2014-11-16

健康・医療分野における微生物の可能性を追求する 09 ~自然由来の飲む点滴 甘酒~


dsc08803画像はこちらからお借りしました
前回記事では、日本の発酵食品の源泉とも言える麹(こうじ)について、その発酵メカニズムや効用について紹介しました。
今回は、麹からつくられ、日本で古くから栄養豊かな発酵食品として嗜まれてきた甘酒のもつポテンシャルを探ります。

甘酒には、酒粕に砂糖などで甘みをつける酒粕甘酒と、麹と米を発酵させて麹の消化酵素がでんぷんをブドウ糖に分解することで甘みとなる麹甘酒の2種類があります。
本記事では、発酵作用により高い栄養価をもつとされる後者の麹甘酒を取り上げ、栄養効果と美容効果を中心に見ていきます。
(さらに…)

  投稿者 seibutusi | 2014-11-16 | Posted in ⑩微生物の世界No Comments » 

栄養学の嘘2~ドイツの飢饉が実証した近代栄養学の嘘

 

前回『栄養学の嘘1:「北緯50度の栄養学」を導入した明治政府の誤り』に引き続き、近代栄養学の基礎理論や登場した時代背景などから、その限界と誤りを明らかにしてみようと思います。

18~19世紀にドイツで誕生し発展した近代栄養学は、西欧諸国に広がり、明治時代には日本にも政府主導もと導入されます。世界中で認められた近代栄養学ですが、皮肉にも発祥の地である当のドイツで「近代栄養学の嘘」を実証する出来事が第一次対戦時に発生します。

第一次世界大戦中、ドイツとデンマークは、イギリスの海上封鎖により穀物の輸入が途絶え、さらに国内の農作物生産も低下して、絶対的な食料不足が起こります。

食料危機が深まり、ついに「豚殺し」が始まります。豚の飼料消費は実に人間の2倍以上。その飼料を人間の食料に回すことで、食料を確保しようとしました。

ドイツ、デンマークとも、この食糧危機対策が実施されましたが、それぞれの国の“近代栄養学”に対する考え方の違いから、一方では“飢饉”、もう一方では“健康増進”という、全く逆の結果が生じます。

Berlin 1918.

ベルリン(1818年)~ジャガイモの配給を待つ人々

(写真はコチラからお借りしました)

 

 

 

(さらに…)

  投稿者 seibutusi | 2014-11-15 | Posted in ①進化・適応の原理, ⑩微生物の世界No Comments » 

栄養学の嘘1~「北緯50度の栄養学」を導入した明治政府の誤り

日本では江戸時代までに、米を主食に、季節ごとの野菜・魚介類を副食とした伝統的な食文化が形成されました。この食文化の歴史は途方もなく古く、その始まりはなんと縄文時代にまで遡ります。

玄米和食

以前は縄文人の食事は動物性タンパク質中心だったと考えられていましたが、実は炭水化物もたくさん食べていたことが最近の研究成果から明らかになってきています。炭水化物源としては、イモ類やクリやドングリ、トチの実などの堅果類がよく食べられたようです。そして、この食生活は、実に江戸時代まで基本的には大きくは変わっていません。

写真はこちらからお借りしました。

ところが、この日本人が築き上げてきた伝統的な食生活の体系は、「明治時代」「第二次世界大戦後」に起こったある出来事により、いわば“壊滅”“断絶”ともいえるような大転換を余儀なくされます。その出来事とは、政府主導により導入された西欧発の「近代栄養学」とそれも基づく食料政策の実施です。

まず、明治時代にヨーロッパ、主としてドイツで誕生し発展した「栄養学」が、そして第二次世界大戦後に、そのドイツで誕生した「栄養学」をベースに発展したアメリカの「栄養学」が導入されます。いずれも現代の栄養学に繋がる「カロリーと栄養素を中心にして考える栄養学」でした。簡単にいえば「肉や牛乳など“栄養豊富”な食べ物を、バランスよく沢山食べると健康になる」という考え方です。

この栄養学については、

『現代栄養学に代わる、腸内細菌と共生関係を組み込んだ“新しい栄養学”の構築に向けて』腸内細菌の働きの解明が進んでいますが、現代栄養学は、その成果を反映することがないにも関わらず、未だ健康管理の基礎として君臨し続けています。この状況には大きな問題を感じます。これを変えるには、まず、現代栄養学の基礎理論や登場した時代背景などを把握し、その限界と誤りを明確にしておく必要だと思われます。

『少食のしくみ-2』

では、まず明治時代の「ドイツで誕生した栄養学」から見ていきます。

(さらに…)

  投稿者 seibutusi | 2014-11-11 | Posted in ①進化・適応の原理, ⑩微生物の世界1 Comment » 

【脳のメカニズムと可能性Vol.2】記憶において重要な2つの機能

人間の脳は、なぜ多くの情報を蓄えることができるのでしょうか。そしてどうすれば、効率的にものごとを覚えることができるのでしょうか。その答えを、本ブログでは、脳のメカニズムから探っていきたいと思います。

stock-vector-smart-brain-105778280

 

 

 

 

 

 

 

■どうして多くのものを記憶できるのか

それは、人間の脳は見たこと、感じたこと、考えたことを、「言葉」に圧縮することができる機能を持ってるからです。

例えば、具体的な事例として、次の記事を引用したいと思います。

リンク
============================
●言葉や文章は、すべての現象を表現しきれない
人間の脳により「言葉」は日々生み出されます。言葉は脳と脳の外界を含めたすべての情報を言葉により表現・記述しようとします。しかし言語では、現実(外界)の膨大な情報を「完全に」描写・蓄積することができません。言葉により記述される内容は必ず不完全な情報になります。なぜなら脳は外界よりも(空間的に)遥かに小さく、そもそも脳の能力自体にも限界があるからです。よってそこには必ず不要な(=重要ではない)情報を切り捨てる、つまりモデル化するという作業が必要になります。もっとも着目した情報に焦点を合わせて、モデル化はなされていきます。

具体的に考えられるように例を出しましょう。下に私がインドで撮ってきた二枚の写真を載せました。
インド1 インド2

 

 

 

 

 

 

 

これらをあなたが隣人に伝える時、どのように表現するでしょうか? その表現は、他人と比べて同一でしょうか? まず同じにはなりません。着眼点が異なることもあるでしょう。同じ点に注目していても表現が違うこともあるでしょう。実際問題、あなたがどれほどこの写真の情報を他者に伝えきることが出来るでしょうか。人物の服装・性別・年齢、または背景などすべての情報を言葉で表現しきることはかなり困難で、なおかつ着目すらしなかった点が必ずあったはずです。そのような情報も含めてすべてを伝えるといことがいかに難しいことであるかはお分かりいただけると思います。

中略

このジレンマに対して、ヒトは表現を変えて様々に形容してみたり、身振り手振りを加えたりして情報量を増すことで補おうとします。しかし多く場合これでもすべてを伝えきることは困難なことであることはご理解いただけると思います。このような「つたえきれない」というジレンマは、モデル化の作業、主要でない情報を「切り捨てる作業」により必然的に生まれるものなのです。

============================

引用記事に書かれているように、私達は五感で感じたことを、部分的に集約することで、言葉として他者に伝えています。そのような機能を、ものに意味を与えることから、「観念機能」と呼ぶことにしましょう。人類は、この観念機能を巧みに使うことで、世の中の現象やモノに対して意味を与え、その原理や知識を蓄積することで進化してきたのです。

つまり、人間の脳には、何かを感じる感覚機能と、言葉に置き換える観念機能の2つが備わっていると言えます。

それでは、この観念機能は「記憶」どのように関わっているのでしょうか。
るいネットより

%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%
>観念が記憶力の向上に重要な役割を果たします。例えば、りんごのような赤色の物体をみて、『赤』という『色』を記憶するには、りんごの様々な特徴から、赤という特徴(膨大な情報量がある)のみ取り出し『赤』という観念(非常に小さな情報量になる)に置き換えて記憶します。

>そして、赤に関する何かを考えるとき、データ量の多い実態の赤を呼び起こさないで、小さなデータ量の『赤』という観念のみを呼び出し、その他の観念とつなげて統合することが可能です。そして、結果が実態のデータ量の多い赤にまつわる諸事実と整合していることを、最終過程で確認すれすむようになっています。
%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%

このように、「記憶」とは、感覚機能と観念機能という2つの機能が同時に働くことによって行われる作業であると言うことができます。

もちろん自転車の乗り方や、泳ぎ方など、感覚機能だけで覚えるものもあるし、丸暗記のように観念機能だけで覚えるという、例外もあるかもしれません。

しかしながら、最も重要なのは、この感覚的な機能と、観念的な機能を同時に動かすことです。それはより忘れにくく、生きていく上で使える脳みその使い方となるからです。

例えば…

・何か覚えるとき、声に出したり、手を動かした方が早く覚えられなかったか?あるいは友人と問題の出し合いをした時の方がよく記憶に残っていなかったか?

・鉄道の車掌や工事現場の作業員が腕を動かして点検作業を行っているのはどうして?

・英語で「赤い」はredであり、そこには音にしか意味がないが、日本語の「赤い」は「明ける」から来ている。日本語には、このように情景が言葉へと対応したものが多く存在する。そこには日本人特有の、言葉のイメージと言語能力の結びつきがあるのでは?

これらの疑問の答えは、感覚機能と観念機能の関係にありそうです。

この2つの機能の結びつきを明らかにしていけば、脳の使い方も変わってくるかもしれません。次回は、この関わりをさらに掘り下げていきたいと思います。

  投稿者 seibutusi | 2014-11-04 | Posted in ④脳と適応No Comments » 

【乳酸菌はどのようにしてヒトの免疫機能を正常化するのか?】-5.ガンとは免疫機能の一種である

さて、これからはガンと腸内細菌の関係性について見ていこうと思いますが、その前に、そもそも「ガンとは何か?」「なぜガンができるのか?」などガンそのものについて追求していこうと思います。

033-pic

 

 

 

 

 

 

 

(画像引用元:www.karadakara.com)

1、ガンとは何か

◆ガンは「血液の汚れ」

ガンの正体を一言でいうと、「血液の汚れ」である。 血液に中にガンウイルスやその他のウイルスが入り込んで汚してしまっている、それ自体がガンなのです。 すなわち、本当のガンは、一般にガンと呼ばれているオデキを体の中につくらせた「バックグランド」である、というふうに私は考えている。 血液が汚れてきた時、その人の体の中の一番敏感なウィークポイントに、ガンというオデキができるということなのである。本人も要求しないのに、ウイルスが体の外からいきなり入ってきてガンができる、などということはあり得ない。 ガンというオデキができるのは、目的があってのことだ。すなわち、血液が汚れてきたのを浄化する(排毒する)、という目的である。

◆ガン腫は浄血(排毒)装置である

そうなると、ガンというオデキは一種の浄血作用をするものである、と解釈しなければならなくなる。 悪魔の創造物であるというのは、考え違いもいいとこで、本当は、ガンというオデキは、その人にとって、まさに救いの女神なのだ。つまり、血液が汚れてしまって、このままではどうしようもないという時に、ガン腫ができて血液をきれいにする働きをしてくれるわけである。

最近、フランスの学者が、ガンのオデキの中に「抗毒素」が生産され、血液の中に分泌されているということを発見した。 今までは悪魔の創造物だから、切り取るとか、放射線をかけて火傷をさせるとかして、やっつけなければならないと思っていたものが、最近の研究で、ガン細胞は抗毒素を分泌して毒素を中和するばかりか、血液の中に抗毒素を送りこんでいることがわかったわけだから、ヨーロッパのガン学会はあわて始めた。 この問題を解決するためには、ガン腫は浄血装置である、という私の理論をもってこなければならない。

そうでなければ、ガンのオデキの中から抗毒素が分泌されているという事実を、説明することはできない。浄血装置なら、そのような働きがあって当然だ。血液の汚れは、毒素が血液の中に入りこむことであって、その毒素は腸の中でつくられる、ということについては前述したが、その結果できるガンというオデキは浄血装置なのだ。体というものはまったくうまくできている。ガンができたということは、むしろ喜ぶべきことなのである。そこのところをよく理解し、くれぐれも考え違いをしないように頭を切りかえなければならない。

(引用:http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&t=6&k=2&m=259586

 

2、ガン細胞は私達の味方である

◆通常の免疫システム

ヒトの免疫システムは体外から侵入した異物である病原ウイルスや病原菌やそれらに罹患された細胞を見つけると、自然免疫で活躍する樹状細胞やマクロファージや顆粒球がまず駆けつけて貪食したり、酵素を噴射してやっつけると、樹状細胞はその食べた一部を抗原として提示しリンパ球であるT細胞へと異物侵入のサインを送ります。T細胞はサインを受けとるとそれをB細胞へと伝達しB細胞はその異物に適応した抗体を産生します。またT細胞は樹状細胞に刺激されそれぞれヘルパーT細胞やキラーT細胞に分化し異物を分解したり、アポトーシス誘導をして獲得免疫の役割を発揮します。

immune_surveillance

 

 

 

 

 

 

 

大量に産生された抗体とT細胞やNK細胞らの活躍もありここにおいて異物処理は完了します。こうして体外からの侵入者は普通は完璧に消化分解されている。 もしもこの免疫システムをかいくぐり細胞内にウイルスらが入りこんだ場合には細胞内オートファジーという原始的な分解浄化機構がはたらいてリソソームという細胞内の胃袋にある分解酵素によって消化されます。これが免疫の全容なのです。

※オートファジー (Autophagy) は、細胞が持っている、細胞内のタンパク質を分解するための仕組みの一つ。自食(じしょく)とも呼ばれる。酵母からヒトにいたるまでの真核生物に見られる機構であり、細胞内での異常なタンパク質の蓄積を防いだり、過剰にタンパク質合成したときや栄養環境が悪化したときにタンパク質のリサイクルを行ったり、細胞質内に侵入した病原微生物を排除することで生体の恒常性維持に関与している。

20111114-8

 

 

 

 

 

 

 

◆ガンを広げる「案内人」は免疫細胞である

「ガン細胞も免疫システムにより破壊されている」、という常識であるが、果たしてこの常識がこれからも常識として通用するかどうかが少し疑わしくなってきました。

がん細胞がまわりにじわじわと広がっていく「浸潤」現象を起こすカギとなるのは、「未分化骨髄球」という免疫系の細胞であることを、京都大大学院の武藤(たけとう)誠教授(遺伝薬理学)と湊長博教授(免疫学)らのグループが見つけ、18日付の米科学誌「ネイチャー・ジェネティクス」電子版に発表する。がんを攻撃する「味方」と思われていた免疫系の細胞が、がんと協力する「敵」だったことになり、がん治療の考え方を変えかねない発見といえそうだ。武藤教授らは遺伝子操作で大腸がんを起こすネズミを開発し、観察する中で、がん細胞を包むようにくっついている細胞群に気が付いた。

調べると、骨髄にだけあるとされていた「未分化骨髄球」という未熟な免疫系細胞だった。この細胞群はたんぱく質分解酵素を作り、がん細胞の固まりを包んでいる膜を溶かし、がん細胞が外へ広がっていきやすくしていることがわかった。さらに大腸がんの細胞表面に免疫系細胞を呼び寄せる働きを持つたんぱく質があることを発見。これを認識してくっつくCCR1というたんぱく質を未分化骨髄球が持っていることもわかった。大腸がんを起こすネズミに、このCCR1ができなくなるようにさらに遺伝子操作すると、がん細胞のまわりに未分化骨髄球は集まらず、浸潤の程度も低くなった。湊教授は「免疫系細胞ががんの周辺に集まることは知られていたが、それはがんを攻撃するためと考えられていた。しかし、実は、がん細胞に呼び寄せられ、がん細胞がまわりに広がっていく浸潤現象の『水先案内人』のような役割をしていた」と話す。

(引用:http://blog.goo.ne.jp/shinjo_mitsuroku/e/3d916720d3858eeeb5c029c65fe22d7d

 

さらに、ガン細胞は腫瘍関連マクロファージ(TAM)を味方につけます。つまり本来ならば異物を認識し破壊する役目のマクロファージの一種を手なづけてしまいガン陣営の参謀に迎えるのです。また抑制性T細胞(Treg)が増えて樹状細胞に接着すると樹状細胞の抗原提示能力が無力化されてしまいます。これを機に樹状細胞に取りついたTregからは免疫抑制分子が分泌されてガン細胞が増殖するのに都合の良い免疫抑制環境が出来上がります。マクロファージもT細胞も本来ならば体内に発生した異物であるガン細胞を抗原として認識し攻撃し分解破壊するのが役目なのですが、こうしてガン細胞にとって都合良く使役されるタイプのものさえいるのです。

もしもガンが悪者であり絶対に存在してはならないものであるのなら、このような事は絶対に起こりません。こうして少しだけ注意深く観察しただけでも免疫システムはむしろガン増殖に貢献すらしているという現実が確かに存在するのです。いったいこれはどうしたわけなのでしょうか? ガンはいったん陣地を構えるとそこに腫瘍間質と呼ばれるバリケードを築きます。そうして新生血管を誘導してグルコースを取りこむルートを確保します。この間質からも免疫抑制因子が放出されてガン細胞は増殖環境を堅固にしていきます。ガンはリン酸化酵素(mTOR)を活性化しオートファジーを駆動する事でグルコースを取りこみ大量の乳酸を生み出します。本来なら細胞質内を浄化するオートファジーという機構を使いガンはエネルギーを得て細胞質内をゴミである乳酸で充満させてしまうのです。オートファジーすらも味方につけるガン細胞。

 

◆ヒートショックプロテインも味方につける

ヒートショックプロテインはガン消滅の鍵を握る重要なタンパク質ですが、善玉免疫サイドがヒートショックプロテインを支配できずに、癌サイドがヒートショックプロテインを操作しガン増殖に有利に働く物質とヒートショックプロテインが接着するとヒートショックプロテインは癌を助けてしまうのです。マクロファージもT細胞もオートファジーもヒートショックプロテインすらもガン細胞は自身の生き残りのために取りこみます。免疫システムも自然治癒物質もガン細胞にとっては味方なのです。つまりガンとは自分自身なのであり敵ではなかったということなのです。

(引用:http://kouhakudou.blog.fc2.com/blog-entry-541.html)

※ヒートショックプロテイン(HSP)とは?

傷んだ細胞を修復する働きを持つタンパク質のこと。また、免疫細胞の働きを強化したり、乳酸の発生を遅らせるなどの力も持っています。

※ATPとは?

筋肉はATP(アデノシン三リン酸)という物質を持っています。このATPが分解して無機リン酸を放出し、ADP(アデノシン二リン酸)に変わる時に発生するエネルギーを使って筋肉を動かします。動物、植物、微生物(細菌)などには、必ずATPが含まれています。この過程中に3個の<三カルボン酸>を生じるので、三カルボン酸回路(TCAサイクル)とも称されています。

 

●ガンは血液の汚れを集めてくれる味方である

●免疫細胞は、ガン細胞を広げる手助けをしている

以上のことを踏まえると、ガンそのものが、浄血(排毒)作用を備えた免疫機能の一種と言えるのではないでしょうか。

次回は、もう少し深くガン発生のメカニズムについて見ていきたいと思います。

  投稿者 seibutusi | 2014-10-26 | Posted in ⑤免疫機能の不思議, ⑥病気の起源、正体, ⑩微生物の世界No Comments » 

健康・医療分野における微生物の可能性を追求する 08~日本の発酵食品の王様、麹(コウジ)

麹定食2

 

 

 

 

この画像はこちらからおかりしました

前回のブログ記事で、自家製発酵食品で健康効果を検証すること、その候補として甘酒とケフィアを取り上げることを報告しました。今回はその一つ、甘酒を作り出す麹について学びます。

日本には麹を使った発酵食品が数多くあり、日本で発酵食品といえば麹と言っても間違いないぐらいです。具体的には、味噌、醤油、甘酒、清酒、焼酎、泡盛、食酢、漬け物、鰹節など。同じ麹を使いながら多様な食品が出来ているのに驚きます。

麹による発酵は日本を始め東南アジアに特有の技法です。中でも日本の麹は特別で、長い年月をかけて、有効性の高いコウジカビを選別することで作り出されてきた、日本特有の文化と言えます。日本では1000年前(平安時代末)には何億種類ものカビの中から有用なコウジカビだけを抽出する技術を開発し、鎌倉時代には蒸し米の上でカビを育て、どこにでも運べる「カビの種」を作る種麹屋(たねこうじや)が現れました。種麹屋はいわば、「世界最古のバイオビジネス」。この登場で、コウジカビは全国に広まり今に至ります。

日本の食文化を支えている麹ですが、そもそも麹とはどんな生き物なのしょうか。そして、このように多様な食品を作り出す仕組みはどうなっているのか、なぜ麹による発酵食品ななぜ健康に良いのか、今回はここを追及します。

(さらに…)

  投稿者 seibutusi | 2014-10-24 | Posted in ⑩微生物の世界No Comments » 

微生物との共生を組み込んだ新しい代謝理論・・・圧倒的な適応力!細菌は、種という概念では捉えられない存在である

 

ProteusMirabilis_Schwärmen『微生物との共生を組み込んだ新しい代謝理論』の第2回第3回では、細菌の適応戦略を扱いました。

そこでは、単細胞生物といわれる細菌も、ただ一匹で生きていけるわけではなく、同種の集団だけではなく異種集団まで、互いに連絡を取り合いながら、集団として生きていることが解かりました。

つまり、いままで単細胞生物という名前から単体で生きているように思われてきた細菌も、集団で生きるとことを基本原理としていたのです。

また、これらの微生物の共生は、『微生物との共生を組み込んだ新しい代謝理論』の第2回第3回のように、その適応レンジは広く、驚愕に値します。

これらの機能は、多細胞生物の各部位の正確な連携機能に比べて、その正確さは劣りますが、このしたたかな適応機能を使いながら、多細胞生物が生まれるずっと以前から現在まで、大きな環境変化を潜り抜け、生きてきたのです。

では、そのような環境適応能力はどんな仕組みで実現しているのでしょうか? (さらに…)

  投稿者 sinsin | 2014-10-16 | Posted in ⑩微生物の世界No Comments » 

健康・医療分野における微生物の可能性を追求する 07~自家製発酵食品への取り組みスタート

みなさんこんにちは。

これまで、「健康・医療分野における微生物の可能性を追求する」シリーズでは、「食品ラボ」チームと「肌ラボ」チームに分かれ、実際に販売されている有用微生物を活用した健康食品と化粧水の人体への影響について検証してきました。

約1ヶ月間継続して検証を行った結果、「食品ラボ」では、乳酸菌健康食品、ミドリムシ(ユーグレナ)健康食品共に腹痛・便秘の解消、お通じの改善など腸内環境の改善に効果が見られました。一方で血液データの変化は、若干コレステロール値が下がったかのように思われましたが、目に見えての変化はありませんでした。
「肌ラボ」では、一般化粧水とミドリムシ成分入化粧水を比較検討した結果、化粧水の保湿成分によって、肌の症状はいずれも大きく改善しましたが、微生物配合の有用性ははっきりしなかったと言うのが正直なところです。

img_121ヶ月では目に見えるほどの変化が表れないと言うのは、ある意味当たり前。
中~長期間にわたって継続して検証することが重要なのは言うまでもありません。
一方で健康食品や化粧品は値段もそれなりにする為、継続的に検証するには限界があります。
そこで今後は、自家製発酵食品を作り、その健康効果を検証していく方針に切り替えていきたいと思います。

(さらに…)

  投稿者 seibutusi | 2014-10-15 | Posted in ⑩微生物の世界No Comments » 

【乳酸菌はどのようにしてヒトの免疫機能を正常化するのか?】-4.乳酸菌がアレルギーや花粉症を緩和するしくみ

301239腸内細菌が免疫力にどのように影響するのか、そのメカニズムの解明に取り組んでいます。

世間では様々な実験を通じて、乳酸菌が免疫力向上やアレルギー症状の緩和に寄与するとされています。実際そのような現象が表れていますが、そのメカニズムははっきりしていません。

現代人の免疫機能は正常

よく、そのメカニズムについて「免疫細胞のバランスが正常化する(=過剰細胞を抑制する)」という説明がなされます。しかし、「バランス」というはいかにも曖昧です(従って、衛生仮説も疑問)。免疫機能を悪者にしているところに違和感も残ります。その根本にあるのは、現代人の免疫反応が「異常」であるという考えです。

その考えのおかしさは、花粉も乳酸菌も、とにかく腸壁や鼻の粘膜を通過して入ってくることを前提=当たり前としている点です。それが本来の身体のしくみであれば、花粉が多い地域ほど花粉症の人が増えるはずです。あるいは、江戸時代にもアレルギーや花粉症があってもおかしくありません。

そうなっていないということは、まず前提とすべきは、花粉、食物、微生物といった異物は、本来腸管や粘膜を通過して来ないということです。アレルギーのショックで死に至ることもあるように、異物は滅多に入って来てはいけないのです。つまり、免疫機能は昔も今も「正常」である、ということです。

 

原因は人工物質

アレルギーも花粉症も、異物が腸管や鼻の粘膜(細胞を含む)を通過して侵入してきてしまうことが原因であり、そこが「異常」なのです。その直接原因は、粘膜が破壊圧力にさらされ、機能衰弱している(つまり薄い)こと、更には、破壊の進行が再生スピードを超えてしまっているということです。そして、乳酸菌の摂取によってそれが改善されていると考えられます。

粘膜及び表皮細胞の破壊の原因は、食物アレルギーの場合は食品に含まれる農薬や食品添加物です。また、花粉症の場合は、排ガスです。つまり、いずれも人工物質です。それらが食物や花粉をくっつけてやってくるため、人工物質が粘膜や細胞を破壊しつつ、くっついている様々な異物が侵入してくると考えられます。そう考えると、田舎にいくと改善することや江戸時代には無かったことの説明がつきます。

(詳しくは「アレルギーの原因は人工物質」 「なぜ人工物質がアレルギーを引き起こすのか?」 参照)
 
以上の認識を前提に、腸内細菌と免疫力の関係を解明してきます。
 

(さらに…)

  投稿者 kumana | 2014-09-28 | Posted in ⑤免疫機能の不思議, ⑩微生物の世界2 Comments » 

微生物との共生を組み込んだ新しい代謝理論・・・異種微生物の共生により安定した環境を作り出す、バイオフィルムという戦略

無題前回は、『クオラムセンシングを利用した細菌集団の統合という適応戦略』のお話をしました。

今回は、クオラムセンシングを利用した、異種微生物の共生により安定した環境を作り出す、バイオフィルムという戦略についてお話します。

バイオフィルムの拡大写真

画像は、こちらからお借りしました

  (さらに…)

  投稿者 sinsin | 2014-09-25 | Posted in ⑩微生物の世界No Comments »