの脳腫瘍学者)

そもそも携帯電話・スマホの電磁放射線(マイクロ波)は、もともと 兵器として軍事的に開発された技術 であって、危険極まりないものである。

軍事的な技術が “民生用” に通信機器として商業化されたのはここ30年ほどである が、同期間に脳腫瘍、白血病、さまざまながん、流産、奇形児・自閉症児の出産等々、すでにあまりにも多くの健康被害が世界的に発生している。

世界の携帯電話会社は、その「安全証明」 をこそ最初に示すべきなのに、示している会社は皆無である。そしてどこの国の政府も情報化時代におけるモバイル通信のような経済効果のあるものに対してはめちゃくちゃ規制が甘いときている。そうして緩い規制のまま、スマホは世界中で売られまくり、基地局アンテナは毎日地球上でリアルタイムに増殖し続けている。

● マイクロ波の危険性

スマホやケータイのマイクロ波はもちろん基地局アンテナから飛んでくる。

携帯電磁波(マイクロ波)は直進性があり、モバイル端末と基地局とのあいだをさえぎる人体をやすやすと貫通する。

貫通している間にあなたのDNA、体細胞、臓器、精子、卵子、脳細胞、松果体は損傷を受けている。目には見えなくても、電磁放射線というものはそういうものなのである。放射能の一種と考えてもいい。それを証明する論文はすでに無数にある。あなたが知らないだけである。

そういった調査研究はマスコミでは握りつぶされたり、多大な報酬で雇われた研究者たちによる悪意ある、操作された追試によって不当に否定されている。業界の金の力によって、真実は不断に隠蔽されている。日本の新聞、テレビ、週刊誌で 「電磁波」 が話題に決してならないのは、電通による周到な検閲の結果である。アメリカでは、産業界にベッタリのCNNでさえテレビで問題にしているのだ。日本におけるマスコミの 「電磁波」 についての沈黙は、先進諸国の中でも異常である。

人体に有害な高周波電磁放射線のマイクロ波に関しては、スマホなどのモバイル端末と基地局アンテナとが主な発生源である。これは世界的にそうである。ちなみに、スマホなどよりも歴史のあるアマチュア無線もマイクロ波を使うが、アマチュア無線愛好家には脳腫瘍や白血病が多い ことはすでに統計的に明らかになっている。

また、高周波のマイクロ波と同様、低周波の電磁放射線も有害で、がんや白血病を引き起こす ことが知られている。具体的には、送電線、高圧線や変電所や高速鉄道の近くに住む住民の被害である。

あまりにも日常的なために意外に盲点になっているのは、自動車である。自動車ほど多種多様な電磁放射線を狭い金属の箱の中で集中的に浴びることのできる場所は他にないだろう。

繰り返すが、高周波であれ、低周波であれ、人工的な電磁放射線はすべて有害である。ケータイの出現、そしてスマホの登場、モバイル端末の普及といったここ20数年のあいだに、白血病の増加、脳腫瘍の増加、がんの増加、アトピーの増加、喘息の増加、自己免疫不全の増加、白内障の増加、流産の増加、死産の増加、奇形児出産の増加、乳幼児突然死の増加、自閉症児出産の増加等々さまざまな異変が起きている。

こうした事態は、われわれの社会環境における何かしらの急激な変化と関係があるのではなかろうか?そうした社会環境中の変化のなかでも 最も疑うべき電磁放射線の劇的な増大は、その変化があいにくまったく目に見えない。目に見えないためにまるでそんなものは存在しないかのように思われている。

特にテレビやスマホによって “イメージ反応” に慣らされた若者にとっては 「見えないものは存在しない」 に等しい。しかし、実はその 「見えないもの」 こそが今日の人類の身体と頭脳に毎日絶え間なく損傷を与えている元凶なのだ。

iPhone のようなハイテクの最新鋭のモバイル端末を使い倒しながらも、使っている当人の頭脳は情けないことに電磁放射線によって、確実に機能不全をきたしているのだ。記憶力減退、頭痛、うつ病、不眠、集中力減退、思考力減退、思考混濁といった症状が、実はそのまま “人類の第2次低脳化” なのである。

しかし、人類がいくら低脳化しても、テクノロジーの進歩によって十分に埋め合わされるので、社会的には大きな支障は生じないであろう。逆に言うと、人類がテクノロジーにますます依存するようになるだけのことである。

ただし、個々の人間は、電磁放射線による損傷に起因する頭脳や身体の障害を終生背負っていくことになるだろう。早い話が、障害者の続出である。しかし、それが余りにも多いので常態化してしまって、逆に問題にならなくなってしまうだろう。現代における花粉症がいい例だ。いずれにせよ、2050年までにこれが表面化するであろう。そうした苦痛やストレスをまぎらす新しいドラッグや薬品、そして、さまざまなセラピーも出てくることであろう。

しかし、一部の人間は賢明にも、もうすでに電磁放射線に対して十分に防護した環境に暮らし、自分達のDNAを損傷から守りながら、健康な生活と明晰な頭脳を維持しているはずだ。

人類史上初めてのグローバルかつ不可視の急激な災禍を理解し、回避できるのは“論理的思考” の可能なごく一部の人間だけである。

 

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List    投稿者 seibutusi | 2019-08-23 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments »