2013-02-04

太陽系を探検しよう-29.太陽系の起源、新説「磁場説」(2)

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前回の記事から、武田福隆さんの太陽系起源説を紹介しています。
 
今回は、原始太陽に生じる磁場の中で、回転運動する微塵が磁化率に応じて移動・整列していくしくみです。
 
太陽系の起源論において、惑星の組成が大きく異なっている原因は、まだ定説になっていません。この説によると、元素や分子の分布がその磁化率に応じて決まり、それがほぼそのまま惑星の主要な組成につながっていくことがわかります。
 
著書を抜粋・引用し、言葉だけではわかりにくい部分は筆者による図を挿入しています。
 

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超伝導磁場の中で磁化率に応じて物質の位置が決まる

磁気による分級は両極から物質が噴出するという現象から始まる。orionseiun.JPG
物質噴出の類似例(図は著書より)

その原因はイオンは陰も陽も、そして電子も磁力線に絡まるという性質があるからである。両極から出ている磁力線に絡まりながら磁気の弱いほうへ進むので、他の物質もそれに引きずられて進むのである。
jikibunkyuu01.JPG

両極付近以外ではどうなるか。環電流が流れている球体の表面部分の反磁性物質は、そこが最も磁気が強いから磁気の弱い外側へ押し出される。一方、横へ拡がった部分の常時性物質は、そこが磁気の弱い所であるから、磁気が最も強い環電流の流れている球体面の方へ引き戻される。jikibunkyuu02.JPG

また、両極からイオンと共に噴出した物質のうち、常磁性物質はイオンの濃度が低下して行くにつれて(拡散による濃度低下)、磁気率の大きな方から順次イオンの流れから脱落していく。逆に反磁性物質は磁化率の小さいほうから抜けていくjikibunkyuu03.JPG

このような磁気による分級作用が終了した時点、即ち原始太陽の磁場が消失した時、つまり太陽が光と熱を発し始めた頃の原始太陽系の物質分布は図―3(前回の記事参照)のようであったと考えられる。この図の上方が系の内側であり、下方が系の外側部分に該当する。
  
そして、図―3のように分級された物質は系のどの位置に存在していたであろうか。
反磁性物質は、どの部分をとってみても磁気の最も弱い所、すなわち、どこにいてもNS極から最も離れている所、つまり磁軸の中心を含む磁軸に直角な平面内(図中、中央の水平ライン部※筆者注)であろう。jikibunkyuu04.JPG

また、横に拡がっていたガス雲の中から引き戻された常磁性あるいは強磁性物質は、上記平面上ではなく、この平面を貫く磁力線上に存在したであろう。磁化率の大なるものほどNあるいはS極に近く、小さなものほど上記平面の近くにである。jikibunkyuu05.JPG

   
 
太陽の誕生~核分裂が種火となって核融合が点火

原始太陽にはすべての種類の物質が存在していたから、その中心には金属などの重いものが集まり、その中にはウランなどの天然核分裂性元素も含まれていた
 
それらの元素は上層の水素が金属性固体となり、環電流が流れ始める頃には高密度になって核分裂を起こした。その熱が数十万年かかって上層に伝わり、それが種火となって水素の核融合反応に火が付き、その熱が表面まで及び、やっと現在のような光と熱を発する太陽が生まれた。その熱で太陽の磁場は消失する。

 
 
惑星の誕生~水やアンモニアを媒体に“雪ダンゴ”が成長

磁気によって選り分けられ、太陽を中心として円盤状に拡がった微塵を含むガス雲は太陽の周囲を廻っていたが、そのうちに凝集が始まった。
 
図―3によると、内側の方と外側の方に1つずつ凝集力すなわち分子間引力の強いものがある。水素の酸化物HOと水素の窒化物であるNHすなわちアンモニアである。
 
廻転するガス雲の内側の方には水が凝集した氷による雪ダンゴ(雪合戦の玉)のようなものができ、外側の方にはアンモニア氷塊による雪ダンゴのようなものが、大小無数に出現したであろう。
 
これらの雪ダンゴは内側のものは金属の酸化物や炭酸塩、アミノ酸などの有機物、各種単体などによる微塵と共に雲中を漂うのであるから、これらのものにまみれ、汚れ雪ダンゴになってしまい、外側の雪ダンゴは雲中に大量にある無定形炭素Cの粉にまみれてマックロ雪ダンゴになってしまうであろう。
 
そして、汚れダンゴは汚れ雪(水)と反応して発熱したり水に溶解したり、あるいは別の溶けたものと反応して新たな化合物をつくったりするようなことを起こす。
 
一方、マックロダンゴの炭素はガス成分を吸着する能力が極めて強い(そのため防毒マスクなどに持ち言われる)ので、雲の中を漂う間に水素、ヘリウム、アンモニアなどを大量に吸着するから、マックロダンゴは急速に大きくなるであろう。
 
そのうち、これらの雪ダンゴを含む、太陽の周囲を廻る円盤内に、ワイゼッカーがボーでの法則を導き出した際に示したような渦流(図―5)が生じ、最終的には惑星が誕生するということになるわけである。

makkurodango.JPG
  

  
今回は、ここまでです。次回は、具体的な物質の磁化率と現在の惑星の組成との関係を見ていきます。
  
この説に基づくと、現在考えられている組成が、実は違っているかもしれない 、ということが見えてきます。お楽しみに
 
 
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List    投稿者 kumana | 2013-02-04 | Posted in ⑫宇宙を探求するNo Comments » 

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