2011-07-01

今週の福島原発(6/22~6/28)…汚染水処理能力の目標・実態・今後のリスク/Tフォーク墜落/アンヌ更迭の理由(原発利権)/海底の土からもストロンチウム/今週のガイガー

今週の福島原発の最新状況を報告します。
<今週の福島原発の動き>
東京電力 福島第一原発事故関連ニュース
福島第一原発の最新状況まとめ
6/22
汚染水増加を防止
2号機 原子炉建屋で作業に着手
屋外の放射線量 各地ほぼ横ばい
3号機 注水域で原子炉の温度が上昇
梅雨入り 汚染水あふれる懸念
6/23
汚染水浄化システムを調整し直し、試運転開始
東電 精神的賠償は880億円
汚染水決まりどおりに流れず
2号機取水口付近、濃度これまでで最も低く
放射性汚泥 自治体は取り扱い苦難。
6/24
福島2号機に国産ロボット投入
福島県 子供に線量計配布へ
浄化設備 能力目標を達成
6/25
無人放射線測定飛行機ヘリが操作不能、2号機屋上に不時着
報告文書1万1000枚公開
一時帰宅 防護服なしで可能に
2号機 原子炉の水位計測難航
6/26
3号機、使用済み燃料プールにホウ酸水注入。燃料ラック腐食を防止
3号機プール水 強アルカリ性示す
トラブル浄化設備 本格運転へ
2号機も格納容器窒素注入へ
6/27
福島 内部被爆の検査始まる
原発作業員の健康管理対策へ
3号機プールにホウ酸水注入開始
6/28
循環注水復旧へ作業開始
海底の土からもストロンチウム
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今週も、放射線物質流出、温度上昇、梅雨の汚染水量の増加を理由に急がれている汚染水循環浄化装置のトラブルが相変わらず収束しませんでした。
一方で、原子炉建屋カバーの建設は予定通り始まり、大気への放出には一定のめどがつきそうです。
Twitterで建屋内で働く作業員の方が現状を報告してくれています。
作業員の方々は重圧の作業環境下で、一緒懸命に収束へ向け動いてくれているようです。
大変な中、ありがとうございます。
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◆汚染水処理能力の目標・実態・今後のリスク
●循環浄化システムはどうなっている?
先週も循環浄化システムがトラブル続きの状況を紹介しましたが、今週も27日に本格稼働後、わずか1時間半で止まってしまいました。28日になって運転を再開したようですが、これだけトラブルが続く、循環浄化システムはどのような仕組みになっているのでしょうか。
原子炉を冷やすために注いだ水が高濃度の汚染水となって漏れ続けており、汚染水の量を増やさずに原子炉の冷却を進めることが最大の課題となっています。そのために汚染水を一定の汚染濃度まで下げた上で、冷却水に再利用するシステムを運用しようとしています。これが、循環注水冷却、汚染水浄化システムです。
東電のHPに、全長4kmに渡る循環浄化システムの位置関係が載っていましたので紹介します。なんでこんなに迂回しながら水を流しているのか不思議に感じるぐらい、長いルートになっているのが分かると思います。
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画像はhttp://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/images/handouts_110627_03-j.pdfからお借りしました。
それぞれのシステムの画像もありましたので紹介します。装置の名前を聞くと最先端の技術を結集したハイテクというイメージですが、現物の写真を見ると仮設足場やテントで囲われていて、いかに急ごしらえで作ったかが分かると思います。
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①油水分離装置
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②セシウム吸着装置
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③アレバ社製薬剤タンク
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④アレバ社製除洗装置
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⑤逆浸透膜淡水化装置
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⑥仮設タンク
①~⑤の画像は福島第一原発高濃度汚染水の処理システムの概要
http://nikkei225kuroiwa.blog90.fc2.com/blog-entry-4431.html
⑥の画像は東電ホームページ
http://www.tepco.co.jp/en/news/110311/images/110617_03.jpg
からお借りしました。
●汚染水処理の能力は?
ここからは、現在の汚染水処理の能力について、現場で作業しているハッピー@Happy20790さん(Twitter)のツイートと小出裕章氏の投稿を参考にしつつ、考えていきます。
汚染水の総量はこれまでで約11万トン。現在も敷地内には毎日約500トンずつ高濃度汚染水が増えています。これに対して、汚染水浄化システムが目標としている処理能力は1日1200トン。単純計算すると、この目標がクリアできればこれ以上汚染水を増やさずに済むことになるがそれが可能かどうか…(正確には処理水以外にも従来からの水源も併用する計画なので、汚染水は増える)。またこれからの季節、雨が増えることによる増水も大きな懸念で、海へあふれ出すリミットも迫っています。
問題は、どのくらいの汚染水処理を継続できるか? 1日1200トンの処理能力を達成、維持できるかどうか?
ハッピー @Happy20790さんの6/26ツイッターによれば・・・

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汚染水処理システムやっと本格だね。約2週間の工程が遅れたんだけど…。突貫工事のつけがまわってきたんだよなぁ。目標の1日1200tの処理はまだまだ先だと思うよ。
いや無理かもしれないなぁ。淡水化処理の方にも計画より高い汚染水上がってきてるし、目の細かいRO膜のフィルターが詰まったら交換出来ないからいつストップするかわかんないんだ。セット数も少ないし…。
クリオンのフィルターの方も交換時にはブラッシングして線量おとしてからだし、その間の4時間位は全体がストップするみたいだからね。注水も処理量が進まないと 沢山入れる事出来ないから、なかなか炉内温度や燃料プールの温度下げられないんだ。
という訳でオイラ達は手放しでは喜べない状況なんだよなぁ…。梅雨に入ったし少なくとも最低600~700t処理しないとね。
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また6/27に問題となったホース継ぎ手からの漏水は、今後ともどこかで起こる可能性は高いです。システム全体の全長は約4km(ホースの全長はもっと長い)、継ぎ手部分はそれこそ無数にあり、漏水を完全に防ぐのは至難の業でしょう。
もうひとつの問題は、放射性物質をどのくらい除染できるか?
目標では、吸着塔(米キュリオン)と除染装置(仏アレバ)で10万分の1~1万分の1まで減少させることになっています。試運転ではこれをクリアできたという報道もありますが、試運転による処理能力の値も2桁レベルで変わっているようです。
●現場作業員の被ばくの蓄積が心配
ハッピー @Happy20790さんの6/22ツイッターによれば・・・

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その後いまオイラ達が怖れてるのは、本来処理された低線量の汚染水を入れるタンクに直接高濃度の汚染水を入れなくてはならなくなるんじゃないかって事。そうなったら高線量で人が近づけなくなって漏れても手をつけられなくなるぞ。
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また、6月16日 最低300年閉じ込める必要 小出裕章 (MBS)によれば・・・
http://hiroakikoide.wordpress.com/2011/06/16/tanemaki-jun16/ 

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(汚染水浄化システムの試運転が始まった。ゼオライトは毎日交換する必要があるというが、水での冷却が続く限り延々と動かすのか?)そうだ。
(浄化に使ったゼオライトの汚染は1立方センチで1億ベクレル。1.5メートルのマジックハンドで交換するというが、離れれば放射線の量は弱まるか?)それなりに弱まるが、猛烈に汚れており被曝は大変なことになる。密着は危険すぎるから離れるべきだが、あまりに離れると操作が困難。被曝の蓄積が心配。
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●汚染水処理後の廃棄物は?
まずは汚染水浄化→循環注水冷却によってこれ以上汚染水を増やさないことが急がれますが、このシステムが稼働した後に残る汚染物質の処理が次の課題になります。
放射性物質は無害化することはできないので、水から他の物質へ濃縮されて移されることになります。
処理に伴って発生する高レベル放射性廃棄物汚泥(スラッジ)は、年末までに約2000立方メートルと試算されていますが、保管方法のメドも立っておらず、最終処分の方法も決まっていない状況です。
また、浄化に使ったゼオライトの汚染は1立方センチで1億ベクレルともいわれ、取り扱いには被ばくを伴う、重たい課題となります。
小出裕章氏によれば、半減期が30年と長いセシウムが一番問題だが、1000分の1になるまで300年、福島の汚染物も最低300年間は閉じ込める必要があるということです。
今後もまだまだ、綱渡りの状況は続くようです。東電の対応には疑問も感じますが、現場で働く皆さんの大変さを思うと感謝の気持ちがわいてきます。
◆Tフォーク墜落
6月24日、福島原発2号機上空で放射性物質の濃度を測るために空気を採取していた米国製無人ヘリコプター「Tホーク」が操縦不能に陥り、2号機建屋の屋上に墜落しまった。クレーン車で屋上の画像を撮影するなどして、建屋に損傷がないかの確認をしている状況という。
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Tフォーク飛行時
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Tフォーク墜落状況
Tホークは、米国ハネウェル社が、東京電力に提供(計4機)したもので、重さが約8キロ、大きさが約45センチ、時速80キロ・高度3000メートルの飛行性能を持つと言われています。
◆アンヌ更迭の理由(原発利権)
「アトミック・アンヌ」こと、仏アレバ社のアンヌ・ロベルジョン最高経営責任者(CEO)が6月30日付で退任することが決まった。
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発表したのはフランス首相府。アレバ社株の9割はフランス政府と関係機関が保有しているため、政府はアレバ社人事に大きな影響力を持っています。
ロベルジョンはミッテラン元大統領の補佐官も務めていた人物だが、最近はサルコジ大統領との不仲も取りだされていました(サルコジとロベルジョンが来日した際に、サルコジはロベルジョンとの会談を拒否したという)。
近年の動きとして、フランス国内では原子力産業の強化を目指し、サルコジ大統領主導で業界再編の動きが起きていました。
再編計画の中で、今後のフランス原発政策はアレバではなくEDF(フランス電力公社)が中心になると言われています。
背景には、アレバを主体とするフランス企業連合が2009年末にUAEへの原発の売り込みで、韓国のKEPCO(韓国電力)に敗れたこと、フランス国内とフィンランドで建設中の新型炉EPRの完成が大幅に遅れた上に予算も大幅にオーバーしたことがあります。
今回の経営者の退任劇は、単に経営責任を問うだけでなく、国策とする原発産業でフランスが勝ち続けるための業界全体の再編と見た方がよさそうです。
一方ドイツは原発廃止を表明しており、ヨーロッパ圏内で原発政策の二極化が起きているようです。
◆海底の土からもストロンチウム
ストロンチウムが6/9の土壌からの検出http://www.jiji.com/jc/zc?k=201106/2011060900369に続き、海底の土からも検出されました。→http://www3.nhk.or.jp/news/genpatsu-fukushima/20110628/0500_strontium.html

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放射性ストロンチウムが検出されたのは、福島第一原発から南北におよそ20キロ離れた場所の沖合およそ3キロに当たる2つの地点で、東京電力が2日に行った海底の土の調査で、ストロンチウム90とストロンチウム89が検出されました。
放射性ストロンチウムは、体内に吸い込むと骨に蓄積してがんを引き起こすおそれがあるとされ、このうち、放射線量が半分になる「半減期」が29年と長いストロンチウム90は、海底の土1キログラム当たり最大で44ベクレルでした。
今回の事故の影響で、放射性ストロンチウムはすでに海水や陸上の土から検出されていますが、海底の土から検出されたのは初めてで、原子力安全委員会の加藤重治審議官は「海産物にどのように蓄積されるのかよく分かっていないため、影響を慎重に調べる必要がある」としています。
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京都大学 小出裕章 助教によると、危険度はセシウムの10倍から数十倍程度だそうです。しかし、検出された量はセシウムの数百分の1から1000分の1なので、現状ではセシウムの危険性の方が高そうです。
このストロンチウムですが、小出氏によると現状、内部被曝線量を計測するホールボディカウンターでは計測できないようです。
http://hiroakikoide.wordpress.com/2011/06/28/6%e6%9c%8827%e6%97%a5-%e3%82%b9%e3%83%88%e3%83%ad%e3%83%b3%e3%83%81%e3%82%a6%e3%83%a0%e5%86%85%e9%83%a8%e8%a2%ab%e6%9b%9d%e3%81%af%e3%83%9b%e3%83%bc%e3%83%ab%e3%83%9c%e3%83%87%e3%82%a3%e3%82%ab/
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%9C%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%AB%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC
よってバイオアッセイ(生物学的毒性試験)という排泄物を分析する方法しかないのですが、それも大きな誤差があるよう。
このように危険度が把握しにくいストロンチウムですが、水産庁は汚染水が流れ着く前に魚の検査を行なうなどし、危険度の隠蔽を図ろうとしています。http://katukawa.com/?p=4684
どうやら水産庁の調査は国民を放射能から守るのが目的ではなく、低い値を出して「問題はない」と主張するのが仕事のようです。意図的な検査をし、低い値を発表するのであれば国民の信頼は得られないでしょう。ちょっとわかる人が見れば、ストロンチウムが検出されそうな魚を検査してないことは、一目瞭然です。「ストロンチウムの汚染を隠すために、福島近辺の魚を避けているのではないか」と、かえって不安を煽りかねません。税金を使って、国民の健康に関わる検査をしているのだから、もっと真摯に取り組んで欲しいと思います。
◆今週のガイガー(6/21~6/27)
先週6/21から6/27までの推移をまとめておきます。
測定場所:東京 蒲田
測定機器:COLIY 900+
測定位置:RC造ビル4F室内窓際(窓開放)、室内、屋外(地上50cm)、屋外の地表面(土の上)
測定方法:10分間の累積線量から1時間あたりの数値に換算。
(10分間の累積線量を6倍しています。)
測定時間:午後12時と午前12時の2回(グラフは午後12時の値)
測定放射線:α線+β線+γ線(自然放射線も含まれています)
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測定結果の平均値(←先週値)
窓際 :0.148(←0.141)
室内 :0.126(←0.120)
屋外 :0.199(←0.207)
地表面:0.213(←0.219)
          単位:μSv/h
●屋外にたいして室内の値が上がっているのは個別空調を導入したからだと考えています。
先週から関東各所の放射線量測定を開始しました。
6/22 14時 松戸 0.384
6/23 14時 大井町 0.228
6/24 15時 田町 0.198
6/24 19時 横浜 0.186
6/26 13時 津田沼 0.354
6/26 20時 田町 0.204
          単位:μSv/h
松戸・津田沼などの千葉方面の値が高めでした。食事などで対処できる方法がコチラ(http://blog.livedoor.jp/nandeya_umeda/archives/51265239.html)で紹介されているので、積極的に導入していただければ幸いです。
これまでの記事を読まれてわかるように、もう国やマスコミに任せている場合ではありません。テレビの向こうの誤魔化しでは無く、現実の中での安心、安全は自分たちで創っていくしか無い、という想いは今回の原発事故という人災を契機に、確信に変わりました。
被災地は元より、日本全国どこに居ても出来る事。それは、今回紹介したような食事療法を始めとした、素人たちの想像と、このブログのような事実を共認形成していく場です。このブログはネットサロンで議論した内容をUPしています。随時参加者を募集してます。詳しくはコチラ(http://www.rui.jp/ruinet.html?i=600&c=300)是非ご参加ください!

List    投稿者 ISEZAKI | 2011-07-01 | Posted in ⑪福島原発問題2 Comments » 

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コメント2件

 スラッカー | 2013.01.06 15:50

一般人は兎も角ここに来る人は興味あるかと
自分は最近発見された遺稿の
「神とは人の弱さの産物に過ぎない」
という内容は驚きました
個人的には人は神(死後の世界)を片隅でも信じてないと
自分を律せないと思っていたんで

 匿名 | 2013.10.25 13:48

不確定性原理に触れるなら小沢の不等式にも触れないと。
数学を超えた言語が出るとしても、それは未来人にとっての現代数学と昔の数学(=今の現代数学)の差に過ぎなくなるような。
ダーウィニズムが色々反論されても取り込んで進歩して総合ダーウィニズムのそのときどきの最新版であるような感じで名前は変わらないと思う。
宇宙論でビッグバンがインフレーションやらMプレーンの衝突とかになっても「要はビッグバンの最新版でしょ?」で済むように。

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