2022-03-18

オランウータンの知能進化④~オラウータンの【未知収束】とは?~

テナガザルのなかでもオランウータンとその他のサルには大きな違いがあります。
その違いは対象の捉え方です。

①オランウータンは、池にはまり込んだ人間を助けるという現象。

野生のオランウータン、川に入った男性に手を差し出し、救い出そうとする仕草(ボルネオ島)
カラパイア』よりお借りしました

②オランウータンは人間の読む雑誌を見るのが好きなようで、特に四角形が多用された申込ページや自然にない色が使われているページがお気に入りで時間をかけて凝視しているという報告。

これらは何を示しているのでしょうか?

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①は、本能では種間闘争の敵である異種のサルを敵視するが、オランウータンは異種のサル(この場合は人類)を肯定視(プラス視)していることを示しています。

と同時に、この現象は、異種のサルに対して置かれている状況の同化心情への同化が行われていることを示しており、共認回路を同類以外にも振り向けて対象化していることを示しています。

オランウータンは、親和回路や、共認回路をさらに進化させ、母子の密着充足やオスメス間の密着充足(一体化充足)の回路を作り上げた。つまり同類以外にも一体充足の回路で対象化しています。

②はオランウータンは、自然界にない未知の対象に関心があることを示しています。本能は正体不明のものには近づかない(避ける)が、オランウータンは正体不明の対象にも関心を持ち、近づく。
また本能は生存圧力には反応するが、生存と無関係なことには関心がない(対象化しない)。つまり生存欠乏を超えて、未知のものへの関心(未知収束)の回路があることを示しています。

ではこの一体充足欠乏と未知収束はどこかで関係しているのでしょうか?
ここで、一体化充足とは対象との「エネルギーの授受による充足」ではないかという仮説を立ててみたいと思います。

まず親和も同一視も共認もすべては対象からエネルギーを得ることで充足するという回路です。一体化充足も同じであり、さらにその充足度を高めるために作られた回路です。
ただしこれらはあくまでも同類を対象とする回路です。

では自然(などの同類以外の対象)と一体化するとは、どういうことでしょうか?
自然と一体化するとは、同類に対するその機能(『原猿の手探り回路と樹上適応』でも取り上げた同一視を生み出した手探り回路)を自然に振り向け、自然からのエネルギーを受信し、充足を得るということではないだろうか?実際オランウータンは飢餓の中自然から得たエネルギーを生体エネルギーに転換し、栄養物さえ作り出している可能性が高いという現象事実がある(詳細は「エネルギーは食料からしか得られない」とする、近代栄養学の誤りを参照)

つまり、飢餓の中、自然との一体充足が得られた経験が万物に対する一体欠乏の起点となっている?
手探り回路は原猿由来ではあるがオランウータンで始めて、自然にそれを適用できたのは、オスメスの強い一体充足の回路という土台があり、かつ飢餓という契機(飢餓克服の強い欠乏)があったからではないだろうか?

そのようにして、いったん同類以外の対象に対する一体化充足の回路が形成されれば、それは最先端の機能となり、万物に対して、一体化充足の欠乏が生じる。それがオランウータンの未知収束を生み出したのではないだろうか?
この自然との一体化欠乏と未知収束は、人類の観念機能の原型ともいえるものです。

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