2012-08-25

ハダカデバネズミ~兵隊係にふとん係・・・役割分担して集団生活する『真社会性』の哺乳類

こんにちは~ 😀

突然ですが皆さん、「ネズミ」というと、どんなイメージがありますか?

ミッキーマウスやトムとジェリー、ガンバ大阪のキャラクターなどなど、、結構可愛いイメージがありますよね

ところで、同じネズミの中にもこんなのがいるんです
          
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キャー!
                    
(※ホラーではありません。画像はこちらからお借りしました。)

「ハダカデバネズミ」

名前の通り、しわしわで毛の無い体に大きな出っ歯・・・こう見えて、ネズミの仲間なんです。

この特異な外見に加え、その生態もかーなーり変わっているんです!

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出っ歯の後ろでくちびるが閉じる、穴掘りネズミ
ハダカデバネズミは、哺乳網ネズミ目(げっ歯目)デバネズミ科、エチオピア・ソマリア・ケニアなどに棲息し、体長8-9cm(実験用マウスとほぼ同じ大きさ)、尾長3-4.5cm、体重30ー80gとデバネズミ科最小種の生き物です。体表には接触に対して感度の高い細かい体毛しか生えていません。口唇が門歯の後ろで閉じるようになっており、穴を掘るときに土が口内に侵入するのを防いでいます。
また、体毛が無く、体温を調節する機能を持たず(変温動物)、体温も26度~33度と低めです。

兵隊ネズミに、ふとんネズミ・・・役割分担して集団生活するネズミ
ハダカデバネズミの最も大きな特徴の1つが、「真社会性動物」であるという点です。
「真社会性動物」とは、二世代以上が同居し、ある特定の繁殖個体以外は生殖能力を持たず、集団内の繁殖活動には(餌の確保や巣の防衛を除いて)直接関わらない個体がたくさん存在する動物集団を言います。
          
ハダカデバネズミは平均80頭、最大300頭もの大規模な群れを形成し生活します。群れの中でもっとも優位にある1頭の雌(「女王 」)と、1頭または数頭の雄のみが繁殖を行います。これは、女王ネズミの尿に含まれる生殖抑制因子(フェロモン)により、他の個体の生殖機能を発現させない仕組みになっていると考えられています。群れの多くを占める、非繁殖個体のうち、小型個体は穴掘りや食料の調達を、大型個体は巣の防衛を行います。なかには、子供ネズミをあたためる「ふとん係」 も存在します。
          
フェロモンによって階級化して集団生活する昆虫として、ハチやアリがよく知られていますね。
          
ハチやアリなどの社会性昆虫は、階級分化物質や女王物質と言われるものによって、階級社会を形成・維持しています。女王バチが発する女王物質(queen substance)は、他の雌の卵巣の発育を抑えて、働きバチとしての行動を起こすように働きます。もし、女王が死んだ場合はこの物質の供給が途絶えるので、働き蜂や幼虫の中から生殖能力のあるものが現れ、新たな女王となって行くことができるのです。
参考:フェロモンって何?:集団統合力の進化に大きく貢献!

★ひしめき合って寝る様子
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体の小さいのがこどもネズミ、大きいのがふとん係のネズミです。

哺乳類で真社会性の動物は、今のところ、ハダカデバネズミとダマラランドデバネズミの2種のみが知られています。

ネズミは元々、“ねずみ算”を支える卵子の中心体にもあるように、繁殖力を飛躍的に高める生存戦略をとった生き物です。
卵子が細胞分裂の過程で中心体を失わないことによって、同時に多くの子を産むのです。

その中でも、ハダカデバネズミは、土中に逃避し、そこを棲息域にすることで生き残った種です。土中の環境は1年を通して温湿度が一定(温度28~32度、湿度80%~90%)です。この環境外圧により、ハダカデバネズミは恒温機能を失って代謝機能が低下し、体毛が少なくなったと考えられます。また、土中は外敵が少ないため、多産でありながら食われて死ぬことが少なくなり、集団を構成する個体数が多くなります。これを、生殖と他の様々な役割を個体ごとに分担することで、集団の個体数を維持しながら生き延びる戦略をとったのです。

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いかがでしたか?
ハダカデバネズミには、もうひとつ「長寿」という大きな特徴があります。
ほかにも、痛覚が無かったり 、がんにならない遺伝子を持つ など、人間から見るととても変わった特徴をもつ彼ら。これらのことも、長寿と関係しているのでしょうか
次回は、彼らの長寿の理由に迫ります

List    投稿者 kanae | 2012-08-25 | Posted in ⑨おもしろい生き物No Comments » 

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