ハダカデバネズミ2~平均寿命28年!?なぜそんなに長生きになったのか?
こんにちは~ 😀
前回記事ハダカデバネズミ~兵隊係にふとん係・・・役割分担して集団生活する『真社会性』の哺乳類で書いたように、彼らの大きな特徴のひとつが、「長寿」という点です。
画像はこちらからお借りしました。
ちなみに、しわしわなのは加齢によるものではないのだそう。
ハダカデバネズミは、同じサイズのネズミ目(げっ歯目)としては極端に長い28歳 に至る寿命を持つとされ、齧歯類の最長寿記録を有している興味深い生き物なのです。施設で飼育されている女王ネズミの推定年齢は、37歳にもなるそうです。
他のネズミ目で体長の近いものと比べると、たとえばハツカネズミやドブネズミの寿命は2年半~3年ほど(野生では捕食者が多いため平均寿命はもっと短くなる)です。
ハダカデバネズミは、なぜそんなに長生きになったのでしょうか
仮説を立ててみました
進化の歴史を紐解いてみましょう。
最初の哺乳類である原モグラは、寒冷適応して「恒温機能」と「胎内保育機能」を獲得しました。
そこから進化系統は
①モグラ=木の葉のカゲを棲息域としたもの
②ネズミ=地上を棲息域としたもの
③原猿=樹上を棲息域としたもの
の3つに枝分かれしていきます。
★原モグラ(エオマイア)の想像図
参照:哺乳類の起源と歩み~逆境の連続が哺乳類を生んだ②「原哺乳類の登場」
中でも②ネズミは、性闘争本能を封鎖して集団化することで大繁殖し、地上世界の制覇者となりました。
その結果、大繁殖により棲息域を追われた一部は土中に隠れ棲み、また一部は樹上に逃避の場を求めることとなります。
ハダカデバネズミは、土中に隠れ棲んだネズミの系統であると考えられます。
そして、土中という、地上よりもエサの少ない環境に適応するために、彼らは恒温機能を捨て、基礎代謝量を少なくしたのだと考えられます。
(代わりに、こどもネズミの体温低下を防ぐべく”ふとん係”が発生したのですね)
「代謝」とは、一言で言うと「酸素を使って食物を分解し、エネルギーを生み出す過程」のことです。
私たち人間は、暑ければ汗をかいて熱を発散し、寒ければ震えることで熱を生み出そうとします。これは代謝活動のひとつです。一方、トカゲなどの変温動物は、寒いと動かなくなったり冬眠することで、環境に適応しています。人間のように外気温が変化しても体温を一定に保って活動し続けるためには、より早く、食物を分解してエネルギーを生み出す必要があります。
ハダカデバネズミは代謝機能が低下した結果として、寿命が延びたのではないでしょうか?
突然ですが、よく、力士は短命と言いますね。
お相撲さんは、たくさん食べて 、激しい運動により燃焼 します。
言ってみれば、普通に生活している人と比べ、代謝スピードを極端に早める活動をしているのです。
力士でなくても、スポーツ選手は一般に短命とよく言いますが、
これは、代謝スピードと寿命の関係を示唆していると考えられます。
ハツカネズミは高代謝で3年、ハダカデバネズミは低代謝で30年という形で、
それぞれの置かれた環境外圧に適応している。
研究者の間では、ハダカデバネズミの長寿が注目され、その遺伝子を利用しようという動きがありますが、彼らの長寿の背景には、外圧適応戦略としての低代謝化という身体改造があります。
その構造を捉えると、私たち人間が、現在の生活を顧みずに寿命を延ばそうという魂胆は、自然の摂理から外れたものであるとわかります。
いかがでしたか?
寿命の仕組みってとても興味深いですね!
代謝量と寿命の関係については、今後もっと追求してみたい課題です。
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