2022-06-11

観念回路の形成過程⑤~同一視を超える「完全一体化回路」とは何か?~

現在、初期人類の観念回路の追求中ですが、観念回路の形成過程は概ね以下のような過程を辿っていると思われます。

①サル時代に形成された同一視を超える、同類との完全一体化回路を形成。
②同類との一体化回路を基盤にして、万物との一体化回路を形成。
③万物との一体化回路と本能・共認回路との間の矛盾(意識の混濁)にぶつかる。
④それらの矛盾を突破するために、精霊の措定と概念化(本質の抽出)を行う。

まず今回は「①サル時代に形成された同一視を超える、同類との完全一体化回路を形成。」から扱っていきますが、そもそも「完全一体化回路」とは何なんでしょうか。

それを明らかにする為に、サル時代⇒オランウータン⇒初期人類の過程でどのような回路形成をしてきたかを抑えていきます。

 

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■1.サル時代の「同一視回路」とは?

サル時代、防衛力にも生産力にも優れた樹上世界で、あっという間に繁殖し樹上は同類に囲まれました。寝ても覚めても、同類からの圧力に苛まれたサル同士はすべて縄張り闘争の敵です。
その無限苦行とも言える圧力状況下で、ずっと気を張ってその敵を注視している中で、「同じように不全を抱えている」「同じような状況で苦しんでいる」というのを見出したところから同一視回路の形成が始まりました。(※参考:サル社会の構造⑪~手探り回路による同一視回路の形成~

従って、同一視回路は、敵(マイナス)の中に同じ所を見出して、安心感・充足感(プラス)を得る。そのために、とことん【対象を注視・観察・手探りする回路】。
「対象を注視している」ということは、「主体意識」は残存しているし、当然「対象認識」も残っているということ。

つまり、同一視回路には主体意識が残存しているので、主体と対象は同一視されているが、「一体化」とまでは呼べません。

 

■2.初期オランウータン時代の「一体化回路」とは?

オランウータンの一体化回路とは、母子密着によって、行動と皮膚感覚の同期をベースにしています。彼らの未知収束も、自然のエネルギーを得て充足したことを起点としていますが、未知収束と密着充足と、オスメス一体化充足における、【同期回路】が土台となっています。

しかし、同類圧力の中で生きていることには変わりはなく、同類欠損→主体の喪失を経験しているわけではないので、前々回の全面受容の回路は介在していないはず。

つまり、同期回路を媒介にして同類や自然との一体化はできるが、あくまで【主体は残存したまま】。

冷静に考えれば、それは当然と言えば当然の話で、それまでの生物が獲得してきた本能・共認機能は、外圧(自然・外敵・同類)に適応する中で内圧として様々な機能を生み出し、その外圧に適応してきました。
つまり、その外圧を対象化しなければ適応できないはずで、言い換えれば主体が無ければ外圧適応できず、死(絶滅)に至ることを意味します。

だから、一体化回路とは言っても、【完全に対象と一体化するという地平にまでは達していない】ということです。

では、初期人類の場合の一体化回路と何が違うのでしょうか?

 

■3.初期人類の「”完全”一体化回路」とは?

樹上機能を失った初期人類は、樹上にいられなくなり、完全に同類欠損の状態に陥りました。
その為、これまで同類圧力を活力源・充足源にしていた彼らにとっての世界は喪失され、「無(=主体喪失)」になったところから始まりました。

主体が無くなったからこそ、全面的に相手が入ってくるようになり、従って【完全一体化とは、主体がない状態で相手を全面受容する回路】です。

サルやオランウータンの場合は、探索している時点で「対象」と認識しており、完全一体化ではありません。しかし、完全一体化には【自他の区別が無い】ので、探索するまでもなく、相手の中に自分がいる、意識の全部が対象と一体(ex.ケチャ)ということ。

 

Q.改めて、同一視を「超える」とはどういうことか?
・同一視は、安堵と同時に不安もある。完全一体化は、自他の区別が無いので、敵味方関係なく【全て一体】→安心・不安(敵・味方)の軸を超えている
・同一視は、対象が分かり合える対象でないと充足できない。完全一体化は、全て一体なので、その分充足度も同一視を超えている

つまり、個体の境界を超えている、個体の存在を超えている(溶解している)ということです。言い換えると、同一視よりも充足度が上がった状態で、充足物質(おそらくエンドルフィン)の分泌量が増えたと推測されます。快感物質≒麻痺物質によって、本能・共認機能を麻痺させることで、初めて対象と完全一体化を成すことができたのではないでしょうか。

 

だとすると、次に疑問に思うのは、外圧もキャッチできない程、本能・共認機能を麻痺させて現実逃避していたら、初期人類は生きていけないはず。ではどのようにして、初期人類はこの状況を突破したのでしょうか?そこに観念回路の形成の鍵となる「精霊(≒言霊≒自然や生命のエネルギー)」を措定する意識の次元上昇が存在すると思われます。

次回はその点について扱っていきたいと思います。

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