2022-07-13

観念回路の形成過程⑭~「機能欠損~同類との一体化」はどうやって起きたのか?~

これまで人類の観念回路の形成過程を見てきました。さらに今回は上記の図解を用いて、今まで深めてきたそれぞれの事象の関係性に迫っていきたいと思います。

■機能欠損→同類欠損→主体凍結(空白化)

初期人類が置かれた機能欠損

足の指が先祖返りして樹に登れなくなった(樹から落ちた)“機能欠損”状態が、初期人類の最大の外圧である“同類欠損”状態を生み出しました。

 

サル時代は“同類闘争”が最大の圧力源であり、活力源。さらに同類との同一視充足(共認機能)が最大の充足源になっていました。

つまり、“同類の存在”こそが活力源であり、充足源であったのです。

その同類が全くいないということは活力源も充足源も失ったということ。

すなわち“外圧がなくなった”ということ。この状況は生物史上初の事態です。

それによって、自身の“内圧”(やる気など)も“全く生起しなくなった”ということなのです。
いわば“無”の状態と言えます。

サル時代の最先端機能である共認機能が全く作動しなくなると、そこに収束する全ての機能に加えて、“本能”でさえもまともに作動しなくなります。(食欲もわいてこなくなる等)

初期人類は、機能欠損から引き起こされた同類欠損によって、本能も共認機能も機能しない“無”の状態=主体凍結(空白化)の状況に陥りました。

■主体凍結(空白化)→全面受容→同類との一体化

主体凍結は上記で述べた通り、「本能も共認機能も全く機能しない」ということです。

しかし、過去の生物史を遡ると、主体凍結は何度か経験しているのです。

全球凍結時の「単細胞から多細胞」になる時には、“群生本能を一部停止”しているし、「胎内保育」“免疫機能を一部停止”しています。仮死状態、冬眠状態も同様に本能の一部を停止しています。

これらは、適応戦略として主体的に行っている現象

しかし、初期人類の主体凍結は適応戦略として行っているものではなく、自らの意志とは無関係に否応もなく、主体凍結(空白化)に陥ってしまったのです。(※主体凍結という言葉が適切か否かは今後も検討が必要です。)

主体凍結(主体がない)ということは意識が対象に溶け合い、全面開放している状態です。

主体がない状態で同類が現れた時どうなるでしょうか?一筋の光を見たような気持ちになりそうですよね。

相手の中に自分がいる、相手と自分との境目がない全面受容状態になるのです。

主体がない故に「全面開放→全面受容」に至れたのです。

全面受容状態とは、「敵も味方もない状態」。それは、赤ちゃんのイメージが近く、主体がなく全てを受けいれるという感じ。

同類を全面受容した、つまり同類と一体化した状態の充足度が高く、より同類との一体化を強化する方向へ可能性を見出していったと思われます。

人類は一体化充足を高めるため、性と同期に収束しているのが特徴です。これは次回以降に深めていきます。

List    投稿者 takayama | 2022-07-13 | Posted in 4)サルから人類へ…, ①進化・適応の原理No Comments » 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.seibutsushi.net/blog/2022/07/8211.html/trackback


Comment



Comment