2014-01-03

シリーズ 免疫とアレルギー5~基礎知識(4)杯細胞ってなに?~

明けましておめでとうございます。
初詣や初日の出、同窓会などお正月はイベントが盛沢山だと思いますが、皆さんはどのように過ごしていますか?

さて、お正月と言えば「おせち料理」ですよね。





%E3%81%8A%E3%81%9B%E3%81%A1.png
こちらより


「おせち」を漢字で書くと「御節」と書き、本来、暦上の節句(節供)のことを指しています。ですから1月1日だけじゃなく、3月3日や5月5日などの節句に作られる料理をおせち料理と呼んだそうです
現在では節句の一番目にあたる正月の料理を表す言葉として使われているそうで、家内安全、無病息災を願う料理なのです。

例えば、海老は腰が曲がっても丈夫という長寿の意味があり、鯛はメデタイというお祝い料理の定番ですね。

ただ、このような語呂合わせのような意味ばかりではなく、先人たちの知恵が込められたもので、黒豆などには健康を保つ大切な栄養素が豊富に含まれています。
黒豆に含まれているアントシアニンというポリフェノールは、強い抗酸化作用をもっていて、これがガンや成人病の予防にとても効果を発揮してくれます。また、サポニンという成分には、免疫細胞の活動をより円滑にし免疫力を高める働きがあります。

さて、今回のはお正月にちなんで「杯細胞」について見てみたいと思います。

応援 よろしくお願いします

 にほんブログ村 科学ブログへ



                    






f0230423_23132461.jpg
小腸の杯細胞の透過電顕写真

杯細胞とは
杯状(はいじよう)細胞とも呼ばれ、気管や胃や腸などの粘液を分泌する細胞で、管を形成する器官の上皮細胞のなかに混じって単独に存在します。核上部から表面にかけては多数の粘液性の分泌顆粒がぎっしりつまってややふくらんでいて、下部が細い細胞の形が杯に似ているということから杯細胞と呼ばれています。
杯と言ってもお酒をつぐ「おちょこ」ではありません。上がふくらみ細い柄がつき、下がもう一度ひろがって台になっているワイングラスです。

気管支や腸管含めてた粘膜で覆われた機構はカイメンの時代からマクロファージ(貪食細胞)と化学反応等を通じて抗原から身体を守っているとされています。
今回は気管支での杯細胞について見てみたいと思います。

気管支での杯細胞の役割
気管支は、空気の通り道です。そして吸い込んだ空気には塵などの異物も含まれています。 気管支には、体外から入ってきた異物を排除する機能があります。その機能を果たすのが「杯細胞」「線毛細胞」です。
杯細胞は、粘液を分泌しており、気管支の内腔を潤して摩擦や異物から組織を守っています。 線毛細胞は名前の通り、1つの細胞の頭に沢山の毛を持っており、気管支の内腔を被っています。なお、線毛細胞は杯細胞から分泌された粘液に浸っています。
異物が入ってきた時は、杯細胞が分泌している粘液が異物を絡め取ります。そして、異物が含まれている粘膜を、線毛細胞の毛が口の方へ動かすのです。なお、その粘膜は、咳と共に痰として口から外に出されます。

杯細胞の機能不全?
自動車の排気ガスが多い環境、あるいは化学物質やガスなどを吸い込みやすい環境に置かれている場合、異物が入ってくると粘液がそれを絡め取って咳と共に痰として体外に排出しますが、気管支に異物が入ってくる量が多い場合には、その分を体外に排出させる為に 杯細胞は粘液を出さなくてはなりませんが、そのままでは対応できないので、杯細胞自身を増やし肥大化させる事で粘液量を増やします。粘液が増えるという事は、痰が増えるという事ですが、同時に杯細胞が肥大化した事によって気道も狭くなってしまうのです。これが慢性気管支炎です。
これは気管支でも腸管でも同様だと思いますが、化学物質に晒され続けることによって、体内への異物侵入の頻度が多くなるなどの問題が生じるとは考えられないでしょうか?

このように粘液を司る杯細胞は、身体への異物侵入を防ぐ第一の関所になっていますが、現代、杯細胞が機能不全(役割過多)となっていると想定されます。
また、杯細胞の機能不全が起こり始めたのが、高度成長期以降の’70年頃からだと推定できますが、同時期に増加し始めたアトピーや花粉症、食物アレルギーと何からの関係があるのではないでしょうか?
今後、脊椎動物以前の免疫機能の進化過程に引き続き、脊椎動物以降を扱いながら解明したいと思います。

本年も当ブログを宜しくお願いします。

List    投稿者 yoriya | 2014-01-03 | Posted in ⑤免疫機能の不思議No Comments » 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.seibutsushi.net/blog/2014/01/1454.html/trackback


Comment



Comment