2022-03-11

オランウータンの知能進化②~哺乳類で形成した【大脳新皮質】の秘密とは?~

改めて知能進化の歴史を再整理中。前回までは、単細胞時代からの皮膚の判断機能→周波数情報の外圧をキャッチ→多くの情報を整理する必要性⇒脳の誕生まで扱いました。

これらは、両生類までの知能進化の歴史。今回は、哺乳類以降の知能進化の歴史をまとめていきます。

 

■1.哺乳類になって、【大脳新皮質】が登場。どんな機能に特化している?

 

哺乳類になると、両生類までの脳に加えて、【大脳新皮質】を新たに形成しました。

大脳新皮質ができる前までの脳の探索機能は、ある意味「パターン回路」。多くの周波数情報をパターン化して行動に移すという機能止まりでしたが、この大脳新皮質の特徴は、外圧情報をもとに「どうする?という探索」に特化した器官です。

 

この「どうする?の探索」とは、一体どういう意味なのでしょうか?

 

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前回(リンク)も扱ったとおり、皮膚はそれ自体が判断機能を持つ原始的な脳ですが、大脳新皮質は、この皮膚の持つ判断機能を転写したもので、判断機能を持つ脳と、皮膚の判断の突合せが、探索回路を生み出しました。

 

この「どうする?という探索」とは、【皮膚と脳の判断の突き合せ】のことを示しています。

 

このようにして、先天的な本能回路だけでなく、皮膚と脳の突き合せによって、【後天的に組みかえる(神経がつながっていないところを駆動物質でつなげていく)こと】が可能になりました。

 

 

■2.なぜ後天的に脳回路を組み替える必要性があったのか?

では、なぜ後天的に脳回路を組み替える必要性があったのでしょうか?大きく2つの理由があったからです。

 

①胎内保育によって子育てが必要になったことにより、【個体識別】が必要になったから

 

胎内保育を行うには、まずは母胎が胎内の子どもを異物として排除するのを防ぐことが必要で、生まれてからも母乳で子育てを行っていきます。

このような母子関係が成立するには、「親と子の互いの認識が必要」つまり、同類に対する【個体識別】の認識機能が必要です。こうなってくると、両生類までのパターン回路では適応できず、状況に応じて脳回路を組み替える必要があります。

 

 

②性闘争を激化させた為、【対象認識】を組み替える必要性があったから

 

哺乳類以前は、多産多死の戦略の為、成体になる前に、そのほとんどが死ぬという淘汰圧力をかけることで、種としての適応力を維持します。

しかし、哺乳類は胎内保育。その為、淘汰圧力がかかることなく、成体になることができます。その為、哺乳類は成体後に淘汰圧力をかける必要から【性闘争(メスをめぐるオス同士の闘い)を激化】させました。

 

性闘争とは同類同士の闘争である為、僅差の闘いになる。したがって、性闘争で相手に勝つ為には、【同類把握力】が必要です。

例えば、敵同士の場合、相手に戦意があるのか、相手の力量を把握することも必要になるし、子育て期間中は味方同士でも、大人になり放逐されたら、縄張りを争う敵同士。味方から敵へと変わります。対象が変われば行動も変えなければなりません。

 

★つまり、【同類把握をする為】に、個体識別や、対象認識を組みかえる必要があった。そのために【後天的に脳回路組みかえる必要】があったということです。だから、新たに【大脳新皮質】を創り、「どうする?という探索=知能進化という進化の戦略をとったのです。

 

とりわけ、初期哺乳類以外の哺乳類は集団動物。集団行動における連携行動のための同類把握もその探索の対象です。

 

 

■3.生命原理から考えて、改めて“知能”とは?

要するに、

①外圧と同類把握力、脳回路の組みかえ力、探索力。

②「どうする?」をどれだけ探索し、組み替えができるかどうか

これが“知能”を規定しているということになります。

 

だから、専門知識などの知識量をどれだけ増やそうとも、知能は上昇したということにはなりません。生命原理から考えると、どれだけ同類を把握できるか?その為に「どうする?」をどれだけ組み替えられるかどうかが、本当の意味での”知能”だということです。

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