2019-01-04

脳回路の仕組み4 全ては、事象毎に形成された専門回路(特化回路)

日常の風景であれ、過去の体験や出来事であれ、あるいは言葉であれ、全ては運動神経と同様に次々と軸索を伸ばして繋がった一連の神経回路(専門回路)であり、その繋がりは一旦しっかりと形成されると消え去ることのないほぼ永久の直結回路である。 但し、この専門回路=直結回路を永久回路として形成→確立するには、反復を繰り返すことが不可欠で、何度も真似(反復)して確立された音声(単語)毎の専門・直行・永久回路は消え去ることはない(言葉を「忘れて終う」ことはない)が、反復回数が少ない専門回路は充分に使えない(従って反復されない)ので、いづれ他の専門回路に塗り替えられて消え去ることになる。

A.運動神経(小脳と大脳運動野)の回路

例えば、自転車に乗る運動神経の回路は、次々と軸索を伸ばして繋がった一連の神経回路であり、その繋がりはいったん確りと形成されると消え去ることのないほぼ永久の直結回路である。

 

B.出来事や風景や状況の専門回路

しかし、自転車に乗れた時の風景や状況は、一過性の視像(or聴像)であり、よほど強い刺激(嬉しさetc.)でもない限り、その時・その場に限りなく近い反復条件を再現することはほぼ不可能なので、殆ど思い出すことは出来ない。 とは言え、日常的に接している風景や強烈な刺激を受けた(→内識が生起した)体験を思い出すことは、ある程度できる。そこでは、何が再現(反復)されているのだろうか? そこでの外識は、単なる濃度や周波数ではなく、内識に対応する外識として、つまり内識にとって必要な運動にまつわる「ある意味」を持った対象として(つまり、ある形や音として=視像や聴像として)意識されている。つまり、ある内識に対応する運動や視像や聴像が再現されている。 しかし、大脳中枢の反復神経(海馬etc.)の量は無限ではない。従って限りある反復神経が永久回路として使われることは稀で、本能中枢の反復神経の繋がりは新しい刺激によって次々と塗り変えられてゆく。従って、繰り返し思い出していないと、回路が細くなり、やがて消えて終う。

1.逆に、さほど強い刺激を伴わない体験や視像や聴像でも、日常的に体験している事や接している風景・状況は、絶えず反復されているので、容易に思い出せそうに思う。しかし、目の前にある風景は見たら終いなので、わざわざ「思い出す」必要は小さい。従って永久回路は極めて不充分にしか形成されないので「ある程度」しか再現できない。

2.他方、非日常でも危機逃避etc.強烈な刺激と運動を伴った体験は、強力な内識→外識→運動神経の永久回路を、大脳(運動野)を通じて何度も思い出すことによって再現される。但し、小脳の運動神経が永久回路であっても、内識発で大脳が思い出そうとしなければ再現されないし、思い出し回数が少なければ曖昧にしか思い出せない。

3.人が口にする過去の体験や出来事は、ある程度強い刺激や行動を伴った事象であるが、そこで思い出された内容の全ては正確な事実ではなく、各人の内識が現在形で生み出した脚色された物語であり、極論すれば夢物語に近いものである。 夢は、睡眠時に内識が反復回路の中で重要と判断した出来事や外識を再現・定着させる働きに伴って生み出されるが、非覚醒状態なので像があちこちに飛んだりして一貫性がない。それに対して、覚醒時に思い出す場合は、ある程度一貫性のある物語を作り出すことができる。それが人が口にする過去の体験や出来事である。ここでも、その過去の体験や出来事は現在形において再現・脚色された物語なのであって、その「記憶」なるものが脳のどこかに在る訳ではない。(もし在るなら、脚色されていない正確な事実を再現できる筈である)

 

C.言葉の専門回路

前記の体験や出来事の大半は、言葉化された物語として再現されているが、言葉はどのようにして 再現されるのだろうか?赤ん坊が言葉を習得していく際、赤ん坊は周りと一体化(同化)したいという一心で言葉を吸収していく。つまり、内識(欠乏)発で言葉を吸収してゆく。つまりは、内識と言葉を繋いだ直結回路を形成してゆく。 その直結回路は大脳中枢の反復神経(海馬)にはとうてい納まらないので、大脳中枢の内識→外識から大脳に向かう専門回路を(小脳の運動神経と同様に)軸索を繋いだ神経回路として形成する必要がある。そして、反復を重ねて運動神経並みの直結回路が形成されてしまえば、その言葉(単語)を忘れることはない。いつでも思い出せる。音声は100音しかなく、単語にしても1万語ぐらいしかない。従って、1つの単語の専用回路に1万個の神経を割り振ったとしても、1000億の神経細胞の0.1%を使うだけである。

 

 

(岡田淳三郎)

List    投稿者 seibutusi | 2019-01-04 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 

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