2011-06-02

今週の福島原発(5/25~5/31)・・・爆発の可能性は?/汚染水はどうなる?/IAEAって?

今週は、G8サミットで菅の自然エネルギー公約(→ただの思いつき)、海水注入中断をめぐるドタバタ(→責任の押し付け合い)など、政治的な動きというか、政治的なガタガタが際だちましたが、その間も福島原発事故は現在進行中です。
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※ふくいちライブカメラ
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※3号機付近、IAEA視察 5/27東電発表資料

<今週の福島原発の動き>
5/25 IAEA調査団、本格的な調査開始、事故対応検証が目的 
     3号機 重要な配管損傷の可能性
     1・2号機 格納容器に穴か、1号機原子炉建屋 許容濃度の18倍   
5/26 “海水の注入 継続していた”
     汚染水減らず 追加の移送検討、汚染水 移送先の施設内で漏出   
     1号機の窒素注入 また止まる
5/27 IAEA 福島第一原発を視察 
     1号機 作業員入り汚染水調査
     移送先で汚染水漏出 監視強化
5/28 1号機、汚染水の水位計設置、プール冷却工事開始 
     汚染水“雨で流出のおそれ”
     汚染水処理費用 531億円(?)に
5/29 5号機の冷却ポンプが故障し温度上昇、予備ポンプへ交換 
     大雨・暴風で冷却作業に影響ないよう対策
     燃料プール 安定的冷却へ前進
     宮城・茨城沖 海底に放射性セシウム
5/30 東京電力、雨のため屋外で行う予定の一部作業を中止 
     1号機建屋の地下水も高濃度
     2号機取水口付近 530倍、2号機 濃度高く水蒸気も充満
     原子炉冷却 風雨に備えて対策
5/31 汚染水の水位上昇 対応を検討
     5・6号機取水口付近 油漏れ
     海水汚染抑制 浄化装置設置へ
     2号機プール冷却装置稼働へ

状況認識としては、、、
核燃料冷却は継続されており、核燃料プールに関しては一定順調に進捗しているが、1~3号機の原子炉に関してはメルトダウン、圧力容器・格納容器とも損傷して(穴があいて)燃料が漏出していることから、冷却方法の目処が立っていないと想像されます。
京大小出氏などは、1号機は燃料が格納容器も(建屋も)溶かして地下にめり込んでいっていると推測し、東電の示す「循環注水冷却」は容器が壊れている以上不可能、石棺方式に言及しはじめているようです。
また、先週の報告でも触れましたが、増え続ける「汚染水」の問題、地下水汚染や海への流出が大きな問題となっています。

今日はこれらのトピックから気になる点を調査してご紹介します。
1.爆発の可能性はあるのか?
2.これからの季節、雨が増えるとどうなるのか?
3.汚染された地下水はどうなるのか?
4.IAEA調査団の来日の目的は?


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1.爆発の可能性はあるのか?
福島原発は核燃料が高温化し、炉心の圧力容器、それを包む格納容器にも穴が空き、高温化した核燃料が外に漏れだしている。核燃料が高温のまま外に漏れだして、爆発することはないのか?
小出裕章氏によれば、密閉された圧力容器や格納容器の中では、水蒸気爆発を起こす可能性があったが、容器に穴が空き外に核燃料が漏れだした今は、爆発の可能性は低いという見解だ。
では水素爆発の方はどうか。元日本原子力学会会長の田中氏によれば、放射線が出ている限り水が水素と酸素に分解する放射線分解が起こるため、水素爆発の危険は残るようだ。

格納容器に穴?メルトダウンの1、2号機 3号機も配管破損  スポニチアネックス 5月25日

 福島第1原発事故で、メルトダウン(炉心溶融)が起きたとみられる1、2号機では原子炉格納容器に7~10センチ相当の穴が開くなどの破損があり、高濃度の汚染水が漏れ出た可能性のあることが25日までに東京電力の解析で分かった。同様にメルトダウンしたとされる3号機も配管が破損し格納容器の蒸気が漏れたとみられる。
 東電は経済産業省原子力安全・保安院に提出した報告書の中で、1号機について、地震から18時間後に直径約3センチ相当の穴が開き蒸気の漏れが発生、50時間後に約7センチに広がったと想定すると、実際に格納容器内で計測された圧力の変動によく合うことを確かめた。
 漏れが発生した時刻には、格納容器の温度が設計温度(138度)を大きく超えた約300度以上となっており、気密を保つ部品が高温で壊れた可能性があるとしている。
 2号機でも、地震から21時間後に高温などにより約10センチ相当の穴が開いたと想定した。この程度の漏えいがないと、格納容器の圧力が上がりすぎて、測定値と合わなくなる場合があるという。
 さらに2号機の格納容器では87時間後に、下部につながる圧力抑制プールが破損したとみられ、圧力が急激に低下した。
 3号機では、非常時に原子炉に水を供給する高圧注水系の配管を通じて、格納容器の蒸気が漏れた可能性があるとした。
 ただ東電は、いずれも圧力計などに問題があり、測定値が正しくない可能性もあるとしている。

5月26日 ものを言う気がなくなった 小出裕章【福島原発】5/26/木★高圧注水系(冷却装置配管)津波の前に地震で破損か?要約より抜粋

・(燃料が地中にもぐって地下水に触れて爆発する可能性は?飲み水等への影響は?)水蒸気爆発は多分起きないと思う。溶けた燃料が圧力容器の中で水と接触すると爆発することを恐れていたが、すでに格納容器に落ちている。その更に下にも落ちていている場合でも、地下水に触れたとしても爆発にはならないだろう。ただし地下水を汚染し、それが海に流れ、井戸水に混ざるということがあってはいけない。
・(爆発はないが高い汚染の可能性はある?)ある。大気中の汚染が最も危険だと思っているが、その危機は1号機に関しては過ぎた。あとは地下水を汚染する、あるいは海に流れるということが問題。それは当然重要問題。食い止めないといけない。
・(1号機が空気をひどく汚染する最悪の危険がなくなったとするのはなぜか?)恐れていた最悪のシナリオは、炉心が溶けて落ちたときに圧力容器の底に残っている水と反応して爆発するということ。そうなると格納容器も破壊され、大気中に大量の放射性物質が排出されてしまう。1号機についての東電の説明が本当なら、すでにメルトダウンしており、圧力容器から格納容器に漏れているという説明。それなら圧力容器内の爆発はない。
・(2号機と3号機は?)分からない。半分まで水があるというデータが続いている。炉心全体がメルトダウンしている状態ではないと思うしかない。そうならば、水蒸気爆発の可能性は残っている。ただしこれについても、東電は水位計が壊れている可能性、水が残っていない可能性を数日前から言っている。どういう状態になっているか知ることすらできない状況だ。

「安定した」は真っ赤な“嘘”
福島原発 3度目の水素爆発の危険性 推進派からも「政府は無策」と批判の声

「強い放射線を受けると、水自体が水素と酸素に分解する『放射線分解』が起きます。被覆管がなくなっていても、燃料が放射線を出しているかぎり水素が出るのです」
 水は冷却水として圧力容器内に大量に注入されてきた。しかも、地震直後は淡水が調達できずに海水を入れた。海水からは酸素が出やすい。前2回と同様の水素爆発の条件がそろっていることになる。
 もし爆発で圧力容器が破壊されると、損傷した燃料本体が外に飛散する。放出される放射性物質は、前2回の水素爆発で漏れた量とはけた違いに大きくなる。
「ざっと計算しても、前2回の合計の10倍でしょう」(放射線の専門家)
 すでに原発周辺で深刻な土壌汚染が明らかになっている。このうえ爆発が起きれば被害は致命的になり、首都圏にまで汚染が広がりかねない。
 そして、この田中氏らの心配を裏付けるように、燃料損失が最も大きかった1号機の圧力容器の圧力が、3月下旬から上がり始めている。二つある計器のうち、一つは3気圧程度だったのが4月9日には約9気圧にまで上がった。
 これまで水素は圧力容器の安全弁から格納容器へ抜けていた。しかし、格納容器に注入された冷却水で弁が詰まり、圧力容器から出なくなったためではないかと、田中氏は推測している。
 東京電力は7日未明、1号機に窒素を注入し始めた。窒素によって、水素と酸素が化合して水素爆発するのを防ぐことができるからだ。

2.これからの季節、雨が増えるとどうなるのか?
■福島原発周辺は、これから長期間雨が降り続く
福島原発から10km北に位置する浪江町の4~12月の降雨量(1981~2010年平均、気象庁)は以下の通り。単位mm
4月    5月    6月   7月   8月   9月   10月   11月  12月
126.9 124.0 158.2 182.5 171.2 241.2 192.7  78.8  41.4

統計データによると、福島原発は梅雨時期だけでなく10月頃まで長期間雨が降り続けることが分かる。つまり、冷却水だけでなく、雨による汚染水の増加が懸念される。また、6月や9月は台風が発生するため、集中豪雨対策も考えなければならない。
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※雨の福島原発 東電

■雨が降り続けると、どのような問題が生じるのか
①汚染水の流出
福島原発敷地面積が約350 万㎡、建屋建築面積(1~4号機)が約1万㎡。
梅雨時期(6月)に敷地や建屋周辺に降り注ぐ降雨量を概算すると、
敷地:158.2mm×350万㎡=55万t
建屋:158.2mm×1万㎡=1580t
現在建屋地下には10万tの汚染水が溜まっており、地上には放射線濃度の高い瓦礫が散らばっている。雨が建屋上部から進入した場合、高濃度汚染水へと変わる。敷地に降った場合は、瓦礫を洗い流して、低濃度汚染水が海へ流出することになる。

②汚染水の保管場所の確保
汚染水が増加すれば、それを海に流さないように保管する必要がある。現在メガフロート(1万t)などの保管場所を準備しつつあるが、雨による汚染水の増加→流出を防ぐためには、梅雨前に前もって保管場所の空きを作り出しておく必要がある。

③冷却作業への影響
原子炉の収束に向けて、燃料の冷却や制御システムの維持・復旧を行い続ける必要がある。現在東電は集中豪雨対策として、外部電源装置・建屋内の浸水対策(土のう設置)・放水車両の避難を行っているが、予測を超えた事態に備えておかなければならない。

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※汚染水除去の流れ 東電

3.汚染された地下水はどうなるのか?
■汚染された地下水は海に流れるのか
福島原発は西に43mの丘があり、建物自体は海抜13~8mのところに建てられている。地盤は、白亜紀から第三紀にかけて形成された固い堆積層の岩盤の上に、更新世の海底堆積物(約30m)が積み重なり台地を形成している。原発はこの台地を削り、固い岩盤に杭を突き刺して建てられている。
この地域は地下水も豊富であり、丘からの伏流水が福島原発周辺に流れ込むため、建屋が地下水の浮力よって浮かないようにサブドレインと呼ばれる排水溝を設置している。

東電や政府は、地下30mの固い地盤が遮蔽壁となって、地下水が30m以深まで流れ出さないと予測しており、地下水の流出対策として、建屋周辺を30mの擁壁で覆う対策を考えている。
しかし、この対策が有効に働くためには、固い堆積層の岩盤にひびが入らないという前提条件が成立している必要がある。

ところが、国土地理院が発表した情報によると、3.11の地震によって福島原発周辺が地盤沈下したと考えられている。
http://www.gsi.go.jp/common/000060316.pdf
tinka002.jpg沈下量(単位はm)
 suihei2.jpg水平移動量(単位はm)
原発周辺の地盤の沈降量は-50cm以上、水平移動量は220cmから250cm (地盤にゆがみあり)となっており、堆積層に割れ目が発生していることが予想される。
したがって、東電や政府が遮蔽対策を施しても、汚染地下水の流出は止まらない可能性が高い。

(参考)福島原発で地盤沈下

4.IAEA調査団の来日の目的は?
国際原子力機関IAEAが5/24~6/2まで査察に来日。その目的は、①詳しい被害状況の把握、②震災発生後の対応(東電、政府)、③周辺住民を保護するための政府の対応と言われている。マスコミでは「核の番人」=正義の機関と言われているIAEAだが。。。
調査団は18人、イギリス、フランス、アメリカ、韓国、スペイン、インドネシア、トルコなどの12ヶ国で構成、これらの国は基本的に原発推進国。
またIAEAはチェルノブイリ原発事故の際は、全く問題がないとして原発推進を擁護した。今回も何らかの「政治的」フィルターを通した意見が出てくる可能性が高いだろう。
ネット界では、今回の査察を元に菅を裏で操り、福島をIAEA直轄の核の最終処分場にするなどの意見が流れており、真偽は不明だが、今後のIAEAの動きは注目しておく必要がありそうだ。

List    投稿者 iwaiy | 2011-06-02 | Posted in ⑪福島原発問題1 Comment » 

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