2011-06-30

「放射性物質の拡散予測」シリーズ6~チェルノブイリ、スリーマイルから見る拡散~

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こんにちわ。
「放射性物質の拡散予測」シリーズ5~海洋生物への汚染はどうなるか~の続編です。
ちょっと間があいてしまいましたが、前回までは福島第一原発の拡散状況を追求してきました。
「放射性物質の拡散予測」シリーズ ~「放射性物質154兆ベクレル」から、核燃料の放出量を推定する

「放射性物質の拡散予測」シリーズ2~現在の拡散状況


「放射性物質の拡散予測」シリーズ3 ~年間放射線量を予測する


「放射性物質の拡散予測」シリーズ4 ~海に流出した放射性物質はどこへ向かうのか?

 今回はチェルノブイリ事故スリーマイル事故という2つの事例の被害状況を整理します。
 チェルノブイリは爆発を伴う事故で、スリーマイルは爆発を伴わない事故ですので、爆発事故と爆発の無い事故を比較する事で、福島第一原発における放射性物質の拡散を予測していきたいと思います。
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①チェルノブイリ原発事故
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まずはチェルノブイリ事故から。
□チェルノブイリ事故概要

 チェルノブイリ事故は1986年4月26日、保守点検中で原発が停止していた4号炉が急激な出力上昇をもたらす暴走事故を起こし、建屋も爆発した事で起こりました。
 目撃者の証言によると爆発時は「夜空に花火が上がった様」に見えた程明るく光ったそうです。
 原子炉とその建屋は一瞬のうちに破壊され、爆発とそれに引き続いた火災にともない、4号炉からは大量の放射能放出が継続しました。
 当初、旧ソ連政府は事故発生を公表しませんでしたが、翌4月27日には海を越えたスウェーデンで放射能が検出され、これをきっかけに28日ソ連政府は事故発生の公表を余儀なくされました。
□チェルノブイリ事故の放射性物質拡散状況
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 図から見て取れる様に、チェルノブイリ事故ではスウェーデンはもちろんの事、スイス、オーストリア等にも放射性物質が拡散しています。
チェルノブイリとスウェーデン、スイス、オーストリアは1,000km以上離れています。
 この事は、放射性物質は、爆発する事によってかなり広範囲に渡って拡散するという事が分かります。また単純に距離に比例して小さくなるのではなく、遠く離れた場所でも放射線量が多い箇所もあれば、比較的近くても少ない箇所も存在します。
この濃淡の原因は風の流れによるものです。爆発によって空高く舞い上がった放射線物質は気流に乗って各地に広がって行きます。一旦気流に乗ってしまうと、放射線物質はdこまでも飛散する、という訳です。
 下図は、チェルノブイリの拡散状況に日本地図を当てはめた図ですが、これを見ると爆発が起きた場合は、日本全土に拡散する可能性が極めて大きい事が分かります。
 
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 http://www.biological-j.net/blog/2011/05/001126.html、http://quasimoto.exblog.jp/14951308によると、3月12日及び6月12日の時点で核爆発が起きているので、この時にかなり広範囲に拡散した事が容易に予想できます。
 実際、アメリカやハワイでも放射性物質が検出されています。日本でも静岡のお茶や横浜の小学校のグラウンドから検出されましたが、日本国内にはアメリカやハワイより高濃度で飛散している地域が数多く存在する事は間違いないでしょう。

http://onihutari.blog60.fc2.com/blog-entry-44.html

 まとめると、「爆発を伴う事故は、気流に乗って1,000kmを超える範囲で放射線量が拡散していく。」という事になります。
②スリーマイル原発事故
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続いてはアメリカのスリーマイル原発事故です。
□スリーマイル事故の概要
 スリーマイル事故は、作業員の捜査ミスで生じた事故です。
事故の経緯を簡単に示すと、
 給水ポンプが停止→圧力上昇⇒圧力を逃がす為の安全弁が開いた→蒸気として冷却材が失われていった→非常用冷却装置始動⇒運転員が誤作動と勘違いして、手動で停止→約2時間20分開いたままになっていた安全弁から500トンの冷却水が流出し、炉心上部3分の2が蒸気中にむき出しになってしまった。
→崩壊熱によって燃料棒が破損→炉心溶融(メルトダウン)で、燃料の45%、62トンが溶融し、42トンが拡散。
という事故です。端的に言うと、「爆発ではなく、安全弁からの放射能漏れ」という事ですね。
□スリーマイル事故の放射性物質拡散状況
 スリーマイル事故時の放射性拡散に関しては、大きく2つの数値が存在しています。一つは事故当時に政府が発表した数値、そしてもう一つが後々の被害状況から想定した研究者達が発表(予測)した数値です。
 事故の調査にあたった大統領委員会の報告では、周辺住民の最大被曝量は、自然放射線による年間被曝量レベルである、1ミリシーベルト程度と発表しました。しかし、事故直後に多くの周辺住民が、皮膚紅斑、おう吐、脱毛といった急性の放射線障害のような経験した事から、事故当時から政府発表は疑われていました。
 事故から20年程度経った時に行われた周辺住民の癌の発生率や染色体異常の検査に基づくと、事故直後の被曝量が1ミリシーベルト以上であった可能性が高い事が指摘されています。
□18年後の癌の発生率から見る当時の被爆数量
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図は事故後18年後のスリーマイル周辺16kmの相対被爆量と発ガン率を示しています。
 この研究では、当時の気象データ等から算出した「相対被爆量」と、スリーマイル周辺の「発癌データ」の調査を重ね合わせる事で行っています。この2つのデータを重ね合わせると、相対被爆量が多くなるに従って発ガン率が上がるという結果が得られています。
 仮に政府発表の1ミリシーベルトだったとするとこの様な発ガン率の差は出ないはずですので、この研究で政府発表は間違っている可能性が高い事が分かりました。
□遺伝子異常調査
 ロシアの研究者のシェフチェンコらは、癌の発生率から一歩踏み込み、1994年7-8月と1995年1-2月に、スリーマイル島原発周辺に住み紅斑、脱毛、嘔吐、下痢等の症状があった29名について細胞遺伝学的調査を実施しました。
 細胞遺伝学的調査とは、放射線被曝によって人間の染色体(遺伝子の実体)に異常が現れることを利用して被曝線量を求める調査です。
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 調査の結果、実際の被爆量は600~900mmシーベルトだった可能性がある事が指摘されています。
 その他、事故時の現象として、原発から40km圏内で100以上の動植物の奇形が発見されている事が分かっています。

http://crooksandliars.com/node/44847/print

 これらの調査や現象事実からスリーマイル事故の被害を推測すると、その被害範囲は概ね40km圏内かつ方向性を持つという事が言えます。
 まとめると、「爆発の無い場合は、方向性を持って50km程度拡散する。」という事になります。
□チェルノブイリ事故とスリーマイル事故から見る福島第一原発の拡散
 最後に、2つの事故の拡散状況を踏まえてあらためて福島第一原発の拡散状況を整理すると
・アメリカまで飛散した放射性物質は、3月12日及び3月13日の爆発による。静岡や横浜もこの時の爆発が原因。(3号機の爆発
・現在は、http://www.biological-j.net/blog/2011/05/001140.html#moreと各地の計測線量から考えると、北西方向に50km程度の範囲で拡散。実際福島市では80マイクロシーベルト/時観測されており、十分拡散圏内に入る。
・このまま推移すればhttp://www.biological-j.net/blog/2011/05/001147.html#moreの予測通りになる。
という事になります。
この事は、
・北西方向の50km圏内は避難対象地域にする必要がある
・爆発した場合は日本全体に広がる可能性が極めて高く、関西、九州でもマスクやレイ ンコート等で放射線対策が必要になる
という事を意味しています。東京はもちろんの事関西も油断出来ません、というか3月の爆発のみならず6月13日には4号機が爆発しているので放射性物質は確実に降り注いでいると思われます。
今後も福島第一原発から目が離せません

List    投稿者 arinco | 2011-06-30 | Posted in ⑪福島原発問題No Comments » 

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