2012-11-01

君もシャーマンになれるシリーズ17~【シャーマン脳仮説】シャーマンは無意識領域から情報を引き出している

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みなさん、こんにちは 😀
 「君もシャーマンになれるシリーズ」では、これまでシャーマン脳の謎に迫るべく、シャーマニズムと脳回路をテーマに、脳の基本構造と右脳・左脳の特徴をみてきました。今回は視点を変えて、シャーマンの脳波実験の事例をもとに、意識無意識を手がかりに予知・予言が出されるしくみを考えていきたいと思います。

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◆シャーマン脳は眠っている状態 
 改めて、東北のイタコと沖縄ユタの事例を見てみます。
シャーマン(予知・予言能力)の脳回路① より

 イタコが依頼者の話を聞いているときは、左側の前頭葉が活発に活動して、右半球の活動は目立たない。しかし、口寄せ(死者がのり移って語りだす)が始まると、右半球の前頭葉の活動のほうが優勢になるのだ。私たちの脳は、ふつう左半球に言語野があり、左と右の間に機能的なちがいがある。人類になって初めて複雑に発達した「言語」と言う新しい能力の活用に左半球が適応していったとすると、右半球はそれ以前の、古くからの能力を温存しているのではないだろうか。イタコが死者の声に耳を傾け、それを告げているとき、右半球の前頭葉が活発に働いていると言う現象は非常に示唆的である。集合的無意識が語りだすことと、右半球の前頭葉が活発に働くということとは、何か深いつながりがあるのだろうか。
 
 ベータ波の二〇~三〇ヘルツのあたりに、強いピーク(棘のような波)が認められたことである。これは平凡な人の脳ではまったく見られない現象だと言う。歌が始まって四~五分すると、非常に低い周波数のデルタ波が、特に右で強く出てくる。そのデルタ波が右に出始めたころから、ベータ波のピークが出はじめ、間欠的に出てくるが、やはり右側のほうが電位が高い。(中略)
 デルタ波は非常に周波数の低い波で、ふつうは深く寝入っているときに認められる。根間さんが歌を唄っているとき、もちろん眠っているわけではないのだが、何か夢と相通じる機構が働いて、脳の内部に蓄えられたイメージ、特に深い集合的無意識のレベルのイメージが浮上しやすくなるのではないだろうか

 シャーマン脳の特徴として、左半球の前頭葉・大脳新皮質(=言語野)の働きが抑えられ、右半球が活発化することと、思考の活発化や集中時に見られるベータ波に(通常は見られない)ピーク波が現れる一方で、通常眠っている時にのみ見られるデルタ波も現れています。
 
◆(仮説)シャーマン脳とは無意識を掴み取れる脳? 
 これらの脳の反応などから考えられるシャーマン脳の仮説として、睡眠時と同様(デルタ波が示す状態)の無意識下で情報の整理を行うと同時に、意識(ベータ波が示す状態)が無意識領域に下り、何らかの情報を引き上げているのではないでしょうか。
 
 進化史からみれば、脳のない時代でも生物は環境からの情報を身体の感覚回路を用いて判断してきました。5億年前の脊椎動物初期段階で脳の基本構造が完成し、記憶回路(小脳、大脳辺縁系=海馬・扁桃体など)が構築されたことで、感覚回路で得た情報の貯蔵=無意識が形成。生物は、膨大な環境情報を無意識を用いて判断可能になり、環境適応度が上昇しました。
 また、大脳新皮質(主に前頭葉)が発達した人類が登場し、意識が形成。本格的に形成されたのは、250万年前の言語発明頃かと思われます。そこから言語により感覚回路から得た情報の共有化が図られ、さらに環境適応度が上昇しました。
 
 生物は長い間、意識以前の領域(身体、無意識)で判断し、外圧適応し、生物が辿ってきた記憶を蓄積してきました。そしてシャーマンは、この無意識領域を意識的に拾い上げることで、直感的に物事の大きな方向性を決定することができるのだと思います。それが予知・予言、或いは可能性収束先の提示となっているのだと思います。
脳の「無意識」には私たち個人の判断軸を超て、種として積み重ねた適応能力があります。
 
 ※「集合的無意識」は心理学で用いられますが、一般的に人類共通の素地として、誰もが潜在的に有する無意識群を言い、上記内容と共通すると思われます。 
 
◆無意識も含めた同化能力がカギ 
 無意識領域で情報を引き出すには、観念レベルを超えた判断軸があると考えられます。無意識領域では仲間はもちろん、動物、自然界、宇宙など万物全てにアンテナを広げて反応を掴み取り、深い記憶と組み合わせる(使い分ける)事ができているのではないでしょうか。
 つまりシャーマンの無意識領域では、普通の人の想像を超えた、表層的ではなく、潜在的な同化によって蓄積した土台からの情報収集(究極の同化)が行なわれていると考えられます。これは、生存圧力が高かった原始人類には生き残るうえで必要なものだったでしょう。
 
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 しかし、現代人は自然を克服し、自然への同化を無くしたことから、元々人間に備わっていたであろう無意識を拾う本能機能や、潜在意識への同化能力が弱まり、顕在意識への同化のみで頭の中だけで処理する、言わば観念病に侵されている状態と言えるかも知れません。
 無意識の可能性を見てみると、脳回路を活性化し、潜在能力を引き出すには改めて深い同化プロセスが関係しているといえそうです。
 
 次回もシャーマン脳回路の解明に繋がる記事を紹介していきます。次回もお楽しみに 😀

List    投稿者 yamatetu | 2012-11-01 | Posted in ④脳と適応No Comments » 

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